ネイティブ広告が勝利の鍵を握る。広告の種類/効果/活用法を伝授!

ネイティブアドのアイキャッチ

Web広告を出稿するなら、多くのユーザーに見てもらえるようアド戦略をたて、デザインやコピーを工夫し、PDCAを回していく必要があります。 しかし、どんなにこだわったものでも、ユーザーに「うっとおしいなぁ」と思われてしまっては意味がありません。

広告は有効な宣伝ツールでありながら、ユーザーがアプリやサービス上で閲覧したコンテンツにたどり着くのを邪魔する存在でもあります。バナー広告はブロックされ、動画広告はすぐにスキップされてしまいます。従来の広告の効果が薄れつつあるいま、新たな広告の形である「ネイティブ広告」の時代が到来しています。

アメリカのある市場調査によれば、ネイティブ広告に費やされる広告費は、アメリカ国内で2014年の32億ドルから2018年には88億ドルにまで上昇し、最も重要なグローバルマーケティングのトレンドとなると予測されています。

ユーザーの目的を邪魔しないネイティブ広告は、広告のCTRを上げ、オンラインのマーケティングに必ず結果を残すでしょう。

今回は、ネイティブアドの種類やマーケティングを成功させるコツをご紹介します。

ネイティブ広告とは?

ネイティブ広告とは、広告を出すメディアサイトのUI / UXに調和し、本来のコンテンツに溶け込んで見える有料広告です。

広告を出すWeb上のプラットフォーム、たとえばWebサイトから、ニュースアプリ、Twitterのようなソーシャルメディア……どのような媒体にでも、ネイティブ広告は自然な形で溶け込みます。広告として別の枠を取らず、本来の投稿コンテンツと同じように見えるので、本質的にユーザーの本来の目的を邪魔しないのです。

ネイティブ広告は以下の基準を満たします。

  1. 有料広告
  2. スポンサー広告であると表示される
  3. 表示されるプラットフォームに自然になじみ、他のコンテンツに溶け込む

ネイティブ広告の種類

IAB(米ネット広告業界団体)による6分類に沿って、ネイティブ広告の具体例をあげてみましょう。きっとブラウザに表示されたことのあるものがいくつも見つかるはず。

1. インフィード広告

もっとも有名なネイティブ広告のスタイルの ひとつです。

ニュースアプリやSNSのフィードにおいて、通常の投稿の間にスポンサー広告が出てくるもの。Twitterのタイムラインにフォローしていない企業の投稿などが流れてきたことがある方も多いでしょう。よく見ると「PR」とか「プロモーション」と記載されていて、有料広告であるということが分かります。

インフィード広告

自分のフォローしているアカウントの投稿と投稿の間に流れてくるだけですから、自分の読みたい広告ツイートが流れてきたときも、通常のフィードと同様に閲覧できるのでユーザーに不快感を与えません。また、自然にTLを追う流れで広告にも同じように目を通してもらいやすいといけます。

2. 検索連動広告

サーチエンジンで検索をかけたとき検索結果として出てくる広告。ほかの検索結果同様、ページにリンクしており、普通の検索結果の上部に表示されることが多いでしょう。かなり昔からあるネイティブ広告の一つです。

リスティング

3. レコメンドウィジェット

名前の通り、レコメンド=オススメとして表示される広告。「RW」と省略されることもあります。「編集部のイチオシ」とか、「この記事もオススメ」など。下の図の「poword by」が広告であることを示しています。

レコメンドウェジット例

インフィード広告と違って、たとえばニュースアプリなら、一般の記事と記事の間ではなく別の場所(読後に現れる「この記事も読まれています」欄など)に表示され、閲覧者が読んだコンテンツに関連して表示されるので関心の高い層に見てもらえる確率が高いです。

4. プロモートリスティング

商品リスト広告。検索連動広告と似ているものの、一般の検索エンジンではなく、Amazonやホットペッパーなど、商品・サービスが並べられるWebサイトにおいて、そのメディアが取り扱う種類の商品・サービスの広告が掲載されるのがです。そのサイトで提供されるほかの商品・サービスと並んで、広告を出したブランド・商品等への直接のリンクが表示されます。

食べログで、そんなに星が多くないのに検索上位より上に表示されるお店、という例が身近かもしれませんね。

5. ネイティブ要素をもつインアド

IAB(米ネット広告業界団体)がもともと定めてきたインアドで、なおかつネイティブ要素をもつもの、という意味。要するに従来通り、広告用の枠に掲載されるディスプレイ広告ですが、一般のコンテンツと内容と親和性があるので、ネイティブ広告の要素もあります。「コンテンツターゲティング配信」と言われる広告配信も、この分類に入れられるでしょう。

例えば欧州旅行ブログで、ブログ本文の内容に関連して、ヨーロッパツアーについての広告が出ている、というような状況があれば、それはネイティブ広告です。

 ネイティブ要素

6. カスタム

その他。新しいメディアや広告メニューなど何かコンテンツ自体を新しくカスタムするもので、代表例は、「LINE」のスタンプ。直接効果を狙うというよりはブランディングや自社のファンを増やすという目的で使用されるものです。

キャンペーンの例

以上のように、ネイティブ広告の形態は実に多岐に渡り、また内部の区分や、どこまでが広告であるかという線引きも曖昧です。

上記の分類のような細かい区切りひとつひとつの数値を検討したり、従来通りの広告の定義に当てはめた結果の観測の仕方では、急成長を感じられるほどの結果は出ていないかもしれません。

しかし、プラットフォームに、もっとも自然に溶け込める広告として、その出稿数は増えています。研究者は、2021年までにネイティブ広告の広告収入はアメリカの広告市場の4分の3に達するだろうと推定しています。

なぜネイティブ広告は効果があるのか?

Webマーケティング施策のなかでも、ネイティブ広告は高い効果を期待できます。その理由をご紹介します。

理由1. ターゲットが絞られているから

ネイティブ広告は広告を出すウェブサイトやアプリの特定のユーザーに合わせて作られます。「読者層」はターゲティングのひとつの型なので、訴求ポイントの設定やクリックしてもらうという点において、マーケティング戦略を立てやすいのです。

本来のコンテンツの邪魔にならないから

ユーザーの多くは広告をうっとおしがっています。しかし、ネイティブ広告は、プラットフォームのUXを邪魔しません。むしろ、広告はプラットフォームに馴染み、リッチなコンテンツとして受け入れてもらえます。ユーザーはそれらを従来の広告と同じようには捉えません。

従来の広告のように「うさんくさい」「邪魔だ」という印象を持たれることなく、信頼感・安心感をって見られ、広告の内容により興味を持ってもらいやすいのです。

理由2. ネイティブ広告はブロックできないから

2017年末までで、8700万人のアメリカ人が広告をブロックするサービスを利用していると言われています。もちろん広告を出すブランド側は、そうしたブロックシステムから逃れて広告を表示させたい。ネイティブ広告は、そうしたユーザーとブランドの対立を、ユーザーに寄り添いながら解決する方法です。

ネイティブ広告は通常のコンテンツのように機能するので、広告ブロッカーは、それらを見分けてブロックすることができません。

理由3. ブランドにとって利用しやすいから

アメリカのWebサービスの75%以上が自社媒体に掲載するアド枠をもうけ、出稿者を募集しています。そのおかげで、ネイティブ広告は大変利用しやすく手頃な宣伝手段となっています。

ネイティブ広告なら、どのような規模のビジネスにも、異なる様々な媒体に広告を出す機会が豊富に用意されます。それは、標準的なソーシャルメディアのネットワークを超えて、今まで想定していなかった顧客に情報を届けるチャンスが増えるということを意味します。

ネイティブ広告のトレンド

ネイティブ広告のように周囲のコンテンツに溶け込む広告は、数十年前から存在していました。これからのネイティブ広告では、どのような戦略や手法がトレンド入りするのでしょうか。

トレンド1. モバイルアプリで表示できるもの

従来は、Webブラウザのモバイル表示に焦点が当てられていましたが、ユーザーがより気軽にアプリをインストールし、日常的に閲覧するようになってから、アプリ広告の重要性が増しています。

モバイル版のウェブサイトを利用する人はたった11%で、残りの89%はアプリを利用しているという統計も出ています。また、アプリ内ネイティブ広告はモバイル版サイトのバナーの3倍頻繁に閲覧されています。

トレンド2. VR広告

VRとネイティブ広告の組み合わせには絶大な可能性が秘められています。360度の映像に囲まれるということは、広告を表示させる面積そもものが増えるということ。映像で包囲され没入感が高まるとエンゲージメントが高くなりうるし、もっと自然な形でネイティブ広告を提供できるソリューションが生まれるかもしれません。

トレンド3. ユーザー生成コンテンツ(UGC)

今日では、顧客はブランドに「正統性」を求めています。うさんくさくなくて、正直に商品の価値を伝えているだろうか?ということを消費者は厳しくチェックしているのです。

この要求を満たす最善の方法の一つが、「ユーザー生成コンテンツ」を広告戦略に加えること。あるマーケティング調査によれば、ユーザーによって造られたコンテンツは説得力が高く、信頼構築を手助けするといいます。

さらに、ユーザー生成コンテンツは、SNSの投稿、調査結果、人気投票、レビュー……などさまざまな形をとることができのも特徴です。

トレンド4.ネイティブ動画コンテンツ

動画はここ数年もっとも急速に成長する広告手段のひとつです。エンゲージメントも高く、さらに消費者関与の数値も高い。つまり、閲覧されやすく、さらに見た人が何かしら行動する度合いも高いということですから、ネイティブ広告に利用することにも大きな意味を持ちます。

実際、本編動画の開始前に流れるタイプのプレロール動画広告よりも、ネイティブ広告動画はユーザーに大きなブランドリフトを生むということが証明されてきました。

ネイティブ広告で成功するための5つのコツ

さて、実際にネイティブ広告を使ってブランドや商品をアピールしましょう。どうしたらいいか分からない! というあなたに、成功を引き寄せる実用的なコツをいくつかご紹介しましょう。

コツ1. オーディエンスを知れ

まず、自分のターゲットはどんな層で、彼らがどんな課題を解決しようとしていて、どんなコンテンツに価値を見出すのか、見定めること。SNSで「Capsulink(キャプスリンク)」 や 「Goo.gl(グー・グル)」などのURL短縮サービス名を検索すると、ユーザーたちがどんなトピックに興味を持っているのかを垣間見れます。また、あなたのサービスが主戦場とすべきプラットフォームまでを包括的に捉えられるでしょう。

タコベルの事例

ここでタコベル社の成功例をご覧ください。タコベルは自社Webサイトの視聴者を調査し、スナップチャットが顧客に訴えるために最もいい場所だと気づきました。そこで、新商品「Cinko de Mayo」を売り出すに当たって、スナップチャットに自社出資のオリジナルフィルターを作った。このフィルターを使って写真を撮ればユーザーの顔が巨大なtacoshellになる。このフィルターはすぐさま大人気となり、一日に2億2400万人が閲覧しました。

タコベル
出典:thinkbelle

コツ2. ユーザーの興味をひき、内容に価値のある広告を目指そう

あなたの視聴者をもっとも引き付ける角度を選ぶことが大切です。さらに、あなたの狙う視聴者が興味をもちそうなものと、広告を出すプラットフォームの元々の視聴者が興味を持ちそうなものを、ちょうどよく組み合わせるよう努めましょう。そして最終的に、すべての閲覧者にとって価値のあるものを目指しましょう。

Netflixの事例

素晴らしい例が、Netflixが『the Wall Street Journal』とコラボした『Cocainenomics

『Cocainenomics』

これはただの情報サイトではない、体験型で、インタラクティブなサービスで、「Narcos(なるコス)」という麻薬組織と麻薬取締官との戦いをテーマにしたドラマを宣伝するために作られました。

ドラマ自体が、コロンビアに実在した「コカイン王」の逸話をベースにしているのですが、このサイトでは、国際的なドラッグの取引の歴史を辿り、コロンビア最大の麻薬組織「メデジンカルテル」の裏側に潜入することができました。詳細な地図、図、写真、そして動画やクイズが盛り込まれたこのサイトによって、人々はドラマの舞台に思わず引き込まれ、その世界に魅了されたのです。

コツ3. 直接商品について語る必要はない

Netflixの例を見ても分かる通り、特にネイティブ広告においては、直接、商品やサービスについて説明したりアピールしなくてもいい、と教えてくれる例がたくさんあります。

Airbnbの事例

民泊を利用できるマッチングサービスで有名なAirbnbの広告も、ネイティブアドを意識して作られました。それでも、会社が思い描くミッションを完全に達成できました。それは、The NY Times誌とのコラボで作られたサイトで、NYにある小さな島、エリス島とそこを通じてアメリカに移ってきた移民の物語を体験的に学べるものでした。

エリス島は長年アメリカ移民局が置かれ、渡米する移民たちの「入り口」でした。「希望の島」ともあだ名されるこの島には、何世紀にもわたる移民の物語があります。アメリカの歴史そのものともいえるこのエリス島の遺産を、このサイトでは、ナレーション、地図、そして資料写真を使いながら、それぞれの家族の物語として詳細に語りました。

つまりこの広告は、他者を受け入れる「おもてなし」「親切さ」や「家族になること」をテーマとした物語を伝えていて、それらは会社としてのAirbnbを象徴するものでもあったのです。

NytimesとAirbnbの共同ネイティブ広告出典:nytimes.com

コツ4. 広告掲載媒体のトーンに合わせよう

お金を払って出している広告だからといって、ワキを甘くして一定の基準に達していないものを作ってはいけません。お客様に買ってもらう商品ではないからといって適当にやってもいい訳では、当然ありません。

そのサイトの編集されたコンテンツ・内容と同様の「トーン」であること、そして通常のコンテンツに馴染んでいること……これらの基準を満たす広告を作るべきです。

読者にネイティブ広告を、サイト上の他の文章と質の違いを感じさせずに、読んでもらうことが目標であることを忘れてはいけません。

IMBの事例

お手本に、The Atlanticに出されたIBMの広告を見てみましょう。この広告は、もし「スポンサーコンテンツ」であると表示されていなかったら、Atlanticの他の記事と見分けがつかないような仕上がりです。

この事例において、IMBは、見かけはもちろん内容の点でも、サイトの他の記事にうまく混ざる、教育的で興味深いコンテンツを作っています。よって、通常のバナー広告と違って、読者はうさんくささを感じず、信頼感と安心感を持ち、結果として記事を読みたくなったのです。

Atlanticのネイティブ広告 は他の記事とほとんど変わりない
出典:theatlantic.com

コツ5. 常識にとらわれずに!

結局のところ一番大切なのは、怖がらずに、独特で、想像的で、典型的な広告戦略を超えたものに挑戦することです。ネイティブ広告は、確立されたタグラインでは達成できない成果を挙げるチャンスを与えてくれます。

狙った顧客の目を引き付け、とりこにし、圧倒的で、はっとするような華やかな、そして彼らの意表を突く広告を作るチャンスである、これを常に心にとめておきましょう。

素晴らしいお手本が、「Gatorade(ゲートレード)」がスナップチャットに出した「セレーナウィリアムズのマッチポイント」ゲーム。このゲームはセレーナウィリアムズが、彼女の名高いキャリアに輝く、23個目のメジャーテニストーナメント制覇を祝って作られました。ユーザーが22あるレベルを順番にクリアするごとに、セレーナが勝ったグランドスラムのタイトルをゲットできるというゲームです。


出典:bandt.com

まとめ

よくできたネイティブ広告はあなたのブランドに大成功をもたらすでしょう。

イティブ広告はただ出せばいいというものではなく、ユーザーの指向をとらえ、彼らを楽しませ、求める情報を与えることに努力を惜しまないことが大切です。ネイティブ広告が効果を発揮するためには、媒体にただ溶け込むのではなくて、読んでもらうために、周りのコンテンツよりもさらにいっそう興味を引く、読みたくなる説得力、圧倒的な魅力が必要だからです。

ぜひ取り入れてみてください。

(執筆:Alexander Bickov 翻訳:Yuko Nakamura 編集:Workship MAGAZINE編集部)

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