【漫画】フリーランスは“103万円の壁”にどう向き合うか?
- お金
- フリーランス/個人事業主
- 漫画
フリーランスや副業ワーカーの皆さん、仕事って断ってますか?
これまで、私はほとんど仕事を断りませんでした。フリーランス初心者のうちは自分からガンガン営業してやっと仕事を確保できている状況で、頼まれた仕事を断る理由がなかったからです。
しかし、事業が軌道に乗って、ありがたいことに多くの依頼が寄せられるようになりました。すると、仕事のキャパを超えるようになり、仕事を受ける基準が変わりました。そこで仕事を断る機会が出てきたのですが、「そもそも仕事は断ってもいいの?」「仕事を断る基準は妥当?」「いい仕事の断り方はできてる?」など、正直めっちゃ悩んでいます……!
そこで、フリーランスや会社員として日々多くの「仕事を断る/断られる」場面に出会っているであろうWorkship MAGAZINE編集部で、「仕事を断る」というテーマについて話し合ってみました。
副業もしている会社員。最近は副業を受けすぎて生活が崩壊している。フリーランスさんにお仕事を依頼することも多い。
同じく副業をしている会社員。本業では、発注者としてフリーランスさんに仕事を依頼している。
会社員として13年働いたあとフリーランスに。フリー生活3年目でようやくすこし安定し、仕事は受けたり断ったり。
葬儀社員、PC教室講師などを経て2018年にフリーランスへ転身。ようやくやりたい仕事の目安がわかるようになってきた。
会社員を経て2019年からフリーランスへ。仕事・プライベートともに断るのが苦手で予定をはしごしがち。
学生時代からフリーランスとして活動し、そのまま新卒でフリーランスに。仕事相手はほぼ年上で、あんまり断れない。
目次
齊藤:
まず、そもそも仕事って断ってもいいものなんでしょうか。フリーライターとして活動中の少年Bさんは仕事を断っていますか?
少年B:
10の依頼が来たとしたら、1か2は断りますね。わたしの仕事って「3日後が締め切りです!」「来週取材に行けませんか?」みたいにけっこう直近で来るんですよ。最近はWorkship MAGAZINE編集部にて週3勤務で働くようになったので、仕事量やスケジュールの兼ね合いで断ることが出てきました。
北村:
私も10のうち2、3は断ります。断る理由は、取材日や締切被りなど、物理的なものですね。ただ、最近は固定のクライアントさんからお仕事をいただくことが多く、そもそも新規の依頼が来ること自体珍しくなりました。なので、依頼が来ると、珍しさと嬉しさから内容とかあんまり見ないで受けちゃいます(笑)
齊藤:
皆さん、やっぱりある程度仕事は断っているんですね。
じきるう:
逆にボクの場合は、きた仕事はほぼ受けてます。だって、自分のことを頼っていただけるのは嬉しいじゃないですか! もちろん、適切な単価の依頼に限りますが。あと、ボクは会社員としての本業があるので、稼働時間も重視しています。時間の都合があわないけど、どうしても受けたい依頼の場合、本業で有給とって受けることも稀にありますね。
ゆぴ:
私も基本はじきるうさんと同じスタンスです。自己肯定感が高くないので、「私でよければ……」という感じでとりあえず受けちゃいます。
齊藤:
依頼が来た際、「条件やスケジュール的には問題ないけど、自分の専門分野とちょっとズレている」と感じた場合、その仕事は受けますか?
ゆぴ:
私は継続案件が多いのですが、依頼されたらまず受けて、3ヶ月続けてみます。3ヶ月経っても面白さが分からなかったり、他に適任がいると感じたりした場合、そこでお断りしますね。仕事の依頼主がたいてい知り合いなので、無下にできないっていうのもありますけど……。
じきるう:
僕はまったく逆で、合わない仕事はすぐ適任の人を紹介しちゃいますね。自分の得意分野/苦手分野はだいたい分かっているので。
ゆぴ:
北村さんは「映画ライター」としてブランディングしている印象もありますが、専門外の仕事はどうしてます?
北村:
専門外でも、「やってみたい!」と思ったら受けちゃうことが多いです。たとえば転職系のメディアとか、女性のキャリアとか、そのあたりは自分も興味があるので。ただ、「プログラミング」みたいに、そもそも能力的にできない仕事なら別ですが……。
齊藤:
僕自身もぜんぜん知らない分野の仕事を受けることはありますね。取材アリなら、専門知識がなくても取り組めますし。逆に、コラムとかは知識のない分野だと書かないです。
じきるう:
結局、「自分の持っているスキルでクライアントに貢献できるかどうか」が、仕事を受けるうえでは大切なんじゃないですかね。
少年B:
ゆぴさんは継続依頼が多いと言っていましたが、定期的に仕事を受けているクライアントの依頼を断ることもありますか?
ゆぴ:
ありますね。継続しているクライアントでも「このテーマは自分の主義/主張に反するし、ちょっとやりたくないな……」という場合は断ります。内容をガッツリ指定されて、それに賛同できない場合は難しいです。
齊藤:
僕は歴史系コンテンツの制作依頼をよく受けているのですが、「トンデモ歴史学者に取材に行ってくれ」って言われたら絶対断りますね(笑)
あと気になったんですが、仕事条件にまったく問題がなかったとしても、たとえば法律やモラル的にグレーな仕事依頼が来た場合、皆さんならどうします?
じきるう:
以前、とあるWebメディアの立ち上げ依頼を断ったことがあります。メディアの内容を聞いたら「これは法律に触れるかもしれないな……」と感じたので。
少年B:
それは大切ですね。
ゆぴ:
私は判断基準として、「仕事内容が自分のポリシーに反していないか」「法律に触れていないか」を重視していて、最近は「自分を傷つけるような仕事じゃないか」も意識するようになりました。
齊藤:
皆さんは仕事を断るときにどんなことを意識していますか?
じきるう:
まずは受ける/受けないの基準を自分のなかで決めときます。単価だったり、稼働時間だったり、仕事内容だったり。でも、結局はその仕事に興味を持てるかどうかだと思うので、「興味は持てる仕事だが条件が合わない」という場合、「単価や稼働時間がこのくらいなら受けられます」と条件を逆提案します。
齊藤:
では、仕事にそもそも興味が持てなかったり、なんなら相手の印象がよくなかったりする場合はどうですかね?
少年B:
内心はやりたくなくて、絶対断るつもりのときでも「大変忙しくて、受けたい気持ちはあるけど受けると逆に迷惑をかけてしまう」と、丁寧に断ることを意識します。
じきるう:
それはえらいですね……。
少年B:
仮にその相手と仕事したくなくても、断り方しだいでは同業他社に「あの人にこんなひどい断られ方をした」とヘンな噂が出回るかもしれないじゃないですか。
ゆぴ:
私も断るとき「いまはキャパオーバーなので別の機会にお願いします!」と丁寧に返します。自分はフリーライターなのですが、この業界って思ったより狭いじゃないですか。
以前、私がヤバい仕事依頼のDMをもらったときも、そのことをフリーランス仲間に相談したら、「そのクライアントはヤバいことで有名」と言っていて……どちらもその方と実際に仕事はしたことはないんですけど……! たぶんクライアント側も同じように、私たちフリーランスの印象や愚痴とかを話してるんだろうなと思うと、丁寧になりますよね。
少年B:
それなんですよね。だから断るときも波風を立てないようにしています。
ゆぴ:
あと、仕事を断ると相手との関係性が一度切れちゃうので、大切なのは仕事を断っても関係性は続くよう配慮することだと思います。年賀状ってわけじゃないですが、年が変わったら「あけましておめでとうございます」くらいは伝えたいですね。
少年B:
関係を続ける話でいうと、今回の仕事は受けたくないけど相手との縁はつないでおきたい場合、「いまは難しいので、ほかの人をあたってほしい。ただどうしてもだめだった場合はもう一度連絡して」と言います。それで仕事が本当に来ちゃったら、もう腹をくくります(笑)
じきるう:
仕事を断る相手と、今後も関係を継続したいかどうかで、言い方を変えることはあるかもですね。
齊藤:
フリーランスさんへの発注側も行っているじきるうさんに聞きたいのですが、一度仕事を断ってしまうと、やはり次回の案件は発注しにくいものですか?
じきるう:
どうして断ったかの理由さえ分かれば、関係は悪化しないと思います。というより、相手の断り方で、ウチの仕事を受けたくないのか、本当に忙しいだけなのか察せることは多いですね(笑)
少年B:
やっぱり伝わっちゃうんだ(笑)
じきるう:
たとえばそうですね……「いま忙しいから無理です」だけの簡素な連絡が3回続くと「もう受けたくないんだろうな」と判断しちゃいます。関係を続けたい人は、断るときに「○月以降ならできます」など代替案を用意してくれることが多いので。
少年B:
以前、関係を続けたいクライアントさんからの仕事を2回連続断ったことがありました。そのときは2回目の時点で「マズい、受ける気ないと判断される」と思って、「今回はどうしても難しい」と伝え、やりたくないわけじゃない、嫌なわけじゃないことを強調しました。そしたら別の機会に依頼が来ましたね。
じきるう:
そう言われればまたお願いしたくなります。
ゆぴ:
正直に言ったほうがいいんですね。でも、「やりたくないわけじゃない」ってちゃんと言える人は少ない気がします。これを文面にするのがめちゃくちゃ大事。
齊藤:
結局、仕事を断られる際はどんな断られ方がいいですか?
じきるう:
やはり、断る理由を書くか、最低でも「察せる」形にしてほしいです。断る回数も相手の気持ちを判断する基準にはなりますが、結局は断る理由がどんなものなのか知りたいので。
泉:
条件面で断られると、個人的にはもう一度依頼しやすくていいですね。こちらが条件を調整すればいいという話になるので。逆にそうじゃない場合は声をかけづらいです。
少年B:
「条件が合わない」って正直に伝えたほうがいいんですね!
泉:
あと、以前にこんな気持ちいい断られ方をしたことがあります。「案件の兼ね合いでもともと新規案件を受けていない、何度もご連絡をいただくのは申し訳ないから新規案件受けられるようになったらこちらから連絡する」と。他媒体からも案件を受けていないからウチだけ断っているわけではないと、こちらへの気持ちの配慮もされていて、印象がいいなと思いました。
少年B:
それ、未来永劫返事が来ないやつでは……?(笑)
ゆぴ:
仕事を断るのって、なんかデートを断るみたいですね。「日程が合わないだけで……でも会いたくないわけじゃない!」みたいな。
齊藤:
確かに! デートと同じで、本当に嫌で断っているのか、ただ都合が合わなかっただけなのか。この距離感は大切ですね。
じきるう:
なるほど。発注者と受注者の関係は、恋愛関係に近いのかもですね。サバサバ断られたら「嫌われてるのかな……?」と思いますし、断られる場合もレスポンスが丁寧ならば「気持ちは持ってくれてるんだな」と思います。あ、仕事の契約後に音信不通になってしまうのは、デートの約束をすっぽかされるのと同じかもですね(笑)
ゆぴ:
お断りの文面を書いて送るときは、デートを断るくらいの気持ちを持ったほうがいいですね。それこそ、今後の関係を考えたうえで返信したり、察せる形で伝えたりみたいに!
ここまで、Workship MAGAZINE編集部メンバーで「仕事を断る」というテーマを話し合ってきました。いろいろと参考になる話が聞けたので、記事の内容をもとに「実際に仕事を断る際の文面テンプレート」をまとめてみました。
なお、「断る相手によって言い方が変わる」という点を考慮して、断るシチュエーションごとにいくつかテンプレートを考えています。
〇〇の案件について、ご依頼ありがとうございます。
今回のご依頼なのですが、ご依頼いただけたこと自体は非常に嬉しいです。ですが、結論を申し上げますと、単価の面でお受けするのは難しいです。
同じような案件は、制作にかかる時間と時給の面からどのクライアントさんからも~~円以上でお受けすることにしています。ただ、貴社には普段からお世話になっていますし、内容にも非常に興味があるので、~~円でご依頼いただければお受けできるのですが、いかがでしょうか?
今後とも引き続きよろしくお願いいたします。
初めまして。(職業/肩書)の(名前)です。
まず、〇〇の案件について、ご依頼ありがとうございます。
実はずっと貴社で仕事をしてみたいと思っており、お話をいただけたことは大変嬉しいです。ですが今回のご依頼は、結論を申し上げるとお受けするのが難しいです。
私の得意分野は△△なのですが、今回はそれとは異なる分野の知見が必要なため、依頼をお受けしても貴社に十分貢献できず、かえってご迷惑をおかけしてしまう可能性があります。今回のテーマに関して言えば、私の知人であるAさんやBさんが専門的な知見を持っているため、ご希望ならおつなぎすることも可能です。
今回のご依頼はお引き受けできそうにありませんが、貴社とお仕事をしてみたい気持ちは変わりません。△△の知見を活かせる記事なら貴社のお力になれると思いますので、例えばこんな企画はいかがでしょうか?(以下、企画案の説明)
以上、今後とも引き続きよろしくお願いいたします。
初めまして。(職業/肩書)の(名前)です。
まず、〇〇の案件について、ご依頼ありがとうございます。今回のご依頼は、結論から申し上げますとお受けするのが難しいです。
お受けしたい気持ちはあるのですが、昨今は案件が立て込んでおり、新規の案件をお受けしても質の高い成果物を納期までに上げるのが難しい状況です。むしろ、仕事をお受けすることで貴社にご迷惑をかけてしまう可能性があります。
現在はこのような状態ですが、もし状況が変わって依頼をお受けできるようになった場合は、お手数だと思いますので再度こちらからご連絡いたします。
何卒よろしくお願いします。
(執筆:齊藤颯人 編集:泉&Workship MAGAZINE編集部)