エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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お疲れ様です! たけもこです。
春をちらつかせる暖かさのお昼、冷え込んだ空気が美味しい日暮れ。春と冬の間、このどっちつかずの不便な気候が、私はとても好きです。2月21日はまさに、そんな気候の日でした。
私はこの日、一本の映画を観に行きました。
『14歳の栞』
本映画に携わる知人から先行試写の招待をいただき、渋谷へ。3月5日公開なので、もう一般公開もされていますね。
「働き方」をテーマにした記事で、なぜ映画をテーマにしたか。
私は「働き方」=「生き方」(働かないという選択肢も含め)と捉えています。「生き方」というと大層に聞こえますが、それは一人ひとりの価値観から基づく行動を積み上げたもので、価値観は過去に紐づく部分も大きくあります。
今や未来ももちろん大切ですが、少し行き詰った時にふと立ち止まって、過去を立ち返ることも必要ではないでしょうか。本映画は「立ち止まる」という言葉がとてもよく似合う、今を一生懸命に生きている人にも是非見ていただきたい映画だと思いました。
この記事には、本映画のあらすじを書くつもりも、ましてやレビューとして書くつもりもありません。
感じたこと、考えたことを共有したい、そして願わくば観に行ってほしい、という気持ちを込めています。
熊本県出身。現在はヤフー株式会社にてデジタル広告を扱う部署に所属。SNSやイベントなど、マーケティングコミュニケーションを軸とした業務に従事する一方で、モデル・タレント・ライターなどパラレルワーカーとしても活動中。Twitter(@moeko_takemo)で、自身の野球少女時代の写真をユニークなコメントと共に投稿。大きな反響を呼んだことをきっかけに、活動範囲を拡大している。
本映画を観れば、誰しもが考えるテーマだと思います。
35人で構成された1クラス。主人公もいなければ、突飛な事件が起こるわけでもない。だからこそ、機微な感情の変化をリアルに感じ取ることができるし、過去の自分と自然に重ねてしまうのです。
結論から言うと、私の場合はドンズバで「この子だ!」という近い子はいませんでした。ただ、一人ひとりの中に渦巻いている違和感や、孤独感には、要所要所で共感する場面があり、気づけば全員に感情移入していました。
例えば、孤独。
少し、私の14歳の話をさせてください。
小学4年生から始めた野球を中学でも続ける選択は、私にとって自然なことでした。
私が通っていた中学校は校区が広く、4,5の小学校から生徒が集まる生徒数の多い学校です。野球部の人数も比例して増えるので、チームカラーも小学校の頃とは大きく変わります。
放課後の部活。制服からユニフォームに着替える時間、仲間とくだらない話をする時間が好きでした。
中学2年生に上がるころ、顧問の先生から「竹本はそろそろ着替える場所を、別にした方がいいな」と言われました。今でも、あの瞬間の気持ちを鮮明に覚えています。
部活の中で私以外は男子であること、男子にとっては私が女子であること。
そのことを14歳になるまで気にしていなかった、あるいは気にしないようにしてたことが急に恥ずかしくなり、仲間との距離を感じました。体育の着替えは男女別なのだから、先生の判断は妥当です。
とにかく誰も悪くない、仕方のない成り行きに、どうしようもなく孤独を感じたのです。
下ネタで盛り上がりそうになると、なんとなくすすっと身を引いたり、2人1組のストレッチやキャッチボールも、周りから冷やかされるかもしれないから、みんな私としたくないのではないか。など小学校の頃には気づかなかった、見えない壁を自分でも作り始めてしまいました。
「孤独」と一口に言っても様々だと思いますが、初めて味わう種類の孤独で、モヤモヤと抱えていたものに名前がつけられたような感覚でした。
手放しで野球を楽しめなくなっていることに自分自身気付き始め、それはいつの間にか「挫折」へとつながっていきます。言い訳と言われればそれまでですが、私という性格の人間にとっては、大きな問題に感じられたのです。
もちろん、気にせず仲良くしてくれる子はいて、今思い返しても本当に感謝していますし、この経験は私の「価値観」を形作る重要な要素になっています。
きっと皆さんの中にも、今ある価値観に強く影響を及ぼした14歳の栞があると思います。14歳でなくても構いません。本映画を観れば、当時の記憶がリアルに思い起こされるはずです。
「本映画を観ていると自然と過去の自分と重ねてしまい、当時の自分は誰に近いかを考えてしまう」と書きました。次に浮かんだのは「今の自分はどうか」というテーマです。
このテーマを考えるにあたり、印象的な男子生徒がいました。
35人の中で唯一(というと語弊があるかもしれませんが、私にとって)キラキラとして見えた生徒です。
彼は宇宙に魅せられていて「解明されれば、いつかタイムスリップができるようになるかもしれない!」と熱く語っていました。
一方で、コミュニティに絶望したり、自分を殺しながら過ごしている生徒もいます。100%自分を出しきれてはいないが、突然キャラ変するとおかしいから…。というセリフはなんだかとてもリアルで衝撃的でした。
どちらが良いとか、悪いとか、大変か楽か、という話ではありません。なぜならそれぞれに「価値観」が違うからです。
前者は「自分のやりたいこと」、後者は「仲間との調和」。
ただ1つちがうとすれば、「価値観」の「主語」。
宇宙に魅せられた彼は、周りに何を言われても「自分が」やりたいことをやる強さを持っていました。
「仲間との調和」を価値の中心に置いている生徒のそれは、自分が本当に望んでいるものなのか、それとも仲間が望んでいるものなのか、どちらとも言えない人間らしさは、チャーミングさと同時に、危うさを感じさせます。
「何者になるか」が盛んに問われるこの世の中で、自分らしさとは何かについて考える機会も多いのではないでしょうか。結局、頭で考えても出てこない問題ではあると思いますが、私は。今やっている行動の主語はだれか、という棚卸をたまにします。
例えば、痩せなければいけないと思っているのは、「自分が」好きな服を着たいから?「好きな人が」痩せている人をタイプだと言ったから?みたいに。
主語が自分でないものは全部やらない、という訳ではありません。それでも「もしも主語が私だったら」、を常に知っておくことは大事です。小さなことでも主語が他人の行動が積み重なると、自分らしさが分からなくなってしまうからです。
私は今年、25歳になります。もし、24歳の栞を挟むとしたら1年間大切にしてきたものは何だろう、果たして主語は「自分」だったのか。改めて考えさせられました。
冬と春、どっちつかずの気候のように、こどもと大人の間で揺れ動く彼ら彼女らを見て、多くの事を振り返り、考えました。この映画では、強く問いかけたり、メッセージを訴えかけてくるシーンはありません。
栞のようにただそこに存在し、ページを開かせてくれる。
書いてあることは観る人それぞれで違い、だからこそ多くの人の心に残るのだと思います。
もし、この記事を読んで『14歳の栞』を観に行くことがあれば、是非教えてください!
(執筆:竹本萌瑛子(たけもこ) 編集:川崎 博則 提供元:さくマガ)