エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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近年、ネットから拡散する次世代アーティストが目覚ましい活躍を見せています。なかでも人気を誇るのが、「ヨルシカ」「ずっと真夜中でいいのに。」「YOASOBI」と“夜”という言葉に由来する3組のアーティストです。この「夜」をとって、これら3組のファンがSNS上で自らを「夜好性」と呼称するようにまでの人気ぶり。
3組のアーティストの人気はチャートランキングにも表れています。YOASOBIの「夜に駆ける」は、2020年6月15日付のBillboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で3週連続の1位を獲得。また、ヨルシカ「花に亡霊」は、2020年7月13日付のBillboard JAPANアニメチャート“JAPAN Hot Animation”で2位にランクイン。ずっと真夜中でいいのに。の最新アルバム「ぐされ」は、2021年2月22日付のBillboard JAPAN週間“Top Albums Sales”で2位を獲得しています。
今回はこの3組のアーティストについて、検索データを中心に徹底分析してみました。
目次
まず、各アーティストの特徴を整理してみます。
ヨルシカは、ボカロP(音声合成ソフト・VOCALOIDで楽曲を制作し、動画投稿サイトへ投稿するアーティスト)として活動していたコンポーザーのn-bunaが、ボーカリストsuisを迎え2017年4月に結成したバンド。文学的な歌詞と郷愁ある音色を備え、コンセプチュアルな物語性を持つ楽曲をリリースしています。
その物語性は楽曲だけでなく、MVのアニメーションやアルバムに付属する小説や手紙にも反映されており、世界観のイメージを確固たるものにしています。代表曲として、アニメーション映画『泣きたい私は猫をかぶる』主題歌でもある「花に亡霊」やYoutubeでの再生回数が1億回を越える「ただ君に晴れ」があります。
物語投稿サイト「monogatary.com」に投稿された小説を音楽にするというコンセプトで、ボカロPのAyaseとボーカリストikuraの2人組によって2019年10月に結成されたユニット です。「monogatary.com」を運営するソニー・ミュージックエンタテインメント発のプロジェクトになります。
デビュー曲の「夜に駆ける」のMVが2019年11月に公開され、現在までに累計再生回数2億回を突破しています。ほか2アーティストに比べると、雑誌やテレビ、ラジオなどメディア露出も多く、2020年の紅白歌合戦にも出場しました。
2018年6月、YouTubeに「秒針を噛む」のMV投稿をきっかけに活動スタートした、ボーカル、作詞作曲を手がける「ACAね」を中心とした特定の形をもたない音楽バンドです。楽曲ごとに異なる有名ボカロPが編曲者として参加するなど、様々なクリエイターと流動的に関わりを持ちつつ展開しています。
最近では映画『約束のネバーランド』主題歌の「正しくなれない」や、同じく映画の『さんかく窓の外側は夜』主題歌の「暗く黒く」を手がけたことも話題を呼んでいます。
続いて、これらのアーティストのオフィシャルサイトの訪問ユーザー/SNSのフォロワー数をまとめたものが以下になります。
サイトのユーザー数はYOASOBIが最も多く、ヨルシカ、ずっと真夜中でいいのに。が後に続く形になっています。また、Twitterは最も差が小さく、3組とも40万人前後。
一方でYoutubeのチャンネル登録者数は、サイトユーザー数やTwitterフォロワー数を大きく上回り、3組とも200万人前後となっています。YouTubeの再生回数は3組とも億をゆうに超えており、ヨルシカは約9億4千回再生。物語性のある楽曲は映像との親和性が高く、動画への人気がうかがえます。
また、Webサイトの訪問ユーザーの属性に注目すると、どのアーティストも20代の占める割合が最も多く、やや男性が多いということが分かります。
続いて、各アーティストのヒットの要因分析を行います。
まず、ヨルシカのオフィシャルサイトの集客構造に着目すると下図のようになっています。
SNSでの話題性が目覚ましい印象も強いですが、公式サイトへの流入に着目すると自然検索が5割以上を占めていることがわかります。
そこで、どのような検索が行われているかに注目してみましょう。「ヨルシカ」のキーワード検索数の推移が下の図です。
2020年4月以降、検索ユーザー数のベースラインが一段階上がったことがわかります。
どのような検索ワードが増加したのか、2020年4月前の検索キーワードを確認してみます。
「夜行」や「花に亡霊」といったキーワードが目立ちました。「花に亡霊」は、アニメーション映画『泣きたい私は猫をかぶる』の主題歌であり、4月にYoutube上にMVが公開された楽曲。
Billboard JAPANアニメチャート“JAPAN Hot Animation”において、5月4日から2週連続の最高2位を獲得した「花に亡霊」を通して新たにファンを獲得し、検索数が上昇したと考えられそうです。
その後、2020年6-7月、2021年1月のタイミングでも検索数が増加していることが分かります。同様に検索キーワードを見てみましょう。
検索数が増加した2020年6-7月では、楽曲「春ひさぎ」や「思想犯」といったワードが、2021年1月ではヨルシカ初の無観客配信ライブとして1月に行われたLive「前世」に関連して「ライブ」といったワードが注目を集めていました。
一方、時期に左右されず検索されているワードに「顔」「だから僕は音楽をやめた」「ただ君に晴れ」があります。ヨルシカは顔を明かさずに活動しているため「顔」という検索が多いようです。また、「だから僕は音楽をやめた」は楽曲・アルバムのタイトルとしてあまり例を見ない(「盗作」なども同様)ことも多く検索されている要因と考えられます。「ただ君に晴れ」はTikTokなどのSNSで広く拡散され、Youtubeでの再生数も1億回を越える楽曲です。
楽曲の人気も含め長期的にユーザーの関心を引く展開を行っていることもヒットの要因だと言えそうです。
続いて、YOASOBIのヒット分析です。
YOASOBIのオフィシャルサイトの集客構造は、ヨルシカに比べてややソーシャル・外部サイト比率が高いものの、やはり自然検索が5割以上を占めています。
自然検索のユーザー数の推移は以下のようになっています。
2020年5月、2020年12月-2021年1月、2021年3月のタイミングで検索数が増加していることが分かります。先ほど同様、どのような検索ワードが増加しているのか、時期ごとの主要な検索キーワードから確認してみます。
検索数が増加した前後の期間と比較すると、下記のような検索ワードが増加していることが分かります。
・2020年5月
2020年4月にLINE MUSICの月間ランキングで1位となり、同月にYoutubeのTHE FIRST TAKEでオリジナルアレンジが公開された楽曲「夜に駆ける」
1月、5月にそれぞれMVが公開された楽曲「あの夢をなぞって」、「たぶん」
・2020年12月-2021年1月
12月に初出場した「NHK紅白歌合戦」および関連した「中継場所」「埼玉」「図書館」
・2021年3月
初回限定版がすぐに売り切れてしまった「THE BOOK」の再販による「アンコールプレス」
『めざましテレビ』のテーマソングとしてオンエアされた楽曲「もう少しだけ」など
SNSを中心に人気を集めていた「夜に駆ける」が、コロナ禍でYouTubeの動画視聴が増えたタイミングでTHE FIRST TAKEでも公開され、人気を博したことで爆発的に知名度が向上しました。 その後、紅白初出場などのメディア露出を通して短期間で何度も話題性を創出し、現在のヒットを獲得したと言えそうです。
また、検索者の年代比率の推移を示したものが下図になります。
初期のファンとして獲得していた20代の比率が徐々に減り、主に40代の比率が上昇しています。このことから、タイアップやメディア露出を通して、SNSによる拡散以外のチャネルでこれまであまり獲得できていなかったファン層を獲得したと推測できます。
最後にずっと真夜中でいいのに。の分析です。オフィシャルサイトの集客構造に着目すると下図のようになっています。
ノーリファラーからの集客が最も多くなっていますが、ノーリファラーを除いた比率についてはヨルシカ、YOASOBIとほとんど同様になっています。
自然検索のユーザー数の推移を示したものが下図になります。
ヨルシカ・YOASOBIと比較すると、検索数自体が全体的に少なくなっていますが、2020年12月-2021年2月に検索数が急増していることが分かります。先ほどまで同様、どのような検索ワードが増加しているのか、時期ごとの主要な検索キーワードから確認してみます。
検索数が増加した前後の期間と比較すると、映画『約束のネバーランド』の主題歌で、12月にMVが公開された楽曲「正しくなれない」に注目が集まっていると分かります。ヨルシカ・YOASOBIと比較すると、タイアップやメディア露出がかなり少ない分、映画主題歌を通して認知度を大きく向上させたと考えられそうです。
ここまで3組のアーティストのヒット要因を検索データから探ってみました。
共通点をまとめると
が短期的に話題をつくり、これらの積み重ねがヒットの要因となったと考えられます。3組とも今後の更なる活躍が期待されます。また、最近ではバーチャルシンガーといった新たなジャンルも登場していますし、今後もネット発で活躍するアーティストは多く出てくるでしょう。ネットカルチャー発の音楽シーンに要注目です。
(執筆:近藤 佳大 提供元:マナミナ)