Workship MAGAZINEの人気連載「健康で文化的なADHDフリーランスのお仕事ハック」が書籍化されました!
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RLSAとは、Googleが提供する広告サービス『Google広告』や、Yahoo!が提供する『Yahoo!プロモーション広告』などの広告配信機能のひとつです。
さまざまなサイトを閲覧していると、自分が検索した商品の広告や、よく訪れるサイトに準ずる広告を目にする機会が多いと思います。このユーザーの趣向にマッチした広告を、効率よく配信するシステムこそがRLSAです。
カスタマイズ性やコンバージョン率が高いことから、多くのWebメディアやブロガーに利用されています。
では、RLSAとは一体どのようなもので、どのように運用するべきなのでしょうか。今回は、RLSAの機能や設定方法、運用のメリット/注意点をご紹介します。
RLSAとは、「Remarketing Lists for Ads」の略で「リマーケティングリストを活用した検索連動型広告」を指します。RLSAはリマーケティングリストを活用して「一度自社サイトに訪れたことのあるユーザー」に対して効果的な広告を表示できます。
要するに、過去にサイトを訪問したユーザーをターゲットとして、そのユーザーにマッチした広告を表示できるのがRLSAです。
サイトに訪問したことがあるユーザーは、初めてサイトに訪問したユーザーに比べコンバージョンが高い傾向にあるので、使いこなせば効果的な機能です。
RLSAの設定方法を以下の2つについてご紹介します。
- 広告管理ツール画面右上の「ツール」をクリック。
- 「共有ライブラリー」の「オーディエンスリスト」をクリック。
- 左サイドメニューの「オーディエンスソース」をクリック。
- 「オーディエンスリストターゲティング利用時の遵守事項」にて規約の内容を確認した上で、「同意する」にチェックを入れ、「サイトリターゲティングタグの取得」ボタンをクリック。
- 「カスタムオーディエンスID(リターゲティングID)」、および「サイトジェネラルタグ・サイトリターゲティングタグ」が表示。サイトジェネラルタグ・サイトリターゲティングタグをコピーする。
- 5でコピーしたタグを、サイト内全ページの終了タグ</body>の直前に貼り付け。
- タグを貼り付けたファイルを保存しアップロード。
(出典:Yahoo!広告ヘルプ)
YahooのYDN(Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)でリターゲティングをおこなっている場合、RLSA用のタグ発行、設置が必要です。詳しくはYahoo!広告のヘルプページで説明されていますので、こちらもご覧ください。
ターゲットリストとは広告を訪問したユーザーのリストのこと。RLSAを利用するには、広告を配信したいユーザーのリストを作成しなければなりません。ターゲットリストには次の3つの種類があります。
ターゲットリストの種類 | 概要 |
ターゲットリスト(デフォルト) | サイトリターゲティング用タグを設置したページを訪問したすべてのユーザーのリスト。 |
ターゲットリスト(条件) | ターゲティング対象とするユーザーを設定した任意の条件で抽出したターゲットリスト。 |
ターゲットリスト(組み合わせ) | ターゲットリスト(デフォルト)とターゲットリスト(条件)のいずれかを複数組み合わせてターゲティング対象とするユーザーを抽出したターゲットリスト。 |
ターゲットリストの作成におすすめのツールはGoogle Analyticsです。Google AnalyticsをYhoo広告と連携させて正確な計測結果を得るために「パラメータ設定」をすると良いでしょう。パラメータ設定をするには、URLの後ろに「?」をつけて、次のようなパラメーターを配置します。
パラメータ | アナリティクスの反映先 | 機能 | 設定例 |
utm_source | 参照元 | 媒体の名称やどのような広告かを表示。 | 「Yahoo!広告」の場合:utm_source=yahoo |
utm_medium | メディア | 媒体の種類を表示。 | 「ディスプレイ広告」の場合:utm_medium=display |
utm_campaign | キャンペーン | キャンペーンの識別。 | 「2022年サマーセール」の場合:utm_campaign=summer_2022 |
utm_term | キーワード | 検索キーワードの設定。 | 「フリーランス」の場合:utm_term=freelance |
utm_content | 広告コンテンツ | 複数の広告を比較して効果を検証。 | バナー広告1とバナー広告2を比較する場合:utm_content=banner_A、utm_content=banner_Bを各々に設定 |
ユーザーリストを作成したら、次は広告が掲載されるターゲットのユーザーを設定します。しかし、使用するRLSAによっていくつか異なる点がありますので注意してください。
Yahoo!プロモーション広告の場合は、配信対象ユーザーを「ターゲットリストのユーザー」もしくは「全ユーザー」から選べます。
この場合、既存の広告グループにRLSAを追加するのではなく、新たにRLSA用にキャンペーンもしくは広告グループを分けるべきです。そして、RLSAを適用していないキャンペーンまたは広告グループよりも高い入札価格を、「ターゲットリストのユーザー」に設定して運用するのが望ましいです。
RLSAに限らず、リマーケティング広告は設定して終わりではありません。広告が費用に見合う効果を出しているか、動向を日々分析することは大切です。検証は「ターゲティング」の中の「ターゲティングリスト」から確認できます。
しっかりとモニタリングして、状態によってはユーザーリストの条件幅を広くするなど、臨機応変に対応していきましょう。
RLSAを利用するために広告を配信したいユーザーのリストを作成します。
Yahoo!広告同様にユーザーリストの作成にはGoogle Analyticsが利用できます。Google広告でもできますが、Google AnalyticsがGoogle広告と連携したほうが比較的簡単に設定できます。(連携方法についてはGoogleのヘルプページでアナウンスされているので、詳しくはこちらをご覧ください)。
なお、ユーザーリストの作成はキャンペーン単位からでも設定できます。手順は以下の通りです。
次は、使用するRLSAによっていくつか異なる点があることに注意しながら、広告が掲載されるターゲットのユーザーを設定します。
Google広告の場合は「掲載先の絞り込みと入札単価」と「入札単価のみ」から選べます。
使い分けの基準は、RLSA用にキャンペーンや広告グループを分けた場合「掲載先の絞り込みと入札単価」に、既存のキャンペーンや広告グループにRLSAを追加する場合は「入札単価のみ」に設定しましょう。
Yahoo!広告同様に費用に見合う効果を出しているか、日々の確認/検証が大切です。上部タブの「ユーザーリスト」から確認できます。
ターゲット設定には「ターゲティング設定」と「モニタリング設定」の2つがあります。順に解説していきます。
ターゲティング設定は、キャンペーンに関連づけてキーワードでターゲティングした層をさらに条件を追加して絞り込む方法です。たとえば、「本」のキーワードで広告を掲載したとします。広告主が医療本を販売している場合、絵本やゴシップ本を購入検討している人々に表示されると、無駄なクリックにより課金がされてしまう可能性があります。
医療に関心のあるユーザーをターゲティング設定で関連づけて絞り込むと、見込みのあるユーザーにより表示されやすくなるのです。
一方、モニタリング設定ではターゲットを絞り込みません。キャンペーンにおける特定層の入札単価、分析、検証などに利用されます。具体例をあげると、広告主の設定したキーワードで検索するユーザーの中には以前にページを訪問した人(リピーター)が含まれています。リピーターは新規で訪れるユーザーよりも商品に関心があると推測できるのです。
たとえば、モニタリング設定でリピーターを設定すると、全体の検証結果に加えてリピーターに絞った結果が確認できます。また、モニタリング設定したもののみ入札単価を上げて広告を表示させることもできます。
ここからはRLSAの活用方法をご紹介します。
RLSAによって既存顧客にターゲットを絞って配信することで、入札している広告主が数多く存在し、広告費が高く売り上げに繋がりにくいキーワードにも効果的に広告を配信できます。これは、季節のトレンドになるワードや、需要が高く競合が多いワードなどのビッグワードでも、上位表示を狙えることを意味します。
一度訪問したユーザーに対してのみ上位掲載ができるため、無駄なクリックを減らして費用対効果を改善できます。通常の検索広告では出稿できないキーワードに、ぜひ挑戦してみましょう。
RLSAでは、広告文やLPを設定できるため、新規顧客向けの広告と既存顧客(リマーケティングユーザー)向けの広告を分けることが可能です。
例えば、「レディース トレンド 服」というキーワードで検索した場合、新規顧客には購入のハードルが低いセールに関する情報を、既存顧客(リマーケティングユーザー)には上下のセットアップやコーディネート特集など、売れづらいが高い売り上げが見込める情報を宣伝できます。
つまり、新規顧客に対しては、セールなど比較的なじみやすい広告を、既存顧客(リマーケティングユーザー)に対しては、セット販売や定期購入を促す広告を表示できるのです。
RLSAはリスティング広告などの検索広告と比べると、コンバージョン率が高い傾向にあります。Googleによれば、ヨーロッパでタイヤのオンライン販売を手がけるタイヤショップ『Tirendo』は、RLSAの導入によってコンバージョン率が161%向上し、結果として総売上が22%増加したとのこと。
RLSAはプレミアムポジション(検索広告部分)に表示するように広告を配信するため、通常の価格より入札単価を上げることが大切です。
なぜなら、すでにサイトを訪問し、商品に興味を示したユーザーに強くアプローチできるため、通常の検索広告より高い単価を設定しても利益がでやすい傾向にあるから。
たとえば、「野菜ジュース」というキーワードを検索した場合、過去にサイトに訪れたユーザーには入札単価を15%引き上げて配信し、過去に購入したことがあるユーザーには入札単価を30%を引き上げて配信することが可能となります。
ユーザーの訪問履歴をもとに地域やデバイス、時間帯などのデータを分析し、入札単価を調整しましょう。
ディスプレイ広告でリマーケティングを設定する際、通常100件以上のCookieで利用ができます。しかし、RLSAの場合リマーケティングリストの設定には1000件以上のCookieがないと設定すらできません。つまり、ユーザーが少ないリストの場合、RLSAでは使えないことになります。
プライバシー面の理由で、年齢、性別などのデモグラフィック情報、また言語、地域、OS、ブラウザ、デバイスなどのセグメント情報はRLSAでは使えません。扱える情報は、Cookie利益に基づく訪れたサイトの履歴や趣向のみとなっています。
また、昨今はプライバシー保護の観点からCookieの使用が規制されつつあり、訪問したユーザーにCookieの使用許可を得ることも求められるようになりました。そのため、将来的にはCookieを活用するRLSAは利用できなくなる恐れがあります。
一般的に、ユーザーリストごとに入札価格の調整や広告訴求ができるRLSAは費用対効果が高いといわれています。
しかし、ユーザーのターゲティング精度はユーザーリストの質に左右されてしまいます。一般的にリワード目的でリワード広告が施工されているサイトから来たユーザーや、コンテンツターゲット経由でサイト訪問したユーザーなどはコンバージョン率が低い傾向にあります。
そのため、これらのユーザーがユーザーリストに多く含まれるとリストの質が低くなり、ターゲティング精度も低くなります。
RLSAなら、コンバージョン率を高め、ビッグワードも含めて効果的な広告配信ができます。一方、1000件以上のCookieを要することや、プライバシーの観点からCookieの規制がほぼ確実になっていることは懸念点です。
Web広告の世界はトレンドの移り変わりが早いので、マーケターの皆さんはぜひ最新の情報をキャッチアップするようにしてください。
(執筆:ばち 編集:Workship MAGAZINE編集部)