【社労士解説】ジョブ型雇用時代におけるフリーランスの生存戦略とは?
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ペルソナとユーザーマトリックスは、どちらもデザインリサーチの際に活用できる便利な手法です。この記事ではふたつの手法について、事例を交えながら概要と重要性をご説明します。
ペルソナとは、プロダクトのターゲットを具体的な人物像に落とし込んだツールです。ターゲットを限定せずに多くの人間に向けてのプロダクトを設計しようとするよりも、具体的なユーザーを設定してデザインをする方が優れたものを作ることができるという考えのもとに取り入れられています。
1990年代、実用的なユーザーモデルを開発する時間や費用がまだ多くの企業にとって一般的ではなかった時代に、ユーザーの行動を予測するために用いられていたのがペルソナでした。その時代のペルソナは、最新の人口統計や心理学のデータが正確に反映されておらず、主な機能はチーム内でのユーザーの大まかな想定の共有にとどまっていました。
時間の経過とともに、ペルソナはより重要な意味を持つものとして考えられるようになりました。行動心理学に基づいて研究・分析され、より精度の高いペルソナがユーザーリサーチをもとに作成されて活用されています。
優れたペルソナを作ることができれば、製品やサービスを設計する上での柱のような存在として活用することができます。ペルソナをデザインの過程に取り入れることによって、ユーザーを具体的に把握し、より精度の高い設計に一歩近づくことができるのです。
以下では、実際に使われている4種類のペルソナをご紹介します。
アラン・クーパー(Alan Cooper)氏は彼のWebサイトで、ペルソナが時を経てどのように進化したかという長い説明を記述しています。
「1998年に出版した著書『The Inmates are Running the Asylum』において、ペルソナがインタラクションデザインツールとして登場した」
クーパー式ペルソナは、私たちが日常で出会う人物のスナップショットのようなものです。彼らのプロフィールは主に年齢、ライフスタイル、趣味、くせなどのさまざまな情報を含んでおり、人物像を思い描くことができるようになっています。統計モデルではなく実在の人物のために設計するという発想に基づき、行動心理学というよりも人間らしさに重きをおいています。
2015年、オーロラ・ハーレイ(Aurora Haley)氏は次のように書いています。
「ペルソナは、架空の存在でありながらリアリティも感じられる、典型的なターゲットユーザーを提示するものです。ペルソナは生きた人間の代わりですが、実在の人物のように描写されるべきなのです」
2017年には、ペイジ・ホベミア(Page Haubheimer)氏が概念をアップデードさせました。
「定義:Jobs-to-be-done(JTBD)は、特定の『仕事』(すなわち、成果をあげること)のためにユーザーが製品を『雇う』(すなわち、使用する)というフレームワークの上に成り立っている。ユーザーのニーズの包括的なリストが『仕事』である」と書いています。
クーパー式ペルソナとニールセン・ノールマン式ペルソナの重要な違いは、後者の方が実用的な情報をより重視しているという点です。キャラクターの個人的な生活についての些細な情報を省いて、ユーザーと製品やサービスの間の相互作用における影響の説明に重点を置いています。
例えば65,000ドルのDell EMCディスクアレイを売る場合、顧客が週末にカップケーキを焼くのが好きかどうかという情報を知る必要はありません。
ニールセン・ノールマン式ペルソナは、UXチームの多くが必要としている情報を提供してくれます。
行動式ペルソナは最近発展した概念で、ニールセン・ノールマン式ペルソナの相互作用を重視する考え方を受け継いでいます。
行動式ペルソナは分析疫学の手法のひとつであるコホート研究に基づいており、定量的、分析的データによって裏付けられています。従来のペルソナとは異なり、データの中から統計グループを提示して、特定の行動がコンバージョン経路にどのように影響するかに焦点をあてています。
名前や写真、iPhoneでSNSを利用するのが好きかというような情報は全く加味しておらず、ビジターをユーザーや顧客に変えて、ビジネスに組み込むという目的に特化しています。
行動式ペルソナはクリエイティブな思考よりも、ローンチ後の評価に重点を置くドライなツールであるといえます。
データ駆動式ペルソナは、コホート群のデータの迅速な収集と、ほぼリアルタイムで行動プロファイルを関連付けするニールセン・ノールマン様式のペルソナの構築を可能にするツールです。まだ発展途上ですが、とても有望です。クリエイティブチームがデータコホートにリンクされたターゲットを獲得することによって、KPIの成長率を測定することにも利用できます。データが変更された場合、デザインチームは変更が通知された時点でその人物を確認します。
データ駆動式ペルソナを利用したい場合は、有効なデータソースをソフトウェアに接続することが最善の方法です。これによってプロセスの一部としてリアルタイムでペルソナテンプレートを構築することができます。
しかしデータ駆動式ペルソナはまだ発展途上のツールなので、スムーズにいくとは限らないことを念頭におかなければいけません。
ペルソナと同じくUX戦略に取り入れたいのが、ユーザーマトリックスという概念です。以下はUX戦略においてユーザーを把握するために知っておきたい6つの項目です。
ユーザーマトリックスはこれらの項目の簡略図で、内容をひと目で把握するために6つのグリッドで表記しています。デザインスプリントのように短い期間での解決が必要とされるような状況において、魅力的なコンテンツをスピーディーに製作するする際に役立つ手法です。
ユーザーマトリックスは、UXデザインをするにあたって把握していなければいけない情報を記したマニュアルです。自分のアイディアが発展の可能性を秘めているのか、それとも必要ないものなのかを確認したいとき、ユーザーマトリックスを用意しておくことによっていつでも設計の原点に立ち返ることができます。
また、このように情報を表の形にアウトプットしておけば他者との共有の際にも活用できます。意見がぶつかってしまったとき、議論にユーザーマトリックスを取り入れることにより、製品やサービスについての自分の見解をよりクリアに伝えることができるのです。
デザインリサーチをするにあたって最も重要なのは、ユーザーインサイトを洞察・理解することです。あらゆるプロダクトはユーザーなくしては存在しません。ユーザーの立場から何が必要とされているのかを考える、ユーザー本位の視点がデザインリサーチの基本です。
ユーザーの行動を予測することによって、製品やサービスに求められているもの、またそれに向けた課題を発見することができます。その手助けになる手法が、以下でご紹介するペルソナとユーザーマトリックスです。
ユーザーのニーズを探り、真に必要とされる製品やサービスを提供するために行われるデザインリサーチ。誰に向けて作るのか?そしてその対象は何を必要としているのか?という土台固めの重要な作業をより効率的に行うためには、優れたツールによる手助けが必要です。
今回ご紹介したペルソナとユーザーマトリックスは、プロダクトが誰のために存在しているのかという基本に立ち返らせてくれる柱のような存在。盤石な土台の上で安心して開発をするために、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。