Dropboxがデザインリニューアルを大失敗させた理由

DESIGNER

2017年10月、世界中にDropboxのデザインリニューアルの知らせが公開されてから、デザイナーコミュニティーはその話題でもちきりになりました。

Dropboxは、世界中で最もイノベーティブで有能なデザインチームを持っているといわれています。旧バージョンのデザインは、私を含めた多くのデザイナーに良いインスピレーションを与えてくれました。シンプルで、一貫性があり、レスポンシブで、遊びごごろのあるデザインでした。商品とブランドをシンプルにする新しい術を、彼らは見つけ続け、常に正しい方向に進んでいるように見えました。

彼らのリニューアルは、そうした誰もが親しんでいたデザインから離れることを意味しました。だからこそ、誰もがこのデザインリニューアルのプロジェクトを気にしていたのです。

新しいデザインでは、様々なカラーコンビネーションと259 ものフォントが導入され、どうみても「シンプル」という言葉では表せないものでした。個人的には、Dropboxが変わってしまい、その魅力が失われたように感じました。シンプルで使いやすかったデザインシステムから、雑多でわかりにくいデザインシステムへ変わってしまったように思ったのです。

Aaron Robbs | Dribbble

この新しいデザインは、デザインコミュニティから辛辣なフィードバックを受けることになりました。以下は、Designer news postに寄せられた、Dropboxの新しいデザインに関するコメントで特に支持されたものです。

Arlen McCluskey | Dribbble 辛辣な意見が書かれている

しかし正直にいうと、デザインコミュニティからのフィードバックを鵜呑みにするのは、チームが良いデザインの選択をするのに最良の方法であるとはいえません。

ここで重要なのは、数字です。新しいデザインのページにおいて、ユーザーがどのように振る舞うのかを計測し、それが以前のデザインに比べてどれほど改善しているのかを確認する必要があります。ここから、Dropboxが新しいデザインによって発展出来るかどうかが決まるのです。

Dropbox.comの料金プランページ

彼らのプロセスを理解するために、Dropbox.comの料金プランページにおける数値変化を参考にしてみましょう。このページは通常、サービスのCV・ファネルにおいて非常に重要なポイントです。このステージで、ユーザーがそのサービスを購入するかどうかを判断するからです。どんなに小さな変更でも、ときに大きな変化をもたらします。

リニューアル前のDropboxの料金プランページは、以下のようなものでした。

そして、以下がリニューアル後の料金プランページです。

Arlen McCluskey | Dribbble

初めて新バージョンのページを見たとき、私はとても混乱しました。変更されたデザインを見て、現代的で実験的なデザインにするためにシンプルさを切り捨てたように感じました。彼らの勇気には感銘を受けましたが、結果に関しては悲観的でした。

後日、DropboxのArlen McCluskeyが新しい料金プランページを公開し、リニューアルの過程についての投稿をしました。このことで、実際に内部で何が行われたのか、私たちも理解することができました。

Dropboxは今回のリニューアルで、料金プランページを大きく変更しました。公開後、すぐに重要な指標の下降に気づき、以前のバージョンの料金プランページに戻したところ、直ぐに状況は改善したといいます。

私のチームで数字を確認したところ、なぜ新しいバージョンのページで問題が起こったのか、いくつかの仮定をたて、それをどうすれば改善できるのか考えました。例えば、ユーザーテストの結果、リブランド後のポップなカラーは、サービスの信頼性と透明性に対してネガティブな影響を及ぼしていることがわかりました。また、行間やタイトルの若干の拡大によって、ページ全体が縦に長くなってしまっていることにも気づきました。このようないくつかのアイデアを合わせて、いくつかのマクロの実験に落とし込み、改めてリデザインし、再構築、ページの再公開を実施しました。

結果は成功でした。最終的な料金プランページはユーザー満足度を高め、今では指標は2桁も上昇しています。最終的なデザインは、初期のデザイン、リブランド後のデザインどちらと比べても、いくつかの面ではるかに優っています。

以下が最終的なバージョンの料金プランページです。

彼らのリブランディングは初めはうまくいきませんでした。しかし、彼らは問題を突き止めることに成功し、改めてやり直し、最終的に今までのどのバージョンにも勝る素晴らしいデザインを作り上げたのです。

リニューアルされたページにおいて、Dropboxはタイトルのフォントやイラストレーションデザインなど、新しいバージョンにおける重要な要素をそのまま残しました。一方で、よりコンバージョンを上げ、かつ会社のビジョンに合致するシンプルなデザインシステムを作ることに成功したのです。

料金プランページの最終的なバージョンは、清潔感がありフレンドリーで、ユーザーの行動喚起を最大限に促します。最終的なバージョンはシンプルかつ洗練されたデザインのため、Dropboxの異なる料金プランを比較し、ユーザーそれぞれに最適なプランを選んでもらうという、ユーザーの目的達成をサポートしています。だからこそ、指標にも結果が現れてくるのです。

おわりに

何事に対しても、変化は怖いものです。特にあなたの会社がすでに成功していて、多くの人々に愛されているデザインを持っているのならばなおさらです。時には発展に向けて、会社は行動を起こす必要があります。リニューアルという形で大きな変更をする際は、素早いフィードバックや後退を恐れずに、リニューアルがどのように会社の成功に影響するのかを観察しながら、最も必要とされる時にトライ&エラーを繰り返すことが重要なのです。

(翻訳:Mariko Sugita)

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