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テキトー手帳のススメ フミコ・フミオの手帳活用術

手帳
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唐突だが、僕らは、高機能のスマートフォンを持っているのに、なぜ手帳を持っているのだろうか。「手帳とスマホは違うものだから」と身も蓋もないことはいわずに、あえて、手帳を持つ意味を考えてみたい。

僕らは手帳が大好きだ。手帳好きの僕らに応えるように、年末の買い替えシーズンにLOFTや文具店に行けば、手帳フェアが大々的に催されている。ほぼ日手帳のような大ヒットもある。手帳術やメモ術を扱った書籍は大人気である。

一方で、手帳の機能は、僕らが肌身離さず持ち歩いているスマホで代替できる。スケジュール管理。タスク管理。体調管理。カレンダー。アドレス帳。メモ。ノート。手帳でできることはスマホで全部できる。

しかもスマホのほうが圧倒的に勝っている面も多い。スケジュールやタスクやヘルスケアといった管理と効率性において、スマホは手帳に圧倒的に勝っている。手帳では、時計、万歩計、それから位置情報をスケジュール、タスク等とリアルタイムにリンクさせることは出来ない。メモに写真をつけるのも、スマホなら秒で出来てしまうが、手帳では撮影した画像をプリントして貼り付けるという工程が発生してしまう。

手帳がなくならないのは自由だから

このように手帳はスマホによって機能の大部分を上位互換されているうえ、スマホより大きいものは持ち歩きにも不便で、いいところがない。それでも手帳は滅びない。むしろラインナップは充実している。

僕が社会人になった頃(25年ほど前)、現在のようなファンシーなデザインのものは、子ども向けのものはあっても、大人向けのものは皆無であった。いってみれば、個人の好みと目的にあわせた手帳をいくらでも手に入れることができる。

つまり手帳はオワコンどころかちょっとしたブームなのだ。手帳文化が定着しているという要素もある。僕のように「ずっと手帳を使ってきたから」という慣習で使っている人もいる。

それに、自分の手をつかって実際に紙の手帳に書くという行為には、スマホ入力では得られない信頼感もある。

また、感覚的に書くという点でいえば、まだまだスマホより、紙の手帳のほうに軍配はあがる(そう遠くない日に追いつかれると予想)。たとえば、スケジュールを入れるとき。スマホなら「入力」で、手帳なら「書く」だ。

入力と書くは似ているようで、まったく意味合いが違っている。端的にいえば「入力」は情報を決められた形に押し込む行為で、「書く」は無から有を生みだす行為である。手帳にはスマホにはない自由がある。僕らが手帳を手放せないのは、その自由さを捨てられないからだと僕は思う。

手帳のメリットを最大化しよう

1月や4月は手帳を新調するタイミングである。どのような手帳を選び、どのタイミングから新しい手帳を使い始めるか。僕なりの考え方を述べさせてもらいたい。身もふたもないことをいってしまうと、好きなものを直感で選べばいいし、好きなタイミングで始めればいい。

社会人ならば、ファンシーすぎるものは避けたほうがいいような気もするけれども、そういうタイプを使っているほうが今の時代はデキる感があるという見解もあるので、一概には言えない。好きなもの、ピンときたものを選び、ご自分のタイミングで使い始めればよい。

では、手帳をどう使っていくべきか。僕の同僚たちは皆、手帳にスマホと同じ情報を書き込んでいる。

だが、せっかくスマホと手帳のふたつを持つのだから、あえて、異なる情報を持たせるようにしてはどうだろうか。手帳には手帳、スマホにはスマホにしか入れられない情報を入れていくようにしてみよう。

手帳のカレンダーは「あえて」いいかげんに書く

サンプルとして僕が実践している手帳活用法をご紹介する。僕は、手帳には「あえて」いいかげんな情報を書くようにしている。

一方、スマホには正確な情報を持たせてスケジュール管理やタスク管理に使っている。スマホできっちりと管理をしているから、手帳で冒険ができるのだ。つまり、いいかげんな手帳はスマホがあるから成立する。

いいかげんな情報とは、でたらめな情報というわけではなく、書く時点で未確定、確証のいいかげんという意味だ。たとえば、従来ならアポや予定が決まったら、手帳のカレンダーとスマホのアプリに入れていたところを、スマホだけに入力するようにした。

手帳のカレンダーには、未定の予定を自分都合で書き入れるようにしている。つまり自分勝手な未来カレンダーを作っている。

月~金曜日までの午前と午後をそれぞれ二つに分けて一日を四コマにして、自分の入れたい予定をガンガン書き入れてしまう。自分のあるべき未来を書くことによって、そこに向かっていく姿勢をつくっていくのだ。

「●月▲日午後ホニャララ社長に会う」と手帳に書く。アテはないが、書いてしまって、アポを取る未来の自分を作ってしまう。これを続けることで未来と現実の自分を近づけていく。

もし、書きこんだ未来通りにいかなかったら、手帳にはダメになった未来が残る。イヤでも現実とのギャップを意識せざるをえなくなる。その歯がゆさや悔しさをもって次のステップに向かうようにしたのだ。

これらはスマホのカレンダーアプリでもできるけれども、容易に消すことができないペンで書いて残すことで、カレンダーを見るたびに意識にインプットされる。スマホには正確な情報、手帳にはいいかげんな未来。この使い分けがベターである。

自分を前進させる手帳をつくる

昨年の春。新型コロナ感染拡大にともなって緊急事態宣言が発出されて、取引先や見込み客との商談がままならず、予定が埋まらない手帳を眺めているときに、思いついたのが、いいかげんな未来、自分都合の予定を書き入れることだった。

明日はA社。明後日はB社。そんなふうにアテのない予定を書き込んでしまって、その未来に向かって自分自身を合わせていくように仕向けたのである。

先行きがわからなかったので、前に向かって進むための座標をつくる必要があったのだ。それが手帳だった。手帳の通りにうまくいかないことも多かった。

現実にできなかった未来であっても、「まあこんなご時世だからアポ取れなくても仕方ないよね」と受け入れ、「やられたらやりかえす」の精神で翌月のカレンダーに再登場させるようにした。それが出来たのは、手帳にダメになった未来がはっきりと残されていたからだ。

もし、決まった予定を書き込む、従来の手帳の使い方をしていたら、ダメだった未来は記憶の彼方に流されるだけで、リベンジに燃えることはなかったはずだ。

手帳のカレンダーにある「●月▲日A社面談」を横線で消しておくだけで、それを目にしたときに「●月▲日A社にアポを取ろうと電話を入れたけれども秒で切られた。悔しい」というメッセージが脳内に再生されるようになる。

僕は、TODOもいいかげんな気持ちでその日にできないものを書くようにしている。ポルシェに乗る。プレステ5を買う。というその日できない目標を書いて、一日の終わりに確認して明日へと悔しさを繰り越していく。そうやってエネルギーを自家発電して前に進むようにしている。

うまくいかないをエネルギーに変えよう

予定や成果を確認しながら進めていくことは、仕事をするうえで重要であることはいうまでもない。だが、人生はうまくいかないことのほうが多い。うまくいかなかったことを見つめて自分の糧へ変えていくことも同じくらい重要だ。

特に昨年からの新型コロナ感染が続く状況では、これまでのやり方が通じず、うまくいかないことは多くなっている。うまくいかない状況や思い通りにいかない未来との付き合い方を考えていかなければならない。

だから、あえて手帳のカレンダーには確定した予定ではなく、自分の思い通りの未来を書き記して、うまくいかなかった現実とのギャップを確認して、それを自分のエネルギーに変換していく。手帳に、いい加減な予定と壮大な目標を意識的に書き込んでいくだけで、僕はうまくいかなかった未来をエネルギーに変えることができた。

ここにあげたのは、僕の手帳の使い方にすぎない。スマホを持っているなら、手帳との使い分けを意識的にやってみてはいかがだろうか。

「あえていいかげんカレンダー」はおすすめである。まだまだ先行きが見えてこない世の中だけれども、力をあわせて乗り越えていこう。

(執筆:フミコ・フミオ 編集:川崎博則 提供元:さくマガ

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