エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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プロダクトを作るチームにはさまざまな肩書きをもった人がいますが、なかでもマネージャーは特殊な存在といえるでしょう。
デザイナーやエンジニア、ライターなどがスペシャリストであるのに対し、マネージャーはビジネスっぽいニュアンスをもっています。考え方の違いが生まれるのも当然です。
今回は、プロジェクトを順調に進めるために、両者の役割区分や考え方の違いについて、考察していきます。
プロダクトマネジメントとプロダクトデザインは職務上重複する部分が多くあります。
前提としてお伝えしておきたいのは、両者ともにターゲットユーザーへの深い理解、プロダクトのビジョンを遵守する能力が求められるということ。
うまく機能するチームには、共通のゴールとスキルセットがあり、プロダクトマネージャーとデザイナーが緊密なコミュニケーションをとれています。
重複している項目が見られるとおり、両者の仕事に明確な境目はありません。小さなチームやスタートアップではひとりの人物がプロダクトマネージャーとプロダクトデザイナーの役割を担うこともあります。
意思決定を誰がするのかという点が意見の食い違いの要因になるでしょう。日本語的なニュアンスでは、マネージャーが全体を統べプロダクトの商業的成功に対して責任を負い、デザイナーはプロダクトのユーザーエキスペリエンスを良いものにすることに対して責任を負います。
しかし近年では、デザイナー出身のプロダクトマネージャーがいたり、クリエイティブメンバーの影響力が強いチームではプロダクトマネージャーという役割が存在しないこともあります。
両者の間に生まれる争いのひとつは、クリエイティブの質を優先するか、経済的・規模的な効果を優先するかという議論でしょう。
たとえば、制作フローに凝った撮影を取り入れるか入れないかという議論の場において、マネージャーなら人員コストがかかるので、簡略なものにしようと提案するはずです。しかしデザイナーなら、それが世界観をより磨き上げるから撮影を決行したいと話します。
商業的な成功はユーザーの満足抜きにはあり得ませんから、デザイナーの意見は正しいでしょう。しかし、プロダクトマネージャーはビジネスの成否、機能、優先順位、プロダクトの方向性、などの最終決定、ビジネスの成否に対して責任を負います。多方面にとって正しいやり方を選ぼうとします。
デザイナーが十分にリサーチして考案したユーザー中心のデザインアイデアをプロダクトマネージャーが勘、無知な意見によって優先順位を変更したらデザイナーは憤慨します。
プロダクトマネージャーはアイデアをエグゼキューションすることに向き合い、プロダクトデザイナーはアイデアを表現する方法に向き合います。
アイデアのエグゼキューションへの考慮なくして良い表現はできません。
顧客と対面するプロダクトでは売上とユーザーエキスペリエンスに高い相関関係と因果関係があります。一方で、BtoBプロダクトの成功は営業のオペレーション、ビジネスデベロップメント、競合優位性にかかっていると言えます。
プロダクトアイデアを表現する最適なプロダクトデザインは潜在的なユーザーにとって即時にソリューションとなり得ます。しかし、そのプロダクトデザインは技術的に実現不可能もしくは持続可能でない可能性もあります。
プロダクトマネージャーの最たる仕事は、「調整」です。デザイン、デベロップメント、マーケティング、セールス、ファイナンス、オペレーション、エグゼクティブチームの状況を把握し、異なる立場のステークホルダー間の利害調整をします。そのためには継続的にコミュニケーションを取り、トレードオフを実行しなければならないのです。
デザイナーから見て、プロダクトマネージャーが“勘”で決定しているように見えるのは、実はこういうことかもしれません。
また、プロダクトマネージャーは完璧なプロダクトではなく、良いプロダクトを限られた時間内で送り出すことを求められています。効率的に進めながらも、ビジョンをぶらしてしまわないように留意する必要があります。
そのちょうどいいさじ加減は、あらゆる事項を考慮し、感覚的に調整しています。これもまた、“勘”で決定しているように見える原因かもしれません。
優秀なシニアプロダクトマネージャーの場合であれば、決定に関して簡潔にかつ合理的に説明することができますが、誰しもがそういう訳ではないので、デザイナーはプロダクトマネージャーがどのように動いているのか質問し、理解を深めると良いでしょう。
マネージャーはビジネス全体を俯瞰的に観察します。必要なタイミングで必要なものを調達するのが役割です。一方、デザイナーの視点はユーザーに注がれます。しかしあまりに作り込みすぎると、生産的でなくなってしまう場合があります。短期的にユーザーにとって良くない変更でも長期的にはビジネス、そしてユーザーにとって良い場合が多々あります。
卓越したデザインというのは細部へのこだわりが求められますが、過度なこだわりは弱みとなります。ビジュアルデザイナーは度々、エクゼキューションのスピードを犠牲にしてピクセル・パーフェクト(1pxの狂いもなく合わせること)を追求します。
デザイナーはユーザーが抱える問題を解決したいという欲求をもちがちです。これは往々にしてデザイナーを市場のニーズやビジネスゴールを意識していないソリューションに向かわせます。
Facebook、IDEOのデザインリーダーとして活躍してきたリューク・ウッズ氏はプロダクトチームにおいて成功したプロジェクト、失敗したプロジェクトを数多く見てきました。
「効果的な目標の設定こそリーダーが取り組むべき重要なことです。チームの個々の社員にとって目標が明確であればそのチームは有効に機能します。最も良い目標は計測できる定量的なものです。しかし、定性的な目標も重要です」
− ウッズ氏
目標設定は、Facebookのような個々の社員が自律的に問題を解決するスピード感が求められる会社においてはなおさら重要なのです。
目標に向かうための正しい手段をひとつひとつ実行していくのは簡単なことではありません。
プロダクトマネージャーが問題設定を担当し、デザイナーが問題解決のソリューションを策定する担当と分かれている場合は、特に注意が必要。プロダクトマネージャーがデザイナーに機能要件を渡し、デザイナーはソリューションとなるデザインのモックアップをデペロッパーに渡すといった、ウォーターフォールモデルが採用される傾向にあります。しかし、このウォーターフォールモデルのプロセスにおいてはフィードバックの循環がありません。
プロダクトマネジメントとデザインのフィードバックの循環を良くするにはデザイナー自身が現場に行き、実際のユーザーを観察するのがベストです。しかし、スケジュール的にこれを実行するのは難しいもの。
解決策として、フィールドリサーチ、ユーザーへのインタビュー、ユーザービリティの研究をプロダクトマネージャーに任せましょう。その後にチームメンバーが集まり、ソリューション案を徹底的に検討すれば、問題の性質を明確化する助けになるでしょう。
マネージャーとデザイナーの価値観は異なります。そのため、マネージャーにデザインの価値を伝えようとするなら、より丁寧に提示しなければなりません。
たとえば、デザイナーはたびたびプロダクトの特徴に一貫性がないと不満を漏らします。このときデザイナーは、ビジュアルのばらつきを指摘しているでしょう。しかし、プロダクトマネージャーは優先順位をそこに置いていません。
そんなときに、おすすな説得文句をひとつご紹介しましょう。
「一貫性のないデザインは実現に時間がかかります。すでに構築している既存のユーザーインターフェース、ビジュアル、構成にレバレッジをかけることができないのですから」
クリエティビティは煩雑で有機的なプロセスを必要とします。
「作ること」に携わる人は、どこか他者の規律にそぐわない働き方をするしている人が多いです。デザイナーに力を発揮してもらえるように、思索にふけるための場所と時間を用意する必要があります。そんな世話を焼いてくれるマネージャーがいたら最高です。
IDEO、Squareのデザインチームを率い、現在はPinerestに在籍しているミア・ブルーメ氏はデザインの仕事の本質は「思索すること」だと語ります。
Pinterestが世界中に広まっていったとき、ミア氏はデザイナーが思索できる部屋を社内に設けていました。頭の中から繰り出したものを印刷し、壁に張っていたそう。デザイナーが何を考えているのか他者に伝わり、ブラッシュアップの機会を得れたのです。
(翻訳:Sinya Morimoto)