LPI-Japanが運用する認定資格『LinuC(リナック)』をご存知ですか?

Linuxに関する技能を包括的に学べるLinuCは、あらゆる分野のITエンジニアの仕事に役立つおすすめの資格です。

このシリーズでは実際にLinuCレベル1を受験した筆者が、LinuCについて2記事に渡りご紹介します。1記事目である今回は、LinuC受験にあたって知っておきたい前提知識を解説します。

LinuCとは

LinuCは、オープンテクノロジーに関する認定資格を運用するNPO法人『LPI-Japan』が運用するLinuxの技術者認定資格です。Linuxに関する技能を、初歩的なものから専門的なものまで3段階で認定してもらえます。

昨今のトレンドであるIoT技術の進化により、インターネット×モノの連携を可能にする情報公開の技術がますます必要となってきている時代。LinuCに向けた学習をすることで、「クラウド」「オープンソースのリテラシー」「システムアーキテクチャの知見」など、いまのIT技術者全般に求められるスキルも身につけられるのが特徴です。

LPICとの違い

LinuCを運用するLPI-Japanは、同じくLinuxの技能を証明する『LPIC(エルピック)』という認定資格を過去に運用していました(~2018年8月)。以降は、より日本国内のニーズに特化した資格内容を推進すべく、LPICの提供からLinuCに切り替え。2020年10月現在、LPICの認定はLPI-incでしか受けられないようになっています。

LinuCとLPICの最大の違いは「国際的な資格かどうか」です。世界共通の基準でLinuxの技能を証明するLPICは、国際的な資格であるがゆえに、各国のニーズの違いに応えることができない難点を抱えていました。

この課題に対応したのがLinuCです。LinuCはLPICと比較して「日本国内の需要の変化に素早く対応し、試験の出題内容を調整する」との方針を掲げています。

実際に、2020年4月にはLinuCの「レベル1」「レベル2」がVersion10.0にアップデートされました。日頃からLinuxにふれる技術者などを中心に入念なリサーチを行い、出題範囲や設問までゼロから改定されたバージョンです。Version10.0では以下の見直しが行われています。

<Version10.0へのアップデートで行われた見直し>

  • 最新技術への入れ替え
  • 使われていない技術の削除
  • 主題・副題の構成変更
  • 試験範囲の説明文の見直し

よりグローバルな視点で仕事の幅を広げていくならLPIC、直近は国内市場で力を磨いていきたいならLinuCで認定を受けるといった使い分けができるでしょう。

LinuCの3つのレベル

LinuCは難易度ごとに3つのレベルに分けられています。以下でレベル別に資格の概要を説明していきます。

LinuC レベル1 Version 10.0

LinuC レベル1では、基本的なLinuxの構成やコマンド、シェルスクリプトなどあらゆるIT技術者に求められるLinuxの基礎スキルを学べます。

101試験と102試験があり、両方合格してはじめてレベル1に認定されます。

2020年4月にVersion10.0へアップデートされたことで、オープンソースの文化やクラウドセキュリティなども試験範囲になりました。想定される必要勉強時間は、初めての方で約1〜3ヶ月程度です。

LinuC レベル2 Version 10.0

LinuC レベル2はサービスの運用や構築、問題解決ができる上級エンジニアとしての技能を認定します。

レベル2で学べる内容もまた、分野を問わずすべてのエンジニアの仕事で役立つ技術です。試験範囲は広く、レベル1の認定を受けた上で201試験・202試験の両方に合格すればレベル2に認定されます。

2020年4月にVersion10.0へアップデートされたことで、仮想化サーバーやコンテナの知識を学べるようになりました。想定される必要勉強時間は、初めての方で約3ヶ月から半年程度です。

LinuC レベル3

LinuCレベル3は、大企業や公的機関などの高い堅牢性が求められる市場で活躍できる専門技能を学べます。

LinuCレベル3は分野ごとに3つの試験に分かれており、レベル1、レベル2の認定を受けた上で300試験、303試験、304試験のいずれかひとつに合格すれば、レベル3に認定される仕組みです。

<それぞれの試験で求められるスキル>

  • 300試験:Linux、Windows、UNIX、Sambaなどの混在環境・運用の実践的なスキル
  • 303試験:セキュアなシステム設計、サーバー構築のスキル
  • 304試験:仮想化システムや高可用性システムを構築するスキル

LinuC レベル1は、ITエンジニアのキャリアにどう役立つ?

LinuCに興味のある方がまず挑戦するレベル1。実際のところITエンジニアのキャリアにどう役立つのでしょうか? わたし自身の経験も踏まえつつご紹介します。

トラブルシューティング力が向上

システム開発につきものなのが、Linux環境上のトラブルです。肝心なときにLinux環境が動かなくなって困ったことがある方も多いのではないでしょうか。LinuC レベル1を取得すれば、こういったトラブルの対応力が身に付きます。

実際わたし自身も、LinuCレベル1を受験してLinuxの基礎知識をさらに体系的に理解でき、トラブルシューティングがしやすくなりました。

どんな分野のITエンジニアでも共通する基礎力を強化できる

LinuxはWebアプリの開発からIoT開発まで、あらゆるプロダクト開発で使われます。そのためLinuCレベル1で学習できるLinuxの基本は、ITエンジニアが仕事をする上での基礎力も養えます。

とくに昨今ではコンテナ型のLinux仮想環境を立ち上げる『Docker』を用いた開発が増えているため、以前にも増してLinux環境を操作する機会は増えています。

LinuC レベル1だけでは即座に年収アップには繋がらない

LinuC レベル1に認定されるだけでは、受注できる案件の単価は変わりません。

LinuC レベル1はあくまで基礎。日頃からLinuxを触っているエンジニアなら、勉強すれば楽に合格できる資格です。日々の仕事には役立ちますが、年収アップやキャリア転向を狙うなら、より高い専門性を保証するレベル2やレベル3へのステップアップが必要と心得ておきましょう。

レベル2、レベル3を取得することでキャリアの幅も広がる

LinuCレベル2、レベル3に認定されると受注できる案件の幅が広がります。とくにレベル3に認定されると、Linuxに関するプロフェッショナルであることが保証されるため、これまでよりキャリアの幅を広げやすくなるでしょう。

たとえば開発中心のキャリアを築いてきた方がインフラエンジニアとしてのキャリアへ幅を広げたり、開発から運用まで十全に活躍できるチームの主力メンバーとして重用されたりと、柔軟なキャリアップが目指せます。

LinuC レベル1 Version10.0の試験内容と傾向

2020年4月よりリリースされたVersion10.0のLinuCレベル1では、具体的にどのような内容の問題が出題されるのでしょうか? 旧バージョンとの違いを解説した上で、認定基準や難易度、おすすめの勉強方法などを紹介していきます。

Version10.0と旧バージョンの違い

LinuC レベル1(Version10.0)では以下の分野が試験範囲に加わりました。

<試験範囲に加わった分野>

  • 仮想マシン・コンテナの概念と利用(101試験)
  • クラウドセキュリティの基礎(102試験)
  • オープンソースの概念とライセンス(102試験)
  • オープンソースのコミュニティとエコシステム(102試験)

また旧バージョンで出題されていた以下の分野が試験範囲から削除されています。

<削除された分野>

  • アクセシビリティ(101試験)
  • ディスククォータの管理(101試験)
  • プロセスの実行優先度の変更(101試験)
  • 共有ライブラリの管理(101試験)
  • SQL データ管理(102試験)
  • プリンタと印刷の管理(102試験)

LinuC レベル1 Version10.0の試験内容

101試験 Version10.0 の出題範囲

101試験 Version10.0では以下の分野についての基礎知識が計60問出題されます。

<出題される基礎知識>

  • Linuxのインストールと仮想マシン・コンテナの利用
  • ファイル・ディレクトリの操作と管理
  • GNUとUnixのコマンド
  • リポジトリとパッケージ管理
  • ハードウェア、ディスク、パーティション、ファイルシステム

102試験 Version 10.0 の出題範囲

102試験 Version10.0では以下の分野についての基礎知識が計60問出題されます。

<出題される基礎知識>

  • シェルおよびスクリプト
  • ネットワークの基礎
  • システム管理
  • 重要なシステムサービス
  • セキュリティ
  • オープンソースの文化

LinuC レベル1の認定基準・合格ライン

認定基準

LinuC レベル1に認定されるためには、「101試験と102試験の2試験を5年以内に合格」する必要があります。101試験の合格後、5年以内に102試験を受け合格しなければ、101試験の合格自体が取り消しになってしまうということです。

また認定されたレベル1の資格には「有意性の期限」があるため注意してください。有意性とは、資格保有者が最新の技術を扱う能力を持つことを保証するためのもの。LinuC レベル1では5年を過ぎると有意性を失います(資格の認定自体は消えません)。

有意性は、認定日から5年以内にLinuC レベル1の認定を再取得するか、上位レベルの資格に認定されることで更新されます。自分の認定期限はLinuCの受験者マイページで確認できるため、小まめに確認しましょう。

合格ライン

LinuC レベル1の合格ラインや配点は公表されていませんが、LinuC公式では「65〜75%」が合格ラインの目安であるとしています。

なお受験後には、LinuCの受験者マイページで自身が受けた試験の合格ラインを確認可能。ここで確認できる合格点数が絶対的とは限りませんが、筆者がLinuC レベル1 Version10.0を受験したときの合格ラインは480点でした。ただし満点がいくつであるか、どの設問が何点なのかについては公表されていません。LinuCの派生元であるLPICが800点であったことを踏まえると、LinuCでも800点が満点である可能性が高いですが、断定はできません。

得点にとらわれず、正答率65%〜75%を取れるように勉強しましょう。

LinuC レベル1の難易度と目安の勉強期間

難易度

LinuC レベル1はあくまで基礎的な内容です。実務経験の有無に関わらず、勉強量やLinuxのコマンドに触れた時間がそのまま得点に繋がります。

そのためITエンジニアとしての経験年数が浅い方や未経験の方でも、しっかり勉強をすれば合格できる難易度です。

勉強期間

合格に必要な勉強期間は、これまでどれだけLinuxに触れてきたかで変わります。実務で日常的にLinux環境の構築や設定を行なっている方であれば、部分的な知識の穴を埋めるだけで合格を目指せるでしょう。

反対にシェルスクリプトなどを書くことがあるエンジニアでも、Linux自体の知識が薄い方は、あらためてシステム構築の初歩から学ぶ必要があります。そのため知識の定着にある程度時間がかかるケースが多いです。

受験する対象者 目安の勉強期間
インフラエンジニアとして実務でLinuxを扱っている方 3日
体系立てて学習したことはないが、シェルスクリプトやコマンドなど業務で部分的にLinuxに触れている方 2週間〜1ヶ月
Linuxに触れたことがない方 1ヶ月〜3ヶ月

101試験の傾向と対策

101試験の出題範囲を、出題率の高い重要な分野順にまとめました。

重要度(全分野合計:60) 出題分野
4 Linuxのインストール、起動、接続、切断と停止
4 仮想マシン・コンテナの概念と利用
4 ブートプロセスとsystemd
4 コマンドラインの操作
4 ストリーム、パイプ、リダイレクトの使用
4 ハードディスクのレイアウトとパーティション
4 ファイルシステムの作成と管理、マウント
3 プロセスの生成、監視、終了
3 ファイルの所有者とパーミッション
3 基本的なファイル管理の実行
3 フィルタを使ったテキストストリームの処理
3 apt コマンドによるパッケージ管理
3 yumコマンドによるパッケージ管理
3 ハードウェアの基礎知識と設定
2 ハードリンクとシンボリックリンク
2 ファイルの配置と検索
2 正規表現を使用したテキストファイルの検索
2 エディタを使った基本的なファイル編集の実行
1 デスクトップ環境の利用
1 Debianパッケージ管理
1 RPMパッケージ管理

このように101試験は、分野ごとの重要度の偏りが少ないのが特徴です。そのためLinuxのインストールやブートプロセス、コンテナの知識、コマンドラインやパーティション、ファイルシステムなど幅広い分野をまんべんなく理解しなければいけません。そのため穴のないように手広く学習を進めるのがおすすめです。

また範囲の広さから、単なる暗記では知識に漏れが出てしまいがち。実際にLinux環境で手を動かしながら、コマンドの挙動について学習することが大切です。

102試験の傾向と対策

102試験でも試験分野を重要度ごとに並べました。

重要度(全分野合計:60) 出題分野
6 シェルスクリプト
5 アカウント管理
5 システムのログ
4 シェル環境のカスタマイズ
4 インターネットプロトコルの基礎
4 基本的なネットワーク構成
4 基本的なネットワークの問題解決
4 ジョブスケジューリング
3 ローカライゼーションと国際化
3 セキュリティ管理業務の実施
3 ホストのセキュリティ設定
3 暗号化によるデータの保護
3 クラウドセキュリティの基礎
2 クライアント側のDNS設定
2 システム時刻の管理
2 メール配送エージェント(MTA)の基本
2 オープンソースの概念とライセンス
1 オープンソースのコミュニティとエコシステム

102試験は101試験と比べて、出題範囲の重要度に偏りがあります。シェルスクリプトの重要度がもっとも高く、次いでログに関する扱いやユーザアカウント管理、ネットワーク構成やcronを用いた定期実行などの知識が求められます

そのためこれらの分野については入念に理解を深めておくと、実際の試験で高点数を取りやすいでしょう。

おわりに

LinuxはITエンジニアにとって頻繁に利用する身近なOSです。Linuxに触らない日はない、というエンジニアも多いでしょう。

LinuCは、そんな必需品と化したLinuxの基礎知識を習得するのにちょうど良い試験。ITエンジニアとしての地力を養いたい方、キャリアの幅を広げていきたい方にとっておすすめの試験です。

とくにLinuCレベル1は、これからLinuxについての技能を高めていきたい方にぴったり。今回私もLinuC レベル1を受験しましたが、これまで「なんとなく」触れていたLinux環境をより正確に理解でき、トラブルシューティングもできるようになりました。興味のある方はぜひLInuCレベル1に挑戦してみてください。

次回記事では、LinuCレベル1の受験スケジュールについてご紹介します。

(執筆:Hikopro 編集:Kitamura Yuu)

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