フリーランスのAI活用事情。業種ごとに活用率が違う理由とは?

2023年に話題になった「生成AI」。あなたはすでに使っていますか? 筆者はほぼ毎日業務で利用しています。

フリーランスのあいだに、業務効率化が期待できるAIはどのくらい認知・浸透しているのでしょうか。まだまだ仕事でAIを使うことに抵抗のある人もいると思いますが、仕事でAIは「アリ」なのでしょうか。

本記事では、普段はAIエンジニア、ときにはライターとしても活動する筆者が、フリーランスのAI活用を調査結果に基づいて考察します。

コロスキー
コロスキー

ITライター兼Web開発者。 システムエンジニアとしての経験とSEOの知見を生かした記事を執筆。AIを組み込みライター業務を効率化するWebサービス『MOJI-KA』を開発・運用中。

フリーランスのAI活用率は約40%

フリーランスの生成AI使用状況のグラフ

▲データ参照:Lancers

大手クラウドソーシングの「Lancers」が2023年11月に発表した調査によると、フリーランスとして働いている人で「生成AIを業務で使用している」と答えた人は36.9%。4割近いフリーランスが、すでに生成AIを活用しているとのことです。

また「使用していないが、使用を検討している」と回答したのも26.9%と、3割に届きそうな数字です。フリーランスは企業に属していないので意志決定が早く、フットワークが軽いのが強みですね。

なお、ほかの回答は以下のとおりです。

  • 「使用していないし、使用の検討もしていない」(24.4%)
  • 「生成AIについて知らない」(8.9%)
  • 「わからない」(3%)

逆に言えば、約3割が業務での利用はしていない状況です。フリーランスといっても業種は幅広いため、AIを活用しにくい人もいるのでしょう。

とはいえ、これからAIはさまざまな分野、サービスに組み込まれていくと考えられます。意識せずAIを使っている時代になっていく可能性は大いにあるでしょう。

【参考】企業のAI活用率は9.1%

企業の生成AI使用状況のグラフ

▲データ参照:帝国データバンク

企業ではAIとどのように向き合っているのか。それがわかれば、フリーランスのAIとの付き合い方も見えてきます。

帝国データバンクが2023年6月に実施した調査では、生成AIを「業務で活用している」と回答したのは9.1%になっています。調査の実施時期を考えると、『ChatGPT』が話題になったのが2023年初頭で、まだ企業で利用するに至っていない状況だったのでしょう。

裏付けるように「業務での活用を検討」と回答した企業が52.0%もいます

この調査から、生成AIをビジネス領域でどんどん使っていきたいと考える企業は多いということがわかるでしょう。テレビや新聞、SNSなど多くのメディアでも、生成AIは業務を効率化させると取り上げられています。

ライティング界隈のAI活用率は約79%

ライターの生成AI使用状況のグラフ

▲出典:MOJI-KA

ちなみにライティング界隈でのAI活用率は79%。上記の調査は、筆者が運営する『MOJI-KA』の公式アカウントで2023年12月に実施したものです。

結果を見ると「リサーチから執筆、校閲まで」と回答したのが21.4%、「スポットで使用中」が57.2%です。実に約80%が業務でAIを活用していると答えています。フリーランスの利用状況が約40%であることを考えると、驚異的な浸透率といえるでしょう。

ライティング領域は生成AIの登場で「仕事がなくなるのでは?」と大きなインパクトを受けた分野です。ところが、今では多くの人が生成AIを使って仕事をしているのは興味深いですね。

あくまでAIはコンテンツを作成するための補助的なツールであるという認識が広まってきているのではないでしょうか。

業種によってAI活用率が違う3つの理由

業種によってAI活用率が違う理由は、以下が考えられます。

  1. 業務によっては生成AIとの相性がある
  2. クリエイティブ領域では法整備が追いついていない
  3. 利用方法が確立していない

理由1. 業務によっては生成AIとの相性がある

生成AIは名前のとおり文章や画像を生成するためのAIです。そのため、業務との相性があります。

ライティング領域で生成AIの利用が多いのは、まさに相性がいいからでしょう。もちろん、ライティング以外にもデータ分析や業務自動化といった分野でも活用できます。

ライティングは構成、執筆、推敲とあらゆるフェーズでAIの恩恵を受けられるだけでなく、ChatGPTという非常に使いやすいサービスがある点でも有利です。

いまやChatGPTは多くのサービスに組み込まれており、ユーザーが多くの選択肢からプロダクトを選べる段階にまで進んでいます。

理由2. クリエイティブ領域では法整備が追いついていない

クリエイティブ領域、とくにイラストレーターや漫画家の領域ではAIによる盗作が大きな問題になっています。個人で楽しむ分には問題ありませんが、まるで自分の作品のようにSNSなどで発表しているユーザーも一部存在します。

どこまでが盗作で、どこからがオリジナルなのか。その点があいまいになっているのが現状です。AIと著作権に関する法整備が進まないと、クリエイティブ領域でAIを使う人は増えにくいでしょう。

理由3. 利用方法が確立していない

AIは出てきたばかりの新しい技術です。そのため、業種によっては利用方法が確立していない可能性があります。

現在の主流なAIは、ChatGPTや『Stable Diffusion』などのいわゆる「生成AI」です。そのため生成AIの活用法がわからないと、なかなか業務に組み込みづらいのではないでしょうか。

フリーランスがAIを活用するメリット

フリーランスがAIを活用するメリットとしては、以下があります。

  1. 生産性が向上する
  2. 高い精度のアウトプットができる
  3. アイディア出しの相棒になる

メリット1. 生産性が向上する

AIを使えば、業務を効率的に自動化できます。多くの企業がAI導入を検討しているのは、社内の生産性を改善できると期待しているからでしょう。

ではフリーランスとして生産性が向上するのはどういう部分か。たとえば以下のようなものがあります。

  • メールの返信文の作成
  • SNS投稿の作成
  • データ分析

人間の手だと時間がかかってしまう作業は、生成AIに任せてしまうのも1つの手です。

メリット2. 高い精度のアウトプットができる

人間は集中力不足や不注意でミスをしますが、AIは使い方を間違えなければ高い精度でアウトプットしてくれます。たとえば以下の方法で、自分のアプトプットをブラッシュアップしてくれます。

  • データを与えて表を作る
  • 文章を与えて文法チェックをする
  • プログラミング言語を与えてレビューしてもらう

私の場合は、データ整理系の作業をAIに任せることが多いです。ほかにも開発で行き詰まったときに、プログラムコードをレビューしてもらうこともあります。

メリット3. アイデア出しの相棒になる

良いアイデアを出すには豊富な経験と知識が必要です。しかし、1人で新しいアイデアをポンポン生み出すのは困難でしょう。

多角的にアイデアを出すのはなかなか難しいモノですが、生成AIならお手の物です。なにしろ人間が一生かけても学べないような膨大なデータを学習しているので、10パターン、100パターンのアイデアを出してもらえば、たたき台やヒントとして利用できます

また壁打ち相手になってもらうのもおすすめです。「今後の営業戦略についてどう思う?」といったざっくりした話題でもOK。自分では気づけなかった視点で提案してくれます。

これからAIを学びたいフリーランス向けの学習プログラム

AIを活用するといっても、どうやって使えばいいかわからない! という人のために『IBM SkillsBuild』というオンライン学習プラットフォームがあります。

▲出典:IBM SkillsBuild

IBM SkillsBuildでは、内部コンテンツで『Udemy for IBM SkillsBuild』を利用できます。動画を見ながら生成AIでの「プロンプトの書き方」「生成AIの実践」などさまざまなコンテンツを提供中です(一部英語のみ)。

同じくUdemy内には、生成AIを活用するためのプログラムがたくさん用意されています。個別に気になるものを見てみるのもおすすめです。

IBM SkillsBuildに興味があればフリーランス協会のウェブサイトから登録できます。

無料で学びたいのであれば、YouTubeにも生成AIの活用方法を紹介した動画があります。まずは自分の興味が湧きそうな動画から、生成AIの利用方法を試してみてはいかがでしょうか。

結局、フリーランスは仕事でAIを使っていいの?

フリーランスはどんどんAIを使っていきましょう。ただし、何にでも使って良いというわけではなく活用できる領域の見極めが重要です。

どういうことかというと、自分の業務において、手を放してはいけない領域があります。そこをAIに委ねてしまえばフリーランスとしての存在価値がなくなる、いわば聖域です。

たとえば、ライターであればライティングそのものが聖域といえます。しかしライターがAIを使えないのかというと、そんなことはなく、データを収集して表をつくったり、タイトルや見出しの候補を出してもらったり、AIを活用できる部分はたくさんあります。

要は、自分の価値を損なうような使い方をしなければいいのです。

(執筆:コロスキー 編集:北村有)

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