【漫画】フリーランスは“103万円の壁”にどう向き合うか?
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企業で仕事をしていると、サービスや製品の開発計画など、チームでの作業が欠かせない場面が出てきます。ひとりの力でプロジェクトを完成させるのではなく、同じマインドセットを持った仲間たちと協力して成し遂げることで、製品の質・社内関係ともに良くなります。
ひとつの会社内で共有されている行動原理や思考様式などのことを「組織文化」といいますが、チームの仲間たちとマインドセットを共有し、よりよい組織文化を作っていくにはどうしたらいいのでしょうか?
本記事では、製品管理ソフトウェアを制作するProdpadの共同創設者であるジャンナ・バストウ氏へのインタビューの一部をご紹介します。彼女が考える組織文化の作り方が、あなたの参考になれば幸いです。
―― バストウ氏は以前、「プロダクトマネージメントにおける困難を乗り越える方法」というテーマでスピーチをされていましたが、プロダクトマネージャーにとっての一番の悩みは何ですか?理由も教えてください。
バストウ:まず、実際にプロダクトマネージャーたちが抱える問題について。これは結局、特別なスキルを持つ持たないの問題ではありません。一番大変なのは、人との関係です。
人との関係は予測不可能です。人にはそれぞれ意思やポリシーといったものがあり、教科書やメディアに答えが書いてあるわけではありません。どれだけ人に共感できるか、どれだけコミュニケーションを取っていけるかが大切です。
―― 多くの人はキャリアを経ると仕事のスキルは上がっていきますが、人との関係性をつくる力は必ずしも上がっていくわけではありませんよね。
バストウ:その通り。私たちもビジネスパーソン向けのワークショップを行っているとき、参加者の皆さんに「何が一番大変だったか?」を毎回聞いているんです。一番多い回答は、「ステークホルダーのマネジメント」でした。
しかし、私たちが提供する他のクラス(製品開発心理やデザイン、データ解析など)に比べると、ステークホルダーマネージメントのクラスを選択する人は少ないのです。
多くの人は、難しいスキルを学ぶことが大切だと考えているようですね。ですが結局、ステークホルダーのマネージメントがプロダクトマネージメントの基盤となるのです。
―― 興味深いですね。クラス選択のミスマッチの理由は何だと思いますか?
バストウ:多くのプロダクトマネージャーたちは、自分の達成を内面的に肯定できない「インポスター症候群」のようですね。そういう人は、自分がやっていることは周りのチームメイトも当然知っていると思っており、逆に知らない人のことを許容できないのです。
私の同僚であり、共同創設者のマーティンは「プロダクトマネージャーというのは製品に関するさまざまなスペシャリストたちのなかの“ジェネラリスト”である」と言っていました。
あなたが一生かけても勝てないコーディングの専門家や、コピーライティングもキャンペーン作成も得意なマーケター、営業が飛び抜けて上手いセールスマンたちに囲まれた中の、ジェネラリスト。
広範囲の知識を持ち、大体のことはこなせるでしょうが、ひとつの知識に特化した専門家には叶いません。だからこそでしょうか。わかりやすい結果が出るスキルと違って、“私は人との関係性をつくるのが得意だ”ということをスキルだと捉えていません。
―― さきほど、営業担当の話が出ました。バストウ氏自身も営業経験があるそうですね。プロダクトマネージメントにおいて、または社内のマインドセット変更において、役に立った営業のスキルは何でしたか?
バストウ:何よりも思うのは、営業の経験から学んだスキル、そしてそれを言語化したノウハウが全てではないということです。
良い営業というのは、正しい質問をすること。そして、これから買ってくれそうな潜在顧客の人生に、製品やサービスを通して新たな価値をもたらすことではないでしょうか。
―― バストウ氏の会社では、これまでにさまざまなプロジェクトを企画してきましたよね。サービスや製品計画など、これまで思い通りにいかないこともあったのではないでしょうか。そういった場合は、どのように対応していましたか?
バストウ:思い通りにいかない理由を探っていくだけです。でも、ただ「何故?」と問いただすだけではいけません。
たとえば、私たちの会社では「OKRs(Objective and Key Resuls:目標と主な成果)」を重視しています。プロジェクトを始める前に、私はチームメンバーに「会社の業務の目標達成度を測って、失敗したことがある人はいますか?」と尋ねたことがあります。そのとき、何人かが手を挙げました。
プロジェクトを始める「理由」を決める前に、過去の失敗を思い返すなかで、次の解決策は何がベストかを皆で話し合っていければいいと思うのです。そして話し合いのなかで、お互いの好みなどを理解していきます。
―― 以前、私はFour Kitchensという企業にインタビューをしたことがあります。彼らも、プロジェクトを始める前にこれから起こりうる失敗とその可能性を出し合う「プレモータム」を行っているそうです。それにより、どのような要素・行動がプロジェクトを“失敗”させてしまうのかということを、チームメンバー全員が認識できるというのです。バストウ氏の戦略はそれに少し似ていますね。
バストウ:プレモータム、とても良いですね。本当かどうかわかりませんが、そういえばAmazonが何か機能を追加するときは、まずプレスリリースを書いてみるという話を思い出しました。
メディアが取り上げないようなことや、あまり魅力的でないと捉えられるような機能なら、実装する意味がないからです。顧客をワクワクさせられないものを作る意味はないでしょう?
だから、プレスリリースを事前に用意することで、その機能を打ち出す価値を理解していくようですよ。私は好きですね、プレモータム。
プレモータム・シンキングとは?失敗を事前に予想しミスを減らす思考法
Workship MAGAZINE
―― プロダクトマネージャーの中には、新しいチームや未知の業種の担当をしたとき、チームが上手く機能しないことで悩む人もいます。よりよい関係を築き、健全な職場づくりをするためには何をしたらいいと思いますか?
バストウ:プロダクトマネージメントのことで悩むあなたへ。どのチームにも何かしらの障害はあるということを覚えていてほしいです。家族がそうであるように、完璧なチームはありません。どのチームにも異なる能力やバックグラウンドを持った人々が集まっています。
効果的なのは、日々の職場環境から離れて、少し“普通”の外側に行ってみることではないでしょうか。私たちの会社であるProdPadでは、社外でのオフサイトミーティングを実践しています。この前は、イギリスの島に行ってきたばかりです。
会社で大きな家を借りたのですが、インターネット環境が悪く、パソコンを使えるような場所ではありませんでした。だからこそデスクから離れ、一緒に何気ない会話をしたり、ちょっとしたゲームをして遊んだりすることができたのです。
これは一例ですが、いつもと違う環境に行って価値観を共有することで、組織文化をより良くしていけるのではないでしょうか。
―― 次は、幹部からの合意を得ることについて話していきましょう。新たに製品・サービスをつくるとき、上層部からの合意を得ることは大切だと思いますか?
バストウ:ちょっと極端な言い方かもしれませんが、「同意」を得るより「許可」を得ることのほうが簡単だといつも思っています。大量の時間や資金を無駄にしなければね。
小さい組織では、いろいろ試行錯誤できるところがいいのです。会社の理念を理解し、製品の方向性を理解し、問題点を理解しているなら、プロダクトマネージャーに全てを一任してもいいのでは、と思います。私たち経営陣は、問題を見つけて学び、解決するまでの過程を取り組んでいくだけなのです。
製品・サービスの全体像は、私たちがプロジェクトを始める前の段階では全てを伝えきれません。また伝えたところで、幹部がその製品・サービスの問題を解決できるとは限りません。なので、幹部に一度合意をもらったら、会社の理念からは外れていないことさえ示し続けていれば良いのです。あなたがやるべき基本的なことは、理解されているはずですから。
―― あくまで例え話です。もしサービスが完成する一歩手前のところで、それまで特に注意をしてこなかった幹部から突然ダメ出しをされたらどう対応しますか?
バストウ:幹部は基本的に、他の社員よりも発言権があります。突然のダメ出しから身を守る唯一の方法は、データで証明することではないでしょうか。
完成間近になった際、詳細な報告書を書くよりもデータがモノをいいます。プロジェクトを行う意義と、これまでのデータから予測されるこれからのプランを考えておきましょう。何をやるべきかはっきりわかっていれば、幹部の意見にもNOと言えるはずです。
ただ、幹部の意見にオープンになって耳を傾けることも大切です。たとえ変な髪型の上司だったとしても、多くの人の意見を取り入れることでグッドアイデアが生まれるかもしれないからです。色々聞いてみましょう。
彼らがどのような理由でダメ出しをするのか?その背景にあるものは何か?彼らの不安を解消する方法はあるのか?考えてみてください。
―― では、かなり「販売指向型」に振り切った組織文化を持つ会社では、サービス・製品に関する幹部の合意はどのように得ますか?
バストウ:いい質問ですね。販売指向型に関してはこう思います。プロセスや事業の進め方を優先しセールスの問題を解決するのならば、プロダクトの改善・仕様変更は制限されてしまうのではないかと思います。
たとえばクライアントXに対し、サービスの利用料として毎月10万ドル払ってもらうように契約するとしましょう。これは一見素晴らしいことなのですが、毎月クライアントにとって契約内容を「正しく」実行されなければならないので、サービスの改善・仕様変更を工夫することが難しいです。また「正しく」実行するためには、労力もかかります。
クライアントのリクエストを聞いて、お金と引き換えにサービスを届ける。これで稼いでいる会社は、代理店と呼ばれます。別にこれが悪いわけではないですよ。ただ、それで世界を変えることは難しいと思います。“次世代のFacebook”にもなれませんし、社会課題を解決する先進的な企業にもなれません。極端に販売指向型に偏った組織文化を持つ会社は、そこまでの組織にはなれないのです。
ベストなのは、どのようなタイプにも変化できる企業ですね。販売指向型でも良いのですが、未来のために真剣に製品主導型への道を探っているとか。余計なものを省き、迅速にするにはどうしたらいいのか、を考えている企業です。
―― 最後に、新しいプロダクトをデザインする際の戦略目標を明確化する方法について。経営者に対して何かアドバイスはありますか?
バストウ:はい、毎回大変な点ですね。まず、私は経営者の人にいくつか質問をします。たとえば、「どのような形が人々に求められているのか」「 “成功型”はどのような形か」ということです。それがわからなければ、目標を立てられません。最低でもイメージはできていないといけません。
そして、なぜこのプロジェクトを行うのか、と問うことも大切です。ビジネスでは利益が大切だと経営陣も考えていますが、利益の他に、それをやる意義もしっかりと考えなくてはいけないのです。
そのため、新たな製品・サービスを作る際は多くの質問をし、意義を明確にしてから始めましょう。実際にプロジェクトが始まってからは、プロダクトマネージャーが、チームメイトが抱える問題を見つけ出して解決していきます。
いかがでしたでしょうか?
インタビューのフルバージョン動画もありますので、興味があればチェックしてみてくださいね。
https://www.youtube.com/watch?v=WqcohPhQC8g&feature=youtu.be
(著者:Margaret Kelsey 翻訳:Klara)