「やめとけ」に惑わされない!フリーランスエンジニアが安定して働くための7つの戦略
- ITエンジニア
- フリーランス/個人事業主
- 働き方
SNSや口コミサイトで「フリーランスエンジニアはやめとけ」といった声を目にして、不安になったり、一歩を踏み出す勇気をくじかれたことはありませんか?実際、フリーランスには収入の不安定さや孤独感など、リアルな課題があるのも事実です。
この記事では、「やめとけ」と言われる理由を具体的に解説したうえで、そんなリスクを最小限に抑えながら、フリーランスエンジニアとして安定して働くための戦略をご紹介します。
複数の開発現場を経験し、副業としても活動を続けている現役エンジニアの私が、実体験に基づいた“成功と失敗”のリアルを交えてお届けします。フリーランスエンジニアという働き方に不安を感じている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
現役エンジニア兼フリーランスライター。万博に行ってきました。とても楽しかったので、期間中にもう一回行きたい!(note: @azasaz_a)
目次
「フリーランスエンジニアになりたい」という人が多い一方で、ネット上では「やめとけ」という声もしばしば目にします。なぜフリーランスという働き方に否定的な意見があるのでしょうか。ここでは、よく挙げられる5つの理由について解説していきます。
フリーランスエンジニアは、月ごとの収入が安定しないことが多く、特に駆け出しの時期は1ヶ月の収入がゼロになってしまうこともあります。会社員と違って固定給がないため、毎月の生活費をどう確保するかに頭を悩ませることになってしまうのです。
やっと高単価の案件を獲得できても、クライアントの予算見直しや突然の契約終了で、翌月から一気に収入が半減するケースも……。入金も月末締め翌々月払いなどが一般的なので、請求書を出してから現金が入るまでのタイムラグに焦ることもあります。
特に家族を持つ方にとっては、急な医療費や教育費が発生した際に、手元の資金だけで乗り切るのは至難の業。安定しない収入が生活全体に影を落とすリスクは、想像以上に大きいです。
たとえば病気やケガで働けなくなったとき、会社員であれば傷病手当金や有給制度などで一定の収入を確保できますが、フリーランスには基本的にそのような制度がありません。そのため、労災保険・雇用保険・健康保険・有給休暇といった社会的な保障を自力で整える必要があります。
長期入院や育児・介護などで業務を休まざるを得ない場合も、代わりに収入を補填してくれる制度は少なく、まさに「自己責任」の世界。失業状態に陥っても雇用保険がないため、生活が立ち行かなくなるリスクも現実に存在します。
万が一の備えを怠ると、突然のトラブルで生活が一変してしまう可能性があるのが、フリーランスの厳しさの一つです。
納期前に無理をして深夜まで働いたり、休日返上で作業したり……フリーランスエンジニアは働く時間も場所も自由な一方で、自己管理が求められるため、健康やワークライフバランスが崩れやすいのもネックです。
特に複数案件を同時に抱えていると、休むタイミングを逃してしまい、気づかぬうちに慢性的な疲労やストレスを溜め込んでしまいます。また仕事とプライベートの明確な線引きがないため、つい仕事を優先してしまいがち。自宅作業が中心になることで、運動不足や孤独感に悩まされることもあります。
健康を損ねてしまえば収入にも直結するため、フリーランスにとって健康管理は死活問題。ワークライフバランスの維持は、意外に難しい課題となります。
フリーランスエンジニアとして継続的に働くには、技術力だけでなく「営業力」も必要です。案件を獲得するためには、自らポートフォリオを整え、クライアントに提案し、見積や契約交渉を行わなければなりません。
さらに、一度受注したからといって安心はできず、案件終了のたびに次の仕事を探すプレッシャーにさらされます。継続案件であっても、信頼関係が崩れたり、予算縮小などの理由で契約打ち切りになることもあるため、常に「次の案件」を意識する必要があるのです。
技術的な業務と並行して営業活動を続けることは想像以上に負担が大きく、気を抜くと収入が途切れるリスクにも直結します。
フリーランスエンジニアは基本的に一人で仕事を進めるため、職場の同僚や上司との日常的なコミュニケーションがなく、強い孤独感を覚えることがあります。相談相手がいない環境では、技術的な悩みや仕事上の判断に迷った際、すべて自己責任で解決しなければなりません。
また、勤務時間や業務量に制限がない分、つい働きすぎてしまったり、逆にモチベーションを保てずに生産性が落ちるといった自己管理の難しさも課題です。生活と仕事の境界が曖昧になり、オンオフの切り替えができないことで、心身に悪影響を及ぼすことも。
自由と引き換えに、自律性が強く求められるのがフリーランスの現実。特にメンタル面のケアを怠ると、長期的な活動の継続が難しくなることもあります。
「フリーランスになって後悔したこと」については、こちらで詳しく解説しています。
脱サラしてフリーランスになり後悔したこと10選【脱サラ適正チェックリスト付き】
Workship MAGAZINE
「フリーランスエンジニアはやめとけ」と言われる背景にあるのは、実際に準備不足のまま独立してしまい、苦労を強いられた人たちのリアルな体験です。
一方で、収入の不安定さ、保障のなさ、自己管理の難しさなど、確かにフリーランスには多くのハードルがありますが、その多くは“事前の準備”によって回避できるものでもあります。たとえば、生活費の半年分を貯金しておく、営業や見積もりのスキルを磨く、確定申告や保険制度について学んでおくなど、準備をしっかり進めることで、独立後のリスクは大幅に軽減できます。
実際、現役のエンジニアとして副業を経験し、そこから独立に移行した人の多くは、そうした準備期間を経てスムーズなキャリアを築いています。
つまり「やめとけ」という言葉は、フリーランスという働き方そのものを否定しているのではなく、「準備なしで飛び込むな」という警鐘に近いものなのです。リスクを正しく理解し、しっかりとした戦略と準備、対策を講じたうえで一歩を踏み出せば、「やめとけ」の声に振り回される必要はありません。
フリーランスエンジニアとして成功するためには、感覚や勢いだけで独立するのではなく、しっかりとした事前準備が欠かせません。ここでは、独立前に整えておくべきポイントを具体的に解説します。
フリーランスとして安定した仕事を得るための第一歩として、自分の「何が、どこで、いくらで売れるか」を把握し、スキルの棚卸しをしましょう。
具体的にやるべきことを一覧にまとめました。
項目 | 内容とポイント |
---|---|
実務経験の整理 |
|
技術スタックの洗い出し |
|
スキルの習熟度評価 |
|
成果物の整理 |
|
強みの言語化 |
|
希望条件の明確化 |
|
市場価値シートの作成 |
|
自分では当たり前だと思っていたスキルが、他人から見ると強みであることも多いため、客観的な視点で整理することが大切です。これにより、受注の方向性やターゲット層も明確になり、案件獲得の精度が高まります。
フリーランスとして独立する前に、生活に必要な支出と想定される収入をもとにした収支シミュレーションを行うことは非常に重要です。家賃・光熱費・保険料・税金・食費・教育費など、毎月かかる固定費を洗い出し、それに対してどのくらいの売上が必要かを明確にしておきましょう。
また、独立初期は思うように案件を獲得できない場合も多いため、最低でも3~6ヶ月分の生活費を貯蓄しておくと安心です。税金や年金は後からまとめて請求されることが多いため、予想外の出費に備えて資金に余裕を持たせることも忘れずに。
こうした事前の資金計画が、フリーランス生活の安定と継続に直結します。
フリーランスエンジニアとして働く上で、契約・税務・保険に関する最低限の知識は欠かせません。
たとえば業務委託契約書では、納品物の著作権や支払い条件、損害賠償責任などに注意が必要です。内容をよく理解せずにサインしてしまうと、後に不利な状況に追い込まれることがあります。税務面では確定申告や消費税、経費の取り扱いを把握しておかないと、思わぬ追徴課税を受けるリスクも……!
こうしたトラブルを未然に防ぎ、安定した活動を続けていくために、次のような基礎知識を事前に押さえておきましょう。
【契約】に関する基礎知識
主な内容 | 必ず押さえておきたいポイント |
---|---|
業務委託契約書の読み方 | 契約期間、支払条件、成果物の著作権、損害賠償条項などを確認 |
秘密保持契約(NDA) | クライアント情報の扱いに関する義務や罰則を理解する |
トラブル時の対応方法 | 書面でのやりとりを残す、契約書を盾に交渉できる状態にしておく |
【税務】に関する基礎知識
主な内容 | 必ず押さえておきたいポイント |
---|---|
確定申告の仕組み | 白色申告と青色申告の違い、65万円控除の要件を理解する |
必要経費の考え方 | PCや通信費、書籍代など何が経費にできるかを把握する |
消費税の課税事業者制度 | 年収1,000万円超で課税対象、インボイス制度も要確認 |
【保険】に関する基礎知識
主な内容 | 必ず押さえておきたいポイント |
---|---|
国民健康保険と任意継続 | 会社退職後は選択が必要。保険料の差や保障内容を比較する |
国民年金と付加年金・iDeCo | 将来に備えての年金対策。老後資金をどう確保するか |
民間保険(所得補償保険など) | 病気やケガで働けない時の生活保障を検討しておく |
このような知識を身につけておくことで、フリーランスとしての不安を軽減し、安心して仕事に取り組むことができます。最初は難しく感じるかもしれませんが、一つずつ理解を深めていけば、確実にリスクを減らせるでしょう。
フリーランスとして収入や案件の波を乗り越え、長く続けていくためには、戦略的な工夫が欠かせません。ここでは、実践的かつ再現性のある戦略をご紹介します。
フリーランスエンジニアを目指すなら、いきなり独立するのではなく、まずは副業として小さく始めるのが堅実な選択です。会社員としての安定収入を確保しながら、実務経験・営業・税務など、フリーランスに必要なスキルを少しずつ試すことができます。
実際に案件を受けてみることで、自分の市場価値や得意分野、時間の使い方などが徐々に見えてきますし、継続的にタスクをこなすことで実績も蓄積され、将来的に独立する際の信頼材料にもなります。
私自身も最初は副業からスタートしました。最初のうちは収入も少なく、「ずっと稼げなかったらどうしよう…」「このまま続けて大丈夫かな…」と不安になることもありましたが、本業の収入があることで気持ちに余裕を持って挑戦できたと思います。
副業を通じて「どのくらい稼げそうか」「どんな働き方が自分に合っているか」を見極めながら、リスクを抑えて独立への準備を進めていきましょう。
「Workship」は、フルリモート・週3勤務・副業OKなど、柔軟な働き方が叶う案件が豊富に揃うマッチングサービス。スタートアップから成長企業まで、スキルや希望に合わせた案件を探しやすく、副業からフリーランスへのステップにも最適です。
また、インフラ・ネットワーク系のフリーランスエンジニアに特化したマッチングサービス「クロスネットワーク」もおすすめ。オンプレからクラウドまで幅広い案件に対応しており、要件に合った高単価案件を提案してもらえるため、営業が苦手な方にも安心です。
エンジニアの副業について詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。
エンジニアの副業におすすめのサービス11選!メリットや戦略も解説
Workship MAGAZINE
フリーランスエンジニアにとって、ポートフォリオは単なるスキルの羅列ではなく、自分を売り込むための“営業ツール”です。「どんな課題にどう向き合い、どのような成果を出したか」をストーリーとして伝えることで、クライアントからの信頼を得やすくなります。
また、SNSの活用も効果的です。技術的な知見や制作実績を定期的に発信することで、思わぬ仕事の依頼やスカウトにつながることも。特にX(旧Twitter)やLinkedInは、エンジニア採用に積極的な企業担当者の目に留まりやすいため、戦略的に使っていきたい媒体です。
ちなみに私は、Xで自分に近いポジションや考え方のエンジニアを複数フォローしています。そのおかげで、技術から採用周りまで幅広い情報が「おすすめ」に流れてくるので、情報収集の効率が上がりました。たまに“エンジニアあるある”的な投稿で「フフッ」となることもあり、良い息抜きにもなっています。
アウトプットを通じて自分の専門性や価値を見える化していくことが、継続的な案件獲得の近道になるでしょう。
案件を自力で獲得し続けるのは、特に駆け出しのフリーランスにとって大きな負担となりますよね。そんなときに頼りになるのが、フリーランス向けのエージェントサービスです。
スキルや希望条件に合った案件を紹介してくれるだけでなく、契約交渉や単価調整、報酬の支払い管理なども代行してくれるため、本業に集中しやすくなります。継続案件や高単価案件に出会えるチャンスもあり、営業が苦手な方にとっては特に心強い存在です。
また、企業とのやり取りに不安がある人でも、間にエージェントが入ることでトラブルリスクを軽減できる点も大きなメリット。目的や状況に応じて、うまく活用していきましょう。
フリーランスエージェントのおすすめを知りたい方は、こちらもチェックしてみてください。
フリーランスエージェントおすすめ10選|専門メディアが比較・解説
Workship MAGAZINE
フリーランスとして長期的に安定した収入を得るために、案件獲得のチャネルを複数持っておきましょう。たとえばエージェント経由・クラウドソーシング・知人の紹介・自社サービス・SNSでの発信など、入り口を広げておくことで、どこかの流れが止まっても他の手段で補うことができます。
特に駆け出しのうちは、いろいろな方法を試しながら「自分に合った獲得ルート」を見つけるのがポイント。チャネルによって案件の内容や単価、報酬形態が異なるため、選択肢を持つことが働き方の自由度を広げることにもつながります。
近年、エンジニアの業務において生成AIは欠かせない存在になりつつあります。実際、2025年3月に公開されたファインディの調査によると、エンジニアの91.8%が業務で生成AIを活用しているという結果が出ています。
▲出典:ファインディ株式会社調べ
もはや生成AIの活用は「一部の人の先進的な取り組み」ではなく、現代エンジニアにとっての“当たり前”になりつつあるのです。
たとえばChatGPTやGitHub Copilotを使えば、コードの自動生成やデバッグ支援、ドキュメント作成、技術調査など、時間がかかる作業を効率化できます。時間=収入に直結するフリーランスだからこそ、生産性と品質を両立させるツールとして、日常的な活用が大きな武器になるのです。
私も、アイデア出しからコード生成、リファクタリング、業務連絡の文面作成まで、生成AIを幅広く活用しています。手間のかかる作業や苦手な範囲を補えるのは、個人で戦うフリーランスにとって本当にありがたいですよね!
生成AIは、今後のフリーランス活動における“必須スキル”の一つ。日々の業務で積極的に取り入れながら、進化する技術にキャッチアップしていく姿勢が、持続的な競争力に直結します。
フリーランスエンジニアとして長く活躍するためには、継続的な学習が欠かせません。新しい言語やフレームワーク、トレンド技術に触れることで、時代に合ったスキルを磨き続けることが大切です。
また、技術コミュニティや勉強会に参加するのもおすすめ。オンライン・オフライン問わず、同業者との交流を通じて最新情報をキャッチアップできたり、案件につながる人脈ができたりするケースがあります。
私もよくXやQiitaなどを活用して情報収集をしていますが、ちょっとしたコメントや共感が励みになったり、孤独感を和らげてくれたりもします。フリーランスにとって、学びとつながりは生き残るためのライフライン。スキルとネットワークの両面から、自分をアップデートしていきましょう。
万が一のリスクに備えることは、フリーランスが安定して働き続けるための土台です。会社員と違い、収入が保証されていないからこそ、保険・貯蓄・BCP(事業継続計画)といった備えを日頃から意識しておく必要があります。
具体的には、次のような対策をしておくのがおすすめです。
安心して長く続けるために、技術だけでなく“守りの戦略”もあわせて強化していきましょう。
「フリーランスエンジニアはやめとけ」と言われる理由の多くは、準備不足やリスクの見落としによるものです。適切な知識と行動を持って臨めば、そのような不安を乗り越えることも可能になります。
フリーランスとして安全にスタートするためには、収入の変動や法務・税務のリスクを把握し、収支計画や契約・保険の備えを徹底することが不可欠です。そのうえで、自身の市場価値を可視化し、技術力・生成AIリテラシー・セルフマネジメント力を磨きながら、ポートフォリオやSNSを活用して案件獲得力を高めていきましょう。
不安を乗り越えた先には、スキルと工夫次第で自由度の高いキャリアが広がっています。しっかり準備を整え、フリーランスエンジニアとして自分らしい働き方を手に入れましょう。
これから副業として一歩を踏み出したい方には、柔軟な働き方ができる案件が揃った「Workship」や、インフラ領域に特化した「クロスネットワーク」の活用もおすすめです。自分に合った働き方や案件と出会えるチャンスを広げるためにも、まずは情報収集から始めてみてください。