Backlogは個人でも使える? フリープランを活用してプロジェクト管理を効率化しよう

backlog

フリーランスや個人事業主として働いていると、同時に数社とお付き合いすることも多く、どのプロジェクトの何をいつまでに対応すればいいか、わからなくなってしまうことも出てきますよね。

同時進行のプロジェクトを抜け漏れなく進行させるには、プロジェクト管理が必要になってきます。そんなときに使いたいのが、チームコミュニケーション用のプロジェクト管理ツールの『Backlog』です。

しかし、Backlogはチームコミュニケーション用のツール。「そもそも、個人で使うようなツールなの?」と思う方もいるかもしれません。そこで今回は、Backlogを13年使い倒している筆者が、フリーランスのための個人で使うBacklogの活用例をご紹介します。

まてぃ
まてぃ

デジタルマーケティングプロデューサー/株式会社Rdesign factory代表取締役。企画×コンテンツ×マーケティングで価値の最大化を支援している。ツールを活用した仕事効率化には強く、Backlogを13年活用中。(Twitter:@matty3com

Backlogとは?

Backlogは、プロジェクトのタスク管理や情報をチームで共有するプロジェクト管理ツールです。一般的にはメンバーのタスクを見える化したり、チーム間のコミュニケーション効率を上げるなど、複数名で使用されることが多いでしょう。

しかし、じつは複数社と同時進行でお仕事をすることが多いフリーランスの方にこそ、煩雑になりがちなタスク管理がシンプルにできるツールとしておすすめなんです。

フリープランと有料版の違いは?

フリープランと有料版の大きな違いは、「プロジェクト数」「ユーザー数」「ストレージ」の3つです。

  • プロジェクト数:「プロジェクト」とはいわゆる“ワークスペース”的なもので、その名のとおり、プロジェクトごとにワークスペースを分けて管理ができます。個人でタスク管理用のツールとして使うなら、プロジェクト数は1つで問題ありません。
  • ユーザー数:プロジェクトに登録できるユーザー数です。なお、フリープランでも10名まで登録できます。
  • ストレージ:タスク管理用に「課題」(後述します)を登録する際、ファイルを添付できますが、契約プランによってファイル容量に上限があります。フリープランの場合は100MBまでとなりますので、添付はあまり考えないほうが現実的です。

自分一人で使用する際は無料のフリープランで十分使用できます。フリープランに使用期限はありませんが、有料版にアップグレードする際、30日間のトライアル期間はありません。

プラン名 フリープラン
0円/月
スタータープラン
2,970円/月
スタンダードプラン
17,600円/月
ストレージ 100MB 1GB 30GB
プロジェクト数 1 5 100
ユーザー数 10 30人 無制限
ファイル共有
1つの課題に添付できるファイル数 1個まで 10個まで 30個まで
親子課題 ×
カンバンボード ×
ガントチャート × ×
アクセス制限(IP) × ×

※有料プランはこのほか、ユーザー数に合わせてプレミアム・プラチナの2プランがありますが、ここではフリーランスに必要なプラン・機能を絞って記載しています。

なお、フリープランに申しこむ際は、料金プランページの「プラン詳細」一覧下に表示されている「フリープラン」のテキストリンクからお申しこみください。

Backlog フリープラン

▲Backlogの料金ページ、「プラン詳細」下の赤枠部分です

Backlogの基本的な機能

基本的な機能として知っておきたいのは、タスク管理・Wiki・親子課題の3つです。有料プランではガントチャートやバーンアウトチャートも使えますが、スタンダードプラン以上でしか使えないため、ここでは割愛します。

機能1. タスク管理

Backlogが最も得意とするのが、このタスク管理です。すべてのタスクを一元管理し、進行状況が可視化されることが最大の強みです。

Backlog 課題一覧

▲私が使っているBacklogの課題一覧

タスクを登録する際は「課題を立てる」という表現をしますが、課題を立てる際に、タスクの詳細な説明・対応期限・関連する添付ファイルをぶら下げることができます。タスクには「未着手」「進行中」「完了」などのステータスと優先度を設定でき、進捗状況を一目で確認できます。

Backlog 課題の例

▲この原稿を書くために立てたBacklogの課題

右上に課題対応の開始日、期限日、ステイタスが表示されています。URLを書き込むと指定しなくてもハイパーリンクになるので、メモにも便利です。

機能2. Wiki

ひとりで仕事をしていて、意外と困るのがクライアント企業との事務的なコミュニケーションです。たとえば、A社は請求書を25日までに業務担当者宛にChatworkで送る、B社は納品完了タイミングで経理担当者にメールで送るなど、細かなことですがちょっとした「これって○○で合ってる?」と迷うことがしばしば起こります。しかし、当然のことながら同じことを二回以上聞くのは、とても嫌がられます。

なので、一度聞いたことは全てWikiにメモをします。Wikiは自在に編集ができる柔軟な使い勝手で、テンプレートも用意されており、取り扱いも楽。クライアント別にメモを作ったり、プロジェクトごとにWikiを立てています。

私がよく使っているのは、クライアントごとのアカウント管理や社内ルールのメモ、税理士さんとのやり取りです。とくに経理関連では確定申告を毎年同じ時期にやりますが、毎回きれいに忘れます。そのため、やりとりをした内容は全てメモを取り、Wikiにストックしています。

Backlog wiki

▲私が使っている費用関連のWiki

機能3. 親子課題

親子課題は地味ながら便利な機能で、関連性のあるタスクを管理する際、ひとつを親タスクとして登録し、配下に子タスクとしてぶらさげることで進捗を一覧化して管理できます。

たとえば、私は毎日配信のポッドキャストの運用をしているのですが、運用負荷を下げるため、ある程度フォーマット化している部分があります。

収録は数回分をまとめて行うので、各回の音声を都度切り出して編集し、配信用ファイルにします。その過程で、公開用音声ファイルのアップロードに付随する情報として、コンテンツの基本情報・収録時のメモ・配信プラットフォーム用のテキスト・プラットフォーム別のサムネイル画像が発生します。

「ポッドキャスト_027-029」という課題を登録すると、「027」を切り出す際に、必要な情報と画像を該当する課題に貼り付け、各プラットフォームにアップロードする際のソース元情報となるようまとめます。同じ作業を「029」までこの課題の中で行い、アップロードが完了すれば課題を「完了」とし、クローズします。そして、また新たに「030-036」を収録した際は別の課題を立て、子課題としてぶら下げます。

Backlog 親子課題

▲親課題と子課題の例。親子課題になっていると各課題の中で一覧できます

これらの情報をBacklogなしでまとめようとすると、フォルダを作ってその中にテキストファイル、画像ファイルなどを格納し、配信回に合わせてフォルダ分けして管理する必要があります。Backlogの場合はひとつの課題の中にすべて入れられるので、フォルダを作らなくても素材もテキストも「課題」の中に保存できるというわけです。

くわえて親子課題にしておけば、すべて関連タスクとしてつながっているので、さかのぼって過去配信回内容を確認したいとき、「あれはどこだったっけ?」と迷わず、さっと引き出せます。

あえてBacklogを個人で使う理由

チームで使うプロジェクト管理ツールをあえて個人で使うのには、おもに2つの理由があります。

理由1. フリーランスならではの課題を解決できる

フリーランスは複数のクライアントやプロジェクトを同時管理することが多く、それぞれのプロジェクトに固有のタスク、期日、要件があります。これをテキストファイルのタスクリストやエクセルのシートで管理しようとすると、管理コストがかかります。

この点、Backlogを使うと、すべての情報を一元管理できますし、タスクが視覚化されるので、優先順位をつけたり、タスクの期限の設定をとても簡単にできます。Wiki機能を使えば、忘れてはいけないことをメモしてストックできるので、必要なときにWikiを見れば確認できる状態を簡単に作ることができます。

また、課題を立てて、コメントを投稿するとタイムスタンプがつきます。タイムスタンプを修正することはできないので、時系列に物事をメモしていかなくても、メモは勝手に時系列に並びます。ですので、どのタイミングで何が起こり、こうなったという経緯がわかるのも、意外と便利な点です。

とくに、クライアントとの「言った言わない問題」については、クライアントとBacklogを使ってタスク管理を行うとすべてのログが残るため、起こりにくくなります。

フリーランスならではの課題 Backlogで解決できる課題
複数のプロジェクトを同時に管理したい タスクごとの進捗状況・期限を一覧化できる
タスクの進捗・担当者を瞬時に把握したい タスクのステータス・期限・担当者をひと目で把握できる
Excelでのタスク管理は管理そのものが手間 タスク管理のための管理は不要
クライアントごとに連絡ツールが異なり、情報が分散しやすい タスクに紐づいた情報がひとつにまとまっているのであちこち探さなくていい
一度確認した事項をすぐに忘れがち Wikiでクライアントごとのストック情報をまとめやすい
クライアントとの「言った言わない問題」をなくしたい タイムスタンプがつくため、いつ・誰が・何を書いたか確認できる

理由2. プロジェクト管理を正確に行える

複数のクライアントとプロジェクトを同時進行していると、「あれってなんだっけ?」と確認が必要な状況が頻発します。クラウド上のフォルダにプロジェクトごとにファイルや情報を格納していますが、確認事項が発生したとき、一つひとつフォルダを開く時間にとてもストレスを感じます。

私がなぜBacklogを使っているかというと、この時間をなくすためです。Backlogを開けばすべてのプロジェクトが可視化されているので、あちこち探すストレスがなくなるのです。

各課題はスレッド形式で1つの課題にあらゆる情報を投稿して情報を集約するため、1つ開けばすべてがそこにあります。タスク管理がうまくいかない背景には、あちこちに分散した情報を確認する手間とストレスがあります。この見えない負荷をなくすことが、プロジェクト管理を正確に行えるカギだと考えています。

Backlogの使い方

個人でBacklogを使う際、どんな使い方をしているかご紹介します。

使い方1. 自分自身のプロジェクト管理に使う

一つの「プロジェクト」にすべてのクライアントの課題を登録しています。以前はクライアントごとに分けて管理していたのですが、あちこち開く回数が増え、見落としが発生するようになったのでやめました。その代わり、課題を登録する際のルールを決めていて、「【~7/1】〇〇〇様、〇〇原稿up」などタイトルを見れば課題の中身がわかるようにしています。

また、ステータスラベルはカスタマイズしています(有料プランのみ可能)。赤枠内の文字が付け加えたラベルで、「保留」「常設」「優先度 高」「先方対応待ち」があります。色々試しましたが、今はシンプルな運用に落ち着いています。

Backlog ステータス

▲ステータスを設定する管理画面。赤枠はカスタマイズしたステータスです

他のラベルは文字通りで、「常設」ラベルはルーティンで行っている業務用です。SNS運用やキャンペーンページ・LPの運用で改善経過ログが必要なものなど、“完了”しない業務につけています。

使い方2. 自分の業務をジャンルに分けて使う

有料プランを使っていると、「プロジェクト」を分けて使えます。私の場合は、5つに分けて使っています。

  • 業務タスク用(メイン利用)
  • 経理・総務用
  • 原稿書き用
  • デザイナーとの共有用
  • クライアントと共有するプロジェクト用(必要に応じて設置)

最初は「経理・総務用」「原稿書き用」も「業務タスク用」に入れていたのですが、タスクが完了するスパンが長く、一覧に残り続けるのがストレスで、別のプロジェクトに分けました。

「原稿書き用」は、取材メモを散らばせずストックして置くためのもの。1つの原稿につき1つの課題を立てます。1記事作成にあたって下記の素材と経緯が発生するため、あちこち行き来しなくていいようまとめています。

  • 進行スケジュール
  • 企画書を立てる前のアイディアメモ
  • 企画書
  • 構成案
  • SEO用のキーワード群
  • 取材メモ
  • 取材前後で集めた資料
  • 書き起こしテキスト
  • 記事用画像(編集済の最終画像)
  • テスト投稿用URL

家とコワーキングスペースで別のPCを使って仕事をしているため、どちらかのローカルフォルダに素材を置き忘れると仕事ができません。それを防ぐためにも、Backlogに集約しています。

使い方3. クライアントとのプロジェクト管理に使う

Web制作などの業務で確認事項が頻繁かつ比較的長期で発生する場合、特定のクライアント用のプロジェクトを設定し、ユーザー登録してこちらを一緒に使っていただくこともあります。

よく作るのは「MTGアジェンダ・議事録」の課題です。ステータスを「常設」(有料版のみのオプション設定)で作ります。プロジェクトのキックオフMTGから完了までひとつの課題に議事録を掲載すると、時系列で検討事項・確定事項が可視化された上に共有もできます。業務の始まりから終わりまで共有できるので、意見のすれ違いや勘違いが起こる頻度は限りなくゼロに近くなります。

MTG用のアジェンダにはzoomのURLも記載しますので、参加メンバーに問い合わせなくても、この課題を見れば全員が確認でき、問い合わせが減る利点もあります。

おわりに

フリーランスとして、プロジェクト管理の効率化は業務成功のカギとなります。Backlogはそのための強力なツールで、個人でもタスク管理やコミュニケーションを一元化でき、複数案件を抱えていても、各プロジェクトを抜け漏れなく管理できるようになります。うまく活用して、プロジェクト管理のスキルを効率的に上げていきましょう。

(執筆:まてぃ 編集:少年B)

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