「創業融資」の審査を勝ち抜くために知っておきたい4つの審査基準

創業融資
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起業の際に公的機関がお金を貸してくれる制度「創業融資制度」を知っていますか?

これは、申請すれば公的機関から融資を受けられる制度です。しかし受けとるには、融資審査を通過する必要があります。融資審査は一度落ちたら最後、二度目の通過は難しいと言われる厳しい審査です。

そんな審査をどう勝ち抜いていけばいいのでしょうか。創業融資を知り、審査基準を理解して融資を勝ちとりましょう。

創業融資の4つの審査基準まとめ

  1.  経営者のこれまでの経験と能力
  2. 自己資金割合
  3. 資金の使いみち
  4. 返済可能性

以上のことが、創業融資審査の基準となります。公的機関はこれを基準に、起業家に融資を行ってもいいか最終的な判断を下します

一度この審査に落ちれば、二度目のチャンスはほとんどありません。これから始める事業のために、ひとつひとつの審査基準にきちんと対策をしましょう

1.  経営者のこれまでの経験と能力

まず問われるのは経験です。これからやりたい事業に関連する経験を、どれだけ積んできたかを評価されます。平均で必要とされるのは3〜6年くらいで、最低でも1年〜2年は必要でしょう。こうなると、今まで携わってきた仕事とまったく関係のない事業で創業融資を受けるのは難しくなってきます。

次に問われるのは人間力です。人として信頼のおける人物なのか、責任感はあるか、経営者としての素質はあるのか。面接でもしっかりとアピールできるようにしましょう。

最後は、資金運用能力です。「個人の信用情報」「公共料金の納付情報」など、お金との付き合い方をチェックされます。個人の信用情報とは、過去に金融機関から借入を行っていたら、きちんと返済はされているのかどうか、などの過去のお金の履歴情報です。公共料金の納付状況には、税金の納付状況や携帯利用料金も含まれます。ここでもし延滞や滞納などしていたら致命傷です。普段からお金の管理は厳しく行いましょう。

2.  自己資金割合

自己資金割合とは、起業家が事業のためにどれだけ資金を用意できたかを示すものです。融資制度では、自己資金割合が最低◯◯%なければダメという基準が定められています。

自己資金割合=自己資金÷必要創業資金×100

では、自己資金のチェックではどこまでが審査対象となるのでしょうか?対象となるのは過去6ヶ月間の預金通帳です。残高が300万円なら、自己資金は300万円ということになりますが、そのお金はどういう経緯で発生したのかきちんと説明しなければなりません。たとえば、友人や親から借りてきたお金は自己資金には入りませんし、タンス預金も自己資金とはみなされません。蓄積の証拠がないものは自己資金として認められないことは、頭に入れおきたいところです。

まずは、自分が受けようと考えている融資制度の自己資金割合がどのくらいなのか調べるところから始めましょう。

3.  資金の使いみち

ビジネスプラン

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融資制度では、それぞれ融資の限度額が決められています。例えば1000万円だとすれば、全員が1000万円を借りることはできるのでしょうか?

いいえ、全員が借りることができるわけではありません。人によって事業の規模や内容が違うので、融資の金額にはばらつきが出ます。全額を借りたいなら、その使いみちを詳細に説明する必要があります。資金の使いみちは、事業への設備資金に運転資金2〜3ヶ月分を足した金額です。

設備資金:車や機械設備、店の内装や机など、事業を始めるのに一時的に必要なお金。
運転資金:従業員の給料・食材の仕入れなど事業を行っていくのに継続的に必要なお金。

設備資金と運転資金の違いを理解したら、事業を始めるのにいくらかかるのかを明らかにしていきましょう。

4.  返済可能性

money

WikimediaImages / Pixabay

創業融資として借りたお金は、いずれ返さなければなりません。そこで融資を行う公的機関は、返済能力があるのかをかなり厳しい基準で判断しています。

まずは、月ごとの税引後利益+減価償却費>月ごとの返済額になっているか、事業計画書の数字を追って確認します。もしもこうではなく、月ごとの利益より返済費のほうが高ければ事業は運営できません。その結果立ちゆかなくなれば、貸したお金が返ってこないというリスクもあるからです。また創業融資の返済は、半年間の据え置きが終了すると返済が始まることが多いので、これも頭に入れておきましょう。

次にみるのは、事業計画書の計画に説得性があるかです。集客や利益をあげる方法は現実的か、自社のサービスが他社との競争に本当に勝てるのか、本当に利益がでるのか、事業計画書でしっかりと書いて納得させましょう。

公的な創業融資制度を知ろう

公的な創業融資制度とは、手続きをすれば、政府機関や市区町村等から融資を受けられる仕組みのことです。公的な創業融資制度を行っている機関は大きく分けて2つあります。「日本政策金融公庫」と「都道府県・市区町村等の自治体」です。

1.  日本政策金融公庫とは

電卓と海外のお札、虫眼鏡

loufre / Pixabay

日本政策金融公庫とは、国のお金で運営されている金融機関です。ここでは、民間から融資を受けられない事業でも融資を受けることができます。では、日本政策金融公庫の創業融資は、起業家にとってどんなメリットがあるのでしょうか。

①自己資金割合の基準が緩い

自己資金割合とは、起業前に用意する資金がどれくらいかということです。この割合が高ければ高いほど(用意できる自己資金が多ければ多いほど)融資の額も大きくなります。公庫では自己資金割合で求められる基準が低いため、融資を受けやすいのです。

②融資実行までが早い

申込から融資実行までに1ヶ月かからないので、融資実行のスピードが早いです。民間だと早くても2ヶ月はかかります。早めに資金が必要な場合はこちらの融資がおすすめです。

③無担保・無保証

担保・連帯保証人ともに必要なく、万が一のリスクを考えるとかなり良い条件です。

2.  自治体の制度融資とは

自治体の制度融資の仕組み

自治体の制度融資とは、自治体、保証協会、金融機関が三位一体となって起業家を支える仕組みです。融資のノウハウを持っていない自治体が、金融機関と保証協会に融資を代行してもらう形をとっています。起業家は2つの機関(金融機関と保証協会)と手続きを行います。しかし実際は、金融機関が保証協会への支払いを代わりに行ってくれるため、金融機関のみとのやり取りになります。自治体の制度融資の特徴をみていきましょう。

 ①金利が安い

1%未満の金利で融資を受けることができるなど、日本政策金融公庫の融資よりも金利が安いのが特徴です。というのも、自治体では利子補給制度や信用保証協会の保証料の一部負担など、起業家の負担を軽減する制度が充実しているからです。

②自己資本割合の要件は厳しめ

日本政策金融公庫の融資制度では、求められる自己資金割合はたったの1/10。それに対して自治体は1/2と、自治体の求める自己資本割合はかなり高めです。

③融資実行まで時間がかかる

最初の融資相談から、実際に融資を受けるまでに最低でも2ヶ月間。自治体、金融機関、自治体それぞれの審査を通過しなければならないからです。時間がかかることが現在の事業にとってマイナスなら、日本政策金融公庫の融資のほうが良いかもしれません。

3.  どちらが効果的か

資金力は弱いが、とにかく早く融資を受けたい方は、日本政策金融公庫の創業融資がおすすめです。自己資金割合の基準が低いので、比較的資金力が弱くても融資を受けられますし、融資実行までの期間が短いです。

逆に、自己資金が潤沢で、融資を待てる時間的余裕がある方は自治体の制度融資がおすすめです。時間はかかりますが利子は比較的低く、時間さえあれば文句なしの選択です。自分にとってどちらが効果的なのかじっくり考えて選びましょう。

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