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エンジニア派遣という選択肢 |キャリアを考えるために知るべきこと

エンジニア 派遣
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割に合わない給与、長時間労働によるワークライフバランスの欠如、毎日同じことの繰り返しで、将来性を感じられない……。これらに頭を悩ませるエンジニアは少なくありません。

このまま働き続けて大丈夫なのだろうか? もっと待遇の良い働き方はないのだろうか? このような疑問が頭をよぎったときに考える選択肢のひとつが「派遣エンジニア」という働き方です。

派遣エンジニア、と耳にする機会はあっても、正社員のエンジニアと比べた時、働き方や給与面において何が違うのか?派遣エンジニアになるとどんなリスクが考えられる?などの疑問を持っている方が多いはず。

そこで、この記事ではエンジニアが自分自身でより良い待遇とキャリアを掴むために知ってほしい派遣という選択肢、そして頭の片隅に置いておいてほしいフリーランスという選択肢について解説します。

1.今の待遇に満足していない人は70%超えにもかかわらず何も行動していない

あなたは今の待遇に満足していますか?人材派遣会社のVSNがエンジニアに対して行った調査によると、今の待遇に「満足」「やや満足」と答えたエンジニアが全体の3割にも満たないことが判明しています。

「働きがい」や「誇り」の項目と比較すると、その差は歴然。たとえやりがいや誇りを感じていても、待遇に不満があればモチベーションが低下するのは想像に難くないでしょう。

現職エンジニア1,000人の意識調査1
出典: 現職エンジニア1,000人の意識調査/株式会社VSN

驚くことに、これだけ今の待遇に不満を感じている人が多いにもかかわらず、転職を考えている人は全体の3割、実際に転職活動を行っている人は2割にも満たないことも判明しています。

これらのデータから、「現在の待遇に不満は持っているものの、このまま転職もせず働き続ける」という選択をしている人がかなり多いということが見て取れます。

現職エンジニア1,000人の意識調査2
出典: 現職エンジニア1,000人の意識調査/株式会社VSN

確かに、自分の生活がかかっているので不満を感じていてもそう簡単に仕事を辞めることはできませんし、日々の業務のかたわらで転職活動を行うことも難しいかもしれません。

ですが、今のまま働き続けて事態が好転することは難しいでしょう。なぜなら、個人のスキルならばともかく、会社の制度や体質などは一朝一夕で変わるものではないからです。

仕事をしている時間は人生の3分の1を占めています。そんな膨大な時間を、常に不満を感じながら過ごすことは果たして自分にとってプラスでしょうか?

また、精神面の問題だけでなく、自身の今後のキャリア形成を見据えた場合、積極的に転職を考えた方が良いケースも存在します。実例をあげてみてみましょう。

2. 20代後半が次のキャリアを考えるラストチャンス

特に中小規模のIT企業に正社員として入社したエンジニアは、「客先常駐」という形で勤務している場合が多いといわれています。ご存知の通り、日本のIT業界は下請け構造によって成り立っています。

二次請け、三次請けになることが多い中小企業は自社で抱えるエンジニアを元請けの大手企業に常駐させることになります。

スキルを持っていなくても、案件に従事することである程度のスキル面の成長と実務経験を得られるため、ファーストキャリアとして選択することは悪くありません。

ですが、客先常駐は待遇面において不満の原因になるケースが非常に多いのも実情です。深夜作業、休日出勤が常態化して心身の健康を損なったり、それにも関わらず労働に見合った給料をもらっていない、というのがよく聞かれる声です。

20代後半を考えるエンジニア

ちなみに、客先常駐は平成27年の労働者派遣法の改正により、平成30年頃をメドに廃止されることが決定しています。

正社員であっても、客先への派遣が前提になっている場合は、最悪の場合解雇されるパターンもあるため、なんとなくずっと同じ働き方をする、という考えは非常に危険です。

現場で活躍するエンジニア

脅しのようになりましたが、こうした現状を踏まえて、現場の最前線でエンジニアとして長く活躍するためにはどうすれば良いのでしょうか? やはり、なんといっても「豊富な経験、専門スキル」を若いうちからどんどん培い、磨いていける環境に身を置くことが欠かせないでしょう。

20代後半に差しかかったタイミングでキャリアをあらためて見直し、今の職場で働き続けることが本当に良い選択なのかを見極めることも大切です。

エンジニアのキャリアについては、別記事エンジニアのキャリアパス|40代エンジニアに聞いた独立と人生設計にて、ご紹介しております。

3.なぜ派遣エンジニアという選択肢にメリットがあるのか

これまで説明してきたエンジニアの現状を踏まえた上で、なぜ派遣エンジニアという働き方が注目されているのか考えてみましょう。

※なお、エンジニアの派遣には「特定派遣」と「一般派遣」の二種類があり、前の項目で触れた客先常駐は特定派遣と呼ばれていたものです。この章以降では、すべて「一般派遣」について解説します。

派遣エンジニアは、派遣会社に登録し、そこで紹介された仕事に従事して報酬をもらいます。派遣先との契約期間には限りがあり、原則で最長3年の契約になります。そのため、同じ職場で長く働き続けるというよりは、プロジェクト単位でさまざまな企業に派遣されて働くことになります。

プロジェクト単位で職場が変わり、仕事内容が変わることは日々の仕事に刺激があることを意味しています。これは、同じ職場で長く働き続けることによる仕事内容のマンネリ化や一向に改善されない待遇への不満から解放された状態で働けるようになる可能性を秘めています。多くのエンジニアにとって派遣エンジニアが魅力的な選択肢になっている大きな理由です。

4.派遣エンジニアに向いているのはこんな人

では、派遣エンジニアに向いているのはどのような人なのか早速見ていきましょう。下記の項目に当てはまった方は今の職場よりも派遣エンジニアの方が向いているかもしれません。

⑴ワークライフバランスを重視したい人

ワークライフバランス
好きな条件の中から仕事を決められるため、オンオフを切り替えてプライベートな時間も大切にしたい人にとって、派遣エンジニアは魅力的な選択肢の一つになるでしょう。

⑵20代の若いエンジニア

20代の若いエンジニア

スキルや経験が比較的少ない20代の場合、報酬を時間換算すると正社員よりも派遣として働いた方が断然高いです。また、残業も抑えられているので早めに帰宅し、自由時間を自分のスキル向上のための勉強時間に費やすこともできます。

さらに、若いうちからさまざまな現場を経験することで、スキルの向上はもちろん、自分の適性や得意分野を早い段階で知るチャンスができます。このことは今後のキャリア形成を考える上で非常に有効です。

⑶現場で即戦力となるスキルを向上させたい人

現場で即戦力となるスキルを向上させたい人

派遣エンジニアは、比較的短いスパンで案件を変えられます。IT業界はトレンドや技術変遷が目まぐるしいため、同じ職場で同じ仕事だけ担当していると、最新の知見を得ることも難しいでしょう。多種多様な職場と仕事を渡り歩いて経験することで、トレンドを知りながら経験値とスキルを高めていくことができます。

ちなみに、スペシャリストとして重宝されるようなスキルを身に付けられると、高い報酬を得やすいもの。正社員として働いていた時よりも高い単価の仕事に挑戦できることもあります。

⑷仕事を選びたい人

仕事を選びたい人

派遣の場合、紹介された仕事の中から自分の好きな仕事を選ぶことができます。正社員として入社したエンジニアの場合、必ずしも自分が担当したい業務ばかりできるわけではありません。最初こそ開発の仕事をしていたが、気づけば保守作業や事務作業ばかりで退屈…ということもあります。

契約期間と業務内容が予め明確に決まっている派遣エンジニアの場合、自分のやりたい仕事を決まった期間だけやる!といった働き方が可能になります。

⑸新しい環境が好きな人

新しい環境が好きな人

ひとつの会社に勤めていると、どうしても仕事がルーティーン化してしまったり人脈の広がりに限界があります。また、ある程度自分のスキルが成熟してくると、さらなる高みを見せてくれるような存在が近くにいないと、エンジニアとしての将来が描きづらくなります。

派遣の場合、さまざまな職場に勤めることができるため、それぞれの企業で新しい仕事や人との出会いがあります。特に、新しい出会いは自分にとって刺激や学びを必ず与えてくれます。その中でもエンジニアの知り合いが増えることで、互いに切磋琢磨し、学び合う機会が増えることになるでしょう。

⑹計画的なキャリア設計をもとに働きたい人

計画的なキャリア設計をもとに働きたい人

正社員として勤めていると、自分の好きなタイミングで会社を辞められるわけではありません。転職を考えていたとしても、そもそも転職活動を思うように行えなかったり、転職で有利になるようなスキルを身につけられていない……ということがあります。

しかし派遣の場合は、案件ごとの契約が基本になるため、次のキャリア・目標に応じた働き方や仕事の選択が柔軟にできます。

ひたすらスキルを高め、満足のいくレベルに達したらそのまま次のキャリアに進む、なんてことがしやすいのは派遣の強みでしょう。また、そのような働き方をすることで今自分は何をすべきかを意識できるため、高い意欲で業務に取り組むことができます。

5.派遣エンジニアになる前に知っておきたい注意点

派遣エンジニアになる前に知っておきたい注意点

ここまでに紹介したことの一方で、派遣として働く時に注意しておくべきことも確認しておきましょう。

⑴プロジェクト・案件ありきの雇用で不安定

当然ですが、プロジェクトや案件が終了すればその時点で雇用契約が切れ、収入も発生しなくなります。切れ目なく働けるようにこまめに紹介会社とやり取りをし、常に次の案件を探しておくことが必要になります。

⑵交通費・ボーナスがない

契約の関係上、交通費やボーナスの支給は期待できません。

また、複数の派遣会社をまたぐ場合は、その都度保険の手続きなどをする必要があるため、その点も事前に把握しておきましょう。

⑶雇用期間に上限がある

どんなに気に入った企業、案件だったとしても、派遣法の改正により雇用期間の上限が3年と定められているため、それ以降は次の職場を探さなければいけません。

とはいえ、キャリア形成のために派遣エンジニアとして働くのであれば、むしろ流動的に働ける環境の方が常に新しい環境にさらされることになり、成長に繋がりやすいと考えられます。

6.専門分野や突出したスキルがあるのであればフリーランスとして働くのがオススメ

フリーランス

中には「メリットが多そうだけど、一生派遣エンジニアとして働くことはできるの?」と疑問を持つ方がいます。自分の好きな仕事と条件を選べて、月単位の手取りも正社員として働くより多くもらえるのであれば、そう思うのは当然かもしれません。

この疑問に対して答えを出すなら、「やろうと思えばできるが、それなら派遣ではなくフリーランスとして働いた方が良い」といえます。

一生派遣でやっていけるのは、一定のスキルを持っている人に限られます。派遣エンジニアは正社員と比べるとどうしても安定性に劣ります。そのため、派遣で安定して生計を立てるには、自分の得意分野や経験を持ち、安定的に仕事が依頼される状態をつくり出すことが必要です。しかし、それほどの技術を持っている人であれば、派遣ではなくフリーランスとして充分活躍できるため、ぜひその選択肢も検討しても良いでしょう。

なぜなら、IT業界はどうしても若い人を優先的に雇用する傾向があり、それは派遣エンジニアにおいても同様であるためです。スキルに長け、経験が豊富であれば、より自立度の高いフリーランスエンジニアとして働いた方が収入・契約形態・将来性という3つの点において満足のいく結果を生み出せるでしょう。それぞれ、どのようなメリットがあるか簡単にご紹介します。

⑴収入

企業側からすればフリーランスエンジニアには福利厚生のための費用がかからないため、正社員よりも高い報酬を与えることが多いです。

⑵契約形態

紹介会社をはさむ場合もありますが、企業と直接契約を結ぶ、対等な立場になることができます。

仕事内容や報酬など、案件ごとに契約を結ぶため、リスクや条件を契約段階で自ら確認することができます。仕事である以上、クライアントの要望や意向に応える必要は当然ありますが、営業担当が交渉してきた条件に沿って動く立場ではないので裁量をもって働けます。

成果を出せれば継続的に仕事を受けることもできますし、複数のクライアントから案件を受けられるようになれば安定して仕事をすることができるようになります。

また、中には必ずしも出社する必要がない案件もあります。その場合、自分一人で行える作業は何時にどこで取り組もうが自由なのでライフスタイルに合わせて柔軟に働けるというメリットもあります。

⑶将来性

派遣として働いていると、紹介会社の担当が案件をあっせんしてくれるので、営業スキルが身につかず、自分で仕事を見つけることができないという側面もあります。フリーランスの場合、自分で仕事を獲得していく必要があるため、営業スキルが磨かれていき、これが将来的な強みになります。

一方で、特に独立して間もない時期などは、紹介会社を使って案件を獲得することもできます。自分の状況に合わせて、どのように収益を組み立てるかもフリーランスの醍醐味といえるでしょう。

7.まとめ|専門分野、得意分野を培い魅力的なエンジニアに

選択肢

ここまで待遇面とキャリア面から考えた「派遣エンジニア」と「フリーランスエンジニア」の働き方について解説しました。この記事を通して伝えたいことは以下の3点です。

  1. 待遇、今後のキャリアに不安があればなるべく若いうちから他の働き方を検討しよう
  2. 若い人は派遣として働いて鍛えるのが◎その後のキャリア形成に必ず生きてくる。
  3. 専門分野や突出したスキルがあるのであればフリーランスとして働くのがオススメ

どの働き方が正解、といったことはありません。しかし、多くの選択肢を知った上で自分に合う働き方を適切なタイミングで選択できるのであれば、それに越したことはありません。

視野を広く持ち、さまざまな可能性の中から自分にとって最善の道が見つけていきましょう。

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