【漫画】フリーランスは“103万円の壁”にどう向き合うか?
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主婦を中心に副業として人気の「家事代行」。でも、実際どんな仕事なのかと考えてみると、いまいちはっきりとはわかりません。
だいたい、「家事」って言われても範囲が広くないですか? いったいどこまでやればいいの? 1回の労働時間はどれぐらい? お客さんとトラブルになることはないの? 時給は?
気になるなら、実際に働いている人に聞いてみるのがいちばん。そこで、今回は看護師のかたわら副業として家事代行をしていたナースあさみさんにお話をうかがいました!
本業はナース。注射と料理と文章が得意。ナース業と並行して家事代行の副業をしていました。口癖は「よっこらしょっと」。(Twitter:@asami300765)
生活が苦手なフリーライター。週6で13時間勤務がデフォだった建築士時代には家事が溜まりすぎて、「もう愛とかいらないから、一緒に住んで家事をしてくれる人が欲しい……」と発言し、周囲から猛烈なひんしゅくを買ったことがある。(Twitter:@raira21)
目次
少年B:
家事代行とは、いったいどんな仕事なんですか?
ナースあさみ:
その名のとおり、家事を代行するお仕事です。
従来は「家事代行会社の正社員」として企業に所属して、各家庭へ派遣されるシステムが多かったんですが、2015年くらいに家事代行のマッチングサービスが出てきて以降、副業としての存在感が出てきたように思います。
少年B:
たしかに、ドラマなどで「お手伝いさん」ってイメージはありましたが、副業ってイメージはあまりありませんでした。ここ数年の話なんですね。
ナースあさみ:
昔はそれこそハイソな家庭がお手伝いさんを頼むイメージだったかもしれませんが、最近は共働き世帯が増えてきているので、頼む世帯の幅が広がってきているように感じますね。
少年B:
お客さんはどんな人が多いんですか?
ナースあさみ:
第二子の妊娠中のご家庭は、かなり依頼が多いですね。妊娠していて大変なのに、子どもの面倒も見なきゃいけませんから。
あとはペットがいる家は、ご一緒にペットの世話も頼まれるケースが多いですね。
少年B:
なるほど。
ナースあさみ:
なので、場合によってはペットのおしっこやお通じの処理なんかも仕事に入ってくる場合がありますね。私はナースなので全然慣れてるんですけど、人によっては抵抗がある方もいるかもしれません。
少年B:
仕事として家事代行をするのと、自分の家でする家事の違いはありますか?
ナースあさみ:
「やりかた」と「目標とする状態」の違い、ですね。
たとえば、キッチンのシンク掃除とひとえにいっても、クレンザーで全体を擦って終わりという人もいれば、排水溝のヌメリを取って、消毒してから熱湯をかけてほしい、という人もいます。
少年B:
そうか、家事ってみんな自分の流儀があるから、それに合わせなきゃいけないんですね。
ナースあさみ:
あとは、「せっかく代行さんを頼んでるんだから、しっかりやってほしい」と思う人もいますよね。たとえば自分ではそこまでやらないけど、掃除機をかけたあと水拭きまでして欲しい、とか。
少年B:
確かに。せっかくプロに頼んでるんだから、自分でやるよりきれいにしてほしいって気持ちはわかる気がします。
ナースあさみ:
なので、家事代行として働く場合は、お客さんの家のやり方、そしてお客さんが望む「キレイな状態」というのを把握して実践する必要があるのかな、と思います。
少年B:
あさみさんはなぜ家事代行を始めたんですか?
ナースあさみ:
一言でいうと「暇だったから」ですね。そして実際にやってみたら、自分は意外と家事が得意なんだ!って気づいたんです。
ナースあさみ:
私は掃除と料理が好きで、家でもよくやってたんですが、世の中の人って思ったより料理が得意じゃない人が多いんです。
少年B:
料理、嫌いな人も多いですよね。うちの母も作りはするんですが、いつも「めんどくさい! 大ッ嫌い!」って言ってました。
ナースあさみ:
なので、最後の方は料理専門でやってました。私は作るのも食べるのも好きなので(笑)。
少年B:
あさみさんの料理、おいしそうですもんねぇ。
ナースあさみ:
ただ、そもそも「家事が好き」って人はそんなにいないので、「家事が嫌いじゃない」ってくらいなら始めてみてもいいかもしれませんね。
ナースあさみ:
それからお客様の求める家事と、自分のできる家事をすりあわせられる人。つまり、コミュニケーションが取れる人ですね。
少年B:
家事のすりあわせ???
ナースあさみ:
家事って、家によって全然違うんですよ。たとえばTシャツの畳みかたから掃除のしかた、食器の洗いかた……。その家によって合わせていかなきゃいけないので、コミュニケーション能力が大事になってくるんです。
少年B:
あーっ、たしかに! 「シャツの畳みかたが違う!」って言われてやり直しじゃあ、働くほうも大変だし、お客さんの満足度も下がっちゃいますもんね。
ナースあさみ:
あとは体力に自信があったり、体を動かしたい人ですね。家事代行って肉体労働なので!
少年B:
へぇ、家の中の仕事なので、肉体労働ってイメージはありませんでした。
ナースあさみ:
いやいや、けっこう身体使いますよ! 料理も掃除も洗濯物干しも、家事代行の仕事中はずっと動いてますからね。
少年B:
確かに、1日中動いてると考えるとけっこうハードですね……。
ナースあさみ:
私が働いていた『タスカジ』では1家庭につき3時間だったんですが、連チャンで仕事すると結構疲れるので、仕事の入れかたは自分の体力と相談して考えたほうがいいですね。私は1日3件回ったことがあるんですが、そのときはさすがにぐったりしました。
夏場の風呂掃除とかは本当に大変なので、ちゃんと水分補給してほしいですね。
少年B:
それに加えて、移動の時間もありますもんね。運動不足は解消するかもしれない……。
ナースあさみ:
あ、資格やスキルを持っている人も強いですね。具体的には
あたりです。私は看護師の資格を持っているので、自分で言うのもなんですけど、けっこう人気がありました。
少年B:
ナースが作る料理、健康っぽいイメージがありますもんね。そして待ってください、家事代行でソムリエの需要があるんですか???
ナースあさみ:
はい。「ワインに合う食事をつくってほしい」みたいな依頼もありますから。だからといって、まったく家事ができないのは困りますけど。
少年B:
ほぇ〜! ぜんぜん想像できなかったけど、そういう強みがあるんですね。わたしも介護福祉士の資格を持ってるけど、家事代行でアピールポイントになったりするのかな。
ナースあさみ:
いいんじゃないですか? おじいちゃんおばあちゃんと一緒に暮らしているご家庭には需要がありそう。
少年B:
意外な資格が役に立つこともありそうですね。
ナースあさみ:
3年ぐらい利用してくれていたお客さんが手術をすることになったんですけど、手術前の仕事ではほとんどナースとしての相談業務みたいになってたことがあります。
少年B:
家に来てくれるナース、頼りになりすぎる。
ナースあさみ:
男性が悪いというわけじゃないんですが、男性の助産師さんがいないのと同じような理由で、どうしても「女性にお願いしたい」という人は多いですね。私が登録していた『タスカジ』では登録者の9割が女性になっています。
少年B:
確かに、女性の場合、洗濯物を男性の家事代行さんに見られるのは抵抗がありそうですもんね……。
ナースあさみ:
逆に言えば、1割は男性の登録者がいるわけで、必ずしも男性だからダメということはありません。
男性でも「調理師学校に通っています」とか「保育士です」みたいなアピールポイントがあれば、普通に依頼が来ると思います。
少年B:
性別についてはわかりましたが、年齢についてはどういう人のほうが有利とかはありますか? イメージですが、自分と年があまり離れた人だと会話がむずかしそう……。
ナースあさみ:
「若い人のほうが人気」というイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありませんよ!
家事を何十年もやってきたベテランのおばちゃんはやっぱり上手いですし、子育てのアドバイスを求めたいとか、会話を楽しみたいというお客さんもいるみたいです。
少年B:
へぇ〜! そうか、ご近所付き合いが減ってるから、「近所のおばちゃん」として家事代行さんと関わりたいって需要もあるんですね……!
少年B:
家事代行の副業はどのようなところで探していたんですか?
ナースあさみ:
なんども話にでてきて恐縮ですが、私は家事代行マッチングサービスの『タスカジ』に登録していました。スポット(単発)、週2回などさまざまな契約形態があり、フレキシブルに働けるのが魅力でしたね。
少年B:
家事代行専門のマッチングサービスもあるんですね! 個人間で契約するものなのかと思ってました。
ナースあさみ:
人によっては知り合いと直接契約するパターンもあるでしょうけど、私の場合はプラットフォームを通してやっていましたね。
たとえばお客さんの茶碗を割ってしまったとか、トラブルがあったときの対応をプラットフォーム側がやってくれるので。
少年B:
たしかに、人のお宅にお邪魔するので、むずかしい部分もあるかもしれませんよね。元の価格は安くても、家族の思い出の詰まった品だったら、どう弁償すればいいんだって話になりそうですし。
ナースあさみ:
そういう交渉を一人でやるのは辛いじゃないですか。だから、そういう意味でも、初心者はプラットフォームを使った方が安全じゃないかと思いますね。
少年B:
マージンを取られるからいやだなぁと思ってたんですが、間に入ってくれることで助かることもあるんですね……!
少年B:
ぶっちゃけ、家事代行の時給ってどんなもんですか? 割はいいんですか?
ナースあさみ:
私の場合は時給1,500円くらいからスタートして、1,800円に上がって、最終的に2,200円で働いていました。ナースの日勤勤務を時給にするとだいたいこれぐらいなので、そこそこ割はいいのでは?と思っています。
少年B:
へぇ、ナースと同じくらいの時給まで上がるんですか! それはけっこうよさそうですね。
少年B:
家事代行という仕事のおもしろさ、やりがいはどこにありますか?
ナースあさみ:
個人的にはお客さんのお家や生活をサポートすることが本業であるナースと似ているので、そこが面白かったです。
最初はお互いに慣れないし、向こうはお客さまなので、緊張感もあるんです。でも、そのなかで関係性を作っていって、家事の導線やアイテムを提案するなどして、お客さんの生活が変わっていくさまを間近で見れるのは楽しいです。
少年B:
自分の仕事が人の生活をよくしていくのを実感できるんですね。
ナースあさみ:
空き時間で働けるのもうれしいですね。たとえば『タスカジ』では1回3時間から働けるので、自分で働く時間や場所を決められます。
少年B:
お客さんの家は事前にわかるんですか?
ナースあさみ:
依頼を受ける時に、最寄り駅と、駅から何分か、くらいは分かるようになっています。正式にマッチしたら住所を教えてもらえる感じですね。
自分で働く相手や場所、時間をコントロールすることは、正社員ではなかなか体験できないので、いい経験になると思っています。
ナースあさみ:
それから、誰かの暮らしや生活を覗けることですね。なかには超セレブなお客さんもいて、自分では想像がつかない生活にびっくりしたことも。すごくおもしろいです。
少年B:
そんなの、テレビ越しでしか見れないですもんねぇ。実際に見れたらおもしろそう。緊張しちゃいそうですが。
ナースあさみ:
あと、生活便利グッズ収集が趣味のお客さんの家とか、むしろ自分のほうが参考になることもあります。私も出会ったお客さんの影響を受けて、家事のやり方を真似したり、新しい掃除道具を買ったりしました。
少年B:
ある意味「お金をもらいながら新しい家事グッズを試せる」という考えかたもできるわけですね。それは確かに大きなメリットかも!
少年B:
次は逆に、家事代行をする際の注意すべき点はありますか?
ナースあさみ:
登録者の大多数が女性なので、なかには出会い目的のお客さんもいました。
少年B:
で、出会い目的???
ナースあさみ:
家事をしている様子を目の前で見れるので、お嫁さん候補として家事を依頼してくる男性もいるんですよね。
少年B:
うわぁ、それはかなりキツいですね……。
ナースあさみ:
連絡も本来はマッチングサービス内で完結するはずですが、連絡先をしつこく聞いてきたり……。
2人きりになってしまうと何が起こるかわからないので、私はそれ以降、男性ひとり暮らしのお客さんの依頼はすべてお断りするようにしました。変な話、家事代行が結婚適齢期の女性でなければいけない理由はないので。
少年B:
もちろん、すべての男性がそうではないと思いますが……。やられた側はトラウマになっちゃう場合もありますよね。
ナースあさみ:
改めて言っておきますが、そもそも、サービスとしては個人間の連絡先交換は禁止です! 思わぬトラブルに発展することもあるので、絶対にやめておきましょうね!
ナースあさみ:
一般的に家事と言われているのは掃除、洗濯、お料理あたりですが、私はほかにも
をお客さんから依頼されたことがあります。
当時は素人なりにできる限り全力でやりましたが、いま思えばあれは家事代行ではなく、それ相応の専門家にお願いするべき事案でしたね。
少年B:
そんなこともあるんだ……。たしかに、それはちょっと無茶ですよね……!
ナースあさみ:
いまはマッチングサービスの規約がしっかりしつつあると思いますが、お客さんがどこまでを「家事」として捉えてるか、という問題でもあります。そのあたりの認識は擦り合わせておいたほうがいいと思います。
とくにお子さんやペットの世話に関しては、サービス側・お客さん側ともにしっかり確認をしておいたほうがいいですよ。
少年B:
色んな家に行くと思うんですが、家が汚いケースはありませんか? わたしは以前介護士をしていたんですが、訪問介護の実習ですごい家に当たりました。
ナースあさみ:
家が汚いケースは確かにありますね……。高級住宅街にも、ほぼゴミ屋敷みたいな家があったりして。
少年B:
えー! 意外!
ナースあさみ:
なので、初めての家に行くときは「替えの靴下をもっていく」のが大事ですね。持ちものでいうと、水仕事で手がけっこう荒れるので、手袋も忘れずに!
ナースあさみ:
最後はこれですね。近所にお客さんがいないと成り立たないサービスなので、都市部以外の人はチャレンジしにくいかも。
少年B:
確かに……。ある程度人口がいる街でのお仕事になっちゃいますよね。移動時間が多いとそれだけ非効率になっちゃうし。
ナースあさみ:
そうですね、こればっかりはどうしようもないですけど。
少年B:
実際に働いてきた経験から、家事代行は副業としておすすめできますか?
ナースあさみ:
はい。最初はお客さんがつかなくて不安になることもあると思いますが、だんだん慣れてきます。
さっきも言いましたが、時給は最初でも1,500円、しっかり続けていれば2,200円と、日勤看護師と同じぐらいまで上がるので、割もいいと思います。副業で月7〜8万稼ぐ人は普通にいますよ。
少年B:
それは本当にびっくりしましたね。思った以上に割のいいお仕事……!
ナースあさみ:
もちろん、お金の面だけじゃなくて、自分がよそのご家庭に行くことで、お客さんの生活が変わっていく、よくなっていくというやりがいもありますし、お客さんの家で見聞きしたことを自分の生活にも活かせます。
仕事も無理なく自分で入れることができますし、個人的には「やっていてよかったな」と思いますね。
少年B:
平日休みの人でも、マッチング次第ではしっかり働けるのがうれしいですね。
ナースあさみ:
先ほど言ったように、「家事が大好き!」って人はほとんどいないので、「苦ではない」ぐらいだったらぜひ挑戦してみて欲しいですね。
最後に、家事代行の副業を探せるサービスを紹介します。
ナースあさみさんも登録していたマッチングサービス。関東の一都三県、関西の二府三県のほか、秋田県湯沢市でもサービスを展開しています。
個人同士の契約のため、家事代行は高時給を望めるほか、最大1億円の損害賠償保険に加入しているのもうれしいポイントです。
関東一都三県、関西では大阪府、京都府、兵庫県のほか、愛知県や宮城県でも働けるのが魅力の『CaSy』。
収入は時給1,500円以上、勤務は1日1時間からと高収入でフレキシブルに働けるほか、当月分の報酬を先にもらえる前払い制度もあります。
関東の一都三県でサービスを展開しているキャットハンド。初回訪問の際は必ず担当の社員が同行してくれるという環境がうれしいです。
主にお掃除が中心で、収入は時給1,200円~1,500円以上。チェックアウトからチェックインの間に掃除をする民泊の清掃スタッフも同時募集しているので、時間の融通が利きやすいのも魅力です。
北海道から沖縄まで、全国47都道府県に登録者がいるのが特徴で、地方在住者でもしっかり働けます。
時給は自分で自由に決めることができ、登録者の平均は1,900円。ただし、喫煙者は登録不可なので、注意が必要です。
料理専門の代行サービスで、掃除や洗濯は行いません。募集地域は関東の一都三県と大阪府、兵庫県です。
1回の調理時間は、調理器具の清掃を含めて3時間。0歳~5歳の子どもがいる人は登録できないので、子どもが大きくなり、主婦経験を生かした副業を考えている人におすすめです。
純粋な家事代行マッチング掲示板サービスで、完全に個人の裁量で働けるため、希望自給は自由に設定できるほか、高単価の案件も多く見つかる可能性もあります。
反面、トラブルの仲介なども行わないため、完全な自己責任で働くことになります。他の家事代行サービスに慣れた、上級者向けのサービスかもしれません。
(執筆:少年B 編集:宮﨑駿 撮影:じきるう)
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