CDP(カスタマーデータプラットフォーム)を使用するメリットとは?データドリブンマーケティングをよりスムーズに

データドリブンマーケティングにおける顧客情報管理の重要性は、マーケターであれば誰もが理解していることでしょう。以前は「360度カスタマービュー」というプラットフォームが顧客管理によく使用されていましたが、このツールは顧客管理における課題を十分に解決するものではありませんでした。

それに代わって最近注目されてきているのが、顧客データを一括管理するカスタマーデータプラットフォーム(以下、CDP)です。本記事は、CDPがどんなプラットフォームなのかをご紹介していきたいと思います。

すべての顧客情報をCDPに集めよう

サイロ化されていない顧客情報のすべてを見るというのは、特別に新しい考え方ではありません。しかし「360度カスタマービュー」は、マーケターが柔軟に使えるような形式ではありませんでした。CDPでは、すべての顧客データを一括管理し、有機的に使用することができるのです。

CDPには、「データ」「デシジョン」「デリバリー」の3つのレイヤーが存在しています(下図参照)。最小限の機能を備えたCDPであれば、この一番上の「データ」レイヤーにおいて、データを統合したり、さまざまなソースからデータを抽出できます。さらに、機能が充実しているCDPであれば、「ディシジョン」「デリバリー」の機能を持ちます。

Three layers of CDP

(CDP、CRM、DMPの違いについてもっと知りたい方はこちらの記事を見てください。)

マーケティングテクノロジーの発展やAPI化の加速により、CDPはこれまで実現できなかったさまざまなことを可能にしています。

まず、CDPは、ビッグデータのプラットフォームにて組み立てられているため、すべてのカスタマーデータを取得し、それをリアルタイムに使用できます。付属のパッケージ化されたデータマネジメントとともに、CDPは顧客の全体像を把握しようとしているのです。

さらに、CDPは複数のチャネルを利用したマーケティングを効果的に行うことも手助けします。Econsuluncyの調査によると(下図左グラフ)、ヨーロッパ・北米における半分以上の企業が、彼らのマーケティングとカスタマーエクスペリエンスが統合されていないという悩みを抱えています。一方で、10%の企業のみがシームレスなマーケティング施策ができていると自己評価しています。また、ヨーロッパの組織は北米の企業よりもマーケティング施作フローに問題があると考えているようです。

マーケティング施策におけるデータの統合

これまでのカスタマープロファイルの作成や「360度カスタマービュー」等の施策は、顧客管理における根本的な課題を解決できませんでした。

それでは、CDPを使うメリットとは一体何なのでしょうか?CDPにはどのような使用価値があるのでしょうか?

CDPの利用価値を検討するため、ケーススタディーを見ていきましょう。

HelloFresh – CDPを活用した既存顧客のリアクティベーション

HelloFreshは新鮮な野菜を宅配するサービスで、さまざまなチャネルを利用してマーケティング活動をしています。Facebookカスタムオーディエンスを利用したリターゲティング、Sendgridを利用したメールマーケティング、Braze(以前のAppboy)を利用したモバイル端末でのプッシュ通知、Twilio を利用したSMSマーケティング、また、パーソナライズされたオフラインのダイレクトマーケティングにはOptilyzを利用しています。HelloFreshは、現状の実施しているこれらの施策を続けながらも、CDPを利用することでより統合したマーケティング施策を実施したいと考えました。

CDPを導入することで、さまざまなチャネルの調整や管理をスムーズにするだけでなく、クロスチャネルにおけるキャンペーンをテストすることも可能となりました。彼らはCDPを利用し、複数のチャネルの効果を比較したり、異なる施策の組み合わせを試したりしました(メールとダイレクトメールの組み合わせがより効果的になる等)。今までは膨大な工数を必要とした試みが、CDPにより容易にできるようになりました。

既存顧客のリアクティベーション

このように、マーケティングキャンペーンのテストを行うためには、適切なセグメントを構築するために、関連するすべてのカスタマーデータを取得する必要があります。その後、「デシジョン」を行うために、これらのセグメントを選択し、テストセルを作っておきます。最後に「デリバリー」のレイヤーにおいて、テストしたいチャネルにキャンペーンを送信するのです。そうしたら、トラッキングされた各チャネルにおけるキャンペーンのコンバージョンを、CDPで確認できます。このように、マニュアル的な作業をせずに、すべてのユーザーにおけるキャンペーンの効果測定を実現可能にします。

したがって、CDPを利用することで、キャンペーンを実行するためのデータセットの特定、ABCテストをするための適切なキャンペーンの形の発見、結果の測定の一連のフローを、スムーズに実行できるのです。

下記は、CDPのサービスである『CrossEngage』が提供したデータを図式化したものです。以前獲得した顧客をアクティブにするためには、パーソナライズされたダイレクトメールが効果的であることがわかりました。

ダイレクトメールの最適化

E-mailでのティザー送付施策は、初回はROIを2.3倍に、そしてダイレクトメールからのコンバージョンを2倍にすることがわかりました。ひとつのダイレクトメールよりも結果が良いことがわかるだけでなく、E-mailでディスカウントのお知らせを送ることはダイレクトメールを送るよりも効果的であることがわかります。このような発見は、A/Bテストを実施する際のシナリオを作る上で非常に参考になります。今回のケースはシンプルなキャンペーンではありますが、オートメーション化するにはすべてのデータと実行している複数のチャネルをつなげることが必要ということがわかります。

また、CDPを利用したもうひとつの気づきとして、熟年層よりも若年層がダイレクトメールに強く反応していることがわかりました。この結果を受けて、HelloFreshはキャンペーンを最適化し、ダイレクトメールを若い顧客層により頻繁に送ることに予算を投入することにしました。

カスタマーデータを統合するメリット

CDP Institute による調査によると、統合されたカスタマーデータを利用するメリットとして最もよく報告されたのは、「パーソナライゼーション」「インサイト」「クロスチャネル」についてだったそうです。

顧客情報を統合するメリット

回答者は複数の項目を回答しているため、少し数字に偏りがあるかもしれませんが、マーケターであれば、なぜこれらの項目が重要であるかわかるでしょう。

時間とデータアクティベーションの大切さ

もしCDPをビジネスに導入したいのであれば、マーケティング施作に使っていた時間が大幅に少なくなるでしょう。CDPは、ビルトイン統合機能とデータマネジメント機能を使うことで素早く導入し、利益に大きなインパクトを生み出せます。また、これによってデータドリブンマーケティング全体における社内のサポートを強化することもできるのです。

CDPの価値は、データ活用の最大化です。そのため、CDPを利用することを「データアクティベーション」 と呼ぶ人もいます。今後、CDPを利用したマーケティングの成功事例は増えていくことでしょう。

CDPが提供するさまざまな側面における価値について考えてみましょう。

  • さまざまなパーソナライゼーションのレベル:名前を入れるプレースホルダーから、それぞれのウェブサイト、メールコンテンツ、個人のコンシューマージャーニーまで
  • オートメーションのレベルと洗練されたディシジョニング
  • セグメンテーションのレベル:大きなグループから個々人のコミュニケーションまで
  • データのクオリティ: より多くのデータポイントからデータを追加することが可能。プロファイル、プロダクト、行動データに基づくデータから、意図や価値に基づいたデータまで。
  • クロスチャネルキャンペーンのために、複数のタッチポイントやチャネルの追加が可能

CDPは素早く成果を出すので、一瞬にして導入コスト以上の成果を得られるでしょう。また、その成果は、さまざまな形で現われます。それは、パイロットプロジェクトやミニマムヴィアブルプロダクト(顧客に価値を提供できる最小単位の製品)であったり、あるキャンペーンにおけるCDPの活用かもしれません。ロードマップは状況よって異なりますが、たいていの場合、導入から1〜3ヶ月の時間には最初の成果を上げられるでしょう。

CDPが企業にもたらす3つの価値

CDPは、あなたのキャンペーンをより質の良いものにしてきます。しかし、単にマーケティングキャンペーンだけでなく、その他にもさまざまなメリットがあります。それは、長期的な視点で見た会社のデータマネジメントです。

1.クロスチャネルにおける属性のトラッキング

HelloFreshの事例は、複数のチャネルにおいてキャンペーンを実施することは柔軟なレポートと権限(属性)が必要だということがわかりました。CDPは、将来的にチャネルを横断したマーケティング活動や属性を包括的にトラッキングしていけるような準備をしてくれます。

2.未来に備えたインフラ

マーケティング活動は絶え間なく変化し続けます。特にテクノロジーの発達とともに、コンシューマーの行動は、際限なく変わっていきます。例えば、IoTの到来、決済システムの変化、店舗における行動等を見ると、この数年間でも大きな変化が起きていることがわかるでしょう。

CDPはデータソースとデリバリープラットフォームをつなぐ中心のハブとして組み立てられます。そして、情報ソースはさまざまなデリバリープラットフォームと繋がり、カスタマーエクスペリエンスを向上させるための多くの機能に利用できます。

3.データをよりアクセスしやすいものに

従来のデータベースは、備え付け型であるというボトルネックがあります。CDPは、組織の誰もがカスタマーデータへアクセスしやすくし、さまざまな部署が直接データを使い、それを使って価値を創出することを可能にします。マーケティング、カスタマーサービス、ビジネスインテリジェンス等、複数の部署がデータにアクセスし、それを有効活用すできるのです。

(著者:Jordie van Rijn 翻訳:Akiko Ogita)

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