エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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いよいよ3月から開始された携帯大手3社の提供する格安料金プラン。NTTドコモの「ahamo」にauの「povo」、ソフトバンクの「LINEMO」と3つのプランが出揃いましたが、顧客はどのプランを選び、関心事はどこにあるのでしょうか。
今回は「ahamo」「povo」「LINEMO」の3つのプランの内、現状の集客状況ではどこが勝っているのか?という調査を、ヴァリューズの分析ツールである「Dockpit」を用いて行います。3つのプラン名を検索しているユーザーの属性データから、それぞれの集客状況や顧客が興味関心を寄せる項目を分析していきます。
はじめに、「ahamo」「povo」「LINEMO」のプランについて内容を比べてみましょう。
3プランを横断して比べてみると、最大のポイントとなるのは「月額基本料金」と「国内音声通話料」の有無についての差異です。
ahamoと比べ、povoとLINEMOの2,728円(税込)という基本料金は安価ですが、代わりに国内音声通話に制限が設定されています。この「5分以内の国内通話無料」を加味して考えた場合、元から備わっているahamoと比べ、povoとLINEMOの料金は高くなってしまう点が大きな焦点と言えるでしょう。
また、家族で同一のキャリアを契約している人が気になる点は、新プランが「家族割」の対象となるか否かという部分です。
ahamoとpovoの場合は、新プランの契約者には家族割引が適用されないものの、その他の契約者が家族割引を継続する場合は、新プランの契約者も頭数にカウントすることが可能です。LINEMOは本記事執筆時の4月上旬時点で家族割に関する発表はなく、現段階では実質、LINEMO契約者は家族割の頭数にカウントできない状況です。
他の2社に先駆けてシンプルかつ安価な料金プランを発表したということもあり、サービス開始時点までにおいては、3プランの中でドコモのahamoに最も人気が集中している様子です。
Dockpitによって3つのプラン名の検索者数の推移データを抽出したところ、2社に抜きん出て「ahamo」と検索するユーザー数が多い結果となりました。
上記グラフより、先行して発表されたことで「ahamo」の検索数は2020年11月より大きく伸び、以降で「povo」「LINEMO」の検索数が伸びてきているものの、2021年2月時点で独走状態であることが窺えます。
また、携帯端末に関する消費者動向を調査するMMD研究所の調査結果においても、2021年3月のプラン変更・乗り換え検討先としては、3プランの中でahamoがトップの数値(21.8%)となっています。
なおNTTドコモ公式からも、3月26日のサービス開始日時点でahamoの先行エントリー数は254万人を超えており、キャリア側のキャパシティを超える申し込みによって、乗り換え手続きを一時停止するとの発表もされています。
これらの情報から見て、サービス開始前・スタート直後の現在ではahamoの一人勝ち状態になっていると言えるのではないでしょうか。
「ahamo」「povo」「LINEMO」、それぞれのプランに興味を持っているのはどのような人なのか、ユーザー属性の分析をしてみましょう。Dockpitの「キーワード分析」機能を用いて、3プラン名を検索しているユーザーのインサイトを探っていきます。
まずは、それぞれの検索ユーザーの性別と年齢層からです。
性別のデータから、「povo」と「LINEMO」を検索している人は男性が7割強・女性が3割弱という割合であるのに対し、ahamoは女性の割合が32.1%と、やや他の2プランよりも女性比率が高い結果となりました。
また、年代別ではどのプランも40代による検索数が最も多いのは変わりませんが、10~20代の若年層の割合が最も高いのはpovoで、ボリュームゾーンである30~40代はahamo、50代以上の割合が最も高いのがLINEMOとなっているのが特徴的です。
性別と年代のデータから、ahamoは他の2キャリアと比べて女性からの関心が高く 、かつ現代日本の人口構成比で大きい30~40代の検索者も多いことから、現段階ではマーケットシェアの拡大に対して最もポテンシャルを持っている、と言えるでしょう。
また、格安SIM・格安スマホの領域は元々、男性の利用ユーザー割合が多いという特徴があります。今回も3プラン全体を通して女性よりも男性の割合が高いですが、その中でも女性ユーザー割合が高く出ているという特徴からして、これまで格安スマホが抱え込めずにいた顧客層に対してahamoが上手くリーチできているのではないか、ということも推察できます。
続いて、3プラン名を検索するユーザー数をDockpitで抽出し、都市の人口規模別でグルーピングしてみます。
上記のグラフを見ると、「povo」や「LINEMO」と検索する人は首都圏や大阪、愛知といった人口500万人以上の大都市に割合が集中していますが、「ahamo(青色)」と検索する人は人口の少ない地方都市においても一定の割合を持っていることが俯瞰できます。
このことからahamoは比較的、人口が集中する地域だけでなく、幅広いエリアでユーザーからの興味関心を集めている状態と言えます。冒頭でお伝えした通り、ahamoは単純な検索者の実数値でも圧倒的に大きく、これは地方在住ユーザーへの認知・取り込みが進んでいることも影響しているのではないでしょうか。
さらに3つの新プランに興味を持っている人のインサイトを探るため、Dockpitによってキーワードの属性別マップを見ていきましょう。
属性別マップでは、3つのプランと掛け合わせて検索されているキーワードについて、性別・年齢の2つの軸でユーザー属性の分布を見ることができます。また、各プラン名の掛け合わせワードにおいて、円の密集していないエリアに配置されている語句ほど、そのプラン名に特徴的なキーワードであると判断できます。
ahamoと合わせて検索されている特徴的なキーワードには「縛り」「手数料」というものがあり、また「未成年」という語句も表れていることから、特に若年層のユーザーが気になっている事柄のようです。
「縛り」「手数料」といったキーワードは従来の携帯電話のプラン契約条件に関するもので、たとえば「2年以内の契約解除で解約手数料がいくら発生する~」といったルールの確認をしたいという消費者のニーズがうかがえます。若年層は年配層に比べて金銭的な余裕が少ないため、ahamoへのプラン変更に興味はあるが、契約・解約時に発生する料金やその発生条件などに注意が向いている人が多いようです。
povoを調べているユーザーの内、年配層は「留守番電話」「家族間通話」といった通話機能への関心が高いことがわかります。従来から利用していた留守電や家族通話などの機能を、そのまま引き継げるかどうかを気にしている人がいるようです。なお、KDDIによれば「お留守番サービスEX」や「家族間通話料の割引」はpovo契約者の利用対象外となります(2021年3月現在)。
一方、若年層では「SMS」といったキーワードが特徴的に登場しています。年配層の「留守番」や「家族間通話」といった関心と同様に、付帯サービスとしてSMSの送信は可能であるのか、といったことを疑問に感じているユーザーが多そうです。povoへと乗り換えても、SMSの利用は継続できるようです(2021年3月現在)。
また、「プラン」はpovoの基本プランに対してトッピングできる、追加プランのことを調べたいユーザーが一定数いることを示唆します。povoは基本料金に追加することで「通話かけ放題」や「データ使い放題」といったオプションを付帯して、自身に最適なプランを構築することができるようになっています。
「LINEMO」と合わせて検索されている特徴的な語句には「通話し放題」といったものがあります。これはソフトバンクが3月4日に発表した通話オプション料金の割引キャンペーンに対して、関心が集まっている影響だと想定されます。
3月1日にahamoが当初の料金設定から、5分以内の国内通話が定額で月額2,970円(税込)という料金へ値下げを行ったため、LINEMOもこれに対抗する形で通話オプション料金を1年間割引するキャンペーンを実施する運びとなったようです。
このキャンペーンを利用することにより、実質1年間は5分以内の通話無料が付くプランを2,480円(税抜)の月額料金で利用できます。
本調査を通じて、「ahamo」「povo」「LINEMO」の3プランの初速においては、やはり先陣を切ったahamoに軍配が上がりそうな様子であることがわかりました。
ahamoが早期にプラン発表を行って検索数を増やし、これに追従する形で他2プランも伸びてきてはいますが、数値の伸びは後手に回っている影響が見て取れます。また、検索ユーザーの属性からしても、ahamoが突出して幅広いユーザー層にリーチできている状況が俯瞰できるでしょう。
ただし、キーワードの属性別マップのデータからわかるように、各プラン名に対するユーザーの興味関心ポイントは特徴的なものが現れており、主に既存プランで利用していた機能やサービスが引き継げるか否か、という観点が注目されている様子でした。このことから、安価な料金を提供しつつ、ニーズの大きな機能を提供することができれば、povo・LINEMOにも形勢逆転の機は無きにしも非ず、とも感じます。
【調査概要】
・全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報にもとづき分析
・行動ログ分析対象期間:2020年11月〜2021年2月の検索流入データ
※ボリュームはヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測
※対象デバイス:PC・スマートフォンの両デバイス
(執筆:坂田憲亮 提供元:マナミナ)