エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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ロンドンといえば、多くの人が思い浮かべるのはウェストミンスターにあるビック・ベンや、バッキンガム宮殿の衛兵交代などではないでしょうか。
こうした観光客が訪れることが多いスポットが集まっているのは、主に中心から西のエリア。しかし今回取り上げるのはそれとは反対側、東ロンドンにあるクリエイティブスポットNetil House(ネティルハウス)です。
Netil Houseは、Webクリエイターやジュエリーデザイナー、ヨガのインストラクター、フィルムスタジオなど、さまざまな入居者が混在する東ロンドンのクリエイティブコミュニティ。今回はそんな『Netil House』がスタジオを開放するイベント「Netil House Open Studio」を訪問し、その魅力を記事にまとめました。
Netil Houseを運営しているのはEAT WORK ART。Netil Houseのほかにも、同じく東ロンドンにあるHackney Downs Studiosや、南ロンドンにあるOld Paradise Yardを運営しています。
Netil Houseには先述したようにさまざまなジャンルのクリエイターが入居しているほか、食事やお酒を楽しむことができるスペースも充実。
なかでもルーフトップバーは大人気で、オープンスタジオ当日は夜遅くまで混雑していました。スタジオのスペースは大小さまざまで、その総数は100以上。ジャンルを超えたコミュニティが形成されています。
オープンスタジオでは、その名のとおりNetil Houseに入居するスタジオがそのドアを開け、訪れる人を迎えます。すべてのスタジオが参加するわけではありませんが、多くのスタジオがオリジナルのイベントをおこなったり、お酒をふるまったり、自社の商品を販売したりしていました。
今回のオープンスタジオの開催日時は6月14日(木)の18時から25時。平日の夕方から深夜までという時間設定はチャレンジングに思えますが、19時頃になると受付には長い列ができ、多くの人が夜遅くまでお酒を片手に楽しんでいます。
オープンスタジオはもちろん外部の人間にも開かれていますが、いきなり自由に出入りすることができるわけではありません。
事前にFacebookからチケットを入手し、チケットのバーコードを受付で提示すると、腕にスタンプを押してもらえます。会場と外を出入りする際にはこのスタンプを提示します。
そしてスタンプと同時にもらえるのが、このパンフレット。手前は同時に開催されているマーケットの案内です。パンフレット自体のデザインもシンプルで目をひきます。
普段はこちらの印象的な扉が入り口ですが、今回は順路が決められており、別の入り口から入ります。ビルのサイドを通って入り口に到着するまでにも、たくさんの人がお酒を片手に、話に花を咲かせています。
人をかき分けて奥に進むと、オープンスタジオの入り口が。こちらの看板はビル内にあるNT’s Barのもの。看板の下にある入り口から階段を上がって会場に入ります。
こちらは日本人のジュエリーデザイナー、Ayako Kanariさん(左)とMomoko Tamuraさん(右)が共同で使用しているスタジオ。ジュエリーは、手仕事ならではの繊細なデザインが印象的です。
奥には製作のためのスペースが。入居しているクリエイターの仕事はさまざま。用途にあわせてスタジオを使用しており、雰囲気もそれぞれ個性的です。
こちらはテキスタイルデザイナー、サリー・エリザベス・ライアンさんのスタジオ。右側に写っているのが原画、そして左側がテキスタイル。スクリーンには彼女のテキスタイルで作られたドレスの写真がスライドショーで映し出されていました。
このスペースで絵を描いているため、資料となる写真や花も飾られています。製作現場で製作者本人と話をできる体験は多くの人にとって刺激になるはず。
なかにはTシャツを売っているお店も。こちらは普段は土曜日のみオープンしているというOpen As Usual。無地の服や帽子のみを扱っています。中央のディスプレイは、同じ白いTシャツでも生地の重さや色の違いを楽しんでほしいという趣旨のものだそう。
Tシャツはオリジナルではなく輸入品がほとんど。日本のブランドのものもありました。ジャンルを問わずさまざまなクリエイターやお店に出会えるのもオープンスタジオならでは。どのスタジオでも、話しかけると気さくに作品や事業の説明をしてくれます。
建物の壁には順路を示す矢印マーク。順路に沿って会場をまわれるように随所にスタッフが配置されており、道に迷うと案内してくれます。
壁にはホテルの部屋番号ように、スタジオの番号が。ちなみにイギリスの一階は日本の二階にあたるので、こちらの写真のフロアは日本でいうと二階です。
各フロアにはただスタジオが並んでいるわけではなく、このような共有スペースも。入居者はこのようなスペースにある水道で水を汲んで、お茶をいれたりしています。この日はオープンスタジオなので交流の場になっていました。
こちらの壁には鏡張りのオブジェが。オブジェの下に見えているのは、イギリスで一般的に使われているヒーターです。
こちらが先ほど看板が出ていたNT’s Bar。オフィスビルに入っているものの、普段から一般の人にも開かれており、とてもおしゃれな雰囲気。もちろん入居者にも人気です。
今回はWeb系の4つのスタジオにお話を伺うことができました。まずはじめに訪れたのは、こちらの記事でもインタビューをさせていただいた長野大洋さんのデジタルデザインスタジオ、Tamassy Creative。
長野さんはフリーランスを経てロンドンで2010年に起業。ブランディングからプロダクトデザイン、Webデザインなどを幅広く請け負っています。顧客には世界的に著名な写真家やイラストレーター、ミュージシャンのベースメント・ジャックスやジェイムズ・ブラントなども。
当日はTamassyがブランディングからプロダクトデザインまでおこなっているMystic Formsのジュエリーを販売していました。会場にはMystic Formsの代表であり、現代美術作家の播安芸子さんの姿も。
−−こうしてたくさんの作品を拝見すると、改めて魅力を感じます。ジュエリーはどのように製作なさっているのでしょうか。
工場に委託しているわけではなく、レーザーカッターを使用してアクリルを切り出し、ひとつひとつハンドメイドで製作しています。
−−今日はどのようなお客さんが多い印象でしょうか。
クリエイティブ系の仕事をしているかたが多い印象です。仕事を探している美大生やこのビルの入居者、ローカルのかたなども来てくださっています。わざわざ遠くからMystic Formsを買うために来てくれたお客様もいらっしゃいました。
−−オープンスタジオによって得られるものがあれば教えてください。
今回は主に会社のサイドプロジェクトの紹介というかたちでオープンスタジオを活用しています。直接Webやブランディングの仕事につながるわけではありませんが、入居者とコミュニケーションをとったり、学生と話をするネットワーキングの場になっています。
普段オフィスとして使用しているスペースをお店に変身させ、お酒やおつまみを振る舞うTamassyのスタジオ。インタビューをしているあいだにもたくさんのお客さんが訪れており、コミュニケーションの場になっていることを感じました。
次に訪れたのは、CMやミュージックビデオなどの映像を製作しているフィルムメーカー、HUX。
スタジオのスペース自体はコンパクトですが、クライアントにはGoogleやIKEA、NIKEなどの錚々たる大企業も。
こちらは販売や展示ではなく、訪れたお客さんを撮影し、それを編集してひとつの映像にするというオリジナルのイベントをおこなっていました。インタビューに答えてくださったのは映像を撮影していたフィリップさん。
−−おもしろいイベントをおこなっていますね。どんな映像を撮っているのでしょうか。
訪れた人に質問が書いてある紙を見せて、思いついた言葉を答えてもらっています。それをつなぎ合わせて映像を作り、イベントのあとに公開する予定です。
−−今日はどのようなお客さんが多い印象でしょうか。
若いクリエイティブ関連のお客さんが多いですね。
−−オープンスタジオによって得られるものがあれば教えてください。
オープンスタジオをマーケティングの機会としては捉えていません。イベントで作る映像にも特になにか深い意味があるわけではありません、ゲームです。オープンスタジオはパーティーとして楽しんでいます。
スタジオ内には七人の侍のポスターが飾ってあり、訪れた学生と日本語の話題で盛り上がる場面も。「オープンスタジオはパーティー」という言葉のとおり、和気藹々とした雰囲気でした。
オープンスタジオの入り口近くの広いスペースに入居しているのは、クリエイティブスタジオPOWSTER。
映画のWebサイトなどを製作しており、『パシフィック・リム;アップライジング』や『ジャングル・ブック』などさまざまな作品に携わっています。
イベントをおこなっているわけではありませんが、スタジオを開放してお酒を飲みながら訪れるお客さんと話をしていました。インタビューに答えてくださったのはアンドレアさん。腕に抱かれているのはオフィスドッグのUdonちゃん。
−−Udonちゃん、すごくかわいいです。由来はやっぱりうどんですか。
うどんです!本当はもう一匹、チワワがいるんですよ。
−−今日はどのようなお客さんが多い印象でしょうか。
アート、テクノロジー、音楽などさまざまなジャンルに興味がある人が来ます。Netil Houseで働いている人が多い印象です。
−−オープンスタジオによって得られるものがあれば教えてください。
実はわたし、ほかのスタジオの人と普段ほとんど会わないんです。こういう機会があってはじめて「え、あなたここで働いてたの!」って、知り合いもこの上で働いていることがわかったり。クライアントはすでにいるのでビジネスの場とは捉えていません。入居者とのコミュニケーションの機会になっています。
一口にスタジオといってもスペースの広さや形は異なります。こちらのスタジオは天井が高く、写真からもわかるようにスタジオ内にロフトのような空間が。壁には映画のポスターが飾られ、植物に囲まれて、かわいいオフィスドッグと仕事ができる、なんともうらやましいオフィス環境です。
最後にご紹介するのは、POWSTERと同じく地上階に入居しているJason Bruges Studio。
デジタル技術を駆使し、主にインスタレーションを手がけているスタジオです。クライアントはLGやダイソン、アストンマーティンなど。
POWSTER同様天井が高く、それを活かしてインスタレーションに関するオブジェやトロフィーなどが飾られています。インタビューに答えてくださったのは、スタジオの代表であるジェイソン・ブルージュさんご本人。
−−ディスプレイなどを拝見すると、照明を使用したインスタレーションが多い印象ですが、いかがでしょうか。
たしかに照明を使用していますが、魅力はそれだけではありません。デジタル技術を使ったハイクラスなインスタレーションを、イギリスだけでなく世界中で手がけています。
−−今日はどのようなお客さんが多い印象でしょうか。
ローカルのかたが多いと感じています。クリエイティブ関連のプロフェッショナルや、スタジオの入居者も来てくれます。
−−オープンスタジオによって得られるものがあれば教えてください。
ネットワーク作りに役立っています。飲み物を出しただけですが、お酒を飲みながら話をするだけでもネットワークが広がります。
インスタレーションを手がけるスタジオなのでディスプレイも豪華。壁に飾られているトロフィーが作品の質の高さを物語っています。このとき時刻はすでに22時をまわっていましたが、スタジオを訪れる人はあとを絶ちませんでした。
インタビューを通してわかったのは、オープンスタジオはコミュニケーションの場である、ということです。ビジネスの機会を得るための場というよりも、お酒を飲みながら情報交換をし、交流の輪を広げるための場であるように感じました。
イベント会場の中でもっとも活気があったのが、ルーフトップバーNetil360。東ロンドンの夜景を見渡すことができます。このイベントを見てまわった人が最後にたどり着くのが、このバーなのではないでしょうか。Netil House Open Studioは、地元の人、クリエイティブ業界を志す学生、ミュージシャン、アーティスト…さまざまな立場の人同士がお酒を片手に語り合う、とても魅力的なイベントでした。