エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
- ITエンジニア
- 副業
エンジニアとして働いている方の中には、今の年収が周りと比較してどのくらいの位置にいるのか、気にはなっているものの把握できていない方もいるかと思います。
また、ある程度稼いでいるものの、できればもう少し上を目指したいと考えている方もいるかもしれません。
そこで今回は、「エンジニアの年収の相場」「年収をアップするために必要なポイント」について解説していきます。
人生設計の視点でも、収入は非常に重要な要素のひとつです。どのようなキャリアでどのように収入を得ていくかについて、この記事を活用しながら考えてみてください。
まずは、自分の年収が相対的にどのような位置にあるのかを考えてみましょう。
一口にエンジニアといっても、「どのような業界、企業に属しているのか」「どのような役割を担っているのか(職種)」などによって仕事内容や収入の相場感などに違いがあります。
そのため、ここでは「企業規模」と「職種」を大きな軸としつつ、加えて「年齢」も踏まえた年収比較をしてみます。
企業規模の差は、平均年収にも影響を及ぼします。
総務省が発表している「職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」によると、企業規模別に見たエンジニアの平均年収は以下のようになります。
社員が100人未満の企業と1000人以上の企業とでは年収に約100万円もの差が生まれることがわかります。
2013年に経済産業省が発表したデータによると、エンジニアの中でも職種が異なると年収も変わることがわかります。
▲(上)職種ごとの年収構成、(下)職種ごとの年齢構成。
出典:経済産業省/エンジニア2万人の人材像とキャリア意識
この表(上)は、職種による年収の分布です。エンジニア全体の中で見ると平均年収は548万円。それよりも50万円以上高い水準にあるのがマーケティング、セールス、コンサルタント、プロジェクトマネジメント(表内での記載順)です。
ただし、表(下)を合わせて見ると、これらの職種についている人の平均年齢が他の職種よりも高い傾向にあり、これが他の職種との差をさらに広げている要因の一つにもなっていると考えられます。
年齢と平均年収の関係は、次の章でより詳しく紹介します。
なお、表(上)に戻ると、全体で800万円以上の年収を得ている人は14.4%、1000万円以上は5.3%です。この数値は一見すると狭き門のようにも見えますが、職種をまたいだ別の調査「国税庁『民間給与実態統計調査』」(2013年度版)によると年収800万円以上は8.2%、1000万円以上は3.9%です。
このことから、エンジニア自体は、将来的に高収入を得るポテンシャルが十分にあるといえそうです。
▲職種ごとに見た各年齢層の平均年収。
出典:経済産業省/エンジニア2万人の人材像とキャリア意識
次の表は、職種ごとの年齢別の平均年収です。特徴的なのは、どの職種も年齢が上がるにつれて平均年収が上がっていく傾向にあることです。
具体的な企業名は開示されていませんが、回答者の30%以上が「1000人以上5000人未満」の企業に勤務しているため、大手企業に多く見られる年功序列型の給与体系が反映されていることも考えられるでしょう。
この表を縦に見ると、同じ年代の中でどれだけ平均年収に差があるかが分かります。やはり先ほど挙げたマーケティング、セールス、コンサルタント、プロジェクトマネジメントの年収は高水準にあるという結果が見て取れます。
背景には、案件の上流工程で全体を取りまとめたり、意思決定を求められる立場にあるほど人材として価値が高くなることが考えられます。この点はエンジニアに限らず、ほかの職種でも同様です。
ここまでに紹介したデータはあくまで平均による比較ではありますが、より高い年収をめざす場合は、上流工程に携わる職種を目指したキャリアパスを描くことも一つの戦略だということができるでしょう。
別の話になりますが、今後は年功序列型の給与体系が廃れていくという話もよく耳にします。その点を踏まえると、単に現状維持で年齢を重ねるだけでは収入が上がらなくなることも十分にありえる話です。
ここまでは、データをもとに平均年収の傾向を見てきました。
「企業規模」「職種」「年齢」の3点が差を生み出す要因になっていることが分かりましたが、中でも少し考察が必要な「企業規模」「職種」についてさらに詳しく考えていきます。
企業規模によって年収が変わるのはなぜでしょうか。もちろん資本力や売上規模などがその直接的な理由だと考えられますが、大きな要因として業界の構造が挙げられます。
日本のいくつかの産業は多重下請け構造によって成り立っており、IT業界もその代表例です。
システム開発案件を例にすると、エンドクライアントになる企業から大手のSIer企業に発注が入ります。案件規模にもよりますが、その大手SIerからさらに中堅・小規模の企業へと仕事が外注され、実質的な開発などを二次請け・三次請けの企業が行うケースがあります。
人手が足りない分を補うという発想自体は自然かもしれません。ただ、発注側も受注側も下請けを前提にした商慣習になっていることで、例えば指揮系統や労務管理に関する問題が表に出てきています。
その中で、報酬の面では二次、三次と階層を下るごとにいわゆるマージンが発生し、それが最終的に個人の給与にも影響していることは間違いありません。実際に、同じ現場に居合わせたエンジニア同士であっても、何次請けかによって報酬に違いがあることもあります。
企業ごとの給与水準も関係しますが、そもそもいくらで受注した案件か、という面では下請けになるほど個人への報酬が少なくなることは想像に難くありません。
一方で、Web系などによく見られますが、数人規模の組織でも全員が業界平均を上回る高収入になるケースもあります。これは、エンドクライアントから直接案件を受けることで、自社に入る売り上げが中抜きされないことや、サービスを自社開発して高い収益率・給与水準を保っていることが背景にあります。
前の章で紹介したデータではマーケティング、セールス、コンサルタント、プロジェクトマネジメントといった職種が相対的に年収が高いことが分かりました。
これらの職種はエンドクライアントとの折衝や全体の工程管理・予算管理など、案件の上流を担う立場です。
上流工程の職種であるほど報酬も高くなるのはある意味では当然ではありますが、改めて考えるとそれはなぜでしょうか。単に「受発注ピラミッドの中で上にいるから」がその答えだとすれば、常にエンドクライアントの社員の年収がIT業界を上回るはずですが、実際そうではありません。
ポイントは、専門性とビジネスの創造力です。
情報処理推進機構(IPA)の「ITスキル標準」によると、IT技術のランクは知識や技術力によって7段階に分けられます。このスキル標準を見ると、最初のレベル1〜4では「知識・技能・経験」が、レベルが5〜7と高くなると「ビジネスを創造」することがキーワードになっています。
このレベルに合わせて人材としての価値や報酬が上がるとするならば、「知識・技能・経験」が高いかに加えて「ビジネスを創造」できているかが鍵になっているといえそうです。
先ほどの平均年収が高い職種に当てはめると、マーケティングやセールスは市場や取引先を開拓し、コンサルタントやプロジェクトマネジメントはクライアントに対して何をすべきかを提言・決定するという意味で、ビジネスを創造しています。
もちろん、IT業界は設計・開発における高い専門性があってこそ成り立つ面もありますが、そもそも「誰が、いくらで、何をするか」を決めなければ案件はスタートしません。だからこそ上流に立つ職種は価値が高いとされているのです。
自社サービスをもっている場合も同じく「誰に、どのようなサービスを提供するか」など、判断をする立場にいることが相対的に価値を上げる条件だといえます。
ここまでのことを踏まえて、エンジニアが年収を上げるためにはどのようなことができるでしょうか。単純に選択肢だけを挙げると以下のようなことが挙げられます。
どのような選択肢であっても年収を高めていくことは可能です。そのため、自分自身が「この道でならチャレンジしてみたい」「この道に進みたい」と思える選択肢の中で「専門性」と「ビジネスの創造力」をどのようにして高めていくかが重要です。
そういったチャレンジや行動の結果として収入も上がっていくことが理想的な年収アップへの道だといえます。その前提で、上に挙げた選択肢について少しずつ掘り下げていきます。
会社に勤めている場合、業界の構造もあるため、そもそも今の会社でどこまで年収が上がるのかを知ることが第一歩です。
ここまでに述べてきたような下請けが常態化している企業では、実はどれだけ頑張ってもそんなに年収が上がらないことも考えられます。
具体的には、自分の先輩や上司の生活や消費傾向を観察することや、転職口コミサイトなどに出ている平均年収データを参考にすることで、おおまかですが会社に残った場合の年収アップ幅を知ることができます。
その上で、もしまだ今の勤務先に残る価値があると感じた場合は、社内での評価を上げる方法を考えましょう。もちろん、収入だけでなくロールモデルになる先輩・上司の存在なども判断基準になる場合もあります。
評価基準は資格重視なのか、実務でのパフォーマンス重視なのかなど、企業によって異なるので一概にはいえませんが、その基準に応じたスキルアップを目指すことが具体的な手段です。
企業によっては、資格取得によって資格手当や合格報奨金が用意されている場合もあります。人事評価よりも資格取得をすることが収入アップの近道になることもあったり、資格取得のための勉強を通じたスキルアップも望めるため、検討してみても良いかもしれません。
多様な試験・資格があるため、ここでは業界・職種問わず一般的な知識・理解を証明する代表的な試験を紹介します。
この他にもweb系、ベンダー系、ネットワーク系など自身の仕事や勤務先で求められている試験をチェックしてみましょう。
ITエンジニアが取得しておくと良いといわれる試験です。
システム開発・管理・運用などのITエンジニアに必要な知識を幅広く必要とし、基本的な知識はもちろん応用力までを求められます。
指示された業務だけでなく、提案や企画などのマネジメントまでをも担当したいと考える場合は取得しておくと良いでしょう。
上記の「基本情報技術者試験」よりもワンランク上の知識を必要とするのが、「応用情報技術者試験」です。
システムの企画や設計〜運用・管理までの幅広い知識をもったエンジニアを目指すのであれば、取得することをおすすめします。
基本的なエンジニアとしての知識を持ち、上流工程の作業に携わりはじめたいという段階の方に最適な資格といえます。
システムエンジニアの中でも上位レベルの業務に携わるなら取得しておきたいのが「システムアーキテクト試験」です。
「基本情報技術者試験」では問われない上流工程の作業に関する出題が多く、各分野に対する専門的な知識を求められます。
社内での年収アップが難しいと感じた場合には、転職をするのも一つの方法です。その場合は、企業規模はもちろん、将来的に収入アップが見込める職種へのチャレンジも検討してみましょう。
また、転職をする際にはエージェントの活用がおすすめです。特にはじめての転職の場合は、どのような基準で企業を選べばよいのか、また履歴書なども含めてどのような見せ方で自分を企業に売り込めばよいのか、などのアドバイスをくれる存在は貴重です。
エージェント業界にも多くの企業がひしめいています。エージェント自体の選び方としては「とにかく紹介案件が多い」「小規模だが担当の人が親身」など、特徴が異なる企業にいくつか登録してみると良いでしょう。
なお、エージェントへの登録は基本的に無料です。ただし、無料だからといって登録数が多すぎると、その分だけ情報入力や担当者との連絡、毎日届く求人メールが負担になるので、2〜3社を目安としてみてください。
独立は収入を上げるための手っ取り早い方法の一つです。企業の収入を分配してもらう立場から、コストも含めて自分ですべて管理できることで収入アップがのぞめます。
ある程度案件を一人でこなせる、もしくは協力が得られる仲間がいて、さらに個人的に仕事をもらえるあてが見つかっている場合は、無理をして会社に勤め続ける必要はありません。
企業に勤めている場合、良くも悪くも収入は一定ですが、独立すれば働いた分だけ収入を得ることができます。もし稼ぐ意欲がある場合は、どのような結果であれチャレンジすることは必ず良い経験になります。
特に独立して最初の段階では、紹介会社に登録して案件をもらう方法もあるので、もし現段階で営業先がなかったとしても、収入を得る手立てがないわけでもありません。
また、これからのキャリアを考える上で参考にして欲しい記事を以下にてご紹介しております。そちらも合わせてご覧ください。
エンジニア派遣という選択肢 |キャリアを考えるために知るべきこと
エンジニアのキャリアパス|40代エンジニアに聞いた独立と人生設計
ここまで、エンジニアの年収相場と収入を上げるために必要なことについてお伝えしました。
需要の高まりと同時に収入の水準も高まってきている業種だからこそ、自分の価値を上げるために「専門性」「ビジネス創造力」をより高めて、周囲との差をつけていく必要があります。
また、企業に勤める場合は今の環境でどこまで上がのぞめるのかを考えることが重要です。その上で転職・独立を考えるならば、賢い選択肢になるでしょう。
一方で、スキルや実務経験を蓄積するために会社員として案件をこなすことも、多くの人が通る道です。特に20代の場合はそのほうが効率的な場合もあります。
長期的に自分のキャリアを考えて「いつの時点で、どのくらいの年収を目指したいか」「そのために今、2年・3年後、さらに5年・10年後はどのような道をたどるか」について、思いを巡らせることも年収アップのためにできることのひとつです。
開発案件と同じく、キャリアにおいても納期と納品物から逆算した設計が重要です。年収という入り口をきっかけに、どのような人生を歩みたいか、ぜひ一度じっくりと考えてみてください。