シンプルは複雑だ。よけいな要素を簡素化してUXを向上させるコツ

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「シンプルであること」は、ビジネスにおいて強力な武器です。

GoogleやAppleの人気の秘訣もここにあります。Googleのサーチエンジンは、ロゴと検索バーの他、ボタンが2つあるだけのシンプルなデザインです。Appleの代表的なプロダクトであるiPodは、アイコニックなクリックホイールによって直感的に使えるデザインになっています。

▲初期iPodのクリックホイール

GoogleとAppleのプロダクトは、シンプルで直感的なデザインによってユーザーの心を掴んできました。そして多くの企業のプロダクトが、GoogleやAppleを模倣して成功してきました。

一方で、この「シンプルさ」を表面的なレベルでしか認識していなかったため、失敗に終わった例も数多くあります。

確かに雑多な要素を無くしてホワイトスペースを多くとることは、プロダクトの見た目を良くし、ユーザビリティを高めます。しかし、真の「シンプルさ」はそれだけにとどまりません。

プロダクトをシンプルにし最大限のユーザビリティを保つためには、まずは「複雑さ」に向き合うことが大切です。ここに、本当のイノベーションの種が潜んでいます。

この記事では、複雑なプロダクトをシンプルにすることに成功している事例を、マクロとミクロのレベルでご紹介します。

見かけ上のシンプルさにとらわれない

シンプルとは、表面上の内容だけではありません。「プロダクトを使用する際に、ユーザーがその経験からどう感じるのか。」これがもっとも重要です。

マクロなシンプルさ

アイスクリームの販売は、一件シンプルなビジネスにみえるでしょう。

アイスクリームは限られた材料で作れますし、その販売は古くからあるビジネスでもあります。しかし、チョコレートやキャンディなどのお菓子が混ざったアイスクリームの生産は、意外なほど難しいのです。Ben & Jerryが成功したのは、この「複雑さ」のおかげでした。

一見簡単そうに見えるお菓子入りのアイスクリームを作るために、Ben & Jerryは非常に複雑なステップを踏む必要がありました。一般的なアイスクリーム製造機は、液体と砂糖など一般的な材料を扱うようにデザインされています。そのため、Ben & Jerryは新しい材料に適した特別な機械を一から開発する必要がありました。

Ben & Jerryの商品

この作業を大規模に行うためには、非常に複雑なプロセスを踏む必要がありました。しかし、こうしたプロセス踏むことで生まれたチョコレートチップやソースなどを含む独創的なアイスクリームは、Ben & Jerryのブランドにとって重要な価値となっています。一方で、消費者にとってこのビジネスは非常にシンプルに映ります。

また、UberやDeliverooも良い事例です。

スマートフォンでタクシーを予約したり、テイクアウトのフードを注文することは、一見シンプルに見えます。しかしその裏側は、非常に複雑なのです。

UberDeliverooのUI

UberとDeliverooは、一見単純なアイデアの影に隠れた複雑さと真剣に向き合うことで、表面上はシンプルでありつつ、ユーザーにとって価値のあるプロダクトを作り出せました。

マクロレベルなシンプルさは、簡潔なミッションステートメントを考えることから始まります。

ここに挙げた3社のミッションステートメントは非常にシンプルです。

  • Ben & Jerryh「make fantastic ice cream(素晴らしいアイスクリームを作る)」
  • Uber「bring transport to everyone(みんなのための交通手段)」
  • Deliveroo「transform the way we eat(食文化に変革を)」

プロダクトのミッションは、そのエッセンスをつかんで誰にでも理解しやすくする必要があります。ミッションをシンプルにすることで、本当に大切なポイントのみにフォーカスできます。

ミクロなシンプルさ

ユーザーのために複雑な要素をシンプルにすることは、プロダクトの理念に関するマクロレベルだけでなく、機能やデザインなどのミクロレベルでも重要です。

ユーザーは過去の経験をベースにプロダクトとインタラクションするため、多くの企業はインターフェイスを馴染みのある既存のデザインやパターンに合わせます。しかし、このアプローチは本当の意味でのシンプルさに繋がりません。

パスワードのリセット画面を例に挙げましょう。ほとんどのプロダクトでは、ユーザーが何回かログインに失敗したのち、「パスワードを忘れた」というボタンを押し、セキュリティステップを踏んで、Eメールをチェックし、アプリに戻る、という標準的な手法をとっています。この方法では、多くのユーザーは次の訪問の際に同じ手順を踏む可能性が高く、不満を募らせる原因にもなり得ます。

このアプローチが主流なのは、UXとして優れているからではなく、開発者にとって簡単なソリューションだったからです。

Instagramのパスワードのリセット画面

しかしモバイルデバイス専用銀行であるMonzoは、UXを向上させるために、この基本的なアプローチを見直しました。結果として「マジックリンク」と呼ばれる方法を採用し、パスワードリセットに伴う負担を減らしました。

ログインに失敗した際は、MonzoはEメールでマジックリンクをユーザーに送信します。メールを開けるとアプリに自動的に戻り、ログインができるようになるという仕組みです。ログイン情報は保存されるため、訪問するたびにいちいちログインする必要もありません。

Monzoのマジックリンク

Monzoにとって、このアプローチを採用するにはより複雑な開発が必要でした。しかしそのおかげで、ユーザーにとってはよりシンプルで使いやすいシステムとなったのです。

この「ユーザーにとってよりシンプルなUXを目指す」という精神は、あなたのプロダクトの全てのエリアに応用できます。プロダクトの複雑さを見極め、それに対処することで、よりポジティブなUXを生み出すイノベーションに繋がるのです。

ミクロなシンプルさをあなたのプロダクトに取り入れる方法のひとつとして、「OODAループ」があります。これは軍事戦略家であるJohn Boydによって開発された理論で、不確定な環境で成功するコツを、観察・順応・決定・行動、という4つのステップで説明しています。

複雑な問題に対しシンプルかつ強力なソリューションを導くために、この4つのステップは非常に役に立つでしょう。

シンプルさは複雑さである

この記事では、プロダクトのマクロとミクロの機能に注目し、シンプルさがユーザーにとっての価値向上にどう寄与するかをご紹介しました。しかし、シンプルさがプロダクトに与える影響はこれだけではありません。

GoogleとAppleは、ミッションや戦略、プロセス、文化に到るまで、シンプルな思想が浸透しています。複雑さから目を逸らさず、それに挑戦することで、本当のシンプルさにを発見していくことを常に意識しましょう。

(原文:Margaret Kelsey 翻訳:Mariko Sugita)

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