離職率は何%から高い?新卒・中途の平均と原因、採用改善のポイント

離職率は何%から高い?新卒・中途の平均と原因、採用改善のポイント
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「自社の離職率は高いのか」「どこに課題があるのか」と悩んでいませんか?採用や定着に課題を感じていても、具体的に何から改善すべきか分からず、有効な手を打てずにいる採用担当者もいるのではないでしょうか。

本記事では、離職率の平均や判断基準をはじめ、離職が起きる原因や具体的な改善施策まで体系的に整理し、実務で活用できる形で分かりやすく解説します。

現役エンジニアとしての実務経験に加え、フリーランスライターとして複数の採用現場に関わってきた立場から、離職率の実態と採用・定着を改善するためのポイントを具体例を交えてお伝えします。

水無瀬あずさ
水無瀬あずさ

4年ぶりに歯医者に定期検診に行ったら、案の定虫歯が見つかり、現在治療中です。歯医者って大人になれば平気になると思っていたけど、今でも全然余裕で大嫌いだと実感しました。(note: @azasaz_a

離職率とは?採用担当者が押さえるべき基本指標

離職率とは?採用担当者が押さえるべき基本指標

離職率とは、企業に在籍していた従業員のうち、一定期間内に退職した人の割合を示す指標です。人材の定着状況を把握するために用いられる、基本的な人事指標の一つといえます。

離職率が採用担当者にとって重要なのは、採用した人材が自社にどの程度定着しているかを可視化できるためです。たとえ採用数が増えていても、早期離職が多ければ、採用の質や受け入れ体制に課題がある可能性があります。そのため、離職率は単なる人事データではなく、採用活動や組織づくりの状態を見直す指標として捉えることが大切です。

近年は採用市場が厳しさを増しており、「採ること」だけでなく、「定着し、活躍してもらうこと」まで含めて採用を設計する必要があります。離職率を正しく理解しておくことで、自社の課題を把握し、次に見るべき数値や改善の方向性も整理しやすくなるでしょう。

離職率の計算方法と正しい見方

離職率の計算方法と正しい見方

離職率は一般的に、【一定期間の離職者数 ÷ 在籍者数 × 100】で算出されます。

月次・四半期・年次など、一定期間ごとに算出するのが基本ですが、実務では「どの時点の在籍者数を基準にするか」や「離職者の定義に自己都合・会社都合を含めるか」といった条件を社内で統一しておくことが重要です。定義が曖昧なままだと、過去との比較や他社とのベンチマークがしにくくなります。

また、離職率は単体の数値だけで判断するのではなく、「入社後◯カ月以内の離職率(早期離職率)」や「部門別・職種別の離職率」など、切り口を変えて見ていく必要があります。全体の数値が平均的でも、特定の層に離職が偏っていれば、そこに個別の課題が潜んでいる可能性があるためです。

なお、離職率は高ければ必ずしも悪い、低ければ無条件に良いというものでもありません。事業フェーズや組織の新陳代謝の考え方によって、適正な水準は異なるため、自社の状況や採用方針と照らし合わせながら、「なぜこの数値になっているのか」を考えて活用することが重要です。

離職率の平均はどれくらい?新卒・中途・業界別で解説

離職率を考えるうえで気になるのが、「自社の数値は高いのか、それとも平均的なのか」という点ではないでしょうか。ここでは、新卒・中途・業界別という観点から、それぞれの離職率の平均と傾向を解説します。

新卒の3年以内離職率の平均と実態

厚生労働省の最新データ(令和4年3月卒業者)によると、就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が37.9%、新規大学卒就職者が33.8%となっています。依然として、高卒では約4割、大卒でも約3人に1人が3年以内に離職している状況であり、新卒採用における定着の難しさがうかがえます。

企業規模別に見ると、従業員数が少ない企業ほど離職率が高い傾向にあり、特に「5人未満」の事業所では50%を超える水準です。こうした結果からは、教育体制や受け入れ後のフォロー環境が、定着率に大きく影響していることが読み取れます。

▼新規学卒就職者の事業所規模別就職後3年以内離職率

事業所規模 高校 大学
5人未満 63.2% 57.5%
5~29人 54.6% 52.0%
30~99人 45.2% 41.9%
100~499人 36.7% 33.9%
500~999人 29.9% 31.5%
1,000人以上 26.3% 27.0%

参考:新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)|厚生労働省

産業別で見ると、飲食サービス業・宿泊業や生活関連サービス業・娯楽業では離職率が50%を超えており、早期離職が起こりやすい業種であることが分かります。また、教育・学習支援業、医療・福祉、小売業でも40%を超える水準となっており、対人業務の負荷や勤務形態、入社前後のギャップなどが定着に影響している可能性があります。

このように、新卒の離職率は「3年で3割前後」が一つの目安になるものの、実際には採用区分だけでなく、企業規模や業種によって大きく異なる点に注意が必要です。自社の離職率を評価する際は、全体平均だけで判断するのではなく、自社の採用ターゲットや組織体制に照らし合わせながら、自社特有の離職要因を把握することが重要になります。

中途採用の離職率の平均と特徴

中途採用の離職率を把握する際は、新卒のように「入社後◯年以内」で見るのではなく、年単位で労働市場全体の動きを示す「年間離職率」を参考にするのが一般的です。

厚生労働省の雇用動向調査によると、2024年の離職率は14.2%で、入職率14.8%を下回る「入職超過」の状態となっています。

▼入職率・離職率の推移

就業形態別に見ると、一般労働者の離職率は11.5%、パートタイム労働者は21.4%と、雇用形態によって大きな差があります。また、男女別では女性の離職率が16.0%、男性が12.6%となっており、ライフイベントや働き方の違いが影響している可能性も考えられます。

中途採用の離職率は、新卒と比べると単年では低く見えますが、これは主に母数の取り方や在籍期間の違いによるものです。新卒は入社後3年以内という一定期間で測るのに対し、中途はその年に発生した離職を集計しているため、数値を単純に比較することはできません。

このように、中途採用の離職率は新卒とは異なる前提で捉える必要があります。実務では、全体の離職率だけを見るのではなく、「入社後1年以内の離職率」や「採用チャネル別の定着率」など、自社の採用プロセスに結びつけて分解しながら評価することが重要です。

業界別・職種別で異なる離職率の傾向

離職率は、新卒・中途といった採用区分だけでなく、業界や職種によっても大きく異なります

一般的に、飲食・宿泊業や小売業、サービス業などは離職率が高い傾向にあり、反対にインフラ系や専門性の高い職種では比較的低くなる傾向があります。これは、労働時間や業務負荷、給与水準、キャリアパスの明確さといった、働く環境の違いが影響しているためです。

また、同じ業界であっても、営業職や接客職など対人負荷の高い職種は離職率が高くなりやすく、バックオフィスや専門職は比較的安定しやすい傾向があります。採用時の期待値と実際の業務とのギャップが大きい職種ほど、早期離職につながりやすい点にも注意が必要です。

このように、離職率は一律の基準で評価できるものではなく、業界・職種・企業規模といった複数の要素によって大きく左右されます。自社の離職率を適切に評価するためには、こうした前提を踏まえたうえで、自社と近い条件のデータと比較する視点が重要です。

離職率は何%から高い?判断基準と見るべきポイント

離職率を見て「高いのか低いのか」を判断したいと考える採用担当者は多いでしょう。しかし、離職率は単純に数値だけで良し悪しを判断できる指標ではありません。ここでは、「離職率は何%から高いのか」という疑問に対して、判断の考え方と見るべきポイントを整理します。

離職率は何%から「高い」と言えるのか

離職率は何%から「高い」と言えるのか

離職率を判断する一つの目安として、新卒なら「3年以内で3割前後」、年間離職率で「10~15%前後」が基準とされることが多く、この水準を大きく上回る場合は「やや高い」と認識されます。

ただし、これらはあくまで全体平均をもとにした目安に過ぎず、明確に「何%以上なら高い」と断言できる基準はありません。たとえば、成長フェーズにある企業や、人材の入れ替わりが前提となる業界では、一定程度の離職が織り込まれている場合もあります。

そのため、単純に平均値と比較して判断するのではなく、「なぜこの数値になっているのか」という背景まで含めて捉えることが重要です。離職率はあくまで結果指標であり、その裏にある採用や組織運営のプロセスに目を向けることで、はじめて具体的な改善につながります。

新卒・中途・業界によって基準は異なる

離職率の評価が難しい理由の一つが、新卒・中途・業界によって水準が大きく異なる点です。たとえば新卒は「入社後3年以内」という一定期間で見るのに対し、中途採用は年間の離職率で見ることが多く、そもそも比較の前提が異なります。

さらに、業界による違いも無視できません。飲食や小売、サービス業などは離職率が高くなりやすく、ITやインフラ系などは比較的低い傾向があります。これは業務内容や働き方、キャリアパスの違いが影響していると考えられます。

自社の離職率を評価する際には、全体平均ではなく「同じ採用区分」「近い業界・職種」といった条件で比較することが重要です。適切な比較対象を設定しないまま判断してしまうと、実態とかけ離れた評価につながる可能性があります。

1年以内・3年以内など期間別で判断する

離職率を正しく把握するためには、「どの期間で見るか」という視点が重要です。特に採用担当者にとっては、入社後1年以内や3年以内といった、いわゆる早期離職の動向を重点的に把握する必要があります。

年間離職率が平均的であっても、入社後すぐに離職するケースが多い場合は、採用時のミスマッチやオンボーディング体制に課題がある可能性が考えられます。一方で、一定期間を経てからの離職が多い場合は、評価制度やキャリアパス、組織内での成長機会といった要因が影響しているかもしれません。

このように、離職率は「いつ辞めているのか」によって意味合いが大きく変わります。単一の数値だけで判断するのではなく、期間別に分解して分析することで、課題の所在をより具体的に特定できるようになるでしょう。

採用判断で見るべきは「離職率の背景」

採用判断で見るべきは「離職率の背景」

離職率を改善するには、数値そのものではなく、その背景にある要因を正しく理解することが重要です。同じ離職率であっても、内訳や原因によって取るべき対策は大きく異なります。

たとえば、採用時の情報不足によるミスマッチが原因であれば、求人内容の見直しや面接プロセスの改善が必要です。一方で、入社後のフォロー不足が要因であれば、オンボーディング体制の整備やマネジメントの強化が求められます。事業の成長フェーズによっては、一定の離職が避けられないケースもあります。

必要なのは、「防ぐべき離職」と「ある程度許容すべき離職」を切り分けて考える視点です。離職率はあくまで結果指標であり、その背景を分析してはじめて、実効性のある採用改善につながります。

離職率が高い企業に共通する原因

離職率が高い企業には、共通する構造的な課題があります。ここでは、離職率が高い企業に共通する主な原因を整理します。

離職率が高くなる原因の構造

採用ミスマッチ(要件定義・選考設計のズレ)

離職率が高い企業において最も多く見られる原因の一つが、採用のミスマッチです。募集要件や求人情報と実際の業務内容・働き方にズレがある場合、入社後にギャップが生じ、早期離職につながりやすくなります。

特に注意すべきなのは、要件定義が曖昧なまま採用活動を進めてしまうケースです。現場のニーズが十分に言語化されていなかったり、「とりあえず人手が欲しい」という状態で採用を行ったりすると、結果的に自社に合わない人材を採用してしまうリスクが高まります。

また、選考プロセスにおいても、スキルや経験だけで判断してしまい、カルチャーフィットや価値観のすり合わせが不足していると、入社後のミスマッチが顕在化しやすくなります。

採用ミスマッチについては、こちらの記事も参考にしてください。

オンボーディング・育成体制の不足

採用時に適切な人材を見極められていたとしても、入社後の受け入れ体制が整っていなければ定着にはつながりません。オンボーディングや育成体制の不足は、早期離職の大きな要因の一つです。

具体的には、業務の進め方や期待役割が十分に共有されていない、相談できる環境が整っていない、といった状態が続くと、新入社員は不安や孤立感を抱きやすくなります。特に中途採用では「即戦力」としての期待が先行してしまい、十分なフォローが行われないケースも見られます。

また、育成の仕組みが属人的になっている場合、配属先によって定着率にばらつきが出ることもあります。

配属・評価・マネジメントの問題

配属後の環境も、離職率に大きく影響する要素です。適切な配属が行われていない、あるいは評価制度が不透明な場合、従業員のモチベーション低下や不満の蓄積につながります。

たとえば、本人の適性や希望と異なる部署に配属された場合、業務への納得感が得られず、早期離職につながるケースがあります。また評価基準が曖昧だったり、フィードバックが不足していたりすると、自身の成長実感を得にくくなります。

さらに、直属の上司によるマネジメントの質も重要な要素です。コミュニケーション不足や過度な負荷、適切なサポートの欠如などは、離職の引き金になりやすいポイントです。

離職要因の分析不足

離職率が高止まりしている企業では、そもそも離職の原因を十分に把握できていないケースも少なくありません。退職者の声やデータを体系的に収集・分析できていないと、課題の特定が曖昧なままになり、有効な対策を打つことが難しくなります。

重要なのは、退職理由を定量・定性の両面から継続的に把握し、採用や組織運営の改善につなげることです。離職要因の分析ができてはじめて、他の課題に対する優先順位付けや、効果的な施策設計が可能になります。

離職率を活用した採用改善の進め方

離職率は単なる結果指標ではなく、採用や組織の課題を可視化し、改善につなげるための重要な指標でもあります。ここでは、離職率を起点にした採用改善の具体的な進め方を解説します。

離職率を「測るだけ」から「改善に活用する」指標へ

1.採用KPIとして離職率を可視化する

採用改善の第一歩は、離職率をKPIとして明確に設定し、可視化することです。離職率をKPIとして設定することで、「採用して終わり」ではなく「定着して活躍するまで」を含めた採用活動へと視点が広がります。

具体的には、全体の離職率だけでなく、入社後1年以内や3年以内といった期間別の指標を設定することが重要です。また、部門別や職種別に分けて可視化することで、どの領域に課題があるのかを特定しやすくなります。

2.採用チャネル別に離職傾向を分析する

離職率を改善するためには、採用チャネルごとの違いにも注目する必要があります。同じ職種・同じ条件で採用していても、求人媒体やエージェント、リファラルなど、チャネルによって定着率に差が出ることがあるためです。

短期的に人材を確保しやすいチャネルであっても、定着率が低ければ中長期的には採用コストが高くなる可能性があります。一方で、採用難易度は高くても、定着率が高いチャネルは優先的に強化すべき対象となります。

このように採用チャネルごとに離職率を可視化・分析することで、どのチャネルに投資すべきか、どのチャネルを見直すべきかといった判断が可能になります。

3.定着データをもとに採用要件を見直す

離職率のデータは、採用要件の精度を高めるための重要な判断材料でもあります。定着している人材と早期離職している人材の傾向を比較・分析することで、自社に合う人材の特徴をより具体的に言語化し、データに基づいて採用要件を見直すことが重要です。

たとえば、スキルや経験よりも志向性や価値観が定着に影響しているケースもあれば、逆に一定のスキル水準を満たしていないことが早期離職につながっている場合もあります。こうした傾向を把握することで、採用要件の優先順位を整理し、より実態に即した採用設計が可能になります。

4.採用要件を明確化し現場とすり合わせる

採用要件は人事だけで決めるものではなく、現場と十分にすり合わせたうえで設計することが不可欠です。現場の期待値と採用要件にズレがあると、入社後に「求めていた人材と違う」といったミスマッチが生じやすくなります。

特に注意したいのは、要件が抽象的なまま共有されているケースです。「主体性がある人」「コミュニケーション力が高い人」といった曖昧な表現ではなく、具体的な行動レベルまで落とし込んで定義することで、評価の一貫性を担保しやすくなります。

また定期的に現場と振り返りを行い、「どのような人材が活躍しているか」「どこにギャップがあったか」を共有することで、採用精度を継続的に高められます。

5.リアリスティックジョブプレビューでミスマッチを防ぐ

リアリスティックジョブプレビュー(RJP)は、入社前に仕事内容や働き方の実態をありのまま伝える採用手法です。良い面だけでなく、業務の大変さや求められる役割についても正直に共有することで、入社後のミスマッチを防ぐことができます。

一見すると「応募数の減少につながるのでは?」と思うような施策ですが、結果として自社に合わない候補者を事前にふるいにかけられるため、入社後の離職率低下につながります。

具体的には、現場社員との面談や職場見学、業務体験などを通じて、候補者が実際の働き方をイメージできる機会を提供する方法が有効です。短期的な採用数よりも、中長期的な定着を重視する姿勢が求められます。

6.選考プロセスでカルチャーフィットを見極める

スキルや経験だけでなく、カルチャーフィットを見極めることも、離職率の低減においては重要な要素です。組織の価値観や働き方に合わない場合、たとえ能力が高くても早期離職につながる可能性があります。

そのため、選考プロセスでは単なるスキルチェックにとどまらず、価値観や志向性を確認するための質問設計や評価基準を整える必要があります。たとえば、「どのような環境で力を発揮しやすいか」「過去にどのような職場でやりがいを感じたか」といった観点で深掘りすることが有効です。

面接官ごとの判断のばらつきを防ぐために、評価基準を言語化し、組織としての「求める人物像」を共有しておくことも重要です。カルチャーフィットを重視した採用は、長期的な定着と活躍につながります。

離職率が高い企業の共通点と改善策については、こちらで詳しく解説しています。

入社後の定着率を高める施策

離職率を下げるためには、採用段階でのミスマッチ防止に加え、入社後の定着施策を強化することが重要です。ここでは、入社後の定着率を高めるために実践したい具体的な施策を紹介します。

1.オンボーディング設計の最適化

入社後の定着を左右する重要な要素の一つが、オンボーディングの設計です。新入社員がスムーズに業務や組織に適応できるかどうかは、入社初期の体験に大きく依存します。

【今すぐできるオンボーディング施策】
・入社初日に伝える業務内容と期待役割を文書化する
・入社後1週間・1か月・3か月のフォロー項目を決める
・業務で必要な知識やスキルを習得順に整理する
・質問・相談先を明確にし、いつでも確認できるようにする
・配属先ごとにオンボーディング内容が属人化していないか見直す

こうしたオンボーディングが不十分だと、社員は不安や孤立感を抱きやすくなり、早期離職のリスクが高まります。

また、オンボーディングは一律ではなく、職種や経験に応じて最適化することも重要です。中途採用であっても一定のキャッチアップ期間を設けるなど、個別に対応することで、定着率の向上につながります。

私自身も中途で今の会社に入社しましたが、オンボーディング体制が非常に整っていたことが印象に残っています。業務マニュアルがしっかり整備されていただけでなく、動画でも必要な情報を確認できたため、仕事の立ち上がりがとてもスムーズでした。

入社直後に「何をすればいいかわからない」と迷う場面が少なかったことは、安心感にもつながったと感じています。こうした初期体験の良さもあってか、気づけば今年で9年目。すっかり会社にいついてしまいました(笑)。

2.早期フォローと1on1の仕組み化

入社後のフォロー体制として有効なのが、定期的な1on1ミーティングの仕組み化です。特に入社直後は、業務や人間関係に関する不安が表面化しやすい時期であり、早期にケアできるかどうかが定着に大きく影響します。

【1on1実施で意識したいポイント】
・業務の進捗確認だけでなく、心理面(不安・悩み)にも目を向ける
・上司が話すのではなく、部下が話す時間を多く確保する
・評価や指摘の場ではなく、安心して話せる場として設計する
・実施頻度(週1・隔週など)をあらかじめ決めて継続する
・1on1で出た内容は放置せず、次回までにアクションにつなげる
・形式的にならないよう、質問内容やテーマを適宜見直す
・マネージャーごとに質がばらつかないよう、最低限の型を用意する

1on1は、形式的な面談ではなく、安心して話せる場として機能させることが重要です。そうした対話の場があることで、小さな不安や違和感を早い段階で把握しやすくなり、問題の早期発見につながります。

かくいう私も、現在の会社で定期的にマネージャーとの1on1を行っています。とはいえ、会社に大きな不満があるわけではないので、毎回ほぼ雑談で終わるんですが……。ただ、日報に書いた何気ないコメントをきっかけに話題を広げてくれることがあり、「ちゃんと見てくれているんだな」と感じられる瞬間があります。

こうした小さな積み重ねが安心感につながり、結果として居心地の良さを高めているように感じます。

3.評価制度とキャリアパスの可視化

評価基準や昇進・昇格の条件を明確にし、社員に分かりやすく共有することも重要です。あわせて、キャリアの選択肢を提示し、それぞれに必要なスキルや経験を可視化することで、自律的な成長も促しやすくなります。

【今すぐできる評価・キャリア施策】
・評価基準(何を達成すれば評価されるか)を言語化して共有する
・昇進・昇格の条件を明文化し、社内で公開する
・各職種ごとのキャリアパス(スペシャリスト/マネジメントなど)を整理する
・役職・等級ごとに求められるスキルや役割を一覧化する
・評価フィードバックの頻度(半期・四半期など)を決めて運用する
・評価結果だけでなく、「なぜその評価なのか」をセットで伝える
・若手社員に対して、中長期のキャリアイメージをすり合わせる場を設ける

特に若手社員にとっては、「この会社で成長できるか」という視点が定着に大きく影響するポイントです。評価とキャリアの透明性を高めることが、長期的な定着につながります。

また、評価やキャリアの「見える化」は、一度整備して終わりではなく、継続的に見直しながらアップデートしていくことが重要です。

4.リモート・ハイブリッド勤務への対応

近年はリモートワークやハイブリッド勤務が一般化し、働き方の変化が定着率にも影響を与えています。柔軟な働き方を提供できる企業は魅力が高まる一方で、コミュニケーション不足や孤立感といった新たな課題も生じています。

特にリモート環境では、雑談や偶発的なコミュニケーションが減少しやすく、チームへの帰属意識が弱まりやすい傾向があります。そのため、オンラインでの定期的な接点づくりや、意図的なコミュニケーション設計も重要です。

出社とリモートを組み合わせたハイブリッド勤務では、情報格差が生じないような運用ルールの整備も欠かせません。働き方に応じたマネジメントの見直しが、定着率の向上につながります。

私自身、コロナ禍をきっかけに在宅勤務になりましたが、フルリモートはどうしてもチーム間のコミュニケーションが取りづらいので、意識的にオンラインでミーティングの場を設けるようにしています。とはいえ業務連絡はごく一部で、毎回ほとんど雑談で終わるんですが(笑)。ただ、こうした場で近況を報告し合うことで、「最近は家庭の事情で少し慌ただしい」「今はこのあたりの業務に余裕がない」といった温度感を自然に共有できるのが大きいと感じます。

5.採用だけに頼らず、外部人材を活用する

離職率対策というと、採用や定着施策に目が向きがちですが、そもそも人材確保を「正社員採用」に限定しない視点も重要です。外部人材を活用することで、組織への負荷を軽減し、結果として離職率の抑制につながる場合もあります。

たとえば、専門性の高い業務や一時的なリソース不足に対して、フリーランスや業務委託を活用すれば、既存社員への過度な負担を防ぎやすくなります。外部人材との協働を通じて自社に本当に必要なスキルや役割が明確になれば、その後の採用要件の見直しにもつなげやすくなります。

こうした選択肢の一つとして、Workship CAREERの活用が有効です。Workship CAREERは、IT・DX業界に特化した転職エージェントとして、エンジニア・デザイナー・マーケター・ディレクター・コンサルタントなど、専門スキルを持つ即戦力人材の採用を支援しています。リモートワークやハイブリッド勤務に対応した求人に強みがあり、従来の採用市場では出会いにくかったハイスキル人材の紹介が可能です。

採用難易度が高まるなかでは、こうした外部リソースを適宜活用しながら、より現実的で柔軟な採用体制を構築していく視点も重要です。

離職率の改善は採用コストの最適化にもつながる

離職率の改善は、単に人が辞めにくい組織をつくるための取り組みではなく、採用コストや現場の生産性、ひいては事業成長にも関わる重要なテーマです。ここでは、離職率改善がなぜ採用コストの最適化につながるのかを、3つの観点から整理します。

離職率の改善は採用コストの最適化にもつながる

早期離職が採用コストを押し上げる

早期離職が増えると、採用コストは想像以上に膨らみやすくなります。求人広告費や人材紹介手数料、採用担当者の工数といった直接的なコストだけでなく、入社後の研修やOJTにかけた時間も回収できないまま失われてしまうためです。

特に入社後1年以内の離職が多い場合は、採用から立ち上がり支援までに投じたコストに対して十分な成果を得られず、採用活動の費用対効果が悪化しやすくなります。欠員補充のために再び採用活動を行う必要が生じれば、同じコストを何度も負担することになりかねません。

このように、離職率の高さは単なる人の入れ替わりではなく、採用投資の回収を難しくする要因でもあります。採用コストを最適化するには、採用数を増やすこと以上に、採用した人材が定着し、活躍できる状態をつくることが重要です。

定着率の向上が現場負担の軽減につながる

離職率の改善は、採用コストだけでなく、現場の負担軽減にも直結します。人が定着しない職場では、欠員対応や引き継ぎ、再教育といった業務が繰り返し発生し、既存社員にしわ寄せが生じやすくなるためです。

たとえばメンバーが短期間で入れ替わる状態では、マネージャーや先輩社員がその都度フォローに時間を取られ、本来注力すべき業務に集中しにくくなります。場の疲弊や生産性の低下を招けば、さらなる離職につながるという悪循環に陥ることもあるでしょう。

一方で、定着率が高まれば、教育コストの重複を防ぎやすくなり、組織内に知識やノウハウも蓄積されやすくなります。こうした状態は現場の安定運営につながるだけでなく、採用後の受け入れ体制を整えやすくする点でも大きなメリットです。

離職率改善を経営指標として捉える

離職率は、人事部門だけが追うべき指標ではなく、経営指標の一つとして捉えることが重要です。離職率の高低は採用コストや生産性、組織力、ひいては事業成長そのものに影響を与えるためです。

離職率が高い状態が続けば、採用費や教育コストが増えるだけでなく、組織にノウハウが蓄積しにくくなり、事業の継続性や成長スピードにも影響が及びます。反対に、定着率が高い組織は、採用投資の回収効率が高まり、長期的な人材育成もしやすくなります。

そのため、離職率の改善は「人事の課題」ではなく、「経営資源をどう最適配分するか」という視点で考える必要があります。採用、育成、配置、評価といった各施策をつなげながら、離職率を経営レベルでモニタリングしていくことが、持続的な組織成長につながるでしょう。

まとめ|離職率を改善するなら「採用の質」から見直そう

離職率は単なる数値ではなく、新卒・中途・期間・業界といった複数の観点で分解して捉えることで、はじめて正しく判断し、改善につなげられる重要な指標です。また、離職率が高くなる背景には、採用ミスマッチが潜んでいるケースも少なくありません。要件定義や選考プロセスを見直し、自社に合った人材を見極めることが、定着率改善の第一歩になります。

定着率を高めるためには、自社だけで課題を抱え込まず、外部人材や専門エージェントの活用も含めて、採用のあり方そのものを見直すことが重要です。採用の「量」ではなく「質」に向き合うことで、離職率の改善と組織の成長を両立しやすくなります。

Workship CAREER

▲出典:Workship CAREER

Workship CAREERは、IT・DX業界に特化した転職エージェントです。エンジニア・デザイナー・マーケター・ディレクター・コンサルタントなど、専門スキルを持つ即戦力人材の採用を支援しています。リモートワークやハイブリッド勤務に対応した人材紹介に強みがあり、従来の採用手法では出会いにくかったハイスキル人材の獲得が可能です。

フリーランスネットワークを活用したトランジション採用など、柔軟な採用手法にも対応しており、スキルやカルチャーフィットを見極めながら採用を進めやすい点が強みです。「採用してもすぐ辞めてしまう」「自社に合う人材と出会えない」といった課題を感じている企業の採用担当者は、こうした外部サービスも活用しながら、採用の質そのものを見直していきましょう。

(執筆:水無瀬あずさ 編集:猫宮しろ)

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