〜CES2018大報告会 レポート(前編)〜日本勢は層の薄さが顕著化。とはいえ新産業に期待大!

2018年2月29日に渋谷にあるイベントハウス型飲食店・東京カルチャーカルチャーで『CES 2018 大報告会』が開催されました。

CESは、Consumer Electric Showの略で、毎年米・ラスベガスで開催されています。およそ50年前に家電の見本市としてスタートし、現在は最先端技術やIoTデバイスが集結するイベントに転身。世界中から18万人の参加者と、4000社の出展者が集まるビッグイベントに成長を続けています。

『CES 2018 大報告会』では、CES2018の出展者7名が、そこで展示してきたか、どんな技術を見てきたか、会場に集まった約130名を前に発表しました。

前後編にわけ、前編ではイベントで語られたトレンドをレポート、後編ではCES出展ノウハウをまとめました。
後編が気になる方は、コチラから!

会場に用意されたスティックライト型IoTデバイスでアイスブレーク

会場では、ニフティと三和酒類とのコラボレーションにより開発された、リアルタイムアンケートができるスティック型デバイスが各席に配置されていました。「A」「B」「C」のボタンを押すと、リアルタイムで集計ができます。

サイリウムを振りかざす聴衆

「CESに参加したことがあるか」という問いに対し、半数以上が参加経験なしと回答しました。

アンケート

ラスベガスを訪れて感じた、大手資本がIoTにかける熱量

『CES 2018 大報告会』の司会役として抜擢されたのは東京カルチャーカルチャーの河原あずさんとHESRT CATCHの西村真里子さん。実際にCES2018に足を運んだおふたりが冒頭で語ったのは、世界のIoTに対する意識の高さだったと言います。

西村「ラスベガスの空港を降りたら、Google Homeの広告が一面に貼られていたのが印象的でしたね。現状ではAmazonのAlexaが70%のシェアを占めているようですが、それを追い越そうという意気込みを感じました」

googlejack

日本の大手企業では、トヨタが熱い姿勢を表明。新しいモビリティサービス『e-Palette Ccncept』は、業務用の自動EVが家の前まできて、試着・購買ができるというもの。電動、コネクテッド、自動運転の技術を活用した人々の暮らしを支える新たなモビリティサービス創出への意気込みを強く感じます。

また、日本のスタートアップが作るIoTデバイスのクオリティも印象的だったと、河原さんは語ります。

河原「これまでVRはヘッドセットをつけて視覚に作用するものだったけれど、近年は触覚に力を入れ始めている。例えば卵を潰している感覚など。日本のスタートアップでも、H2Lさんやmiraisenseは、この分野に進出しているようです。彼らの作る商品はクオリティが高いと感じました。」

レポート!日本勢がCES2018で世界に与えたインパクトとは?

日本からの出展企業のうち、『CES 2018 大報告会』に登壇したのは次の方々です。

  • 岩佐琢磨さん(株式会社Cerevo 代表取締役CEO)
  • 阪根信一さん(セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ株式会社 代表取締役社長)
  • 清水啓太郎さん(株式会社ライゾマティクス クリエイティブディレクター)
  • 藤畝 健司さん(パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 メディアエンターテインメント事業部 プロダクトソリューションセンター)
  • 中前省吾さん(エイベックス・エンタテインメント株式会社 レーベル事業本部 ゼネラル・ディレクター)
  • 坪内弘毅さん(Scentee株式会社 代表取締役社長)

イベント期間中に実施した展示内容や、現地で感じたことを話してくれました。その模様をレポートします。

【パナソニック×エイベックス】新分野「エンターテック」が魅せた未来のライブ

パナソニックは、3Dスキャニング、データ圧縮・伝送、空間演出などの幅広い技術を活用した、次世代のエンターテイメント市場を新たに開拓しています。たとえば街を巨大なステージに見立てたARライブや、遠隔地でもライブ会場とは異なる楽しみ方ができる新たなVRエンターテインメント体験など。

CES2018のブースでは、エンターテインメント分野のリーディングカンパニーであるエイベックスとの連携により、映像、音、光が融合した臨場感あふれる演出で新しいエンターテインメントの世界観を表現しました。

街を舞台にしたARライブの展示を手がけたのは、「僕は未来の世界をお見せしました」と語るエイベックスの中前さん。

中前「センシング(世界のあらゆる造形や動きをキャプチャすること)技術の発達と、それを視聴覚情報で映し出すデバイスが実現したときに、どういう世界が待っているか。いつでもどこでもな仮想空間と共に生きる多重世界において、リアルの街はエンターテイメントのフィールドとして新たな役割を持ちます」

アーティストの動きをスキャンして別の場所で再現ができるようになったら、エンターテイメントは大きく変わります。

CESで実際に行われた展示では、ジオラマ内にパナソニック社屋の窓からのぞいた実際の街の再現。街の3方をスクリーンで囲いました。このこのジオラマの中でこれから、BEMというアーティストのコンサートが開かれるという設定です。

街がスクリーン

中前「センシング技術が発達することにより、アーティストの衣装を一瞬で変えたり、瞬間移動をさせるなどの演出ができます。さらに、バックダンサーを観客の姿にチェンジさせるなど、大勢で見ているはずのライブエンターテイメントをパーソナライズさせることも可能でしょう」

アーティストを生で見られるドームライブよりも、ARライブの方が楽しい、なんていう時代が目の前にあるのかもしれません。エンターテイメントをファシリティしていくエイベックスと、技術力で社会にソリューションを提供するパナソニックが切り開く「エンターテック」という新たな分野に注目です。

【セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ×ライゾマティクス】ランドロイド、発売決定

セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズといえば、洗濯物を自動で折りたためる『ランドロイド』を開発している日本が誇るイノベーションカンパニーです。夢のロボットがついに、来年発売される予定出そう。

日本では多大なる注目を集める一方、アメリカではわずか3%しか知られていないのだとか。同社の阪根さんは、より多くの認知を獲得するために、イベントへ積極的に参加しています。さらに、世界に売り出していくブランドとして成長していくために、ライゾマティクスにコーポレートブランディングを託しました。ロゴデザインからWebサイト、パンフレットに至るまで、先進的なデザインにまとまりました。

CES2018では、満を持して、ランドロイドライフを体験できるようなブースを公開。MCの女性が実機を使用しながら、機械内部の映像を公開しました。

ランドロイド展示

【Scentee】香り提案のAIデバイスは注目分野

AI搭載のフレグランスディフューザーを開発したSenteeは、「JAPAN TECH project」 という日本企業がCESへ立つことをサポートする合同チームとして参加。代表取締役社長の坪内弘毅さんは、日本における香り系デバイス市場には余白が豊富にあると指摘しました。

鉄道駅のトイレや飲食店、ホテルなどの”香り”は、現状アナログで管理されています。気分や気候、シチュエーションに合わせた香りをAIがセレクト&補充してくれる未来がすぐそこにあります。

フレグランス

アメリカのクラウドファンディングプラットフォームであるKICKSTARTERで実施したプロジェクトは、すでに320%達成しています。世の中からの関心と実現可能性が高い、注目のIoT分野です!

【Cerevo】「ハードウェアにおいて日本はだいぶボコされているという印象」

続いてCerevo代表取締役CEOの岩佐琢磨さんが登壇。CES2018では、ソードアートオンラインをテーマにした、剣の動きに合わせてスマートフォンから音が流れるという大人向けおもちゃで『1/1 エリュシデータ』のパフォーマンスで大注目を浴びました。

岩佐さんは、日本の出展者の層の薄さを指摘しました。CES2018の出展企業4000社のうち、日本からの出展はわずか49社。出展数が多かった国では、アメリカが1734社、中国が1320社と圧倒数を占めました。続いてフランスが338社、カナダが99社、と続いています。

さらにスタートアップが集まるエリアであるエウレカパーク出展した日本のスタートアップは、わずか6社のみ。

岩佐「フランスを中心としたヨーロッパ諸国、そしてアメリカが圧倒的な勢いを持っています。日本は存在感すらない。日本企業はもっとCESに出場すべきだし、大企業がスタートアップと連携する必要もあります。ここ数年、ハードウェアスタートアップがプレゼンスを示すにはCESが圧倒的優位です」

”フレンチテック”という言葉が昨年話題になりましたが、今年もその勢いを感じたと語ります。特に少子高齢化時代を支えるシルバーテックの分野に関しては、日本が抱える問題を技術で解決するフェーズに入っています。

岩佐「フランスやオランダは国のカラーを前面に出して、自国の存在感を示しています。通りゆく人にどんどん声をかけていく他国のような、勢いが必要。日本は数で負けています。日本人は、恥や失敗を恐れる国民性があるから、海外イベントへの出展に足踏みをしてしまうのかもしれません。でも、感度の高い層が集まるエウレカパークのような場所に飛び込んでいく気概が必要なのではないでしょうか」

EUREKA PARK(エウレカパーク)で見た、2018年を活気づけるIoT技術

スタートアップを中心としたイノベーション・コミュニティであるEDGEOf代表の小田嶋 Alex. 太輔さんも登壇しました。3日間エウレカパークを巡ったという小田嶋さんは、これから勢いを増すIoTトピックについて述べました。

alex

EDGEOf代表・小田嶋氏が予想した、2018年から2019年にかけて伸びるIoTトピック

  • AI/Alexa – 搭載されているのが当たり前の存在になる。
  • Pet products – 日本にはたくさんのペットがいる。人間に比べて規制が緩いのでチャレンジもしやすい。
  • Personalization – 自分の健康データに合わせたオイルや食事を提供してくれるデバイスが増える。ジレットモデルで安価に普及が進むと考えられる。
  • Smart home security – スマートホーム用のセキュリィーにニーズある。
  • High quality super niche – ものすごくニッチなハイテク商品。バイブレーションするだけの腕時計、罰ゲーム用品など。

ARデバイスが100ドルで登場。 日本上陸近い『Mira』に注目

マイクロソフトが発売したホロレンズが話題になりました。2018年秋に日本で発売予定のMiraは、その価格わずか100ドル。ホロレンズに比べ画角も広いのだとか。開発しているのはロサンゼルスを拠点とした学生チームだというから驚きです。

出展内容が多様化

自転車

「ハードウェアのカンブリア爆発が起こり始めている」と小田嶋さんが語るとおり、あらゆるデバイスがインターネットと繋がり、出展の内容は超多様化しました。たとえば、APSが付いてブレーキ制御ができるようになった自転車、VRと連携してものを触った感覚を得られる手袋、爪に貼るシール作れるデバイスなどなど……。

また、プロダクト&サービスという考え方に基づいた製品も増えたといいます。デバイス単体ではなく、サービスをバックグラウンドで動かすところまで設計されています。たとえば、紙の封筒の形をしたモバイルバッテリー。使用後に展開すると封筒になって、そのままポストに投函。するとプロパイダによって再びチャージされ持ち主のところに戻ってくるという。

 まとめ

近い未来、CESで出会ったような家電が身近に登場するかもしれない。CESは、そんなワクワクと夢に満ちたイベントです。来年のCESも楽しみですね!

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