Nikeの広告にみるブランド戦略とその歴史

Nike

スポーツウェアやシューズで広く知られるブランド『Nike(ナイキ)』。Nikeは、これまでさまざまなCM、雑誌、さらには公共施設で見かけるような広告を作ってきました。

「Just Do It.(行動あるのみ)」を標語に掲げる同社は、プロスポーツチームや芸能人、大学のアスリートなどを広告に採用し、米国のプライムタイム・エミー賞の広告部門で何度も受賞するなど、多くの成果を上げています。

さらに、Eメールを使った広告プロモーションを業界に先駆けて行うなど、先進的な取り組みを積極的に行ってきました。今回は、そんなNikeと広告の歴史を振り返り、ユニークな広告の例をご紹介します。

Nikeの広告にみるブランド戦略とその歴史

米オレゴン州に本社を置き、世界中に展開しているNike。2015年にバスケットボールのNBAのスポンサーになってから、そのブランド価値は2014年時点で190億米ドルにものぼったそう。

「スウッシュ(勢いよく動く)」のロゴマーク入りのアスリート向けシューズが有名です。

1964年に創業した当時、同社は『Blue Ribbon Sports』と呼ばれていました。現在の「Nike(ナイキ)」という名前は、ギリシャ神話に登場する勝利の女神「ニーケー」から付けられています。

Nikeは「Nike Pro」や「Nike +」「Nike Golf」など数々のブランドを生み出し、あらゆる宣伝を行いました。一番はじめにNikeがテレビCMに出演したのは1982年、ニューヨークマラソンが行われていたときです。それから時代に合わせて広告の改善を続け、1994年と2003年には米国の広告賞『Advertiser of the year』を受賞。当時、この賞を2度も受賞した企業はNikeが初めてでした。

賛否分かれる「Nike 6.0」キャンペーン

Nikeは数々の広告プロモーションを行ってきていますが、そのすべてが人々に喜ばれるものだったわけではありません。

たとえば「Nike 6.0」と呼ばれるキャンペーン中に行った、少し挑戦的な取り組み。それは、エクストリームスポーツ用のTシャツに「Get High」や「Dope」、「Ride Pipe」という言葉をプリントすることでした。

スポーティというよりは、通常は違法ドラッグを勧めるときに使うようなフレーズです。当時米ボストン市長だったトーマス・メニーノ氏が、Nikeが使ったこのような言葉は不適切だとして抗議を行いました。

Nikeはこれに対し、「エクストリームスポーツのPRと違法ドラッグを結びつけるのはおかしい」と反論したものの、結果的にこういった“過激な”言葉の採用は取りやめになってしまいました。

スポンサー企業としてのコラボレーション

2015年6月、NikeはAdidasに代わり、NBAの公式サプライヤーとして8年間の提携契約を結びました。そこで初めて、スポーツの公式戦でNikeのロゴが入ったユニフォームが着られるようになったのです。

これをきっかけとして、Nikeロゴ入りのユニフォームの人気がバスケットボール選手を中心に高まりました。彼らのプロモーションの好例といっていいでしょう。他にもNikeは、元バスケットボール選手のマイケル・ジョーダン氏や、元陸上競技選手のカール・ルイス氏など、数々の有名アスリートやスポーツチームとのコラボレーションを行っています。

2005年からNikeは、インドのクリケットチームの公式スポンサーも務めており、さらにはクリスチャーノ・ロナウド選手、ロナウジーニョ選手、ネイマール選手などのサッカー選手とも密に提携しています。

製品を実際に選手に使ってもらうことが、Nikeにとって一番の宣伝になるのです。

さらに、ゴルフの代表的な選手であるローリー・マキロイ氏とも、2013年に「Nikeのゴルフクラブを利用する」という契約を結びました。

当初、マキロイ選手のキャリアにとってNikeと提携することは「リスキーな選択」だという声もありましたが、結果的には選手にとって良い選択であり、Nikeも大いに宣伝されることとなったのです。

PR会社との提携

Nikeは設立当初、日本のオニツカタイガー(現在のアシックス)などと協働して海外製品の流通を行っていましたが、1976年には更なる宣伝のためにPR会社『John Brown』と提携を結びました。同社は、”There is no finish line(挑戦に終わりはない)”キャンペーンで知られています。

このPR会社との提携によって、Nikeは米国外にも広く知られるようになりました。

また1980年には、米国内の靴市場の50%をNike商品が占めるようになりました。

その後、有名なTVクレジットを持つ『Wieden+Kennedy』とも提携し、同社が他のNikeのPR会社をリードしていくことになります。

実は、Nikeの代表的な標語「Just Do It」を考えたのも、Widen+Kennedyの共同創立者であるDan Wieden氏なのです。この標語は、「21世紀でもっとも人気なスローガン Top5」にも選ばれたほど話題になりました。

はじめてこの標語がテレビCMで使われるようになったのは、1988年7月。以来、Nikeの広告のほとんどにこの標語が掲載されています。

さまざまなスポーツに関連するオリジナル製品が充実してきた1980年代が過ぎ、1990年にNikeは、拠点をオレゴン州のビーバートンにある8棟のキャンパスに移しました。

Nikeのユニークな広告 31選

ここからは、Nikeが今まで宣伝に使ったユニークな広告を31個ご紹介します。Nikeは長年、テレビCMに力を入れてきましたが、一方でプリント広告にも手を抜いていません。

同じ商品を宣伝するうえでも、NikeはテレビCMによってブランドイメージを確立し、プリント広告によって商品の購買意欲を高めるなど、常に別の角度からのアプローチが考えられています。

それでは、Nikeのユニークな広告例を一挙ご紹介します。

JUST DO IT

▲最後のひとつはNikeが制作したものではありませんが、筆者はこれを取り上げるべきだと思いました

まとめ

いかがでしたでしょうか?

スポーツ選手を採用したスタイリッシュな広告から、一見スポーツ製品の宣伝とは思えないような遊び心のある広告まで。一方で、「人気で知名度があるブランドだからこそできる広告手法」といえるものもあるでしょう。

しかし、Nikeのブランドにおいて、プリント広告が大きな役割を果たしていることは間違いありません。Nikeは製品をただカッコよく見せるだけではなく、センシティブな広告で人々に議論を巻き起こさせたり、あえて違和感を持たせるような広告手法を取り入れたりしています。

このクリエイティブさは、他のブランドも学べるところがあるのではないでしょうか。

(筆者: Bogdan Sandu 翻訳:Klara)

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