フリーランスの手取り計算方法【早見表・年収別シミュレーションあり】

フリーランスの手取り計算方法

「フリーランスの手取りってだいたいいくらになる?」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。

そこで本記事では、フリーランスの手取り額の早見表をまとめ、詳細な手取り額の計算方法についても解説します。

フリーランスの手取り早見表【年収別】

まず、フリーランスの手取りをざっくり早見表にすると、以下の通りになります。

(計算の根拠は次章で解説します)

年収300万円 約164万円
年収400万円 約218万円
年収500万円 約269万円
年収600万円 約316万円
年収700万円 約363万円
年収800万円 約406万円
年収900万円 約447万円
年収1000万円 約483万円

フリーランスの手取りシミュレーション【年収別】

次に、フリーランスの年収(売上)と手取り額の差を見ていきましょう。

なお、本記事で試算するのは以下に示した条件をもとにした大まかな数値であり、手取り額を約束するものではないことをご了承ください。

【試算条件】

  • 東京都中央区の20~39歳の独身フリーランスと仮定
  • 前年も同額の所得があったと仮定
  • 経費は売り上げの30%と仮定
  • 所得控除は基礎控除48万円が適用されたと仮定
  • 消費税、住民税の調整控除はシミュレーション対象外
  • デザイン業を行なっていると設定し、個人事業税は5%と仮定
  • 数値は「個人事業主シミュレーション」を参考
  • 2024年6月からの所得減税案は考慮せず

年収300万円の場合:約164万円

  青色申告(65万円の特別控除) 白色申告
経費 900,000円 900,000円
所得税額 30,600円 60,000円
住民税額 71,300円 130,100円
個人事業税 0円 0円
国民健康保険料 157,800円 220,200円
国民年金 198,240円 198,240円
手取り年収 1,642,060円 1,491,460円

個人事業税には事業主控除(290万円)があるため、売上300万円(−経費90万円)の場合は、所得が290万円を超えていないため、個人事業税を納付する必要はありません。

そのため、青色控除(65万円の特別控除)を受けられた場合の手取り額は、約164万円となります。

年収400万円の場合:約218万円

  青色申告(65万円の特別控除) 白色申告
経費 1,200,000円 1,200,000円
所得税額 62,300円 91,700円
住民税額 134,600円 193,400円
個人事業税 0円 0円
国民健康保険料 225,000円 287,300円
国民年金 198,240円 198,240円
手取り年収 2,179,860円 2,029,360円

売上400万円(−経費120万円)の場合も、所得が290万円を超えていないため、個人事業税を納付する必要はありません。青色控除(65万円の特別控除)を受けられた場合の手取り額は、約218万円となります。

年収500万円の場合:約269万円

  青色申告(65万円の特別控除) 白色申告
経費 1,500,000円 1,500,000円
所得税額 93,900円 149,200円
住民税額 197,900円 256,700円
個人事業税 30,000円 30,000円
国民健康保険料 292,100円 354,400円
国民年金 198,240円 198,240円
手取り年収 2,687,860円 2,511,460円

年収600万円の場合:約316万円

  青色申告(65万円の特別控除) 白色申告
経費 1,800,000円 1,800,000円
所得税額 153,700円 212,500円
住民税額 261,200円 320,000円
個人事業税 65,000円 65,000円
国民健康保険料 359,300円 421,600円
国民年金 198,240円 198,240円
手取り年収 3,162,560円 2,982,660円

年収700万円の場合:約363万円

  青色申告(65万円の特別控除) 白色申告
経費 2,100,000円 2,100,000円
所得税額 217,000円 319,100円
住民税額 324,500円 383,300円
個人事業税 100,000円 100,000円
国民健康保険料 426,300円 488,600円
国民年金 198,240円 198,240円
手取り年収 3,633,960円 3,410,760円

年収800万円の場合:約406万円

  青色申告(65万円の特別控除) 白色申告
経費 2,400,000円 2,400,000円
所得税額 328,100円 445,500円
住民税額 387,800円 446,500円
個人事業税 135,000円 135,000円
国民健康保険料 493,400円 555,800円
国民年金 198,240円 198,240円
手取り年収 4,057,460円 3,818,960円

年収900万円の場合:約447万円

  青色申告(65万円の特別控除) 白色申告
経費 2,700,000円 2,700,000円
所得税額 454,700円 572,100円
住民税額 451,100円 509,800円
個人事業税 170,000円 170,000円
国民健康保険料 560,600円 622,900円
国民年金 198,240円 198,240円
手取り年収 4,465,360円 4,226,960円

年収1000万円の場合:約483万円

  青色申告(65万円の特別控除) 白色申告
経費 3,000,000円 3,000,000円
所得税額 581,300円 698,700円
住民税額 514,400円 573,100円
個人事業税 205,000円 205,000円
国民健康保険料 627,700円 690,000円
国民年金 198,240円 198,240円
手取り年収 4,873,360円 4,634,960円

以上のように、フリーランスの手取りは売上よりもかなり少なくなります。とくに年収が1000万円近くになると、税金と社会保険料だけで200万円以上の負担となります。

フリーランスが手取りを増やすためには、自分が負担している税金や社会保険料を知ったうえで、経費や控除を駆使して所得を圧縮する工夫が不可欠です。

フリーランスの手取り計算方法

フリーランスは、業務委託契約や請負契約で案件を受注するのが基本です。

会社員ではなく個人事業主として仕事をするため、受け取る報酬は「売上」として表されます。その売上から、経費、税金、社会保険料などを差し引いたのが手取り額です。

【フリーランスの手取り額の計算方法】
手取り=売上-(経費+税金+社会保険料など

たとえば、あるフリーランスの年間の売上が600万円としましょう。経費が60万円、税金が60万円、社会保険料が50万円とすると、手取り額は以下のようになります。

【手取り額の計算例】
売上600万円-(経費60万円+税金60万円+社会保険料50万円)=手取り額430万円

また、フリーランスの確定申告方法としては「青色申告」と「白色申告」の2種類がありどちらの方法で確定申告を行うかによって、手取り額が変わります。

青色申告を行えば、55万円(一定の要件を満たす場合は65万円)または10万円の特別控除を受けられ、手取り金額が増えるメリットがあります。

フリーランスの売上から引かれる税金&社会保険料

フリーランスの売上から引かれる税金や社会保険料など、その内訳が気になる方も多いでしょう。

詳細な内訳項目は、以下のとおりです。

  • 所得税
  • 住民税
  • 個人事業税
  • 消費税
  • 国民健康保険料
  • 国民年金
  • 介護保険料

上4つが税金で、下3つが社会保険料です。

年齢や所得に応じて変動する税もあるので、これらについて以下で詳しく解説します。

所得税

フリーランスが支払う税金のなかで、もっとも割合が大きいのが所得税です。

所得税とは、所得に応じて決められた税率にのっとり、国に納めなければならない税金のことです1年間の課税所得が38万円以上の人は、納税義務があります。

日本は「累進課税制度」を採用しているため、所得が高ければ高いほど、課せられる税金も高くなります。

所得と税率の関係性は以下の表のとおりです。

課税所得 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超330万円以下 10% 97,500円
330万円超695万円以下 20% 427,500円
695万円超900万円以下 23% 636,000円
900万円超1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

このように、所得が上がるに応じて税率も上がるのが分かります。

住民税

住民税は、定額で課せられる「均等割額」と、所得に応じて課せられる「所得割額」を合計した金額で算出できます一般的に、住民税の納付が必要になるのは課税所得33万円以上からです。

均等割額と所得割額を詳しく解説すると、以下のとおりとなります。

  • 均等割額:都道府県税+市区町村税の合計を支払う(地域によって異なる)
  • 所得割額:課税所得金額×所得割税率で算出(所得割税率は地域によって異なる)

均等割額に関して、都道府県民税=1000円、市区町村民税=3000円の、合計4000円が基本となります。

しかし地域や時期によって変動することもあるため、市役所や自治体で確認することをおすすめします(2014~2023年は復興財源確保のため500円ずつ加算)。

個人事業税

個人事業税は会社員には課せられず、個人事業主(フリーランス)にのみ課せられる税金です。

個人事業税の控除額は年間290万円なので、290万円の所得を超えると、超えた所得に対して課税されます。

個人事業税の計算方法は以下のとおりです。

個人事業税=(年間の所得-控除額290万円)×税率(3~5%)

税率は、業種によって課せられる割合が変動します。たとえば請負業や広告業は5%、医業に類する事業は3%など、業種によってさまざまです。

個人事業税は都道府県が徴収しているものなので、詳しい税率に関しては、東京都主税局のホームページなど都道府県の情報を参考にしてください。

消費税

フリーランスの消費税は、基本的に2年前の課税対象売上額が1000万円以上の場合に課せられますつまり令和2年の課税売上高が1,000万円以上の場合には、令和4年に課税事業者となります。

消費税には、国に納める消費税(7.8%)と地方消費税(2.2%)の2種類が含まれており、合計10%を納めなければなりません。

ただし、2023年10月からスタートする「インボイス制度」によって、多くのフリーランスは売り上げが1000万円に届いていなかったとしても、消費税を納めることになる可能性が高いです。

国民健康保険料

フリーランスとして独立すると、国民健康保険に加入する必要があります。

居住地域によって保険料が異なりますが、所得の約6.3%〜11%くらいだと認識しておきましょう。

なお会社員が加入する社会保険では、保険料の半分を会社が負担してくれますが、国民健康保険は全額個人が負担する必要があります。

国民年金保険料

フリーランスとして独立すると、国民年金保険に加入しなければなりません。

令和5年度(2023年4月~2024年3月)の国民年金保険料は16,520円(月額)です。この額は毎年度見直しが行われています。

介護保険料

介護保険料は会社員orフリーランスに関わらず、40歳以上の場合に支払い義務があります

介護保険料も自治体によって異なるので、あらかじめ確認しておくようにしましょう。

フリーランスの手取りを会社員と比較

フリーランスの手取り額は年収(額面)の5~6割程度だと分かりましたが、会社員と比べるとよいほうなのでしょうか?

一般的には、会社員の手取り額は年収(額面)の75%~85%と言われています。フリーランスと会社員それぞれの年収に対し、手取り額の割合を比較すると以下のとおりです。

  • フリーランス:額面の50%~60%が手取り
  • 会社員:額面の75%~85%が手取り

上記の割合を元に、年収600万円(額面)の会社員とフリーランスそれぞれの目安となる手取り額を比較すると、以下のとおりです。

会社員 フリーランス
年収(額面) 6,000,000円 6,000,000円
税金&社会保険料 900,000~1,500,000円(15%~25%) 1,800,000~2,400,000円(30%~40%)
手取り 4,500,000~5,100,000円 3,600,000~4,200,000円

同じ年収600万円であっても、会社員のほうが手取り額が多いことが分かりますフリーランスは能力に応じて売上を伸ばせるメリットがありますが、税金や社会保険料による差引額が非常に大きいのがデメリットです。

「同額を稼いでも、税金などの差引額によって会社員よりも手取りが減るなら、フリーランスになるのは損」と思われる方もいるかもしれません。

しかし、会社員であれば経費にできない自宅の家賃や水道光熱費、インターネット代なども、事業との関連性を証明できれば経費化できるのは大きな強み。

そのため、とくに所得が少ない場合は会社員以上にフリーランスの手取りが多くなるケースもよく見かけます。

フリーランスが手取り額を増やす方法

フリーランスの手取り額を増やすためには、どのような方法があるのでしょうか。

フリーランスが手取りを増やすには以下の4つの方法があります。

  1. 経費をもれなく計上する
  2. 控除をもれなく計上する
  3. 青色申告を行う
  4. iDeCoや小規模企業共済を利用する
  5. 売上額によって法人化を検討する

方法1. 経費を計上する

経費を計上することで所得を減らし、所得税/住民税/個人事業税の税率を軽減できます。

所得税/住民税/個人事業税の算出方法をおさらいすると、以下のとおりです。

  • 所得税:所得が高くなるほど税率も上昇
  • 住民税:課税所得金額 × 所得割税率で算出
  • 個人事業税:( 年間の所得-控除額290万円)×税率( 3~5%)で算出

つまり所得が少なければ、これら税金の金額も少なくなります。経費を計上することで所得を下げられるのです。

所得は「売上-経費」で算出できるため、経費を多くすれば所得も少なくなります基本的に「業務に関連する支出」に関しては経費として計上可能です。

また、そもそもの固定費(家賃などの住居費、通信費など毎月必ずかかる費用)を見直し、家事按分と呼ばれる仕組みも検討しましょう。自宅で仕事をしている場合、家賃や通信費の一部を経費として申請できます。

一方、手取り額を増やしたいからといって、経費を無駄遣いするのはおすすめできません。

経費率によっては会社員を大きく上回る手取りを得ることも可能ですが、経費を無駄遣いすると支出が増えてしまう(=そのぶん手取りも減る)うえ、やりすぎると税務署から叱られる(追徴課税)リスクもどんどん増していきます。

方法2. 控除を計上する

経費だけでなく「控除」と呼ばれる費用をしっかりと計上することも節税につながります。細かくは解説しませんが、おおむね「控除額が増えると税金が減る」と覚えておいてください。

控除額は経費と同じく所得から差し引くことができるため、手取り額を増やすためには必ず覚えておきたい考え方です。

しかし、控除も経費と同様、控除になるからといって無駄な出費をすることはおすすめしません。

方法3. 青色申告を行う

先ほども見た通り、青色申告することで「青色申告特別控除」が適用され、最大65万円の控除を受けることが可能です。

なお、青色申告をするためには、事前に青色申告の承認を得る必要があります。青色申告の申請は開業と同時に書類1枚でできるので、本格的にフリーランスを頑張っていくのであればぜひ利用しましょう。

方法4. iDeCoや小規模企業共済を利用する

フリーランスの節税でよく活用されるのが、「自分で積み立てるタイプの年金」といわれるiDeCoや、フリーランスの退職金代わりになる小規模企業共済などの制度です。

これらの制度は、一定額までの掛金が「小規模企業共済等掛金控除」という名目で所得から控除されます。

お金を受け取れるのは将来的な話になるものの、実質的な手取りアップにつながる可能性が高いです。

方法5. 所得額によって法人化を検討する

手取り額を増やす方法として、法人化を検討するのも一つの道です。事業が軌道に乗り、ある程度の所得水準になってくると、税金対策として法人化を進めるケースがあります。

そのほうが、個人事業主の場合よりも節税できる可能性が高いためです。

ですが、所得額が一定に満たない場合は、反対に損になってしまう場合もあります。また、法人化には手取り額以外にもさまざまなメリット/デメリットがあるため、一人で判断せず、税理士などの専門家に相談してから進めましょう。

目安として、所得1,000万円前後に到達したタイミングで法人化を検討する方が多いようです。

まとめ

ここまで、フリーランスの手取りについて見てきました。

フリーランスが売り上げから引かれる経費や税金などは多く、収入を上げるためには見かけ以上に売り上げを伸ばさなければなりません。

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(執筆:HikoPro 編集:Kitamura Yuu Kimura Yumi)

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