エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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企業ブランディングに動画を活用するマーケティング担当者から「ショートムービー」が注目を集めています。ただし、下記のような悩みもあります。
本記事では意外と知らないショートムービーの基本を解説するとともに、企業のマーケティング担当者が参考にしたい事例、企業ブランディングに役立つショートムービーの制作ポイントも紹介していきます。
明確な定義はありませんが、ショートムービーとはコーポレートサイト・YouTubeなどで公開する場合は2分以内、SNSで配信する場合は1分以内に収める動画を指します。
「視聴者の心に残るメッセージを短時間で伝えられる」特徴を持つショートムービーは、動画マーケティングに応用して企業の認知度を高めるのに最適。多くの企業担当者から注目されているのは当然といえるでしょう。つまり、本記事で紹介するショートムービーとは、企業がマーケティングに活用する動画を意味します。
本来、ショートムービーはショートフィルムとも呼ばれる短編映画を指し、ストーリーテリング(テーマ・メッセージを物語で伝え、視聴者に強い印象を与える)という映画の手法はそのまま、上映時間を20分程度に凝縮したフォーマット。本記事で紹介するショートムービーとは異なりますのでご了承ください。
ショートムービーは主に企業ブランディングを目的として活用されます。商品・サービスに込められた想い、企業の考え方・理念などを「物語」として伝えることで視聴者の共感・感動を呼び、自社、あるいは自社ブランドのファンになってもらえる効果があるのです。
「動画広告」ともっとも異なるのは、この点にあるといえるでしょう。商品・サービスを直接的にアピールする動画広告は、PR色が強く企業側の都合による一方的な配信という押し付けがましさから、一部ユーザーに抵抗感を与えてしまうリスクも。視聴者が望んでいなくてもネット上やSNSなどに表示される動画広告はマイナスの印象を与えるリスクがあります。
一方、ストーリー形式で間接的に企業イメージをアピールできるショートムービーなら、抵抗感を与えることなく動画を視聴してもらえます。動画再生をユーザーが「能動的」に選択できるのもショートムービーのポイントです。
動画広告が敬遠される傾向にあるのは、一般消費者の意識・行動が、インターネットの普及とともに変化したからだと考えられます。必要な情報は「検索」して探すのが当たり前の現代では、受動的な情報より自らが「能動的」に取得した情報にこそ、ユーザーは価値・信頼を感じるのです。
つまり、ユーザーの能動的な行動を促す間接的な表現で、自社・自社ブランドの信頼感・好感度を高められるのが、ショートムービーを制作する最大のメリットです。
動画再生を能動的に選択できるショートムービーは、SNSとの相性がいいのもポイント。動画に感動・共感したユーザーによるSNS拡散、ブランドへの信頼感・好感度が高まったユーザーからの能動的なアクションが期待できるメリットもあります。
ブランド価値を表すバロメーターでもある「信頼感」「好感度」が高まれば、多くのユーザーを自社のファンとして獲得できます。ユーザーが自社のファンなら、競合よりも自社商品・サービスを選んでもらえる可能性が高まるでしょう。自社の考え方・理念に共感したユーザーなら、一緒に働きたいと考えるかもしれません。
つまり、企業ブランディングに有効なショートムービーは、自社商品・サービスの購入、問い合わせ、採用活動などに活用する方法が考えられます。ただし、ショートムービーの役割は、あくまでもブランド価値を高めること。ブランドの確立が簡単ではないのと同様、ショートムービーを活用した企業ブランディングもじっくりと取り組む必要があるのです。
動画の長さ:1分39秒
140年以上の歴史を持つ「知る人ぞ知る」産業機械メーカー、古河機械金属のショートムービー。創業150年を控え「誰もが知っている」会社へと成長するため、産業機械に「恋する女子高生カナコ」シリーズを展開。
「恋愛ドラマ」という視聴者が共感しやすいテーマを活用することで、「古河気合筋肉」プロジェクトで認知度向上に努めています。ユニークなアイデアが光るのはもちろん、新入社員として就職したカナコのエピソードも含めてシリーズ化。リクルート動画としての側面も持たせています。
動画の長さ:30秒
「角煮まんじゅう」で知られる長崎の食品・贈答品メーカー、岩崎本舗のショートムービー。東京で一人暮らしをはじめた彩佳は、忙しい日常で家族とのやり取りもおざなりになりがちだが・・・映画「こはく」の横尾初喜を監督に起用し、つい忘れがちな家族の愛情を思い出させてくれる作品に仕上げています。
遠く離れたあの人に贈ってみようかな……視聴者にそう感じさせる演出が秀逸です。
動画の長さ:30秒
大阪市に本社を持つ住宅メーカー、積水ハウスのショートムービー。ベースが欲しいけど一歩踏み出せない、そんな女子高校生の背中を押してくれるハマオカモト演じるショップスタッフ。日常のハレの瞬間を支えてくれるのは、いつでも安心して帰れる家なんだ、そんなメッセージを住宅への訴求を一切廃して演出されているのが特徴。
一生に一度買うか買わないかの商材を扱う、住宅メーカーならではのブランディング戦略です。
動画の長さ:1分52秒
独立行政法人中小企業基盤整備機構(SMRJ)のショートムービー。「お手上げスライダー」「戦慄のミッドナイトコール」「月曜、襲来」など、社会人なら思わず「あるある」と苦笑してしまう社畜社員の現状を美術品にして表現。
企業ブランディングとは異なりますが、視聴者の共感を呼ぶことで「働く人を、もっと笑顔に」「日本の中小企業を支えたい」という理念を持つSMRJへの問い合わせを促しています。
動画の長さ:3分
ユニリーバ傘下のビューティーケアブランド「ダヴ」のショートムービー。
3分と少し長めで、あえて外国人のキャストと全編を字幕で構成し、海外ドラマのようなテイストに演出しています。
証言をもとに似顔絵を書き続けてきた警察官。今回、彼が描くのは一般女性の似顔絵。しかし、ひとつは女性自身の説明をもとに、もうひとつはその場にいた他人の説明をもとにしたもの。その違いは・・・自分自身でも気付かなかった美しさを、他人はしっかりと認識している。
「あなたらしさが美しさ」を使命とする、ダヴの考えを証明することで視聴者の感動・共感を呼んでいます。
動画の長さ:2分24秒
航空機・宇宙関連機器も手がける自動車メーカー、スバルのショートムービー。息子との確執を抱えたままの父親。父親と和解したい息子。そんな二人を結びつけたのは父親が大事にしていたスバル、そのスバルを選んだ息子の遺伝子。
どんな家庭でもあるかもしれない家族の絆と葛藤を、わずか2分半に凝縮することで共感・感動を誘う仕上がりになっています。PRを控えながらもスバルをエンブレムをうまく使い、ブランド価値の向上に役立てています。
全体をセピア色の色調にすることでノスタルジーを喚起させ、セリフにはすべて字幕を入れているため音を出さなくても理解できることもポイントです。
動画の長さ:31秒
大手総合建設会社「大成建設」のショートムービー。同窓会の連絡に想いを馳せながらも、未来を向いてシンガポール地下鉄建設プロジェクトに打ち込む女性技術者。だれかの青春を乗せて走る「地図に残る仕事」のやりがいを、アニメというわかりやすい手法で表現しています。
「君の名は。」の新海誠を監督に起用したほか、ナレーションを長澤まさみ、音楽をスキマスイッチが担当。潤沢な予算があってこそ成立するショートムービーです。
以上がショートムービーの参考動画です。長くても3分程度というのがショートムービーの一般的な再生時間ですが、同じように企業ブランディングを目的にするブランデッドムービーでは、もう少し長めの動画活用されます。
企業ブランディングに有効なショートムービーを作るには、短編映画の特徴でもあるストーリーテリングを応用することが基本です。ただし、それだけでは充分ではありません。動画マーケティングに活用することを念頭に、制作時に押さえておくべきポイントがあります。
ショートムービーの主な目的は企業ブランディングです。しかし、商品・サービスの購入、採用活動など、企業ブランディングの目的や最終的なゴールはさまざま。必ずしもショートムービーを作るのが正解だとは限りません。まずは、企業ブランディングの目的・ゴールを明確にし、それを達成するのにショートムービーが本当に最適な方法なのか?じっくりと検討することが重要です。
ショートムービーの制作が最適だと判断された場合でも、事前に企業ブランディングの目的・ゴールをしっかりと掘り下げておけば、表現すべき動画の方向性も見えやすくなるでしょう。ゴールへの道筋・動画に必要な要素が明確なら、コーポレートサイトなのか?SNSなのか?公開するための最適なメディアも選定しやすくなります。
企業の想い・考え方・理念などをストーリーテリングの手法で伝えるショートムービーは、一見、だれにでもアピールできると考えがちです。しかし、想いを込めた商品・サービスにはターゲットとなる消費者がいるはずであり、採用活動でもターゲットとなる求職者が存在します。
つまり、メッセージを伝えることで、だれの心を響かせたいのか?ショートムービーの対象となる明確なターゲットを設定しなければなりません。
制作したショートムービーに興味を持ってもらえるよう、動画の内容・表現方法を、設定したターゲットに応じて最適化することも大事です。
そのためには、ターゲット像を年齢・性別・趣味・嗜好などを含めたペルソナ(典型的なユーザー像)のレベルまで落とし込み、メッセージをどのように動画で表現したら共感・感動を呼べるのか?ターゲットの立場で考え抜いていくことが重要です。
コーポレートサイト・YouTubeで2分以内、SNSで1分以内が、ショートムービーの一般的な尺(動画の長さ)であることは解説しました。しかし、マーケティング関連ツールの大手ベンダー「HubSpot」社の調査によれば、メディアごとに最適な動画の尺は、Twitterで45秒、Instagramにいたっては30秒だとされています。
あくまでも目安ではありますが、ショートムービーは短くまとめた方が効果的であるのは間違いありません。
このような短時間でも視聴者に響く動画に仕上げるには、ショートムービーで伝えたいメッセージをひとつに絞るのが肝心です。本当に重要なメッセージだけを限られた時間内で丁寧に表現すれば、伝えたいメッセージが多すぎて焦点がぼやけてしまう、結局だれの共感も得られなかった、といった動画制作でよくある失敗を回避できます。
本記事では、意外に知らないショートムービーの基本から制作ポイント、制作時の参考にしたい事例までを網羅的に解説してきました。最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。
◎ショートムービーとは?
◎ショートムービーを制作するメリット
◎ショートムービーの活用方法
◎ショートムービー制作時のポイント
消費者の意識・行動が変化しつつある現代だからこそ、自社・自社ブランドの価値を高めるのが重要。ユーザーの共感・感動を呼び、ブランドへの信頼感・親近感を築けるショートムービーは、その意味において非常に有効なマーケティング手法です。
(執筆:梓澤昌敏 提供:動画幹事)