AIに仕事、奪われてね?フリーランスが感じた「やばい」瞬間

AIに仕事、奪われてね?フリーランスが感じた「やばい」瞬間

「AIが出てきて、フリーランスとして仕事がなくなったらどうしよう」。そんな不安を感じていませんか?

実際、ライターやエンジニアをはじめとした現場では、「AIに仕事を奪われつつある」という声が増えています。

この企画では、「AIに仕事、奪われはじめてるんじゃね?」というリアルな危機感をテーマに、現役フリーランス4名が緊急対談を実施。変化する現場の実態、そしてそれぞれがどのように立ち回ろうとしているのかを、ぶっちゃけトークで掘り下げてみました。

「AI時代、どう立ち回るべきか分からない」「不安だけど、誰にも相談できない」――そんな悩みを抱えるフリーランスや副業ワーカーの方は、ぜひご一読ください!

<Workship MAGAZINEの愉快な仲間たち>

水無瀬あずさ
水無瀬あずさ

現役エンジニア兼フリーランスライター。大好きなゲームの新シリーズがソシャゲになったので、夜ふかしプレイ中。期間限定のコラボカフェにも行くぞ!(note: @azasaz_a

夏野かおる
夏野かおる

フリーランスの編集者・ライター。博士(人間・環境学)(←って何???)。趣味は放浪。(X:@Natsuno_Kaoru

猫宮しろ
猫宮しろ

フリーランス8年目のライター兼ディレクター。SaaS関連のコンテンツ制作やデータ分析が特に得意。趣味は犬と戯れること。(X:@siro3460

北村 有
北村 有

フリーランス歴6年目。年数としては中堅どころだが、マインドもお金に関する知識もまだまだ半人前フリーランス。(X:@yuu_uu_

AIへの危機感を感じるフリーランスたち

夏野:
今回は「なんか、AIに仕事奪われてるんじゃね?」というテーマなんですけど。ひとまず皆さんの、「こんなところでAIの影響を感じたよ」っていう話から始めましょうか。いかがですか?

水無瀬:
私が最近すごく感じるのは、「ライターの仕事減ってるよね」というSNS界隈でのざわつきですね。特にクラウドソーシング関係で「案件が減った」とか「応募しても変な勧誘ばかり」みたいな投稿が増えてきていて…。

私も最初の頃はクラウドワークスを使っていたんですけど、今はやっていなくて。今思えばギリギリのタイミングで離脱できたのかもと思っています。

あと、私はエンジニアでもあるので、コード補完の精度アップもめちゃくちゃ感じています。エディターでちょっとタイプしただけで、AIが一気にぶわーっとコードを出してくれる。それを見ると、「あ、これ本当にエンジニア要らなくなるな」と実感します。

※14行目「{」 と入力した直後に、GitHub Copilotが自動的に中身の処理を提案してくれている様子。提案されたコードは、Tabキーを押すだけでそのまま関数内に挿入できる。ただしこの例では、提案されたコードを採用するとWarning(「致命的ではないが意図しない結果になるかもよ」という警告)が発生している。AIによるコード補完は完璧ではない点に注意が必要。

しろ:
僕もWebライティング系のクラウドソーシング案件を見てるんですけど、以前なら普通にあった文字単価1円くらいの案件が、最近はかなり減っていますね。その代わりに、AIを活用した超低単価案件とか、地雷っぽい案件が増えてきた印象。「ライティングはAIに任せて、編集作業だけを頼む」ような案件が増えてきているとも感じます。

いわゆる「こたつ記事」的な、誰でも書けるような記事が減ったので、初心者層はどうしているんだろう…?というのが気になりますね。

水無瀬:
そうですよね。私も以前は文字単価1.5~3円くらいの案件を探していたのですが、そういう案件は激減しました。

「文字単価10円」と書いてある案件でも、実際は200文字程度で終わる「調査まとめ」記事だったりすることも多くて……。1記事8000~10000字とか、ちゃんと書かせてくれる案件が本当に減った印象です。

しろ:
あとは、知人の経営者が「文字単価1円のライターをChatGPTに切り替えた」って話をしていたのは衝撃でした。社内でAI活用を推進する動きがあり、文字単価1円のライターが人員整理の対象になったみたいで。

ただそうなると、編集者が足りなくなったとも言っていました。AIの書いた記事でも、最後のチェックは必要ですからね。

「ライターが1人消えた瞬間」を目撃

夏野:
企業がAI活用を推進…という話でいくと、私は編プロ的な仕事もしているので、複数人のライターさんと関わることがあるんですが、人と仕事をする以上、気を使うことも多いんですよね。

たとえば初心者の方に「ここはもう少しこうしてほしいです」って伝えるとき、「人格攻撃じゃないんだけど」って伝えるのがすごく難しい。

しろ:
わかります、テキストだと特に難しいですよね。

夏野:
そうなんです。たとえばレギュレーションもトンマナも無視した原稿があったとして、内心「えっ!」ってなるけど、感情的に怒るわけにはいかない。だけど修正してもらわなきゃいけないから、どう伝えるべきか、その落としどころはやっぱり考えないといけない。

だから、企業が「初心者を育てるって正直コスパ悪いよね」と考えるのは、意見としては分かっちゃう。同じエネルギーを使うなら、AI(ChatGPTとか)のチューニングに使ったほうが効率いいんじゃね?って。

さらに言うと、人間だと仕事を「飛んでしまう」(=途中で放棄して連絡がつかなくなる)人もいるし、常識的な納期を設定しようとすると、どうしても2週間くらいはかかる。でも、AIなら1日で全部作れちゃうし、何より飛ばない(笑)。サーバーダウンすることはたまにあるけど。

もちろん、出力されたものが期待通りではないことはあるけど、それって人間も一緒なので。ってなると、ライターさんからAIへのリプレイスっていうのは、経営目線で納得感はありますね。

しろ:
ただまあ、それでもやっぱり編集者は必要だなと思っちゃいますね。

僕はSEOが専門なので、その観点からコメントするんですが、Googleのコアアップデートで、AIに出力させた記事と、人が編集した記事とでどれくらい差が出るかというグラフがあるんです。

それによると、AI出力をそのまま出した記事よりも、編集が入っている方が順位が落ちにくいっていうのが、データとして出ているんですね。

しろ:
なので、今「これからはAIだけでやろう」と判断した人たちにも、成果が思うように上がらない時期がどこかで来るとは思います。そうなったとき、編集の価値は今後もっと上がってくる。

だから僕は、クライアントにもそういう提案を先出しするようにしています。これも一つの生存戦略ですね。

水無瀬:
AIによって一番仕事が減っていくのって、単純作業をこなす「作業者」だと思うんです。だから今後は、ディレクションやマネジメントにスライドしていかないと、いずれ仕事はなくなっていくんだろうなぁとは感じています。

ただ、私は「書きたい」人なので、ディレクションはなんか嫌だなぁっていうのがあって。この先どうしようか、結構悩んでいるところです…。

夏野:
ディレクションといえば、以前クライアントから「1本レポート記事を出したい」という依頼があったんです。でもちょうど私が長期で不在になるタイミングで。それを伝えたところ、「記事の構成だけ作ってくれたら、あとはAIで書くから大丈夫」と言われました。

イベントレポートだったので、「冒頭はこう書いて」「セッション紹介はこういう順番で」みたいな構成を指示書で作ってお渡ししました。写真もAIで生成して、「多分ここで握手するシーンがあるんで、その写真を入れてください」って細かく指定して。クライアントが素材と一緒にAIに流し込んだら、それなりの記事になるようなものを出したんです が…。

この仕事も、AIが進化して、イベントの動画を渡して「あとよろしく」ができるようになれば不要なんですよね。今はまだ「現場の知識」が活かせるけど、もうちょっとAIが進化したら「私いらないな」って素直に思いました。

何よりこの仕事でも、現在進行形で「ライターを1人減らした」わけで、「なるほど、これはAIに仕事を奪われていきますな…」と実感しました。

とはいえ、業界によるかも…

ゆうゆう:
ここまでのお話はとても興味深く聞いたんですけど、私自身は、まだそこまで直接的な影響は受けてないんですよね。SNSやクラウドソーシングで「AIに仕事を奪われる」と聞いても、ピンと来なくて。

というのも、私がメインとしている業界はエンタメ系なので、ドラマや映画について書くことが多くて、個人としての意見を求められる。テクノロジーの導入もそこまで速くないから、まだ「AIって何?」ぐらいの感じ。

たとえば私がChatGPTを使って構成案やタイトル案を出すだけでも、すごくありがたがられるんですよ。もう「神!」みたいなリアクションが返ってくる(笑)。

さすがにもう2~3年すればこの業界も確実に変わってくるはずなので、それまでに自分の「生き残る道」を見つけなきゃなとは思っています。ただ、今のところはまだちょっと楽観的というか、のほほんとしている状態ではありますね。

水無瀬:
エンジニア業界は今や「猫も杓子もAI!」みたいな状態なんですけど、業界によって温度差が全然違うものなんですね…。

まとめ

今回の対談では、フリーランスそれぞれが「AIに仕事を奪われる」という現実に少なからず危機感を抱いている一方で、「だったらこう動こう」と新しい方向性を模索している姿が見えてきました。変化を肌で感じている人もいれば、まだ影響が小さい業界で活動している人もいるなど、その温度差にもビックリ!

とはいえ、AIの進化は確実に加速しており、どの業界にもいずれ波が押し寄せるのは間違いありません。対談の後半では、その波をどう乗り越え、生き残っていくのか――フリーランスならではの「生存戦略」についてさらに掘り下げていくので、お楽しみに!

(執筆:水無瀬あずさ、編集:夏野かおる)

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