AIがWeb制作者の仕事を奪えない、たった2つの理由

Web制作者の仕事は、つねにテクノロジーに支えられています。UIの作成、画像の編集、そしてコードの記述までもが、技術の発展によって以前より容易になりました。

AIによるさまざまな業務の自動化は、仕事が減るという点においてポジティブなことです。しかし、AIがすべての業務を担えるわけではありません。

今回は、AIがWeb制作者の仕事を奪えない2つの理由について解説します。

理由1. AIは計画を立てられない

既成のWebサイトを購入して調整しても、それだけで成功を収められるわけではありません。成功は偶然にもたらされるわけではなく、計画の検討が欠かせないのです。

最先端のAIツールは、計画の実行を後押ししてくれるでしょう。しかし、Webサイトがどうあるべきかというビジョンを構築し、計画を立てるのは、AIではなく人間です。

優れたWebサイトの構成要素は以下のとおりです。

• 魅力的な外観
• 使いやすさとアクセシビリティ
• 適切で説得力のあるコンテンツ
• パフォーマンスと検索エンジンへの最適化
• あらゆるデバイスへの対応

上記のような項目を満たすWebサイトは、いきなり出現するわけではありません。また、どんなに高度なAIであっても、単独で実現することは不可能です。

優れたWebサイトを制作するためには、プロジェクトの関係者が互いに協力し、計画を立て、目標を定義し、それを達成することが必要です。AIのようなツールは、目標を達成するために存在しています。

▲出典：speckyboy

理由2. AIは技術的なエラーに対応できない

Web制作者の業務を肩代わりしてくれるAIにも、欠点はあります。

たとえばWebサイトビルダーでWeb制作をすると、モバイル用のレイアウトに欠陥があることも。またバグだらけのコード生成ツールで、PHP構文エラーが出る場合もあります。いまのところ、AIはそれらを生み出せても、エラーに対処することはできません。

そしてAIのエラーに対応するためには、人間の技術的な知識が欠かせません。Webサイトのフロントエンドとバックエンドに関する知識は、AIが大きな役割を果たせるようになっても、役に立つはずです。

技術的な知識があると、どのようなツールを使い、どのように対処すべきか見極められます。Webサイトのプロジェクト要件を見て、最適な方法を判断できるのです。

またWeb制作の急速な進化に対応できるという利点もあります。変化を加えるときのプロセスや、潜在的なリスクを理解できる点も重要です。

▲出典：speckyboy

AIは魔法ではない

近年のWeb制作にまつわる技術の発展はめざましく、日々新しい技術が発表されています。

AIを使った画像生成やチャットなどの技術は、もはや日常の一部になりました。こうした技術に触れるなかで、AIの未来について考えを巡らせる人は少なくないでしょう。恐怖を感じる人もいれば、生産性の向上に期待する人もいるはずです。

いずれにせよ、いまのところAIだけではWeb制作はできません。Webデザイナーやエンジニアの専門知識には、いままでと同じように価値があります。

万能の技術ではないにせよ、AIから学ぶこともたくさんあるはずです。自分のワークフローにどのようにフィットするか、試してみましょう。もしかしたら、私たちが思いつかないようなかたちで恩恵をもたらしてくれるかもしれません。

（執筆：Eric Karkovack　翻訳：Asuka Nakajima　編集：北村有　提供元：speckyboy）