地味だけど一生稼げる!? 会社員×副業社労士を選んだワケ
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フリーランスは仕事の単価を自分自身で決めなければなりません。取引先の予算と自身の労力に見合う適切な単価を決定するのは、じつは意外と難しいことです。
フリーランスはどうすれば納得できる単価でお仕事を請けることができるのでしょうか。本記事ではフリーランスの単価に焦点をあて、単価交渉の仕方や決め方などを解説します。
目次
まずフリーランスの単価の決め方について考えてみましょう。結論から言ってしまえば、フリーランスの単価の正解は一つではありませんし、規定のルールもありません。だからこそ何を基準に決めれば良いのか悩む方もいるかもしれません。そこで、単価の指標としてどんな職種でも当てはまる二つの軸を紹介します。
フリーランスが単価を決めるときは「取引先の予算」と「自身の稼働」の二軸の交点を探るのがポイントです。
「取引先の予算」については、受注前の打ち合わせなどを通じて情報をキャッチアップする必要があります。大まかな予算枠がわかることもあれば、先方から厳密な単価を指定されることもあるでしょう。
「自身の稼働」については、仕事内容とそれにかかる時間を大まかにシミュレーションし、時給に換算すると目安がわかります。また、月の売上目標から逆算して各案件の単価を調整・計画するのも良いでしょう。
このように「取引先の予算」と「自身の稼働」にあたりをつけておくことで、フリーランスの単価は決定します。まずは「自身の稼働」のシミュレーションをもとに、仕事を請ける単価の最低ラインを引いておきましょう。逆に「取引先の予算」が「自身の稼働」と比べて大幅に上回る場合は、先方の期待値が自分の実力を超えている可能性があります。その場合は、自分がその案件に見合っているか、事前に案件の条件を確認したほうが良いでしょう。
こういった考えをもとに適切な単価の目安を持っておくと、取引先とのお金の話がスムーズに進むようになります。厳格な単価を決定するというよりは、目安を作るという大雑把な感覚のほうが柔軟に交渉できるはずです。
単価の決め方の次に、適切な単価へと導くための交渉について考えていきます。取引の立場上、フリーランスの方は単価を交渉しづらいと感じる方も多いと思いますが、受け入れてもらえる確度が高い状況を作ることが交渉成功のポイントです。
とにもかくにも、先方が思い描くとおりの成果を上げられるフリーランスであることが、価格交渉をする前提条件です。満足のいく成果を出していない状態で単価交渉を受けることは、多くの取引先にとってあまり気持ちのいいことではありません。まずは丁寧かつ正確な仕事ぶりや姿勢を相手に示しましょう。
次に、あなたの得意な領域でプラスアルファの工夫をしてみてください。もしもアイデアや企画力に自信があれば、先方の課題解決に役立つようなアイデアを提案してみると良いかもしれません。あるいは、納品するスピードを上げたり、品質を高めたりすることもひとつの手です。いずれにせよ、あなた自身がそれほど負担なくできるプラスアルファを付加することで、先方の期待値を超えると、あなたの評価が高まります。
これらの下準備をした上で、先方が過度に忙しくない頃合いを見計らって単価交渉の時間を作りましょう。日頃のコミュニケーションをまめに行い、自然な流れで単価交渉ができるとなお良いです。
このとき、「他案件より優先して御社の案件を請けたいからこそ価格面でご調整があると嬉しい」というふうに、さりげなく単価アップすることのメリットも混ぜると、交渉が通りやすくなります。また、もしも自身が貢献できている自信があるならば、「他条件の良い仕事がありがたいことに多く、リソースが割けなくなってきた」など、継続依頼と天秤にかけての単価交渉をしてみるのもテクニックの一つです。
単価の決め方と交渉の仕方がわかったら、あとは取引先とのコミュニケーションを通じて自分の単価を決めるのみ。ですが、ここで不安になると、つい誤った判断やアクションを取ってしまうこともあります。
「自分の適性単価がわからない」と悩むと、ついインターネットで検索をかけたり、SNSの投稿を参考にしたりしてしまいがちです。しかし、単価はそのフリーランスの市場価値によって異なるので、汎用性がありません。適性な単価には案件の質や自身の実力、そして取引先の状況などさまざまな要素が絡み合っているため、他人の公開している相場を自分に当てはめるのはリスキーです。
先ほど単価交渉の仕方について解説しましたが、そもそも単価が「安い」ときには必ず理由があります。「予算がない」「事業が思うように進んでいない」「自分に期待されるほどの実力がない」などが単価を下げる要因として挙げられます。
おそらくフリーランスが「安い」と感じるのは、他にもっと「高い」単価で仕事をしているフリーランスがいて、それと比較するからだと思います。あるいは、自身の望む生活ができるほどの単価でないから、「安い」と判断しているのかもしれません。
いずれにせよ、その感覚はあくまで主観から生まれるものであり、取引先や自身のスキルを冷静に判断できていない可能性が高いです。「安い」と思ったらすぐ単価交渉するのではなく、まずは「なぜ安いのか」を落ち着いて考えてみましょう。
逆に、単価交渉をしすぎないのも良くないパターンです。例えば、長年お付き合いのある会社の場合、契約初期の単価と同額での取引が続くケースがあります。しかし、実績を重ねれば人は成長するものですから、その単価が現在の自分に見合っているかどうか再考したほうが良いでしょう。
自身が具体的にスキルアップしたポイントがあり、かつそれが取引先にとって価値のあるものの場合は、しっかりとそのポイントをアピールしながら単価交渉をしたほうが良いです。それをやらないと、自身の市場価格に見合った仕事ができなくなり、安請け合いで仕事を続けてくれる人として体よく扱われてしまうかもしれません。
最後に単価の話に関わるテクニックのひとつとして、見積書の書き方について解説します。見積書は、基本的には発注単価を相互に確認し合うための書類ですが、じつは単価交渉の武器としても使えます。
見積書に単価をそのまま記入せず、あえて多めの金額を記入し、下部に「割引」項目を入れる方法があります。これは「御社との取引だから割り引いた(=本来の単価はもっと高いです)」というアピールにつながると共に、先方にお得な印象を与えることもできます。
「緊急対応」や「追加MTG対応」など、自身の稼働が伸びそうなオプションは事前に項目を立てて金額を入力し、それが発生したときはお金をいただくという意志を伝えておくのも大切です。成果物に対する見積もりだけを立てておくと、そのプロセスで増えるコストは請求できなくなってしまいます。
そのほか気になる点や、業務の線引きが難しい部分は、すべて備考欄で単価と紐づけてルールを設定しておきましょう。取引先と自身の間で単価に対する認識をはっきりさせておくことで、その後の単価交渉がスムーズになります。
ここまでフリーランスの単価に関わる考え方をお伝えしてきましたが、その大前提として意識しておくべきことがあります。
それは、フリーランスの価値は市場によって決まるということです。例えば、できる人がたくさんいる仕事は、需要よりも供給が多い状態になるので、単価が下がります。一方、特定の人しかできない仕事は、高い金額を支払ってでも依頼する必要があるので、単価が上がります。
この話は、技術だけに限りません。コミュニケーションのしやすさ、珍しいバックグラウンド、マインドの相性など、さまざまな要素をかけ合わせることで自身の価値を高めることができます。また、その強みを活かせる市場に身を置くことも大切です。
自分の替えが効かない場所で、自分の強みを求める取引先を探す。この感覚を持って仕事をするだけで、フリーランスの単価は適正化されます。
今回の記事は、フリーランスの単価に焦点をあて、さまざまな切り口から適切な単価で仕事をするためのポイントを紹介しました。紹介したテクニックや考え方をヒントに、自身の適切な単価を見極めましょう。
(執筆:宿木雪樹 編集:少年B)
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