Amazonがブロックチェーンサービス(BaaS)提供開始へ!注目が集まるその内容とは?

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Microsoft、HP、IBM、SAP、Oracleに続いて、Amazonはブロックチェーン技術を提供するクラウドサービス(BaaS:Blockchain-as-a-Service)を開始します。リスクや費用を抑えてブロックチェーンを導入してみたい企業は、こうしたサービスに高い期待を抱いています。

この記事では、Amazonが提供するBaaSの内容と、ブロックチェーン分野の現状について掘り下げていきます。

※ 一般的にBaaSは「Backend-as-a-Service」のことですが、本記事では「Blockchain-as-a-Service」の意味で用います

Amazonが提供するブロックチェーンサービスとは

本来BaaSは、低リスク・低コストで、企業がブロックチェーン技術を導入しやすくするためのサービスです。しかし企業は、優秀なブロックチェーンデベロッパー不足を解消する手段としてもBaaSを利用しています。市場においてはこうしたデベロッパーへの高いニーズがあるものの、実際の供給が足りていないという問題があるのです。

Amazon Web Services(AWS)はBaaSをクライアントに提供しはじめ、クライアントのブロックチェーンビジネスの手助けをしています。しかし、このサービスはAmazon Web Services(AWS)が提供する他のクラウドサービスとは異なります。なぜなら、これは非常に複雑な内容にもかかわらず、クライアントが簡単にブロックチェーンを利用できるサービスだからです。

AmazonはBaaSを一般リリースする具体的な日程を発表していませんが、多くの企業にとって魅力的なサービス内容でしょう。この件に関して多くのIT企業がAmazonに問い合わせをしており、Amazonはコンサルティングや技術的なサポート体制の整備を早急におこなっています。

G2 Crowd総括研究官のマイケル・ファウセット氏はこう発言しています。

「Amazonが提供するBaaSは、単にAWSの新たなサービスのように見えますが、BaaSを実際に利用してみれば、他のクラウドサービスとはまったく違うことがわかるでしょう」

AmazonはどのようにBaaSプロバイダーの一員となったのか

最近、NYベースのフィンテック企業であるConsenSysは、Kaleidoという名の新たなブロックチェーンビジネスクラウドサービスを開始しました。ConsenSysの事業責任者でありKaleidoの創始者であるスティーブ・チェルベニー氏は、このサービスに対するニーズを以下のように説明しています。

「ブロックチェーンが劇的に利用しやすくならなければ、企業はブロックチェーンへの投資を縮小するでしょう。(ブロックチェーンが使いにくいままでは)我々の社会はブロックチェーンがもたらす非常に大きなメリットを理解するのに長い時間を費やすことになります。
そのため、当社はこのKaleidoというプラットフォームを一から設計し、新たなユーザーエクスペリエンスやツールを搭載することで、事業におけるブロックチェーンの利用を根本的に簡素化しました」

AmazonはKaleidoの提供する、オープンソースかつイーサリアムベースのブロックチェーンプラットフォームを設立することに意欲を示しました。そうすることで、さまざまな会社に便利なクラウドサービスを提供できるからです。これにより、Kaleidoは初めてのブロックチェーンSaaSとなり、AWSのツールとして利用できるようになります。クライアントのニーズに合わせた利用を可能にするでしょう。

これに加え、Amazonが投資したり、広範囲にわたるブロックチェーンサービスを他企業に提供したりすることで進めているブロックチェーンプロジェクトは他にもたくさんあります。たとえば2018年9月、Amazonは主にHyperledgerやイーサリアムベースのブロックチェーンデベロッパーテンプレートを発表しました。これはオープンソースのブロックチェーンビジネスプラットフォームであり、さまざまなデベロッパーのブロックチェーンベースプロジェクトの開発の手助けをします。

Amazonの動きに対する周囲の反応は?

マイケル・ファウセット氏は、AmazonのBaaSについてこのようにも述べています。

AmazonのBaaSモデルは中央集権型のようですが、実際は未だ分散型を用いています。よって、企業によっては特定の国々においてデータレジデンシーの問題を解決する必要があるかもしれません。これはコンプライアンス上の課題になり得るでしょう」

Amazon Web Services(AWS)の副社長でチーフエバンジェリストであるジェフ・バー氏は、彼が開発したブロックチェーンテンプレートの用途を自身のブログにこう記しています。

「私が話をする人々の中には、ブロックチェーンを新たな貨幣制度の基礎や国際送金を簡素化する方法として見ている人がいます。また、ある人はブロックチェーンを分散型台帳や、輸送・サプライチェーン・不動産登記・クラウドファンディングや他の用途に応用可能な不変のデータソースとして見ています。
どちらにしても、ブロックチェーンが興味深い可能性を多く秘めているのは明らかです。ですから当社は、お客様がこの技術をより効果的に利用できるよう取り組んでいるのです」

ここで注目したいのは、AWSのブロックチェーンテンプレートは、ブロックチェーンアプリを開発しているAWSユーザーにとって大きな助けになるということです。このテンプレートにより、イーサリアムまたはHyperledger Fabricネットワークをより簡単にセットアップできるようになります。

Gartnerの調査結果:企業によるブロックチェーン利用の傾向

IT分野の調査会社であるGartnerが、さまざまな会社によるブロックチェーン技術の利用に関する詳細な調査を行いました。調査結果は、ブロックチェーン技術はすべてのレベルのニーズに対応するには至っておらず、いまだ誇大に注目されている段階にあることを示しました。

さらに「ブロックチェーンを自身の組織で採用している」と答えたのはたった1%で、「ブロックチェーン採用の短期計画がある」あるいは「積極的な利用実験をしている」と回答したのは8%にとどまりました。

そして「自身の企業はブロックチェーン技術に関心がない」「調査・開発を行う計画もない」と77%の企業が回答しました。

「短期計画がある」あるいは「すでにブロックチェーンの取り組みに投資している」と答えた組織のCIO293名のうち、「ブロックチェーンには技術分野における最先端のスキルが必要である」と23%が考えており、また「ブロックチェーンのスキルを有した人材を見つけるのが最も難しい」と18%が回答しています。

その他、「ブロックチェーンを採用する際にはIT部門のカルチャーを大きく変える必要がある」と答えたのは14%、「ブロックチェーンを実行するにあたってはIT部門の構成を変える必要がある」と答えたのは13%でした。

Gartnerの副社長兼フェローのデイビッドファーロンガー氏はこのようにん述べています。

「Gartnerが企業のCIOに対して実施した今年度の調査は、ブロックチェーンの採用・展開は非常に難しいものであると認識されている現状を示しています。
ブロックチェーンとは何か、そして企業、産業、社会を将来的にどのように変えていくかということと照らし合わせて、現段階ではどのようなことが可能なのかを理解することが重要です」

ファーロンガー氏はこのようにも発言しています。

「企業にとって困難なのは、単に優秀なエンジニアを探し出し雇用を維持することだけではありません。ブロックチェーン開発が進むのに合わせて、必要となる十分な人材を確保しなければならないのです。
ブロックチェーンデベロッパーのコミュニティには、歴史的に自由主義で一匹狼タイプが多いため、優秀なエンジニア達も仕事を選ぶのに慎重な態度をとっているのでしょう」

さらにファーロンガー氏は、「企業はブロックチェーン技術の導入を警戒している」と述べました。なぜならブロックチェーンは、イノベーションの失敗、余計な投資、早まった決定、さらには従来の仕組みの排除など、重大な問題へと組織を導く可能性を秘めているからです。

Blockchain-as-a-Serviceの便利な応用例

ブロックチェーンは仲介銀行を必要としない、国境を超えた送金を可能にしました。これにより手数料などのコストが格段に下がり、金融機関を介さないことで金融決済にかかる時間が短縮されます。

またブロックチェーンの目的は分散したソリューションを提供することであるものの、この分散化はいまだ完璧なものとはいえません。よってBaaSは、ブロックチェーンが進むべき道を行くのに必ず必要な、有望なソリューションなのです。

HTTPSが安全にオンラインビジネスを行うのに便利な技術であり、さらにエンドユーザーが利用する際にほとんど見た目の変化がないのと同じように、BaaSはブロックチェーン技術をエンドユーザー側に応用することもできるのです。

まとめ

ブロックチェーン技術には将来性があり、未来の技術として現在の社会が抱える問題を解決する可能性を秘めています。一方で、ブロックチェーンはまだまだ活用され始めた段階の技術であり、解決すべき課題が存在します。

信頼できるBaaSサービスを利用することで、マニュアルデベロッパーに対する企業の課題を減らせるかもしれません。Amazonが提供するBaaSは、ブロックチェーン技術を導入しやすくするという、多くの企業にとって大きなメリットがあります。このサービスが本格的に始動したとき、どのように利用されていくのか。今後も注目していきたいです。

(原文:Rashmi Inglekh 翻訳:Yui Tamura)

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