ブランド構築に”ストーリーテリング”を用いた事例紹介:Kookey(バナナスナックブランド)

ブランド構築に”ストーリーテリング”を用いた事例紹介:Kookey(バナナスナックブランド)

Kookeyはバナナをフィーチャーしたインドネシアのスナックブランドで、子供の日々の間食習慣をより健康的なものにすることを目的としています。商品のラインナップは、バナナケーキ、バナナアイスクリーム、バナナジャムなど。全ての商品は、美味しさと健康的な栄養バランスをうまくとっています。

ターゲットに向けてこのような商品をマーケティングするために、「ストーリーテリング」を用いたマーケティング戦略を立てました。この記事では、その一部始終を紹介していきます。

 課題

私たちのクライアントは従来型のビジネスオーナーで、食品業界に関しては豊富な知見を持っていましたが、プロダクトを広めるためのマーケティング手法についてはあまり詳しくはありませんでした。つまり、市場における商品ブランディングの立ち回りについて深い知識がなかったのです。そこで私たちは、まず市場に入り込んでいく戦略を立てる必要がありました。

私たちが最初にしたことは、食品市場を理解することでした。

私たちの市場研究

インドネシアの都市部の市場において、商品の対象となる可能性のあるマーケットが2つ存在しました。

  1. 健康志向があり、趣味に熱中しやすい大人(主に若い女性で、食べ物やフィットネスに興味がある層)
  2. 健康志向な両親をもつ、間食好きの子供

1. の層に関しては、大型ブランドによる既に成熟した市場と商品が存在しているばかりか、小規模なホームビジネスさえも競争に参入していました。既に存在する他の商品と比べて特筆すべきポイントがない中で、この市場に直接参入していくには、大きな資本が必要でした。

そこで、クライアントと議論を重ねたのち、2. の層をターゲットにすることが決まりました。

通学時にパンケーキを覗く少女 | dailymail.co.uk

もう1つの課題

この市場は将来有望に見える一方で、それを征服するのは決して簡単ではないチャレンジです。インドネシアでは、子供は一般的なスナックだけでなく、伝統的なスナック(ストリートスナック)を選ぶこともできます。伝統的なスナックは、衛生面では高いリスクを持つものの、その安価さゆえ子供達に非常に親しまれているものでした。

こうした要因により、私たちの新しいブランドが市場に参画するのは非常に難しいことでした。

ここで、私たちは以下のような問いを立てました。

「安価で手の届きやすいストリートスナックが子供たちに受け入れられている中で、子供たちを私たちのブランドの大ファンにさせるにはどうしたら良いだろうか?」

2000年中頃にインドネシアでブームとなった、スナックに付属された玩具。マクドナルドのハッピーセットと同様の効果を持っているのではないか

調査の結果と方向性

調査を重ねた結果、子供達はより”コンテンツ”のあるスナックを買う傾向にあることが分かりました。コンテンツとは、ここではスナックそのもの以外のことを指します。それはスナックのおまけの玩具や、人気のキャラクター、そしてスナックに付随するストーリーです。

子供たちは、コンテンツが面白いものであれば、そのスナックがどれほど美味しいか、またそれがいくらするのかには関心を持ちません。彼らは、両親におねだりして何とかそれを手に入れようとするのです。

この調査の結果から、私たちは戦略を立て始めました。まず、子供達に関係のあるコンテンツで消費者の心を掴まなければなりません。そして、顧客である母親たちに対して、我々の商品の健康的な価値を伝える必要があります。要するに、子供達にはストーリーを、母親たちには健康をプロモーションすることにしたのです。

Kookeyの世界観の紹介

プロセス

私たちはスナックの「世界観」を顧客のためにつくることにしました。その世界においては、可愛い見た目で心の温まるキャラクターの、シンプルな闘争を巡るストーリーラインが中心となります。そこで、ストーリーラインをデザインすることから始めることにしました。

ストーリーライン

私たちは、バナナの発展に関わる事実や神話に非常に刺激を受けました。バナナは、ニューギニアの高地で最初に発見され、古代の部族によって育てられました。いくつか聞いた話の中では、バナナは魔法のような果物とされていて、神がかったパワーを持つとまで言われていたのです。

メインキャラクターの詳細スケッチ

一方で、バナナを育てるのは現代において難しくなってきているという事実も発覚しました。昨今の土壌汚染が、バナナの木を枯らしてしまうというのです。

しかし、現在スーパーに出回っているバナナはキャベンディッシュと呼ばれる品種で、これまでバナナを枯らしていた病気に対して免疫を持っている品種なのだそうです。

補佐的キャラクターのドラフト

こうした神話や事実から「世界中の最後のバナナの木が死に、種だけ残っているという状況になったとしたら?」というアイデアを思いつきました。このアイデアは、面白いストーリーラインと良いキャラクターを生み出すにちがいないと思ったのです。

そこで、ストーリーのためにキャラクターのスケッチをすることから始めました。子供たちに愛され、バナナと一目でわかるキャラクターを目指します。この段階で、いくつかのデザイン案をスケッチしました。

いくつかスケッチを試したのち、最終的にメインの主人公であるMakeyが決定しました。Makeyはパプ部族の選ばれし息子で、村に残った最後のバナナの種を継承しています。バナナの木を再生させるために長い旅に出るよう、長老によって選ばれたMakey。長い瞑想ののち、最後のバナナの種を育てるために神聖な土が必要なことを先祖の精神から発見し、Makeyは長い旅路につくこととなります。

彼は、バナナの騎士、ナナ王妃、ウツクヘクという3人のキャラクターに、3つの異なる王国で出会います。それぞれの王国の中で、Makeyはそれぞれのキャラクターを救出し、神聖な土を探しつつも彼らの様々な難題をクリアしていきます。

最終的に、Makeyはバナナの種が育つとKookeyの商品になることを発見します。

王国1:グララランド

砂糖でできた土地で、Makeyは王国を征服し全ての砂糖を奪おうと企んでいる海賊たちからグララ王妃を救う使命があります。Makeyの助けにより、グララ王妃(インドネシア語でグララは砂糖を意味します)は遂に海賊たちと平和協定を結び、王国の砂糖のバランスを維持することができます。

そして、王妃はMakeyにバナナの種を王国の甘い土地に植えることを許可します。Makeyが神聖なる儀式を行うと、バナナの木が育つ予定でした。しかし、土地の砂糖含有量が多すぎて、果実がバナナケーキの形で実ってしまいます。これがKookey商品の甘さと栄養素を紹介する最初のストーリーです。

王国2:炎の大地

炎の大地では、Makeyはバナナの騎士と炎のドラゴンの果てしない戦いに参加することになります。この戦いは、一昔前から続いているものです。しかし純粋な子供であるMakeyは、ドラゴンと戦う代わりに両者の平和協定を調整する仲介者になろうとします。彼は友達を呼び、ドラゴンと話をしようと試みます。話をすることが難しいわかると、彼らは音楽を奏で始めます。するとどうでしょう!ドラゴンとバナナの騎士は一緒にダンスを踊り始め、暴力の他にも問題を解決する方法があることを悟るのです。Makeyが音楽や歌、ダンスを彼らに紹介したことに感謝し、バナナの騎士と炎のドラゴンは、炎の土地の耕作に適する場所にバナナの種を植えることをMakeyに約束するのです。

MakeyとMakeyの友人が神聖なる儀式を行うと、バナナの木が再び育ちます。しかし、炎の土地は温度が高く、バナナの実はバナナジャムに育ってしまいます。これが、Kookey商品の豊かなバナナ味を紹介するストーリーです。

Kookeyが氷の土地アイスランドからきたUthuqaqと出会うシーン

 

王国3:エスキバナ(Eskibana)

ストーリーから派生したパッケージラベルの初期スケッチ

最後に

クライアントの都合でプロジェクトは遅れましたが、私たちは最終的な成果に非常に誇りを持っています。ストーリーを構築することで、ブランドが成長するのを手助けできたと思います。ブランドが新しい商品ラインを作ったとしても、私たちが構築した世界観に合わせてまたストーリーを作る努力をすれば良いのです。

パッケージラベルの最終デザイン

何人かの子供たちに、私たちのストーリーとキャラクターを見せてテストをしたところ、ポジティブなフィードバックが返ってきました。消費者にとって重要なコンテンツをつくるのに、ストーリーという要素は必須であるという確信が得られました。今後、ブランドと消費者を繋げるのに非常に役に立つことでしょう。

以上、Kookeyのストーリー構築についてご紹介しました。あなたのブランドでストーリーテリングを立ち上げるにあたり、私たちの事例がクリエイティビティを刺激してくれることを祈っています。

(翻訳:Mariko Sugita)

SHARE

RELATED

  • お問い合わせ
  • お問い合わせ
  • お問い合わせ