【FP監修】フリーランス&個人事業主向けファクタリング10社比較
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大多数のサービスを無料で開放しつつ、一部の有料機能から収益を得るビジネスモデル「フリーミアム」。
仕事で一般的となった『Dropbox』や『Chatwork』などもフリーミアムのひとつです。
古くからあるマーケティング手法であり、近年のインターネットサービスにおいて初動で多数のユーザーを取り込み、かつ利益をもたらすビジネスモデルとして広がっています。
今回はフリーミアムの基本構造と、有料オプションへ導くポイントを解説。また、世界中で成功している事例をご紹介します。
目次
近年よく耳にするようになったフリーミアムとは、基本のサービスを無料でユーザーに提供し、一方で有料プランを設け課金ユーザーから利益を得るビジネスモデルを指します。
フリーミアムの言葉は、「Free(無料)」と「Premium(割増金)」をあわせた造語です。
このビジネスモデルが注目されるようになったのは、1980年頃から。はじめはソフトウェア業界のライセンススキームで用いられていました。
近年ではメディア、ソフトウェア、ゲーム、ウェブコンテンツ等、ありとあらゆるサービスで利用されています。
機能やサービスを無料で提供するフリーミアムのビジネスモデルにおいて、収益を上げるには「5%ルール」が基本といわれます。
21世紀の経済モデルを描き、フリーミアムを提唱したクリス・アンダーソン著『フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略』では、ユーザーのうち5%の課金ユーザーがいればビジネスが成り立つと指摘されています。
一方で、課金ユーザーが5%以下でもビジネスが成立している事例もあります。代表的なフリーミアムのビジネスモデルである、Dropboxを例に見てみましょう。
ユーザーに2GBのストレージを無料で提供するDropbox。
2007年に創業され、現在では世界180か国に広がり、ユーザー数は5億人を超えています。
2019年5月に発表されたDropboxの資料によれば、2019年第1期の課金ユーザーは1,320万人、課金ユーザーあたりの四半期の売上は121ドルと右型上がりで上昇し、80%の課金ユーザーは「仕事で利用」と回答しています。
しかし全ユーザー5億人のうち、課金ユーザーが占める割合はわずか2.64%です。5%とルールが基本と言われますが、フリーミアムのビジネスモデルを利用しているアプリでは、2%~5%の課金ユーザー割合が一番多いとする調査もあります。
フリーミアムのビジネスモデルには、3つのメリットがあります。
アプリにせよウェブサービスにせよ、情報があふれている現代。まずは「見つけてもらうこと」が重要です。
最初から有料というだけで、タップもされないというのはよくあること。機能を無料で提供することで多くのユーザーに認知され、その先のサービス展開につながります。
多くのユーザーが気軽に体験できるのも、フリーミアムのメリットです。ユーザーが増えることで、それだけフィードバックも集まります。
サービスが市場にどのように受け入れられるのか、反応を見た上で、細かな修正に活かし、スピード感を保ちながらサービスをアップデートできるのです。
初期から多くのユーザーが利用し、さらに満足度も高ければ、多数の口コミを生み出せます。
体験して良さを語るユーザーの口コミは、新しいユーザーに魅力を宣伝する重要な源泉です。良い口コミがさらに新しいユーザーを呼び込みます。
フリーミアムにおいて取り入れられる、無料プランと有料プランを切り分ける3つの基本的な仕組みをご紹介します。
一般的なフリーミアムの仕組みです。上位機能を有料にし、基本のサービスを無料で公開します。
無料で遊べる範囲が限定されているゲームアプリ、録画するために課金が必要なビデオチャットアプリなどが当てはまります。
通信容量やストレージ容量を一定までは無料で提供し、それ以上は有料とする仕組みです。「もっと快適にたくさん使いたい」というユーザーに有料オプションを選択させます。
Dropboxをはじめ、クラウドサービスに多く見受けられる手法です。
有料会員限定の特典やコンテンツ、サポートを用意することで、有料に導く仕組みです。
最新話だけ無料で閲覧できる漫画アプリや、会計士からアドバイスを受けられるクラウド会計システム等が当てはまります。
フリーミアムのビジネスモデルは、初期から大量のユーザーを見込める一方で、無料ユーザーばかりでは早々に破綻する危険性もはらんでいます。
無料 / 有料の線引きを明確にし、ユーザーに有料のメリットを掲示することが重要です。
有料のハードルを越えてもらうには、以下の4点に注意しましょう。
無料プランの範囲を適切に設定しましょう。無料で提供する機能が充実しすぎていると、ユーザーが課金する理由がなくなってしまいます。
有料への切り替え率が伸び悩む場合は、無料プランの設定を見直します。競合他社とのサービス比較も重要です。
期間を限定したフルバージョンの「無料トライアル」は、無料ユーザーを課金ユーザーへと切り替えさせる効果が期待できます。
コンテンツ配信サイトで「期間限定0円配信」などがその例です。
有料機能やサービスを一部提供することで、その必要性や快適さを身をもって体験してもらい、ユーザー自身に課金する理由を発見してもらいます。
有料ハードルの前に、そもそもユーザーがサービスに満足しているという視点を忘れてはいけません。
サービスを快適に使うTipsを公開したり、ユーザーの質問に対するカスタマーサポートを充実させることで、ユーザーの満足感が高まり課金アクションへの土台となります。
無料範囲と有料範囲をわかりやすく示したうえで、定期的に有料へのアップグレードがユーザーの目に入るような仕掛けを設定します。
アプリ内で有料機能をハイライトにしたり、クリックしたとき有料のポップアップメッセージが表示されたりするなど、機能の制限を可視化します。
「お金を払えば手に入るもの」を目にすることで、無料ユーザーの有料オプションに対する意識が芽生えます。
最後に、フリーミアムのビジネスモデルを用いているサービスをご紹介します。
4000万曲以上が楽しめる音楽配信・発見サービスです。
プロのアーティストの音楽を楽しめるだけではなく、自分だけのオリジナルプレイリストを作成し他人とシェアすることも可能です。
無料・有料のプランを用意しつつ、無料ユーザーへの広告配信も行っています。
機能制限型のプラン設定で、月額980円の有料プランに切り替えることで、プレイリスト内の曲をスキップしたり、楽曲をダウンロードしたりできるようになります。
音楽を聴くだけでなく、音楽を楽しむことも目的としており、全世界で2億人以上のユーザーを獲得し、規模を拡大しています。
ビデオミーティングの場を提供する『Whereby(旧:appear.in)』。
ユーザーは各々の「ミーティングルーム」を持ち、参加者は指定されたURLにアクセスするだけで、ビデオチャットに参加できます。
無料ユーザー(Free)が1ミーティングルームに4人までの参加者招待と制限されているのに対して、有料プラン(Pro)ではそれに加え3ミーティングルーム12人までと、使える範囲を拡大しています。より高度な機能を備えたビジネスプラン(Business)も用意されています。
リモートワークが盛んになる時代において、ますます必要とされるサービスです。
「ビジネスが加速するクラウド会議室」をキャッチコピーに、急速に広まった『Chatwork』。
チャットだけではなく、ビデオ/音声通話も可能なコミュニケーションツールです。2019年現時点で約22万社に導入されています。
プランは、「フリー」「パーソナル」「ビジネス」「エンタープライズ」の4種類を用意。
フリーではグループチャットの作成数とストレージの容量に上限が設定されています。容量制限型のフリーミアムサービスです。
導入事例集や操作マニュアルなど、ユーザーサポートが充実しています。
タスクの自動化ツールとして、サービスを組み合わせオリジナルのアプリを簡単に作成できる『Zapier』。
たとえばGmailを受け取ったらDropboxにコピーし、Slack内でアラートを出すというように、アプリを指定して作業の自動化を図ることが可能です。
FacebookやTrelloなど、代表的なアプリとの連携を網羅しており、その数は1500以上にのぼります。
無料プランは、Zapと呼ばれる自動化タスクの生成が5つまで、さらにそのZapも2段階のフローまでと限定的に設定されています。
有料ユーザーになると、作れるZapの数も増え、さらに連携できるアプリの種類も変わります。容量制限型のフリーミアムです。
無料でアンケートが作成できるアンケート作成ツールです。2018年末時点で、190を超える国で利用され、およそ60万人の課金ユーザーを有しています。
無料のベーシックプランに加え、3種類の有料プランを用意しています。
課金の額ごとに使える容量と機能が増える、容量制限型と機能制限型の併用です。
フリーミアムはユーザーにとっても、企業にとっても、双方が満足できるビジネスモデルのひとつです。
しかし収益化には緻密な設計が必要であり、資金がショートする可能性もあります。また無料であるだけでは、ユーザーは満足しません。
高品質のサービスを提供し、ユーザーの満足度を高め有料プランをアピールすることが、フリーミアムの成功の鍵になるといえるでしょう。
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