【社労士解説】ジョブ型雇用時代におけるフリーランスの生存戦略とは?
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こんにちは、 Workship MAGAZINEライターのじきるうです!
Lancersの調査によると、2018年における国内の広義のフリーランス人口が1119万人に達し、経済規模は初めて20兆円を突破したとの報告がありました。自分の能力を活かせることから、フリーランスの仕事満足度はノンフリーランスに比べて高い傾向にあり、今後もフリーランスへの注目度は高まっていくことが予想されます。
一方で、フリーランスはその自由さゆえに、フリーランスとしてのキャリア形成や成功の形が見えにくいという不安もあります。よく考えずにフリーランスを続けていると、案件に振り回され、ジリ貧で忙しい日々を送る可能性も……。
高単価の案件をゲットする方法や、営業せずとも仕事が集まってくるようなデキるフリーランスになる方法は知っておくべきでしょう。
そこで今回は、フリーランスとして月収100万円を達成した経験を持ち、また田舎フリーランス養成講座で多くのフリーランス育成に携わってきた、「池ちゃん」こと山口拓也さんにお話を聞いてきました! フリーランスを知り尽くした山口さんに、フリーランス処世術を教えていただきましょう。
株式会社Ponnuf代表取締役。Webメディア運営受託事業、人材事業、スペース運営事業などを手がける。千葉県・金谷のコワーキングコミュニティ「まるも」や、田舎フリーランス養成講座の立ち上げ人として有名。ニックネームである「池ちゃん」の由来は、スポーツタレントの池谷直樹に顔が似ているから。(Twitter:@ikechan0201)
Workship MAGAZINEライター。新卒フリーランスをしていたが、不安定な収入にメンタルがやられ会社員になった。なお、この取材が会社員初日。(Twitter:@kazzikill)
じきるう:
多くの駆け出しフリーランスの悩みの一つとして、仕事の単価が安いというのが挙げられます。仕事の単価を上げるにはどうしたら良いですか?
池ちゃん:
クライアントに「単価上げて」って言うのが早いんじゃないですかね(笑)。
単純に収入を増やしたいなら、量・質・スピード・方向性。フリーランスはこの4つの掛け合わせで収入は大きく変わります。
まずは量。当たり前ですが、仕事量を増やせば収入は増えます。仕事を通して多くの経験やスキルを得ることもできるので、駆け出しのうちは量をこなすことが大事です。
続いて質。ハイクオリティな仕事をする人には、高単価の案件が舞い込んできます。
次にスピード。フリーランスは時給ではなく成果で報酬が決まるので、早くやればやるほど時給換算での収入は上がります。
最後に方向性。仕事の方向性を間違えると、いくら頑張っても稼げません。例えば、今はもうフラッシュとか使わないですよね。フラッシュを使った開発をしていても、稼げる方向には向かわないでしょう。一方で、今はスマホやモバイル対応のサイト制作は需要が多いですし、方向性としては時代に合っていると思います。
じきるう:
量・質・スピード・方向性の中で、駆け出しフリーランスが最も意識すべきものはどれですか?
池ちゃん:
やはり量ですね。仕事をたくさんこなすことでスキルが身につき、質が上がり、スピードが上がり、クライアントからも信頼されるようになります。
じきるう:
信頼。
池ちゃん:
一回仕事をして、クライアントから「この人良かったな」って思ってもらえると、継続して仕事を貰いやすいし、高単価の新たな仕事を紹介してもらえるかもしれない。
良い仕事をして、信頼をしっかり貯金できていると、その信頼が後々返ってくるのです。自分も今だに昔からの知り合いから仕事を貰いますし!
短期的にはあんまり効果はないかもしれませんが、中長期的に見ると信頼の蓄積は大事です。
じきるう:
ちなみに信頼の指標として「Twitter等のフォロワー数」が挙げられることがありますが、山口さんもフォロワー数は信頼につながると思いますか?
池ちゃん:
確かに信頼の指標にはなると思います。ただ、それが仕事につながるかと言ったら別の話です。仕事における信頼は、どれだけ丁寧な仕事をするか、即レス(すぐに返事)するかとかの方が大事だと思います。
じきるう:
仕事をたくさんこなすことで、フリーランスとしての実力と信頼がついてくるのでしょう。しかし、そもそもフリーランスの仕事は不安定であり、たとえ実績があっても心にゆとりのない人もいるのではないでしょうか?
池ちゃん:
ゆとりかあ……。不安なく自信を持って、という意味でいうと、僕の場合はフリーランスに独立してから3年半くらいかかりましたね。
自信がついてきたのは、他の人が真似できない自分オリジナルの事業を作ったあたりからですね。まるもとか、田舎フリーランス養成講座とか。それをひと通り一巡させて、不安がなくなった実感はあります。
じきるう:
自分オリジナルを作るにはどうすべきでしょうか?
池ちゃん:
人によってその方法は異なりますが、共通しているのは時代の波を見極め、自分がどうあるべきかを見極めることですね。いま何が流行っており、今後どのようなものがメインストリームになるのか。その中で自分は何ができて、どのように舵を切っていくかを考えるべきでしょう。
自分の場合は、それがたまたまフリーランス育成だったり、地域活性だったりしただけです。
じきるう:
時代の流れと自分の強みをマッチさせるということですね。その他に、一歩先を行くデキるフリーランスになる方法はありますか?
池ちゃん:
課題設定と課題解決を自ら提案できる人は強いですね。頼まれた仕事をするだけじゃなくて、課題の本質を見抜いて新たに提案できる人は重宝されます。
仕事の依頼主も、100%の間違いない提案がいつもできるとは限りません。だからこそ、課題の本質を汲み取って新たな提案をできる人は貴重です。
じきるう:
提案型フリーランス。
池ちゃん:
そうですね。とくに営業せずとも、クライアントとの日々のやり取りの中で課題を見つけて新たな提案をすれば良い。提案がちょっとできるだけでも、仕事の相談や問い合わせは激増すると思いますよ!
ちなみに案件をたくさん持っている人は、絶対営業していません。ポイントはどれだけ営業をしているかではなく、どれだけ提案をしているかなのです。
じきるう:
フリーランスも、会社員と求められる能力は似ているんですね。
池ちゃん:
ちなみに、「フリーランスは専門性を上げるべき」とよく言われますが、収益の最大化を考えるなら専門性より仕事の幅を広くすべきです。武器を多めに持っておいた方が、仕事は多く得られます。
例えばサイト制作をメインに行なっているWeb系フリーランスなら、他にもブログやライティングなどに手を広げている人が多いですね。
じきるう:
力をつけるフリーランスがいる一方、フリーランスはいくらでもサボれるため、実質ニートみたいなユルいフリーランスも数多く存在します。
昨今ではAIが発達してきており、将来仕事の多くがAIに取って代われれると言われていますが、Web系フリーランスの仕事もAIにとって代わられる心配はないのでしょうか?
池ちゃん:
まだしばらくは大丈夫じゃないですかね? そもそも発注元のITリテラシーがないとAIは使いこなせません。とくに田舎はITリテラシーがまだまだかなり低いです。未だにガラケー使ってる人も多いですからね。驚くことに、Webサイトが存在しない企業とかもあります。そんな状況で、AIが入ってくることはまだまだ考えられません。
都内は徐々にAI化の流れは進んでいくでしょうが、地方がAIに対応するのには多くの時間がかかります。ユルいフリーランスでも、地方の仕事はいくらでも見つかると思います。
じきるう:
しかし、肌感的にはWeb系フリーランスのハードルは上がっている気がします。
池ちゃん:
それはそうですね。例えば昔はWordPressをちょっとイジれるだけでも凄かったのに、今じゃ誰でも簡単にWordPressを使ってサイトを作れてしまいます。
ただ、そもそも一般的にはWordPressを知らない人の方がまだまだ多いです。ITリテラシーが上がってハードルが上がったとはいえ、大半がそもそもWeb制作の仕事には興味がないと思うので。
まあ……フリーランスの数は増えてますけどね! ただ、元々の母数がまだまだ少ないので。
じきるう:
確かに、副業・複業・自営業系を除いた純粋なフリーワーカーはまだ53万人程度と言われています。(※2018年4月時点)
池ちゃん:
ちなみに、そもそもフリーランスってユルくてもいいんじゃないってのは思いますね。週3日程度だけ働いて、プライベートを充実させたいって人もいますし。ユルいフリーランスでも、それを自分の生き方として納得していれば良いと思います。
それに、たとえばフリーランスのコミュニティに所属していれば、優秀なフリーランスの仕事のおこぼれを他のフリーランスがもらえるのです。それで成り立っている現状があるので、コミュニティに所属していればユルくても普通に生きていけます。
▲優秀なフリーランスが自らの案件を再分配する図
じきるう:
フリーランスのコミュニティは良いですね。コミュニティに所属するメリットは他に何かありますか?
池ちゃん:
コミュニティに所属すると、他のフリーランスがどのくらい働いているのか分かります。フリーランスは基本的に孤独なので、周りの状況を知ることができるのは大きなメリットです。
また、僕が主導している田舎フリーランス養成講座ではみんな夜遅くまで作業をしています。おそらく「周りが頑張っているから自分も頑張ろう」って気持ちがあるんだと思います。仲間とともに頑張れる環境は大事ですね。
(執筆:じきるう 撮影&編集:まえかわゆうか)
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