エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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雑誌の媒体資料の読者像は、カスタマージャーニーやペルソナ作りのサンプルとして参考になります。
女性誌では数才刻みでターゲティングが異なったり、読者像に説得力をもたせるためのアンケート設問など、差別化のための工夫が凝らされています。
この記事では女性誌の媒体資料を参考に、ペルソナ設計について考えていきます。
まずは、ペルソナを設定する目的をおさらいします。
ライフスタイルが多様化し、以前のような「20歳から34歳の女性=消費意欲旺盛で流行に敏感」といった画一的なマーケティングが通用しなくなっている状況があります。
そのため、ターゲットとする層の好みや行動パターンなどを加味し、実在の人物であるかのようなユーザー像を描き出す=ペルソナを設定し、多角的なマーケティングの材料にします。
ペルソナの設定よりユーザー視点を持ちやすくなるほか、ユーザーがどのように判断し、行動するかを想定しやすくなります。その結果、今まで以上に精度の高いマーケティングが可能になります。たとえば、広告を展開する際にペルソナの生活パターンやその商品(サービス)の利用シーンを考慮すると、より効果的な媒体(タッチポイント)の選択やメッセージの設定ができます。
ペルソナの失敗パターンとしてよく挙げられるのが、データに基づかず頭の中だけで「なんちゃってペルソナ」を作ってしまうことです。本来、ペルソナ設計にあたっては、以下の3ステップで示したように、データ収集や分析のフェーズが入ります。
まず大まかなターゲットを設定します。例えば、年齢や性別などの属性で顧客をグルーピングしたものなどがあります。ターゲットを絞り込めば、データ収集の負荷が減ります。
必要となるデータは、数値や割合で表せる「定量データ」と趣味嗜好や価値観のように数値では表せない心理や行動を表す「定性データ」の2種類があります。
集めたデータからデモグラフィック(人口統計学的属性)、サイコグラフィック(心理学的属性)を分析し、それを元にペルソナの人物像をできるだけ詳細に詰めます。
前段で紹介した「ターゲット設定」「データ収集」については、比較的スムーズに進むかと思います。しかし、難しいのは「データを分析し、ペルソナに落とし込む」ではないでしょうか。
そこで参考にしたいのが「雑誌の媒体資料」です。雑誌ではコンセプトやターゲットを明確にし、他誌との差別化を図って販売増を目指すマーケティングを行っています。それを具体化しているもののひとつに、出版社が広告主に出す「媒体資料」があります。営業資料という側面から、出版社のWebサイトから媒体資料をダウンロードできるケースもあります。
出版社サイドが考える読者層は属性以外に趣味嗜好や行動に触れたものも多く、ペルソナに相当します。読者からアンケートで集めた情報は定性、定量データを使って媒体資料にどのようにまとめ、広告主にアピールしているのかをチェックすれば、「ペルソナへの落とし込み」の参考になります。
こうした観点から、各誌の媒体資料を見ていきます。
『日経WOMAN』の媒体資料では、読者の「ペルソナ」を以下のように定義しています。
【定量データ】
年齢・年収・居住地域の定量データを円グラフで表し、サマリーをそれぞれまとめています。
【定性データ】
定量データは数字や割合で表せますが、趣味・嗜好・行動パターンなどの定性データでは、「向上心があり、自分磨きに意欲的」「自分らしく幸せに働きたい」と言うために、どのような根拠があるかが説得力を左右します。
『日経WOMAN』では「読者意識調査」という名目のアンケートで、以下のような設問を設定しています。「流行を追うのではなく、自分のこだわりを大事にしたい」66.8%や「食生活に気を使っている」58.4%などは、「自分らしく幸せに働きたい」の根拠と言えそうです。
質問項目を大分類し、その中で細かい内容を追加していくと定性データを導き出しやすくなります。
創刊から115年を数えるラグジュアリーメディア『婦人画報』。読者層は経済的ステータスが高く、消費行動の多い女性が中心ですが、“社交性・教養・伝統美”といった「意志のある消費」を表す項目と結びつけ、“知的でアクティブ”という他誌とは一線を画する独自性をアピールしています。ここでは『日経WOMAN』との比較で、一歩進んだ媒体資料の作り込みを見ていきましょう。
定量データ収集にあたって、『日経WOMAN』では居住地を「一都三県」していますが、『婦人画報』では商品の購入先・エリアを具体的に「銀座・丸の内」44%とすることで、ブランド企業にアピールしています。
また、属性データでお金があり高級志向であることを示すだけでなく、ライフワークの充実=旅行や飲食といった、いわゆる「コト消費」も意識的かつ積極的に行っていることを示しています。
リサーチャーの菅原大介さんによる人気記事「人気雑誌の媒体資料に学ぶ、独自性と差別化の表現力」で指摘されているように、経済的ステータスだけのアピールは、ターゲットを狭め扱う商材を狭めるなど、最終的に没個性になってしまいます。そこに定性データで「意思がある消費」を示すことでで、『婦人画報』の独自性「経済的ステータスが高く、知的でアクティブ」を引き出すことに成功しています。
本記事作成にあたり各女性誌の媒体資料を見ましたが、上記の記事で菅原さんがイチオシされている『mina』の媒体資料は特に充実しています。他誌が数才刻みで読者設定している所、『mina』は(Over)26才と限定していて、なぜほかの年齢ではなく26才なのか?25才までとステータスや趣向・行動がどう変わるのかを説得力を持って示しています。
女性誌は読者のターゲティングが細かいことから、媒体資料でも他誌との差別化を意識的に行っています。そのためには、読者像の属性に始まり、どういう趣向・行動を持ち、それに対してどのような特集やコンテンツで応えているかを、説得力をもって示さなければなりません。
各誌の媒体資料を読み解くことで、説得力をもたせるためにどういうデータが必要で、設問はどう工夫したかなどが見て取れます。データの収集や分析に基づくペルソナ作成の参考に、一度眺めてみてはいかがでしょうか。
(執筆:マナミナ編集部 提供元:マナミナ)