エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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人気の職業の一つに「Webディレクター」があります。でも、実際どんな仕事なのかと言われると、いまいちよくわかりません。
だいたい、「ディレクション」って言われても、範囲が広くないですか? Webメディアの編集者はディレクターじゃないの? 具体的に何がどう違うの……? そもそも、いったいどんなことをやってるの???
気になるなら、実際に働いている人に聞いてみるのがいちばん。そこで、今回はフリーランスのWebディレクターをしている鈴木秀典さんにお話をうかがいました!
職業訓練校卒業後、未経験から制作会社にて運用ディレクター、ベクトルグループにてWebディレクターを経験。その後フリーランスとして博報堂アイ・スタジオグループにディレクターとして参画、ベンチャー企業で事業部長も兼任し、自社事業にも注力。現在はコニカミノルタジャパン株式会社にWebディレクターとして参画中。(X:@rantsukikage)
フリーランスのライター・編集者・ぶどうマニア。編集者として記事のディレクションを担当することもあるが、どちらかといえば自分の私生活を誰かにディレクションしてもらいたいと思っている。(X:@raira21)
目次
少年B:
「Webディレクター」ってなんかぼんやりした仕事じゃないですか? 「ライター」なら文章を書く仕事だし、「エンジニア」ならコードを書く、「デザイナー」ならデザインをするってわかりやすいんですが、「ディレクター」っていまいち実態がつかみづらいんですよ。
鈴木:
Webディレクターの仕事は大きく分けて、企画・制作・運用の3つがあります。
鈴木:
まず、企画ディレクションは提案ディレクションとも言い、その名の通り企画書を起案する仕事ですね。広告やイベント、商品などのアイデアを出して、イチから自分で考えます。コンペに参加する場合もありますよ。
少年B:
なるほど、企画職のような感じなんですね。
鈴木:
制作ディレクションは、全体の制作進行を管理します。一般的に「ディレクター」と言われて想像するのはこの役割かもしれません。
少年B:
建築現場でいうところの現場監督みたいな役割ですね。職人さんを手配して、制作に滞りがないように進めていく、という。
鈴木:
最後の運用ディレクターは、できあがったものを運用していく仕事です。たとえば、ECサイトのPVや売れ行きを確認して管理する……といった場合ですね。
少年B:
なるほど……。鈴木さんはどのディレクションをされているんですか?
鈴木:
僕は全部です。割合で言うと、企画が6割、制作が3割、運用が1割ぐらいですかね。
少年B:
フリーランスWebディレクターの報酬相場はどれくらいになりますか? 報酬の決まり方や仕組みも教えてください。
鈴木:
まず、報酬を決める方法には、大きく以下の三パターンがあります。
少年B:
鈴木さんはだいたいどれぐらいの単価で仕事を請け負っているんですか?
鈴木:
僕の場合は、時給換算で4,000~5,000円ぐらいになるようにすることが多いです。ただディレクターの仕事って、時間をかければかけるほど信頼を得られる場合も多いんです。結果的に2,000円台になることもあります。
少年B:
時間をかけるほど信頼が得られる?
鈴木:
はい。たとえば、エンジニアさんが作ってくれたものをそのままクライアントに出すこともできますよね。でも、つまらないコピペのミスがあったら、クライアントは「こいつチェックしてないのかよ」って思いますよね。
何回も失敗して学んだことですが、そういったところに手を抜かないことで、クライアントの印象が変わると思います。
鈴木:
あと、案件によっては「全体の予算は○○円でWebサイトをつくってください」と、予算配分から依頼されることもあるので、その場合は自分で自分の取り分である「ディレクション費」を決めることもあります。
まとまった金額をいただくときは、最初に3割を確保するようにしています。なんだかんだで削るのはディレクション費なので、そうすると最終的には20~25%ぐらいになります。最初に余裕を持っておくと、ちょっと減ってもOKという気持ちになれるので。
少年B:
ディレクション費はどうして目減りしてしまうんですか?
鈴木:
ちょっとした支出が積み重なっていくこともありますし、あとは頼んだ仕事が想像以上に大変で時間がかかってしまったとか。
「この金額で発注したんだから」と言ってもいいんでしょうけど、お互い気持ちよくやりたいじゃないですか。そういうときに「自分の取り分を減らして、もうちょっと出すか……」みたいなこともありますね。
少年B:
月単位で決めるというのはどういう感じの方法なんですか?
鈴木:
たとえば「この仕事をこの金額でやってください、時間は140時間~160時間の間でお願いします」というような方法ですね。
少年B:
明確に時間が決まっていないパターンもあるんですね。そういった場合はどのように計算していくんですか?
鈴木:
140時間に満たなくてももいけないし、160時間を超過してもいけない。求められた業務内容全体を把握し、期待に応えるクオリティを発揮できるように対応します。時間がかかりそうなら当然”時短”する工夫も必要になりますね。
少年B:
鈴木さんが考える「フリーランスWebディレクターに必要なスキル」とはどんなものでしょうか?
鈴木:
一番大事なのは、コミュニケーション能力だと思います。ディレクターはクライアントや外注先を含め、多くの人とかかわるポジションだからです。
少年B:
コミュニケーション能力を高めるうえで、鈴木さんが注意していることはありますか?
鈴木:
とにかく返信を早くすることですね。あとメールだと、普通に返事をしていると冷たく感じることもあるじゃないですか。だから、「!」を使ってテンション高めに返事をするとかも意識しています。
他には、一緒に働いてくれるエンジニアさんたちをクライアントに一言紹介したり。コロナ前の話ですけど、プロジェクトが終わったあと、飲みに行くことがあれば、エンジニアさんたちも誘ったり、とか。
少年B:
チームとしての一体感が違ってきますよね。
鈴木:
そうですね。別に、みんなに「飲みに行け」という必要はないんですが、お互いの信頼が大切になってくる仕事なので、お互いの顔見えるような関係を作っていこうと思っています。
少年B:
フリーランスWebディレクターは、未経験でもなれるものですか?
鈴木:
正直、いきなりフリーランスになるのは絶望的だと思います。たとえば、少年Bさんが仕事を頼む立場だったとして、「経験ありません! フリーランスです! ディレクションできます!」って人に発注したいと思いますか?
少年B:
絶対思わないです。実力もわからないし、ちゃんと最後までやり切ってもらえるかもわからないし。
鈴木:
相手の立場になってみると、未経験のフリーランスに仕事を依頼するのは、リスクが高すぎるんですよね。Webディレクターの場合はとくに、全体のディレクションを任せるわけですから、実績がないとかなり厳しいです。
鈴木:
実績を作るには、「経験者」になることが大事ですよね。だから、いきなりフリーランスではなく、派遣やバイトからでもいいので、Webディレクションの仕事をしましょう。
少年B:
ごもっともです。鈴木さんはどうやってディレクション経験を積みましたか?
鈴木:
私の場合は、以下の流れでディレクションを学び、経験を積んでいきました。
少年B:
職業訓練校でも学べるんだ。
鈴木:
Webディレクター専門というわけではなかったんですが、プログラミングなどを含めたWeb周りの勉強を一括でできるような講座でした。
そして、ちゃんとやることを教えてもらえれば、比較的初心者でもとっつきやすい運用ディレクションからスタート。その経験をもとに、二社めで様々な経験を積むことができました。
少年B:
地道なステップアップのもとに、いまの鈴木さんがいるんですね……!
少年B:
フリーランスのWebディレクターとして、年収を上げる方法があれば教えてください。
鈴木:
単価が上がる理由って、「やれる人がいないから上がる」なんですよ。その仕事ができる人の分母が少ないと、任せられる人材は貴重なので単価が上がっていきますね。そういう意味では、企画ディレクションが単価の面では一番いいと思います。
少年B:
企画ができる人は貴重なんですね……!
鈴木:
企画ディレクションは単価が高いと言いましたが、企画ができる人がたくさんいる環境にいたら、いつまでたっても単価は上がりませんよね。
それなら環境を変えて、企画ができる人が少ないところで仕事を取ればいい。そうすれば「この人しかいない」になるので。単価の壁を感じたときは、求められているところへ行くのがいいと思います。
少年B:
なるほど……。自分の輝ける場所を探すのも大事ってことですね。
鈴木:
もしエンジニアやデザイナーの知識があるなら、テクニカルディレクターやアートディレクターになるのもいいと思います。専門知識があると単価は爆上がりしますから。テクニカルディレクターなら、時給換算で8,000円とかいくんじゃないかな……。
少年B:
そうか、エンジニアやデザイナーの経験者がディレクターになることもありますもんね。自分の友達にもいます。
鈴木:
とはいえ、テクニカルディレクターやアートディレクターは、未経験者には難易度が高すぎるのも事実です。いろいろ言いましたが、結局はコミュニケーション能力を身に付けて、運用や制作を重ねて、実績を作っていくのがいいと思います。あとは、案件をいかにこなすかですね。ツールを入れて効率化して、工数と時間を短縮したり。
少年B:
フリーランスWebディレクターとしてお仕事を取るには、どうしたらいいですか?
鈴木:
僕の場合、最初はマッチングサービスに登録していました。たとえば、フリーランス向けマッチングサービスの『Workship』などですね。
鈴木:
あとは、マッチングサービスで知り合ったクライアントに別の仕事を紹介してもらうことも。仕事の幅が広がると、業界内での知名度も上がって、信頼に繋がります。
鈴木:
勉強会の参加なども重要ですね。僕はWorkshipで開催されていた勉強会に参加したこともあります。コロナ禍でだいぶ減ってしまいましたが、名刺交換や懇親会といったオフラインの場も大事にしていました。
鈴木:
やっぱり、「会社の先輩から学ぶ」でしょうか。僕は二番めの会社にいたときに、優しい先輩がいて、手取り足取り教えてもらいました。その会社にはもう一人、すごく仕事のできる人がいて。その人はいちいち教えてはくれないんですが、仕事ぶりを見て学んだことも多かったです。
会社にいると、「鈴木、これやっとけ」ってぜんぶ一人で任されることもあって。もちろん責任もあるし大変なんですけど、すごくいい経験ですよね。考えようによっては、会社にいながら、フリーランスと同じ経験を積めるわけですから。
鈴木:
時間を使う仕事なので、うまいこと効率化していかないと、ハードではあります。大企業だと残業が少ないこともありますが、フリーランスだと全部自分でやらなきゃいけませんし。ただ、僕は働くことが好きなので天職だと思っています。ハードに働いて稼ぐぞ! という方には向いているのではないでしょうか。
少年B:
なるほど……。しっかり働いて稼ぎたい方、コミュニケーションが得意な方にはおすすめの職業なんですね。
鈴木:
そうですね。あとは飲食店や接客業のバイト経験があると、ディレクション力が高まるとよく言われています。こういう仕事って、ディレクターに必要なポイントが無駄なくつまっているんですよ。学生時代に接客のバイトが得意だった人には向いているかもしれません。
大変なこともありますが、やりがいもある仕事です。人と関わることが好きで、がんばって稼ぎたい方は、ぜひ挑戦してみてください!
上流のお仕事として憧れる方も多い一方、いまいち実態がわかりにくいフリーランスWebディレクター。
今回の鈴木さんのお話で、その実態がイメージできた方も多いのではないでしょうか。
最後に、フリーランスWebディレクターになるための方法を3ステップでまとめてみました!
【フリーランスWebディレクターになる3ステップ】
- 就業形態を問わず、組織に入って現場を学ぶ
- ディレクションの実務経験を積む
- マッチングサービスなどを活用して最初の案件をゲットする
(執筆:少年B 編集:北村有)
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