土曜のデザインインスピレーション #26【Muzli】
- 土曜のデザインインスピレーション
- 翻訳転載
フリーランスの大きなメリットのひとつとして、働く場所に縛られない点が挙げられます。仕事場を自由に選択できるからこそ、フリーランスの拠点は人によってさまざま。
フリーランスとして独立した際、事務所は自宅でよいのでしょうか? それとも自宅とは別に、事務所を借りるべきでしょうか?
この記事では、そんな事務所選びに悩んでいるフリーランスの方に向けて、「事務所を自宅にした場合」と「事務所を別に借りた場合」のメリット/デメリットを解説していきます。事業状況や資金力にマッチした事務所選びの参考になれば幸いです。
目次
自宅を事務所とする場合、新たにオフィスを借りる必要がないため、コストが大幅に抑えられます。自宅を事務所とすれば、事務所の家賃や水道光熱費といった費用は自宅の分のみで済みます。
まだフリーランスとして独立したてで、まとまった資金が確保できていない方は、いきなり事務所を借りるよりも自宅を事務所代わりにする方が懸命でしょう。
自宅がそのまま事務所であれば、毎日の通勤から解放され、その分の時間を作業にあてられます。都心に住んでいる方は、電車ですし詰め状態になった経験のある方も多いのではないでしょうか? 朝や帰宅時の通勤ラッシュにあたってしまうと、家から会社までの移動だけで体力を奪われてしまいますよね……。
アメリカの世論調査会社ギャロップによると、通勤時間が長い人ほど幸福度は低くなるというデータも。自宅を事務所にしてしまえば、家から出る必要がなくなるため、ストレスなく仕事に打ち込めます。会社員時代に通勤時間が苦痛であったならば、自宅を事務所にするのがおすすめです。
自宅と事務所が兼用の場合は、家賃や電気代などの家事関連費を、必要経費として計上できます。
ただ、家事関連費のすべてを経費として計上できるわけではなく、仕事に使っている割合を按分する作業が必要です。按分とは、家事関連費を個人用と仕事用とに区別することを指し、以下のような目安をもとに算出します。
- 家賃:仕事で使っている床面積の割合
- 電気代:使用時間またはコンセントの数
- 電話代/インターネット料金:使用時間
- 車の減価償却費/ガソリン費:走行距離または仕事に使った日数
このように家事関連費の一部を経費扱いできるため、大幅な節税に繋がります。
ただ、家事関連費の按分はプライベート/仕事で使用している割合を計算する手間が発生するというデメリットも。水道光熱費や通信費などの明細を記帳しておき、そこから決算書を作ることになるため、ある程度の時間が奪われることは覚悟しておきましょう。
経費に計上できる項目などについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
フリーランスの事務所は自宅?借りる?メリット/デメリットを徹底比較
Workship MAGAZINE
自宅を事務所代わりにすれば、家族と一緒に居られる時間が長くなります。作業をするために自宅から出る必要がなくなるので、一緒にお昼ご飯を作って食べたりすることも可能です。
家族との時間を大切にしたいと考えているフリーランスは、事務所を自宅にすることをおすすめします。
人が集中できる時間は、15分〜60分とされています。もし集中が切れたとき、自宅だとゲームや漫画の誘惑に負けてしまったり、眠ったりしてしまう可能性も。周りに仕事関係の人がいないからこそ、自分を律せられない人だと、どんどん生産性が落ちていってしまいます。
最近は新型コロナウイルスの影響もあり、半ば強制的に自宅からリモートワークになった人も多いでしょう。リモートワークをしてみた際に「生産性が落ちてしまった……」と感じるのであれば、自宅とは別に事務所を借りることをおすすめします。
以下の記事では、リモートワークの向き/不向きを判定する「リモートワーク診断チャート」をご紹介しています、こちらもぜひ参考にしてみてください。
あなたは向いてる?向いてない?『リモートワーク診断チャート』を作ってみた
Workship MAGAZINE
またどうしても仕事に集中できない人は、ポモドーロ・テクニックを使うこともおすすめします。
リンク先のURLを設定してください家族がいるフリーランスの場合、クライアントとの打ち合わせを自宅(事務所)で行いづらいというデメリットがあります。打ち合わせを自宅で行う際には、自分とクライアントの予定だけでなく、家族の予定も考慮しなければいけません。
また小さいお子さんがいるご家庭の場合は「打ち合わせ中に子どもが泣き出して、クライアントを困らせてしまわないか……」と心配になることも。時間を問わず安心してクライアントとやりとりをしたい場合は、自宅を事務所にすることは避けた方がよいでしょう。
自宅を事務所とする場合、名刺やホームページに住所を記載するケースも多いでしょう。しかし自宅の場所を不特定多数の人に見られてしまうことに繋がるため、プライバシーの面で不安があります。
かと言って名刺やホームページに住所を記載しなければ、郵便物が送られてこなかったり、信用度が下がったりするケースも。プライバシー面で心配なフリーランスは、自宅とは別に事務所を借りるのがおすすめです。
自宅と事務所が同一の場合、別に事務所を構えている場合よりも、クライアントからの信用を得にくいというデメリットがあります。
リモートワークという働き方が浸透してきた現在でも、都心の一等地を借りている事業者と比べて、自宅を事務所としているフリーランスの信用は低いのが現状です。とくに大手企業との取引を考えている場合は、相手の信用を勝ち取るために事務所を借りるケースが多いです。
一方で、個人間の取引やECを中心としたビジネスを展開しているフリーランスは、自宅と事務所が同じでも信用面ではそこまで問題ないでしょう。取引先の規模や業種によって判断するのが望ましいです。
居住向け賃貸物件は、そもそも事業用として使用することが禁止されている場合が多いです。もしも内緒で事務所として使用した場合は契約違反となり、退去を命じられるケースも……。
完全フルリモートで仕事をする場合はほとんど問題ありませんが、自宅にクライアントやお客さんを頻繁に呼ぶ方は注意が必要です。自宅をオフィスとして利用する場合は、念のため管理会社に確認しておきましょう。
家と事務所が別の場合、メリハリをつけて作業をすることが可能です。事務所を借りると余計に通勤時間が発生してしまいますが、「通勤」という行動を取り入れることで、プライベートとビジネスを明確に住み分けられるようになります。
自宅にずっといると、はじまり/終わりの時間が曖昧になってしまい、ダラダラと作業をしてしまう方も多いのではないでしょうか? そのような方は事務所を別に借りて、生活にメリハリをつけるのがおすすめです。場所や時間が決まっていることで、生産性が上がったり、昼夜逆転を抑えられたりするメリットもあります。
自宅を事務所とした場合は、日常の生活雑貨や家具があるため、どうしても作業用にあてられるスペースが狭くなってしまいます。
一方で、新たに事務所を借りれば「この機材を設置したかったけど、置く場所がない……」といった悩みから解放され、自分の好きなように事務所を改造することが可能です。モニターや仕事関連の本棚、広い机などもラクラク設置できるようになります。
作業に必要な機材や道具が多く、広い作業スペースがほしいという方は、自宅とは別に事務所を借りるのがおすすめです。
自宅と事務所が同一の場合、家賃を床面積比で按分したり、電気代を作業時間で按分したりと、経費計算に手間や時間がかかってしまいます。按分の割合が不自然だと、税務署から指摘が入る可能性もあるため、丁寧に計算しないと修正になる可能性も。
先述したとおり、按分できる家事関連費は多くあります。そのため自身が業務に追われている月は、按分の算出に時間を割けない場合も出てくるでしょう。
そこで事務所を借りてしまえば、プライベートとビジネスの区別が明確になり、こうした経費按分の計算から解放されます。経費の記帳を少しでもラクに行いたいフリーランスは、事務所を自宅とは別に借りるほうがよいでしょう。
新たに事務所を借りる場合、家を事務所にするよりも多くの費用がかかってしまいます。事務所を借りるときに発生する費用は以下のとおりです。
【賃貸物件の契約時に発生する主なコスト】
- 家賃
- 共益費(管理費)
- 敷金
- 礼金
- 保証金
- 仲介手数料
【入居時に発生する主なコスト】
- 内装工事費
- 電気工事費
- 電話/LAN工事費
- 引越し費用
- オフィス家具の費用(デスク、チェアなど)
- OA機器の費用(PC、プリンターなど)
このように自宅とは別に事務所を借りるとなると、家賃以外にもさまざまなコストが発生してしまいます。あらかじめかかる費用を算出してから、事務所契約に踏み切りましょう。
自宅と事務所が別だと、時間を気にせずに作業をすることが難しくなります。事務所と家が離れていると、どうしても始発や終電の時間を考慮しなければならないためです。
繁忙期や期限の近い案件が集中したときは「もっと作業したいのに……」と感じることもありますよね。事務所を借りた場合、そのような際でも終電のタイミングで作業を切り上げる必要があります。作業に必要な道具の多くを事務所に置いている場合は、帰ってから作業ができないことも。
いつでも、好きなときに、好きなだけ仕事に没頭したいフリーランスは、自宅と事務所を一緒にするか、自宅から徒歩圏内に事務所を構えるのがおすすめです。
事務所を自宅にしない場合、家事や育児との両立が難しくなることも考えられます。自宅と事務所が別だと、子どもと四六時中いっしょにいることや、昼間に家事を済ませたりすることが困難です。
一方で自宅と事務所が一緒の場合は、家事の合間に仕事をしたり、子どもの近くで作業をしたりと、柔軟な働き方が可能です。またずっと家に居られるため、子どもを保育園に預ける必要がなくなり、迎えにいく手間や入園費用がかかりません。
できるだけ家事/育児との両立を図りたいフリーランスは、自宅を事務所にするほうがよいでしょう。
「自宅を事務所にはしたくないけど、新たにオフィスを借りる資金もない……」という方は、コワーキングスペースの利用もおすすめです。
多くのコワーキングスペースには、共同で使えるコピー機や会議室などが用意されています。そのためオフィスを借りるよりも初期費用を抑えられ、自宅のプライバシーを守ることも可能です。
以下の記事では、東京都内のコワーキンググスペースや、法人登記ができるコワーキングスペースをご紹介しています。コワーキングスペースを事務所にしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
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今回は、フリーランスが自宅を事務所にする場合と、新たに事務所を借りる場合でのメリット/デメリットを比較してきました。
この記事の内容をもとに、ぜひご自身の生活スタイルにあった事務所選びを心がけてみてください。
(執筆:Emily 編集:Kimura Yumi、Sato Mizuki)