「専門スキルを伸ばす VS 幅広い領域に挑戦する」フリーランスの生存戦略討論
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AI(人工知能)がデザイナーやデザインに対してどのような影響を及ぼすかは、デザインを生業とするクリエイターにとって重要な論議です。近い将来、一体どのようなチャンス、または脅威が待ち受けているのでしょうか。
2018年から未来にかけての展望をまとめました。
目次
未来学者のトーマス・フレイは、世界的カンファレンス「TED」でのプレゼンで、2030年には2億もの職種がロボットによって代替えされると語っています。この2億という数字は、世界の職種の半分もの数字です。
Uberによる自動運転車、ドローンによってAmazonの荷物を運ぶ、チャットボットがカスタマーサービスを行うなど、すでに一部では試験ベースで導入を開始している企業もあります。
巷では、近い将来にAIによって奪われる仕事は、肉体労働や宅配業、受付、ジャーナリストなどだといわれています。現状、デザイナーにその戦火が降りそそぐことはないと考える人は多いです。ロボットでは表現できない、他者に共感されるような緻密なデザイン設計が求められるからです。
しかしどうでしょう。AIはより多くのデータを収集すればするほどそのクリエイティブな精度を上げていきます。手慣れたデザイナー達がデジタルデバイス上で繰り広げるデザインプロセスがデータとして集積されていけば、いつしかAIにも同じことができるようになるというのは自明の論です。
真っ先に失われるのはタクシーでも配達業でもなく、デジタル産業に関わるすべての職業かもしれません。
AIを使ったWebデザインシステムであるThe Gridは、サイトモジュールやインタラクションシステムなどWebサイトの発展やデザインシステムに必要な基盤設計をAIが行うようになると明言しています。それは衝撃的なことでした。
デザイナーは直ちに「人間にしかできないデザイン」を明確にし、そのスキルを磨く必要があります。AIにはできなくて、デザイナーができることは次のようなものです。
では、将来、AIとどのような作業を分担して働くことのなるのか、その可能性について、議論していきましょう。
デザイナーは、現状把握をしながら、作業ペースを配分する必要ががある仕事です。納期に間に合わせるために、この期間、集中して解決しなければならない分野を汲み取り、彼らの作業の20%を人口知能に任せるということもありだと思います。ただ、画像のトリミング、素材のリサイズ、カラコレなど、人間が実際に目で見て、確実なデザインを掲示しなければならない作業は、旧式のフォトショップには不可能だと言えるでしょう。
では、そこにAIを組み入れたならどうでしょうか。
最近発表されたAdobe Senseiは、まさにデザイナーの右腕となって作業効率化の手助をしてくれる人工知能と言えます。たとえば、Scene Stitch機能はストックフォトから複数の合成パターンを提案し、モノクロ画像に、コンテンツに応じた着色を行ってくれます。
コンテンツに応じた切り抜きや角度修正も行ってくれるので、写真修正も容易にしてくれます。
また、Netflixの自動翻訳機能は、動画コンテンツの世界基準化を可能にしました。デザイナーが言語ごとに合わせて多種多様なバナー制作を行いたいと考えた時、数百ある言語ごとのデザインレイアウトをAIに任せれば、その分の時間を別の作業に当てることができます。
この機能を生かして、最近、宿泊施設・民宿をレンタルを可能にしている「Airbnb」が、AIを活用して、デザイナーが紙上に書いたデザインのコード化を行う動きを活発化させています。
この機能により、デザイナーは将来的に、戦略的な商品設計をより、効率的に行うことできるようになるのです。もちろん、完璧に機能するのようにするまでには、あと数十年かかる可があることを念頭に置いてください。
定義したデザインシステムを活用して、ユーザーがどのような経路で、自分たちのサービスを利用しているか分析を行い、効果的な機能を基に、戦略的なレイヤーを組み立てられるようになるでしょう。
スタートアップ企業の場合、ユーザーに提供する商品のデザインを改善し続け、よりユーザー思いのシステムを提供する必要があります。AirBnbやGoogle、IBMはデザインシステムを基にしたデザインチームを再定義し、その機能を事業に活かしています。
人工知能は、あなたがデザインの専門用語、パターンやモジュールなどのデザインシステム、ブランドや商品に共通するデザイン言語に精通していない場合は、大いに役立ってくれるはずです。
WixやSquarespaceのようなWebサイトビルダーは、知識が全くなくても、ユーザーが簡単にサイトデザインを組み立てられるようなシステムを組み込んでいます。その作業過程に、The Gridを組み込めば、補佐的立ち位置から、また違ったデザイン構成を導き出してくれるかもしれません。
短期間でサイトをデザインし、公開することはできませんが、維持や最適化などの作業面のサポートを行う機能としては、優れていることに間違いありません。
画像やビデオの加工を行うArtistoやPrisma と言った人工知能系のアプリを知っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。この技術は、たとえばレモンパイの中にある人間の顔を認識する優れた知能を持ち、そこから適した加工手法を導くよう設定がされています。
現代の加工アプリは、テクノロジーを活用して、SNS映えするものや思わず誰かに共有したくなるような人間心理を捉えた観点からサービス提供を行う兆候も見て取れます。
また、落書きをプロの絵にしてしまうという点では、最近、GoogleのAuto Drawという機能が話題になりました。
Auto Drawでは、どんなに雑に描いても、AIが人間がスケッチする線の特徴を把握して、そこから推測される絵を関連付けて表示してくれます。機械学習にアーティストの描画を組み合わせたことで、誰もが、プロのような絵をあっという間に作成できるようになったのです。
技術の発展によって誰もがデザインを容易に行えるようになったこの時代。いかに無駄な労力を使わずに、優れたデザインを行えるかが重要になりつつあります。もちろん、デザイナーの仕事を奪う目的ではなく、補助的機能として発展しているものもありますよ。
別の事例では、ブラジルの携帯キャリアにアルゴリズムに合わせてカラーやフォーマットを組み立ててくれるDynamic logosというシステムも誕生しています。AIによるブランディングの観点から言えば、大流行ししていると言えますね。
Webサイトは日に日に機能が上がっており、ユーザーの行動データを元に、個々人の関心に基づいたコンテンツやオファーの掲示を行うところまで来ています。訪問時間、どこから来たか、デバイスは何か、何曜日に来たかなどなど。これらの情報の蓄積を行うことで、よりパーソナライズ化されたコンテンツの提供を行えるようになったのです。
サービスを作り上げていく過程において、三角法に基づくシステム構築を組み込むことで、どんな目的であなたのサイトに来ているのか分析を行えるというわけです。
これまでユーザーの動向に関する情報蓄積は、チームのストラテジストやデザイナー、技術部門の人々が事例やシナリオを分析し、設定を行なっていたと思います。
現代では、その過程を機械化したことで、各企業が、より個々人のニーズに合ったコンテンツ提供ができるようになったのです。
サイトやアプリ、デジタル系サービスをはじめ、数多くのデータ分析システムが世界に登場しています。そして、ユーザー自身もこれらのシステムを頻繁に聴いたり、目にしたりにしているので、データというものがごく身近ななものとなりつつあります。
ただ、分析システムはまだ始まったばかり。今後、より複雑に、様々な情報を参照した分析機能が発展し、デザイナーや商品のオーナーの手助けをしてくれるようになるはずです。そして、近い将来、データの蓄積と分析をAIが担うような世の中になるのではないかと思います。
アナリストは、情報分析に当てていた時間をユーザー動向に基づく商品やサービスの再定義業務に対する時間を避けるようになるのです。
すでに、AIによるABテストが始まっています。たとえば次のような意思決定にAIにる分析結果があてがわれています。
Facebookは、ユーザーがアップした画像がどのようなもの認識するための新たな2つの機能を発表しました。
まずは、視覚障害がある方への機能。以前は画像内に表示されている詳細説明は行なっていませんでしたが、写っている人の動作なども説明されるようになりました。2つの目は、コンテンツ内の画像上にマッチした広告をユーザーに表示する機能です。グーグルは、近年翻訳機能にAIを組み込み、各国に合わせた文言での広告配信を行っています。
Googleは新たな機能として、ユーザーがカメラで写している画像と関連した情報を掲示する機能Google lensを発表。
文字も言葉も使わず、目の前にあるものをカメラに映すだけで、検索できるのです。たとえば、本や映画雑誌の背表紙をカメラで写しただけで、作者の詳細やレビューを表示してくれたり、名刺に書かれている情報を読み取って、番号認識で電話したり、住所認識で、そのまま経路案内をしてくれたりします。
Googleフォトに保存してある画像からも検索が可能です。
チャットボットやビジュアルアシスタントよりも更に高機能で、使いやすいシステムが登場しするようになったこの時代。ロボットがデザイナーの仕事を奪うというのは噂のほんの一角に過ぎません。
むしろテクノロジーは、私たちの作業を軽減し、各ユーザーにパーソナライズ化されたシステムを提供するための課題解決を導く手助けをしてくれるのです。
これから、どのようにAIと協力して、課題解決を行っていけるのか楽しみですね。
(翻訳:Yuka Uchiyama)