世界的IoTプレイヤー5社が語る、2019年のIoT市場のゆくえ【Sony/AWS/AT&T/Vodafone/Comcast 独占インタビュー】

BUSINESS

IoT For Allは世界最大の家電見本市『CES 2019』にて、世界的な主要IoTプレーヤーであるAT&T、Vodafone、Comcast、Sony、AWSの5社へ独占インタビューを実施。

2019年のIoT市場にはどのような展開が待っているのか、詳しく伺いました。

※この記事はIoTメディア『IoT For All』の翻訳転載です

1. AT&T:5G関連企業とパートナーシップ契約

アメリカの主要携帯キャリアのひとつであるAT&Tは、2018年にアメリカの19都市で5G通信を展開した後、5Gに重点を置いた複数企業とパートナーシップ契約を締結しました。 IoT For Allは同社のIoT戦略部兼製品管理エグゼクティブであるMobeen Khan氏より、その詳細を伺いました。

「AT&Tのビジョンは、エンドツーエンドのソリューションを利用する顧客に対し、ネットワークサービスとプラットフォームサービスの両方を提供することだ」とKhan氏は述べます。 同社の5Gパートナーシップ展開は、そのビジョンを実現させるための手段のひとつでしょう。

今後5G対応が予定されているAT&Tのソリューションには、シカゴの病院、テキサス州アーリントンのAT&Tスタジアム、およびラスベガスのユビキア街全体の照明計画が含まれています。また5Gの展開が進むにつれ、空港、スタジアム、学校などのローカルネットワークから、大都市の広域ネットワークへと対応範囲が広がる見込みです。5Gはこの種の帯域幅を管理しながら、遅延の少ない接続を実現するために最適な技術です。

同社はパートナーと協働し、堅牢で信頼性の高いネットワーク手段を構築する計画をとるようです。

「私たちは、誰もがネットワークやサービスを利用するための、”必要不可欠なソリューション”にフォーカスしています。」

– AT&T IoT戦略部兼製品管理エグゼクティブ Mobeen Khan

2. Vodafone:自動車分野のIoTに特化

IoT For Allは、Vodafone IoTのグローバル責任者であるStefano Gastaut氏、およびVodafone AmericasのIoT責任者であるLudovico Fassati氏から、IoTに関する最新の見解を聞き出しました。

Vodafone IoTは、コネクティビティとIoT関連サービスの2つの主要事業部門を擁する世界的な組織です。1,500人を超える従業員と10億ドル以上の収益を獲得しています。

Vodafoneは、自動車分野において以下の2つに関する通信サービスを提供しています。

  • テレメトリ:ネットワーク機器をノード別に定期的な監視を行い、そこから取得したデータの分析を行う
  • フォテインメント:「情報の提供」と「娯楽の提供」を実現するシステムの総称

彼らのプラットフォーム上で走る自動車は現在2千万台以上あり、上位20社の自動車製造業者の85%を占めています。 5G技術の開発と導入に加えて、マルチドライバー保険や盗難防止機能、事故が検出されたときの自動緊急電話(eCalls)、精密な損傷検出など、自動車にまつわる課題解決をするサービス開発にも注力しています。

同社は、V2V通信(自動車間の通信)、V2X通信(自動車と、道路に設置された通信設備との通信)を提供することが、5Gによってコネクテッドカー社会を実現するのに不可欠であると述べました。5Gは、第一に産業用IoT(IIoT)アプリケーション、第二に自律走行車、そして第三に私たちが夢見るスマートシティに恩恵をもたらすでしょう。

3. Comcast:AIを利用したIoTセキュリティシステム

Comcastは、CES 2019で『Xfinity xFi Advanced Security』という製品を発表しました。IoT For Allは、ブロードバンド、オートメーション、およびコミュニケーション部門のゼネラルマネージャー兼上級副社長のEric Sc​​haefer氏から、その概要を独占取材しました。

xFi Advanced SecurityはAIを利用した新しいサービスで、消費者の自宅のWiFi接続機器すべてにシームレスなデジタル保護を提供しながら、オンラインにおける脅威を監視、遮断、通知できるものです。消費者や企業がスマートデバイスをネットワークに接続する機会が増える中、本製品は市場で急増するセキュリティに対するニーズに応えようとしています。

調査によると、IoTデバイスへの攻撃数は急激に増加傾向にあります。 2016年から2017年の間には600%増加し、コネクテッドホームユーザーを心配させています。

xFi Advanced Securityは、xFiゲートウェイを介し、自宅のインターネットに接続するデバイスを自動的に保護するサービスです。それに伴う易しいガイダンス、認識された脅威に基づく予防的なサービスも同時に提供する予定とのこと。

4. Sony:低電力デバイスが最大の強み

SonyのCellular&LPWA技術事業開発ディレクターであるBrendan Schaffer氏には、IoT市場の成長に関する同社のビジョンを聞くことができました。

Schaffer氏によると、Sonyが開発するIoTデバイスの主たる価値提供は「消費電力の少なさ」にあるとのこと。

現在Sony製品は、市場で最も低電力のデバイスとして世界的に展開されています。これらのデバイスは低電力であるため、特に携帯電話キャリアにおいて優れたパフォーマンスを発揮し、WiFiを使用する同様のデバイスよりも信頼性が高い傾向にあります。

Schaffer氏は「無線接続におけるコスト曲線が下がるにつれて、無線接続デバイスの市場曲線は上昇する。また長期的に見て、安価な無線接続デバイスが市場に新たな風を吹き込むだろう」と述べました。

無線接続に関するセキュリティ向上についても注目している模様。Sonyは世界が5Gに移行するにつれてネットワーク接続可能な携帯機器は市場にますます増えると推測しており、その変化に備えて同社の技術は競争の一歩先を進んでいると考えているようです。

5. AWS:IoT開発者をさまざまな面からサポート

AWSはクラウド革命を牽引する存在です。エッジ処理やIoT Greengrassなどのインテリジェンス、Lambdaなどのサービスを介したサーバーレスコンピューティング、CodePipelineやCodeBuildなどの迅速なCI/CDツール、 AppSyncによる視覚化されたリアルタイムデータ同期など、さまざまな分野でIoT技術を強化することに注力しています。

IoT For Allは、IoT部門の部長であるDirk Didascalou氏とのインタビューの中で、開発者がIoTアプリケーションを構築する際に直面する課題に焦点を当てた同社製品について話を聞きました。

たとえばAWSが最近発表したIoT Analytics製品は、これまでよりもはるかに高いレベルの抽象化を可能にし、IoTデータのクリーニング、保存、強化、分析ができる拡張可能なパイプラインとフレームワークを提供する完全管理型サービスです。IoTデータは全く構造化されていないため、従来のCIツールで分析することは困難と言われています。一方でIoT Analyticsは、IoTデバイスからのデータを分析するために必要なステップを自動化し、収集されたデータのビジネス流用価値を高めてくれます。

またAWSは開発者コミュニティの間でも非常に活発な動きがあります。たとえばGithub上には、彼らのIoTアトラスを通じて使える有用な情報が数多く存在しています。

まとめ

今回の各社インタビューをまとめると、以下のとおりです。

  • AT&T:まだ途中経過ではあるものの、将来的な管理型アドバンスドネットワークおよびサービスに対するAT&Tのビジョンを物語っていた
  • Vodafone:新たな成長を加速するために、ターゲットを絞った5Gサービスの立ち上げ、自動車および産業分野におけるグローバルな提携をする計画を強調
  • Comcast:スマートホームの所有者がセキュリティ上の脅威を管理するための、AIを搭載した新たな製品『Xfinity xFi Advanced Security』の詳細をシェア
  • Sony:LPWAN(消費電力を抑えながら遠距離通信を実現する通信方式)がますます一般的になる社会に備え、低電力で費用対効果の高いデバイス開発に取り組んでいる
  • AWS:同社のIoT AnalyticsやApp Syncなどの新製品は、IoT開発者の課題解決に寄与する

壮大な夢と厳しい現実、両方の空気がただようCES 2019の会場で、5社のインタビューを通じてひとつのことが明らかになりました。

「2019年は、主要なIT企業がIoTと関連した技術を向上させ、この分野で新たな価値を切り開いていくだろう」ということです。

(原文:Eric Conn 翻訳:Tomomi Takei)

 

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