エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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製品やサービスのUXを向上させたいときは、ユーザーの生の声を聞くのが一番です。しかし「リサーチのための予算も時間もない……」と困っている人もいるでしょう。
そこでおすすめなのが「ゲリラリサーチ」と呼ばれるユーザー調査の手法です。近年UXデザイン担当者たちの間で「低コスト&ハイリターン」な手法として注目されています。
今回はゲリラリサーチを成功させるための10ポイントを、実際の事例をもとにご紹介します。
ゲリラリサーチは、駅やカフェで「ゲリラ」的に行われるシンプルなリサーチです。新しいアイデアを迅速かつ低コストで検証できます。
まず、製品やサービスのプロトタイプを公共の場に持ち込みます。そしてそこに居合わせた人々にプロトタイプを利用してもらい、簡単な質問に答えてもらいます。そこから得られたフィードバックを、今後の意思決定に役立てるのです。
ゲリラリサーチの主なメリットは下記のとおりです。
とくに製品やサービスがまだ多くのユーザーに知られておらず、機能などの詳細を決めていない段階で、ゲリラリサーチを実施するとよいでしょう。
ここからは実際にリサーチした人の体験談も交えながら、ゲリラリサーチをするときに役立つ10のポイントをご紹介します。
今回リサーチを行ったのは、カナダのプロダクトデザイナーのライス・セレム。セレム氏は法律関係者向けの「タスク管理サービス」を作る際に、以下の2点を調べるためにバンク―バーのカフェでゲリラリサーチを行いました。
まず初めに、ゲリラリサーチで「何を知りたいか?」を決め、目的に沿って質問をいくつか書き出しましょう。書き出すことで、自分の知りたいことがゲリラリサーチ向きかどうかを判断できます。
たとえば複数の回答ができるものや、質問に入る前に長い説明が必要な場合は、従来のWebアンケートでフィードバックを集めるほうが良いかもしれません。
セレム氏の場合は、「弁護士は自分のタスクをどう管理しているのか?」だけに焦点をあててリサーチしました。
次に、書き出した質問を3つにしぼります。質問が多すぎると、ゲリラリサーチに協力してもらえる可能性が下がるからです。
質問を絞るときのポイントは「シンプルな質問」だけを残すことです。
セレム氏は、弁護士へのゲリラリサーチの質問を3つにしぼりました。
もし詳しく聞きたければ、会話の中で自然に聞いてみるか、後日メールなどで追加の回答を依頼しましょう。
ゲリラリサーチに欠かせないのが、製品やサービスのターゲットユーザーが「いつ」「どこに」いるのかです。
可能であれば、カフェや図書館、公園などのターゲットユーザーがくつろいでいる場所が望ましいでしょう。
セレム氏のターゲットユーザーは、弁護士でした。だからといって裁判所の前では、仕事を終えた、またはこれから仕事をする弁護士たちが多いため、足をとめてくれません。そこで休憩中にコーヒーを飲みに来ることを想定して、裁判所の近くにあるカフェで実施することにしました。
ゲリラリサーチをするとき、一つの場所だけでは有用なデータが得られないことがあります。必要なデータが集まるまで、場所を変えて複数回のゲリラリサーチを行いましょう。
セレム氏がゲリラリサーチを始めた当初は、裁判所の周辺のみでリサーチをしていました。。しかし裁判所の周辺は、仕事のため急いでる弁護士が多く、リサーチのために足をとめてくれる人は少ない傾向にありました。
そこでセレム氏は、ゲリラリサーチの場所を「裁判所の中にある図書館」に変更しました。裁判所の図書館は多くの弁護士が研究を行っているので、誰が弁護士かを特定しやすく、適切なリサーチができたといいます。
一か所だけでなく複数の場所を探索したことで、弁護士と話すのに適した場所を見つけられたのです。さらに実際の「弁護士たちのタスク管理のようす」も観察できました。
人々のフィードバックは、メモに残しましょう。
リサーチをするのは公共の場なので、ICレコーダーやスマートフォンによる録音では声がクリアに聞こえづらい可能性があります。だからといって、ターゲットユーザーの前で録音できているかを確認するわけにもいきません。
一番良いのは、メモをとる記録係を連れていくことです。私たちの脳はマルチタスクを処理できないので、「質問係」と「記録係」のように役割をわけるのが理想です。
ゲリラリサーチは、忙しくてその場では質問に答えられない人もいます。そのため必ず名刺を持参しましょう。あとから自分たちのリサーチに興味を持ち、連絡してくれるかもしれないからです。
ただし名刺を渡すタイミングは考えなくてはなりません。会話を始める時に、自己紹介がわりに名刺を渡してしまうと、会社名によるバイアスを与えてしまう可能性があります。
あくまでゲリラリサーチをしている一個人として接し、別れ際に名刺を渡しましょう。
リサーチの内容や目的がわかりやすいように、サイネージ(文字が書かれたボード)を用意しましょう。
サイネージには、次の情報を簡潔に書いておくことが好ましいです。
セレム氏がカフェで調査を行ったときは「コーヒーを一杯おごる」ことをメリットにしました。
しかし最初に用意した画像左のサイネージは、無料の法律相談かと人々に勘違いさせてしまったそうです。修正後はリサーチ目的であることを書いて、ぱっと見たときにわかりやすいサイネージになりました。
左のサイネージには、もう一つ問題点がありました。それは、「Answer a few questions(いくつかの質問に答えてほしい)」と書いたこと。これでは質問が何問あるのかが不明なので、かかる時間も推測できません。
セレム氏はサイネージを「3つの質問に答えてほしい」と具体的な数になおしました。具体的な質問数をだすことで、リサーチ時間の目安を伝えられます。
もちろん質問数を少なくして、質問に時間がかからないことをアピールするのも重要です
サイネージは、人が見える位置におくのが基本です。たとえばカフェなら人通りの多い席に座り、テーブルの上に置きましょう。
またサイネージをただ置いてるだけでは話しかけられません。いつ人が来てもいいように、オープンな態度でいることを心がけましょう。
なお待っている間はノートパソコン等で作業をするのではなく、人が通りかかったら顔を上げるなど、話しかけやすい態度を心がけましょう。
カフェや図書館などでサイネージを持っていても、なかなか話しかけられないことも多いです。足をとめてくれる人がいなければ、自分から人々に話しかけていきましょう。
もちろん、急いでいる人などに無理矢理アプローチしてしまうと、双方にとってストレスになります。
通常の街頭アンケートと同じように、ストレスを感じさせないよう、敷居が低く、時間もあまりかからないことを伝えると協力してもらいやすいです。
セレム氏は、カフェでコーヒー代として15ドルを使い、最終的に6人の弁護士と話すことができました。少ないと感じるかもしれませんが、弁護士の忙しさを考えると妥当な数字と言えます。
セレム氏は今回のゲリラリサーチで、弁護士たちが自分の仕事と法律に関する分野へどう取り組んでいるか、さまざまな学びを得られたといいます。
UX向上に役立つゲリラリサーチ、あなたもぜひ試してみてはいかがでしょうか。
執筆:Dilan Ustek
翻訳:Klara
編集:Riho Sansui
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