コーチングは受ける意味ない? 2年半受けてみたフリーランスが解説

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フリーランスとして働いていると、目標達成のための自己管理やモチベーションの維持という悩みが出てきますよね。自分自身で計画を立て、実行に移したいと思うものの、なかなか踏み出せないことも多々あります。じつはコーチングを活用すると、その悩みに伴走してくれる存在を得られます。

コーチングは資格の乱立やコーチの質のばらつき、相性の問題などが、コーチングに対する疑念や誤解を生んでいます。しかし、本来は個々の目標達成をサポートし、自己管理能力を高める手段でもあります。

2年半に渡ってコーチングを受けてきた私が、その効果や方法、そしてコーチングにどんな価値があるのかを解説します。

コーチングが意味ないと思われる理由

コーチングが「意味ない」と思われる理由には、いくつかの要因があります。

  • コーチの質に大きな差がある
  • コーチとの相性が合わない
  • コーチを受ける側の目的が明確でないと効果を感じにくい
  • 結果が出るのに時間がかかる

まず、コーチング業界では資格の基準が統一されていないため、コーチの質に大きな差が存在します。コーチとの相性が合わない場合も、クライアントがセッションを通じて価値を感じることが難しくなります。

また、コーチングを受ける側に目的や目標が明確でない場合、自身の進捗を感じにくいことに加え、望む結果が出るまで時間がかかりやすいことも、「意味ない」という感想を抱きやすくなります。

1. 「意識高い系」に見えるコーチが多い

彼らは自己ブランディングを行い、見た目の魅力や説得力のある言葉遣いでSNSのフォロワーを増やし、クライアント獲得を目指しています。その姿が「なんか中身がなくて意識高そうなことを言っている、ギラついている」と受け止められ、誤解される要因になっています。

コーチングは形がないサービスで、提供できるサービスの質も人それぞれです。無言のSNSアカウントがあるだけでは、コーチの存在自体を気づいてもらうことができないため、自身の言葉で何かを発し、クライアントを獲得するために自分なりの言葉や態度を発信する必要があります。

そのため、「何かいいことを言って存在に気づいてもらおう」という意識から発する言葉が、結果的に「意識高い系」と思われやすいのかもしれません。

2. 民間資格がありすぎて玉石混交

コーチング業界には民間資格が乱立し、質に大きなばらつきがあるため、コーチの質が玉石混交となる状況になっています。これはコーチングが比較的新しい職業であり、公的な資格や統一された基準が確立されていないことも原因の一つです。

コーチングの民間資格は大きく3つに分けられ、国際コーチング連盟(International Coach Federation/通称ICF)認定資格と、ICFが認定したスクールの独自資格、それ以外の独自資格に分けられます。

  • 国際コーチング連盟(ICF)認定資格
  • ICF認定スクールの独自資格
  • そのほかスクールの独自資格

とはいえ、保有資格の多さや団体の信頼性がコーチの質の保証とはならず、実際には経験不足や専門知識の乏しいコーチが市場に溢れています。何をもって判断するか難しいのが実情です。

3. コーチの経験が浅く、適切なアドバイスが受けられない

コーチの経験の浅さはセッションの質に直接影響を及ぼし、クライアントが期待する結果に至らない結果となることもあります。クライアントは自分の目標や課題に関して具体的で実践的なサポートを求めますが、経験が浅いコーチは、要求に応えるための必要なセッションを提供できないこともあり得るためです。

そのため、多くのコーチは以下の3点を公開していることが多いです。経験値を推測できるので、コーチの実力を測るひとつの目安になります。

  1. コーチ経験年数
  2. 累積クライアント人数
  3. 総セッション時間

4. コーチとの相性が合わない

相性が合わない場合、クライアントはコーチングを通じて十分な価値を感じることができません。

背景には、コーチとクライアントの信頼関係が築けていないことがあります。信頼関係がない状態で、クライアントが自身の考えや感情をオープンにして話すことはとても難しいからです。

相性の問題は、コーチ選びの段階で始まっています。多くのコーチは無料や割引価格で初回セッションを提供していますので、体験セッションを利用してコーチのスタイルやコミュニケーションを確認するのがおすすめです。手間は増えますが、相性が合うコーチを見つけやすくなります。

また、セッションを何度か行っていくなかで相性の不一致を感じた場合は、早めにほかのコーチに切り替えることも必要です。相性が合わないままセッションを続けることは、双方にとって不幸な時間になってしまいます。

コーチングとは

コーチングは、個人やチームが自己実現の道を進むために支援し、クライアント自身が持つ可能性を最大限に引き出し、具体的な目標達成や成長を促します。

コーチは質問やフィードバックを通じて、クライアントが自己認識を深め、解決策を自ら見つけ出せるようサポートします。直接的なアドバイスを行わず、クライアントが自身の力で成長し、目標を達成できるよう支援するのが特徴です。

セッションは、クライアントの目的や目標に合わせたカスタマイズが可能で、個々のニーズや課題に対応できます。コーチングの効果は、クライアントの自己認識の向上や行動変容、目標達成への行動に現れます。

コーチングの内容や種類

主なコーチングの種類には、ライフコーチング、キャリアコーチング、ビジネスコーチング、エグゼクティブコーチングなどがあります。

種類 内容
ライフコーチング 個人の人生の質を向上させることに焦点を当てる
キャリアコーチング 職業選択やキャリアパスの開発をサポートする
ビジネスコーチング 企業や組織の成長と効率性を促す
エグゼクティブコーチング 経営者・管理職・リーダーを対象に、リーダーシップや意思決定スキルの向上を目指す

それぞれセッションを通じて目標設定、行動計画の策定、障害の克服など、クライアントが自己実現に必要な具体的サポートを提供します。

セッションは対話中心で、クライアント自身が答えを見つけ出し、自己認識を深めるように進めます。

特定のスキルや分野に特化したコーチングもあります。専門的な知識や技術を身につけたい、特定の分野で成果を出したい方向けに、外国語習得、健康・ダイエット、ファイナンス管理、スポーツパフォーマンス向上など多岐にわたるジャンルがあります。

必要な費用・時間

個人セッションの費用は1回あたり数千円から数万円が一般的で、コーチの経験や専門性によって変動します。

コーチングの効果を最大化するには、定期的なセッションが推奨されており、週1回から月数回のセッションを受けるのが一般的です。セッションの間に振り返りや実践的な課題が与えられることもあるため、これらの時間もセッションを受けるタイミングの考慮に入れる必要があります。

セッション時間に関しては、セッション1回あたり30分から1時間程度が一般的ですが、クライアントのニーズに応じて調整も可能です。

ただし、コーチングの効果は継続的な取り組みによって現れるため、短期間で効果を出したい方には向きません。

期待できる効果

個人の目標やニーズによって異なりますが、一般的には自己認識の向上、具体的な目標設定能力の強化、問題解決スキルの向上などが挙げられます。

効果のジャンル例 具体的な効果
自己認識と自己成長 自己認識の向上、目標設定能力の強化、問題解決スキルの発展
キャリアとビジネス 職業的な成果の達成、リーダーシップ能力の向上
心理的な面 ストレス管理、自己肯定感の向上、人生のバランスの取り方の学習

セッションを通じて、クライアントが自身の価値観や信念を再評価し、行動パターンを見直す機会を得られます。そのため、自分自身や周囲との関係を改善し、より充実した人生を送る基盤づくりにつながるのも効果のひとつです。

キャリアやビジネスに関連するコーチングでは、自分が望む成果の達成やリーダーシップ能力の向上も期待できます。コーチングを受けることで、自分らしいキャリアを明確に定義し、達成可能なステップに分解して考えられるため、目標達成への道筋がはっきりします。それを踏まえて次の行動を取りやすくなるのも、コーチングの特徴の一つです。

心理的な面では、自分自身がよくわかるようになるため、ストレス管理や自己肯定感の向上、人生のバランスの取り方がうまくなることも。困難に直面したときの対処能力も、自分に合った方法で上げられます。これらもコーチングの重要な効果です。

コンサルティングとの違い

コンサルティングがクライアントの特定課題や目標に対する専門的なアドバイスや解決策を提供するのに対し、コーチングはクライアントの自己成長と能力の最大化を目的としています。加えて、コーチングはクライアント自身が解答を見つける過程をサポートします。

特徴 コンサルティング コーチング
焦点 特定の問題解決や目標達成 クライアントの自己成長と潜在能力の最大化
取り組み方 専門知識を提供し、具体的な解決策を提案 クライアントが自らの答えを見つけることをサポート
目的 クライアントの課題を解決する クライアントが自己認識を深め、目標に向かって自立して行動する
関係性 専門家とクライアント パートナーシップ

関係性にも大きな違いがあります。コンサルティングでは専門家とクライアントという関係が基本ですが、コーチングではより対等なパートナーシップを重視します。

フリーランスとコーチの相性が重要

フリーランスは、自分の力で自分の道を切り開いていきますが、コーチングはその旅を支え、加速させる存在にもなりえます。コーチとの相性がよければよいほど、コーチが自分自身のポテンシャルを最大限に引き出し、より大きな成功へと導いてくれる存在になるからです。

コーチとの定期的なセッションは、進捗確認だけでなく、ビジネスや個人的な課題に対するフィードバックの場となるため、自分の強みや弱みをコーチの視点を通じて客観的に理解できるようになります。この自己理解は、自分に合った時間管理や適切なクライアント選定、そして自分自身のビジネスモデル構築に想像以上に役立ちます。

また、コーチは自分自身が必要とする目標設定のプロセスをガイドし、達成可能なステップに分解することで、具体的な行動計画を立てる手助けをしてくれます。

そのため、自分が目標に対する明確な軸とステップを持ち、モチベーション維持がしやすくなるようサポートしてくれます。

コーチングが向いている方

コーチングを受けることで最大の効果を得られる方の特徴をまとめました。

特徴 詳細
自己認識の向上に意欲的な方 自分の強みや弱み、価値観や信念を深く理解したい
目標達成にコミットしたい方 具体的な目標を設定し、それに向かって積極的に取り組む意欲がある
変化を受け入れる準備ができている方 現状に満足せず、自分自身や環境の改善にオープン
行動を起こす意志がある方 コーチングを通じて、実際に計画に沿った行動を起こす準備がある
フィードバックを受け入れ、成長したい方 正直なフィードバックを受け止め、自己成長の機会として利用したい

これらの特徴を持つ方は、コーチングを通じて自己認識を深め、具体的な目標に向かって前進し、変化を受け入れ、積極的に行動を起こし、フィードバックを通じて成長する機会を見いだすことができると言えます。

コーチングが向いていない方

続いて、コーチングを受けることに向いていない方の特徴です。

特徴 詳細
即時の解決策を求める方 短期間で結果を出したいと考え、過程よりも結果を重視する
自己反省や自己変化に抵抗がある方 自己の内面を掘り下げることに不快感を覚え、変化することに抵抗感を持つ
具体的な目標がない方 漠然とした不満はあるが、具体的に何を目指しているのか明確ではない
他方の意見に頼り過ぎる方 自分自身で考え、決断することが苦手で、常に他方の指示を待つ
コーチングにコミットできない方 定期的なセッションや課題に取り組む時間を確保することが難しい

自己成長と変化を求める積極的な姿勢がある方にとって、コーチングは重要なプロセスです。しかし、そのために必要なオープンマインドや変化への意欲が乏しい場合、コーチングの真価を発揮することは難しいと言えます。

【体験談】2年半コーチングを受けた結果

私がコーチングを受けようと思ったのは独立して1年半経った頃で、他人や他社のためにはがんばれるのに、自分のための目標やマインドの管理がうまくできないことをはっきり認識したからでした。そのときの私はこんな状態です。

  • なんとなく不安で四六時中働いてしまう
  • 仕事を引き受けすぎて体調を崩しかねない勢い
  • 未来を考える時間が欲しいが、仕事が詰まりすぎていて無理

私の毎日は業務優先で、自分のことはいつも後回し。四六時中仕事をしてしまい、「時間ができたら○○をやりたい」という気持ちが溜まりすぎていました。それにうんざりして、意識や行動を変えるきっかけが欲しくて、コーチの力を借りました。

基本は月1回のセッションを受け、心理的に追い詰められているときはSOSを出して、追加セッションをお願いすることも。

その繰り返しを経て2年半のコーチングの結果、自分を軸に人生とキャリアを据え、誰と何をして毎日をどう感じながら過ごしたいのかがはっきりわかったのが、大きかったです。自己理解を得たことで、キャリアや働き方も見直し、いまは自分が望む働き方で毎日を過ごせています。

フリーランスは自由ですが、自由でない部分もたくさんあります。だからこそ、自分がどうしたいかが大切ですが、それを決めるのはとても難しいです。私にとっては、それを見つける糸口となったのが、コーチングでした。もし同じような悩みをお持ちでしたら、個人的にはコーチングをおすすめしたいです。

自分に合うコーチの探し方

まず、自分の目的を明確にします。

キャリアの成長を望んでいるのか、人間関係を改善したいのか、または人生全体の変化を求めているのか。目的に合わせて専門性を持つコーチを探すことが最も重要なポイントです。ここがぼんやりしたままなら、いまはまだコーチングが必要ではないのかもしれません。

1. 得意ジャンルから探す

フリーランスにとって、とくに関連性が高いと考えられるコーチングのジャンルをまとめました。自分の目的に合ったコーチングメソッドをもっているコーチを探せると、より相性のいいコーチを探しやすくなります。

ジャンル 詳細
ビジネスコーチング ビジネスの立ち上げ、戦略策定、マーケティングや収益性向上に関して支援
キャリアコーチング キャリアパスの設計、専門スキル開発、クライアント獲得戦略のサポート
タイムマネジメントコーチング 効率的な時間管理、生産性向上、ワーク・ライフバランスの達成に関する戦略設計支援
ファイナンシャルコーチング 財務管理、収入の安定化、貯蓄と投資、税金対策に関するサポート
メンタルヘルス&ウェルネスコーチング ストレス管理、自己ケア、精神的健康維持に関するサポート
ネットワーキング&リレーションシップビルディングコーチング 効果的なネットワーキング、関係構築技術、良好なコミュニケーションスキルの学習

2. 所属している協会から探す

たとえば、国際コーチ連盟(ICF)、欧州コーチング・メンタリング協会(EMCC)、国際コーチング協会(ICA)などが有名です。これらの協会に所属するコーチは、厳格なトレーニングプログラムを経て認定され、定期的な継続教育を受けることで、最新のコーチング技術と知識を常に更新しています。

多くの協会の公式サイトで、コーチのプロフィールや専門分野、コーチング哲学、クライアントからの評価などの詳細情報を公開しています。

この情報を参考にすることで、自分のニーズにもっとも合ったコーチを見つけることができます。万が一トラブルが発生した場合、協会を通じて対応を求めやすいのも心強い点です。

3. SNSやブログを通じて探す

SNSやブログを通じてコーチを探すメリットは、リアルタイムでコーチに関する最新情報を得られることと、コーチのパーソナリティや専門性を間接的に感じ取ることができる点にあります。

X(旧Twitter)なら30ポスト程度眺めると、どんな方かがおぼろげながら見えてきますし、ウェビナ―や体験コーチングのお知らせを見つけることもできます。メンションやDMを通じて直接質問もできますので、コーチとの初期コンタクトとして利用するのもアリだと思います。

ブログを書いているコーチの場合、コーチングに関する知識や事例、クライアントの成功ストーリーを掲載していることが多いです。ブログを読むことで、コーチの専門性や考え方、価値観をより深く理解できるので、専門分野の把握や、自分との相性も推測しやすくなります。

まとめ

コーチングは個人の成長や目標達成を支援するものですが、その効果は受け手の条件や状況に大きく依存します。コーチングを取り入れる場合は、コンサルティングとの違いや期待する効果を自分なりに理解することが、最大限に活用する第一歩となります。

とくにフリーランスや個人事業主など、自己管理が求められる方にとって、自分に合ったコーチを見つけることは、自身のビジネスやキャリアを大きく前進させ、自己実現の道を切り開く手助けとなり得る可能性を秘めています。

コーチが得意とする専門分野を見極め、価値観が合うコーチを探してみてください。コーチングの真の価値を引き出し、自身の成長と成功につながる扉を開くのは、あなた自身です。

(執筆:まてぃ 編集:北村有)

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