【社労士解説】ジョブ型雇用時代におけるフリーランスの生存戦略とは?
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「共働き夫婦」と聞くと、仕事もプライベートもやりくり上手なプロ夫婦を想像してしまいませんか?
きっちり週5で働いて、家事は帰宅後や週末の空き時間を使ってこなし、子育ても保育園や学童をフル活用。しかし世の中は、そんな完璧な共働き夫婦ばかりなのでしょうか。夫婦揃って仕事をしながら家事・子育ても完璧にやるなんて、夢のまた夢なのでは……?
先日入籍したばかりの(おめでたい!!!)Workship MAGAZINE編集長。共働き夫婦となるにあたり、家事や仕事のやりくりに早くも不安を抱いている様子です。
そこで今回は、書籍『子育てしながらフリーランス』を上梓されたフリーランスかあちゃんであり、共働き夫婦でもあるカワグチマサミさんに、共働き夫婦で「いい感じ」にやっていくコツを伺いました。
イラストレーター・漫画家。子育てフリーランス12年め。「好きなものはゲーム、滅んで欲しいのは家事」をモットーに、心身ともに健やかにフリーランス生活を送るコツをイラストや漫画で発信。2021年11月に書籍『子育てしながらフリーランス』を上梓。(Twitter:@kawaguchi_game)
Workship MAGAZINE編集長 兼 新婚。結婚のタイミングで初めて同棲しており、何もかもわからないことだらけ。最近の悩みは、新居のカーテンをまだ買えてないこと。(Twitter:@zikilluu)
じきるう:
私事ですが、先日入籍しました。これから共働き夫婦として、上手くやっていけるか不安です……!
まずは、夫婦の問題になりがちな「仕事」の話について教えてください。カワグチさんは、夫婦同士でお互いの仕事について話したりしますか?
カワグチ:
いまはよく話しますが、結婚してから出産直後まではまっっったく話してなかったですね。うちの旦那は当時ゼネコンに勤めていて、私はフリーのイラストレーター。旦那は帰ったらすぐ寝る、私は仕事と最低限の家事をしたらすぐ寝る、といった感じで。お互いがお互いの仕事について、考えたり話し合ったりする時間が皆無でした。
カワグチ:
出産後、私の仕事が軌道に乗ってきたタイミングで、お互いの忙しさとイライラがピークに。最大の「ドッカーン!」がやってきてすごく揉めて、「このままじゃダメだ、夫婦で向き合わなきゃ!」と痛感しました。
それをきっかけに「来週はちょっと忙しい」とか「来月は少し余裕がありそう」とか、夫婦で仕事の話をシェアするようになって。関係性が良好になってきたと感じたのは、それからですね。
じきるう:
やっぱり小まめにコミュニケーションを取るのが大事なんですね。
カワグチ:
「今日なにがあった? どんな日だった?」と、1日の振り返りをシェアする時間を意識的に作るのがおすすめですよ。ついつい忙しくて夫婦のコミュニケーションを後回しにしがちですけど、無理やりにでも環境をつくって習慣化したほうがいいです。これは強く言いたい!
たとえば子どもが寝たあとに夫婦だけの時間を作ったり、週末に2人で出かけたり、子連れだと行けないところに行ったりするのもオススメ。月に1度でいいので「夫婦のデート」をしてください。子どもが一緒だと、どうしても「家族のお出かけ」になっちゃいますから。
じきるう:
なるほど……。ちなみにカワグチさんはお子さんがいらっしゃいますが、それだと2人だけで出かけるのって結構むずかしくないですか?
カワグチ:
一時預かり保育や学童などに、子どもを預けておくのはどうでしょうか? 「夫婦の時間のために子供を預けるなんて……!」と言われちゃうかもしれませんが、それってたぶん思い込みなんです。子どもからしたら、お父さんとお母さんの仲が悪いほうがずっと辛いはず。家族みんなで仲良く暮らすためにも、そういった施設を使うのはおすすめです。
じきるう:
家事についても聞きたいのですが、カワグチさんは家事をするタイミングとかって決めていますか?
カワグチ:
決めてません!
じきるう:
え、決めてないんですか!?
カワグチ:
「家事はしなくても生きていける」が私のモットーなので。強いて言うなら、子どもが外から帰ってきたら家事をすることが多いかもしれませんね。
子どもが小さい頃は、完璧に仕事優先でした。週末に時間があれば、旦那と一緒に溜まった家事を片付けるのが定番の流れ。小さい子がいると「部屋を綺麗に保たなきゃ!」と思ってしまいがちですが、お母さんがピリピリしながら家事をやってると、家族全体にピリピリが移っちゃうんですよね。
なので、家事は気晴らし程度にやって、ストレスを溜めないようにしています。世のお母さん達には、勇気を持って「家事はやらない!」と選択してほしいです。
じきるう:
す、すごい……。ちなみに夫婦での家事の分担はどうしてるんですか?
カワグチ:
分担も絶対に決めません!
じきるう:
え、分担もですか!?
カワグチ:
分担を決めちゃうと、それを破ったときに喧嘩になっちゃうじゃないですか。時期や体調によって難しいときもありますし、掃除の向き・不向きや、こだわりもありますよね。
たとえば「洗濯」もそう。洗濯機をまわす→洗ったものを取り込む→仕分けをする→干す→取り込む→畳む→しまう……。一言で洗濯といっても隠れた作業がたくさんあります。
私は「何をどこにしまったか」を把握しておきたいので、収納作業は進んでやります。何がどこにあるかハッキリしていると、朝の支度時間が節約できるからです。これで、できるだけギリギリまで寝ていられます!
旦那は、見た目をスッキリさせる整理整頓が得意なタイプ。お互いに好きな家事をして「あとはよろしく」「やってくれてありがとう」と声を掛け合うようにしています。それぞれ得意だと思うことを、なんとなくやるのがコツです!
じきるう:
予想外の回答にドギマギしてるのですが、なるほどたしかに……。
カワグチさんはこれまでに家事で揉めたことはありませんか?
カワグチ:
ごくごくたまに、どちらかに負担が寄りすぎてる場合は揉めそうになりますね。そういうときは気合を入れて全部屋を掃除するなど、本気を見せるようにしています(笑)。
あとは、とにかく感謝の気持ちを伝えるために「ありがとう」の言葉をたくさん言うようにしています。
じきるう:
もしかして、子育ての担当や役割も決まってないんでしょうか?
カワグチ:
家事と同じく、きっちり決めてはいません。
ただし子どもが生まれたばかりの頃は、授乳するのだけはどうしてもお母さんの仕事になっちゃいますよね。ずっとお腹の中にいたから、子どもも自然とお母さんを求めますし。だからこそ、お父さんには「子どもを育てる以外のこと」を全力でサポートしてもらいたいです。
じきるう:
「子どもを育てる以外」というと、たとえば?
カワグチ:
やっぱり家事全般ですね。あとは子どもの沐浴(赤ちゃん用のおふろ)をしてもらえるのも助かります。
お母さんは目の前の小さな命を守るのに一生懸命で、出産直後こそ心身ともにガクッと落ち込む方も多いんです。出産という大変なことを乗り越えたあとなので、思いつく限りのサポートをしてほしいな、と思います。
じきるう:
なるほど、子どもができたときのために、肝に銘じておきます……! ほかに、夫婦で子育てを上手くやるコツはありますか?
カワグチ:
子どもが大きくなってきたら、お母さんとお父さんどちらと時間を過ごすか、子ども自身に選んでもらうのもオススメです。寝るときはお母さん、自転車に乗って遊ぶときはお父さん、とか。そうすれば、どちらか一方に育児の負担が偏ることもないはず。
子どもって、一緒に楽しい時間を過ごす人ほど身近に感じるんですよね。お母さんの方が負担になってる場合などは、子どもとお父さんでお出かけしてもらうとか。
じきるう:
家計についてもどう管理しようかと悩んでいるのですが、カワグチさんご夫婦は、お互いの収入って把握してますか?
カワグチ:
きっちり把握してます! そして、大体の役割分担も決めています。
じきるう:
お、そこは決めてるんですね!
カワグチ:
旦那さんの収入は生活費兼将来のための貯金、私の収入は貯金かつ自由に使える分。子どもの教育費のために貯金額を明確にしつつ、家庭の全資産を把握する時間をつくっています。
私は単純にお金が増えたら嬉しいので貯金が好きだし、旦那さんは投資に興味を持っています。ゆるく役割分担をして「貯金いくら貯まった」とか「どこの株を買った」とか、定期的に報告し合っています。
じきるう:
よく、夫婦間の収入差で喧嘩が起こると聞きますが……。
カワグチ:
奥さんの方が多く稼いでいると、劣等感を持つ旦那さんも多いみたいですね。でも最近は「奥さんが稼いでくれれば、より家計が豊かになる」と前向きに捉える方も多いんじゃないでしょうか?
貯まったお金で高性能な家電を買えば、さらに生活も楽になるし、奥さんの機嫌もよくなります。だんだん喧嘩も減ってくるし、家も綺麗になるし、結果的によいことばっかりですよ。夫婦で稼ぎまくって、家電にどんどん投資しましょう!
じきるう:
カワグチさん、高性能な家電にハマってるんですね。買ってよかった家電は何ですか?
カワグチ:
圧倒的に、パナソニックのドラム洗濯機ですね。
家事の効率が上がって、とっても楽になりました。決して安い買い物ではないですが、家電に限らず、多少値が張るものでも「欲しい!」と思ったら我慢しません。
夫婦で働いてるんだし、頑張った分だけ好きなものを買って、ストレスを溜めないことを最優先に。さすがに20〜30万くらいの物を相談なしに買うことはしませんが、本当に必要な物であれば、夫婦で相談して購入します。
たまに「奥さんが旦那さんの大切にしてるフィギュアを捨てちゃった」なんて話も聞きますが、それだけはやめてほしいです……! お互いに大切な物は違えど、こもった思いは一緒じゃないですか。お互いの大切な物を大切にし合うのが、良い夫婦関係への第一歩だと思います。
じきるう:
カワグチさん自身、共働きでよかったと思いますか?
カワグチ:
夫婦共働きだと、忙しさのせいで家事が疎かになりやすいのが大きなデメリットかもしれません。でも、私は共働きを選んでよかったと思っています。なぜなら、リスクが減るからです。
奥さんには家にいてほしいと考える旦那さんも多いかもしれませんが、大黒柱を一人に限定するのは危険じゃないでしょうか。
うちの旦那さんも、最初は一人で働いていました。「家族を守らなきゃ」ってプレッシャーに押しつぶされそうになりながら。そんなとき、奥さんも一緒に働いてくれたら、少しでも心が軽くなるはず。投資みたいに、夫婦のリスクも分散させましょう。夫婦の分散投資です!
じきるう:
夫婦の分散投資……! なるほど、その発想はなかったです。たしかに共働きなら、仮にどちらかが働けなくなっても、なんとか生きていけますからね。
最後に、共働き夫婦でいい感じにやっていく秘訣があれば教えてください。
カワグチ:
息を吸うように感謝し合いましょう。ちょっとした些細なことでも「ありがとう」。頑張ってくれたことに対して「ありがとう」です。その方がお互いにやる気が出て、好循環が生まれます。
そして、お互いの大切なことを尊重して、定期的に夫婦のコミュニケーションをとってください。「感謝」と「夫婦の時間」を大切にすること。それが全国の共働き夫婦を救うと信じています。
妊娠、出産を機に、仕事と家庭のバランスを考え直す人は多いでしょう。産後の疲れ、子どもの夜泣きや発熱、たまり続ける家事、パートナーとの関係……子育ては思い通りにいかないことばかりです。
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(聞き手:じきるう 執筆:北村有 編集:泉)
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