iPhoneXに搭載された顔認証「FaceID」の仕組みについて解説

iPhoneXにて、指紋認証「TouchID」に代わって導入された顔認証システム「FaceID」。誤認識が大きく減少する、悪意を持った他者にロックを解除される危険が減るなど、TouchIDに比べて安全性が高いとされており、今後のApple製品への導入が見込まれています。

この記事では、最新の顔認証システム「FaceID」について、その特徴や仕組みについて解説していきます。

FaceIDの長所・短所

ここでは、TouchIDと比較しながら、FaceIDの長所と短所を紹介します。

FaceIDの長所

FaceIDは主に、認証制度、セキュリティの面で大きく進歩しています。それぞれ詳細に見ていきましょう。

FaceIDの長所(1):認証精度の向上

既存の指紋認証と比べて、誤認証(他のユーザーの顔でロック解除されること)が少なくなります。Appleの発表では、TouchIDが誤認証を起こす確率が5万分の1程度、FaceIDが誤認証を起こす確率は100万分の1程度とされています。実質、TouchIDの20倍の精度といえます。

ロック解除の認証精度はセキュリティ対策の根幹なので、その性能向上は大きな長所といえるでしょう。

FaceIDの長所(2):睡眠中のロック解除防止

FaceIDは目を開いた状態での認証を求められるため、眠っている間に悪意を持った他者からロックを解除される心配がありません。指紋認証の場合、寝ている間にiPhoneの持ち主の指を使って解除される恐れがありました。

お酒を飲んで不意に眠ってしまった(あるいは薬などで眠らされた)ときの安全性が大きく向上しています。

FaceIDの短所

長所1、2のいずれも、セキュリティ向上に直結する機能改善となっています。一方、FaceIDがTouchIDに比べて利便性が落ちたといわれる点もいくつかあります。

FaceIDの短所(1):机に置いたままでのロック解除ができない

FaceIDでは顔を端末の正面に向けて認証を行う必要があります。そのため、例えばiPhoneを机の上に置いたまま指でタッチしてロックを解除するようなことができません。顔を動かして端末をのぞき込んだり、端末を顔の正面に持ち上げる必要があります。

FaceIDの短所(2):横向きでのロック解除ができない

FaceIDは認証情報を端末を「タテ」にした状態で登録しているため、認証時にも顔と端末の向きを揃える必要があります。そのため、端末を横に倒した状態で認証を行ったり、自分が横向きになった状態で認証を行うことが難しくなっています。

FaceIDの短所(3):指紋認証に比べてロック解除に時間がかかる

FaceIDはTouchIDに比べて、ロック解除の時間が若干多くかかります。。またホームボタンを触るだけでロック解除の認証が始まるTouchIDに対して、端末を顔の前に持ってきて顔を認識するという複数の動作が必要なことからも、ロック解除までのスピードはTouchIDには勝てないでしょう。

全体的に、セキュリティを向上させるため、利便性が一部犠牲になっているといえます。

FaceIDの動作原理

続いて、FaceIDの顔認証を実現する仕組みについて説明します。

FaceIDを支えるTrueDepthカメラシステム

Apple公式サイトより引用

FaceIDは、iPhoneXが搭載する被写体の三次元情報取得システム「TrueDepthカメラ」の機能を用いてユーザーの認証を行っています。

TrueDepthカメラは、光学カメラ、近接センサ、ドットプロジェクタ、赤外線カメラなど複数のデバイスを組み合わせたシステムで、これらのデバイスを通じて取得した被写体の三次元情報を用いて、精度の高い顔認証を実現しています。

TrueDepthカメラを活用した顔認証の仕組み

1. 顔情報の登録(初回のみ)

FaceIDの設定画面で、iPhoneを正面から見ながら頭を円を描くように動かします。複数のセンサから得られた情報から、そのユーザーの3次元顔情報を生成して登録します。

顔情報の登録後は、登録した顔情報とロック解除を行うユーザーの顔情報を照らし合わせて顔認証を行います。

2. TrueDepthカメラの起動(顔認証の準備)

ユーザーがスリープ状態のiPhoneを持ち上げたり画面をタップしたりすると、ロック解除の準備のためTrueDepthカメラが自動的に起動、顔認証の準備を始めます。

3. 光学カメラで目を開いた人間の顔が近くにあることを確認

FaceIDによる顔認証は、セキュリティの関係でユーザーが目を開いた状態のときしか行われません。その最初の確認として、端末の正面の人間の顔があること、認証を行うユーザーが目を開いていること、がTrueDepthカメラに含まれるセンサによって確認されます。

4. ドットプロジェクタで3万以上のドットを顔に照射

認証を行うユーザーが目を開いていることを確認すると、TrueDepthカメラに含まれるドットプロジェクタが、3万以上の赤外線ドットを顔に向かって照射します。
赤外線は人の目では見えないので、ユーザーがそのドットを直接見ることはできませんが、顔の各位置に赤外線ドットが照射された状態になります。


▲上記動画の5:50頃にドットを照射する様子あり

5. 赤外線センサで顔の3次元情報を取得。登録された顔情報と比較

顔に照射された赤外線ドットを赤外線センサで撮影、顔の凹凸を含めた三次元情報を取得します。三次元の情報で認証を行っているため、例えば第三者がユーザーの写真を使用して不正ログインするような事態を防げます。

TrueDepthカメラを活用した他機能

TrueDepthカメラは顔認証以外の新機能にも活用されています。今回は代表的な3つの機能をご紹介します。

1. ポートレート撮影機能

TrueDepthカメラは撮影対象の三次元情報を取得しており、被写体(人間)と背景を高精度で識別可能です。そのため、例えば人間と背景を切り分け、それぞれに対して別の画像加工を行う「ポートレート撮影機能」が搭載されています。

これにより、まるで単焦点レンズのカメラで撮影したような本格的な写真を取ることが可能です。また、背景を塗りつぶしたり、ボケ具合を自由自在に変更できます。

2. アニ文字

TrueDepthカメラの顔認識機能で使用者の表情をリアルタイムで読み取り、その表情を反映させたパンダやウサギなどの3Dキャラクターを作成、メッセージなどで使用できます。

アニ文字の録画時には録音も同時にできるため、音声に表情を付けた絵文字として友達などに送ることも可能です。

3. 動画編集

TrueDepthカメラで取得した三次元情報は動画編集にも使えます。撮影した動画から撮影対象となる人間のみを抜き出して、都会や大自然、あるいは映画の中の風景などの背景と合成できます。

まとめ

FaceIDは、誤認証の減少や睡眠時の対策など、既存のTouchIDよりセキュリティの高い認証システムとなっています。

また、インターネットセキュリティの重要性が高まる中、iPhoneの認証以外にも活用が見込まれる技術ではないでしょうか。

今後のFaceIDの進歩にも期待したいところです。

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