【漫画】フリーランスは“103万円の壁”にどう向き合うか?
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毎日ちゃんと働いているはずなのに、口座残高が増えてない……。
そんなことはありませんか。私は多々あります。
「立て替えておきますね!」と仕事に必要なものを立て替えすぎて、気付けばすっからかんだったり、大型案件を受注して調子に乗っていたら、チェックに時間がかかって入金が3ヶ月後……なんてことも日常茶飯事です。
月末に決められた額が必ず入金される会社員と違い、フリーランスのお金事情はとても不安定なのです。
今回はそんなシビア〜なフリーランスの資金繰りにまつわる悩みと、その解決方法を探っていきます!
Webメディア・新R25編集部を経て、フリーランスとして独立。取材やコラムを中心に執筆する傍ら、グラレコやナレーション、イラスト、SNS運用など、幅広くクリエイティブ業務に携わる。(Twitter:@milkprincess17)
目次
「リリース月=振り込み月」と設定している企業などは、スケジュールが往々にしてズレ込むので、いつ入金されるのかわからない場合がありますよね。
わたしも3ヶ月前に納品した成果物がなかなかリリースされず、「いつ報酬振り込まれるんだろうなぁ……」とやきもきしたことがあります。何なら「入金を忘れておりました!」と、入金日が遅れるケースもなきにしもあらず。
場所代、キャスティング代、参考資料代、サービス利用料など……。案件にかかる経費は、はじめにクライアントが前金として渡してくれる場合もあれば、自分で立て替えておかなければならない場合もあります。
映像制作に携わっている友人の話ですが、100万円以上立て替えることもあると言っていました。請け負う案件が大きければ大きいほど、経費も膨大。つらい……。
フリーランスのWebデザイナーとしてキャリアを重ね、あるときドバッと大型新規案件が複数件も! ……と嬉しいのも束の間。実際には外注費がかさみ、そのうえ振り込みは数ヶ月先。せっかく大きく事業成長できそうなのに、肝心の運転資金がないなんてこともありますよね。
しかしフリーランスは与信がないため、民間の金融機関で融資を受けるのは簡単ではありません。かといって消費者金融に手を出すのもちょっと……! ということで、馬車馬のように働いて運転資金を貯めるか、クラファンを頑張るか、はたまた知り合いに借りるか……みたいな道が残されていない状況です。
これら3つの悩み、果たしてどのように対応していけばいいのでしょうか。その答えの一つに「ファクタリング」があると、フリーランス向けファクタリングサービス『PayToday』の田中さんが教えてくれました。
オンライン型ファクタリングサービス『PayToday』事業責任者。大手メガバンク出身。行員時代には個人/法人の融資業務も担当。
ゆぴ:
「ファクタリング」……ってあまり馴染みがないのですが、これは一体どういうものなんですか?
田中さん:
端的に言えば、ファクタリングとは、手元にあるまだ入金されていない「請求書(売掛債権)」を売却して、資金を調達する「借りない資金調達サービス」です。
フリーランスが請求書を発行しても、入金までには早くて1ヶ月、遅いと数ヶ月〜年単位のラグが発生します。しかし入金までの間、資金に余裕がないと事業運営がカツカツになりますよね。
そこで請求書を我々のようなファクタリング業者が買い取り、すぐに現金化し、事業運転資金に充てていただくのです。
ゆぴ:
請求書がすぐお金に変わるなんてシステムが……!?
わたしは使ったことがないのですが、実際に利用しているフリーランスはどのような使い方をしているんですか?
田中さん:
ライター、デザイナー、建設業などさまざまな業種のお客さまがいらっしゃいますが、なかでも最近はシステム開発をされている方に多く使っていただいています。
システム開発は受注から完成までの期間が長いうえ、前受けでもらえる金額も少ない。そこから外注費や自分へのお給料などの経費で、支払いが膨らんでいってしまいます。
その資金繰りをどうしようかというときに、まだ支払われていない「請求書(売掛債権)」を先に現金化することで、この支払いに充てるんです。
すると、事業を大きくすることができて、また新しい受注が出てくる……という良いサイクルを生むことができるんです。システム開発事業は利益率も高いですし。そして、2〜6回ほど継続取引した後、運転資金がまわりはじめ、ファクタリングから卒業されていく方が多いですね。
ゆぴ:
お金のない一番苦しい時期に寄り添ってくれるのか……。駆け出しフリーランスにとってはかなりありがたい話なのでは!
ゆぴ:
ちなみに資金を調達する手段としてメジャーなのが、銀行などからお金を借りる「借入・融資」だと思うのですが、ぶっちゃけ融資でも良いのでは?
田中さん:
それが、全然……全然違うんですよ!
田中さん:
フリーランスが銀行からお金を借りるって、ものすごく大変なんです。時間もかかります。
日本政策金融公庫や制度融資を活用すれば、借りれなくはないんですが、金額もそこまで大きくないし、審査に3ヶ月もかかってしまうんです。それを待っている時間や余裕があるなら、そもそも借りないですよね。
一方、ファクタリングサービスの『PayToday』は請求書さえあれば最短45分で審査ができますし、利用額もとくに上限を設けていないんです。最近だと4000万〜5000万まで買い取りましたね。多いのは10〜50万ですが、少ない場合だと10万円でも対応することがあります。
ゆぴ:
えっ、ファクタリングってそんなに爆速なんですか……!?
田中:
そして、もうひとつの大きな違いは「負債の有無」です。
ゆぴ:
負債?
田中さん:
借金などの「マイナスの財産」です。
消費者金融や銀行などで借りると自分の負債になってしまうので、その履歴が残ってしまうんです。また負債が大きくなりすぎると、信用が下がって貸してもらえなくなることもあります。
一方のファクタリングは、自分の資産(=請求書)を現金化するだけなので、会計上には動きがない。なので、何度ファクタリングしても、履歴には何も残らないんですよ。
外からの見え方がクリーンなので、スピードが必要な場合は、融資よりも気軽に使っていただけるかと思います。
田中さん:
まとめると、「ファクタリング」は融資などよりも、速く、大きな金額を調達できて、負債にならない。まさに資金が急いで必要な駆け出しフリーランスにぴったりな資金調達法なんです。
ゆぴ:
たとえ数十万円でも必要なとき、負債もつかずにスピーディーに資金調達できるなら、かなりアリな選択肢かもしれないですね。
ゆぴ:
「ファクタリング」の魅力はかなりわかったのですが、逆にいい話すぎてデメリットがあるんじゃないかと思ってしまうのですが……。
田中さん:
大きなデメリットとしては、融資より手数料が高いことですね。融資は通常、高くても利息3%程ですが、PayTodayは手数料の上限が9.5%です(1~9.5%)。それでも業界最安レベルですが、融資よりは高いですね……。
もちろん前向きな理由であれば、何度使っていただいてもいいんですけど、事業に失敗して苦しくなったとき、利益率が低い事業などは、手数料がデメリットに感じられるかもしれません。
あとは、ファクタリングは実質的に「先々に入ってくるお金を前借りすること」になるので、1ヶ月先にはお金がない……なんてこともあります。将来のことを考えながら利用していかないと、自転車操業になって苦しくなってしまうんです。
なので、わたしたちもヒアリングの段階で今後の事業の計画などを聞くようにしています。そうすると、お手伝いする期間がだいたいわかってくるので。
ゆぴ:
借金に限らず、ファクタリングも「ご利用は計画的に」ということですね。
田中さん:
まさにその通りです! やっぱりお金に関することは計画がないと辛いので……。
ゆぴ:
ちなみに最短45分で審査ができるとのことでしたが、普通45分ってありえないと思うんです。一体どんな審査をしているんですか?
田中さん:
審査フローを半自動化しているのが、早さの秘密です。PayTodayはすべてオンラインから申し込みをしていただき、自社で作ったAIシステムで倒産確率などを算出したうえで、審査担当者がお電話とZoomでしっかりヒアリングして審査を進めています。
これにより、ほとんどが即日対応、最短45分で対応できていますね。
なお金額の多いものに関しては、こちらもしっかり見なきゃいけないので、翌日までかかることがあります。過去に数千万円規模のファクタリングをご依頼いただいたときは、2日かかってしまい大変申し訳なかったのですが……。
ゆぴ:
いや充分早いです。とはいえ、すべてがAIというわけではないんですね。
田中さん:
そうですね。事業を進めるうえでお客さんから直接話を聞くのはものすごく大事だと思っています。生の声を聞かないとわからないことってたくさんあるので。
また、急いでる方には巻きで対応することもできます。わたしたちはまだまだベンチャー企業なのでフットワークが軽く、お客さまに合わせて柔軟に対応できるんですよ。
事業が大きくなればなるほど、マニュアルで固められてしまいますので、フットワークの軽さは維持できるよう、ある程度ニッチなところで止めたいとも思っています。
ゆぴ:
そこまで! ちなみにヒアリング内容はどんなことを?
田中さん:
基本的な資金の流れや、クライアントとのお取引歴の長さ、そしてどのような事業に調達した資金を使っていくのかを、話の流れで聞くようにしています。社内で培ったノウハウを共有しながら、丁寧にヒアリングするようにしています。
ゆぴ:
ここまでお話を聞いていて、「ファクタリング」のことはかなりわかったのですが、世の中にはさまざまなファクタリング会社があると思うんですよ。そのなかで、PayTodayさんの強みはどんなところにあるんですか?
田中さん:
じつは、ファクタリングは「怪しい」と思われがちであまりいいイメージがないんです。審査の段階でも、「本当に大丈夫なの?」と聞かれる方もいたりして……。
わたしたちはそのイメージを払拭するために、女性が中心となってクリーンな環境作りを心がけています。
PayTodayは社員の6〜7割は女性で、きめ細やかで丁寧な対応と、コンプライアンスの徹底遵守をウリにしているんです。お客さまからも「安心できた」「緊張せずに話せた」というお声をいただいていますね。
売掛先(クライアント)への通知も、返済期日や合意事項が守られてる限り絶対に行うことはないので、安心してご利用いただけます。
いまは女性のフリーランスの方も多いので、女性にも安心してご利用いただけるよう改善を続けています。
ゆぴ:
たしかに、お金にまつわるやり取りって勇気のいることだし、ゴリゴリな人が出てきたら萎縮してしまうけど、そこはかなり安心できるかもしれないですね。
田中さん:
あとは、信念として掲げているのが、「前向きな資金調達に対応していく」ということ。お金が必要な方の事情はさまざまですが、たとえばギャンブルや浪費をされる方の利用はお断りしています。
一方で、お客様が前向きな理由、例えば事業拡大局面で必要としているのであれば、金額がいくらでも頑張って支援させていただく所存です! 信頼できる企業や個人事業主やフリーランスをサポートできたらと思っています。
ゆぴ:
すごく不思議なんですけど、いちフリーランスとして気になったので聞かせてください。どうしてそこまでしてくれるんですか……?
田中さん:
フリーランスって、コロナ禍で働き方が変わり、在宅ワークが増えたあたりから注目度が一気に上がりましたよね。これからフリーランスになろう!という人もかなり増えたと思います。一方で、フリーランスさんから話を聞いていくうちに、「資金繰り」に頭を悩ます方がとても多いなと気づいたんです。そこを支援していきたいという気持ちが大きくて。
先ほどもお話したとおり、フリーランスが資金調達するのは本当に大変なことです。
ファクタリング会社のなかには「フリーランスお断り」というところも多く、フリーランスが利用できるのは、何百社あるうちの数社程度しか存在しないんですよ。
田中さん:
じつは、わたしはもともと銀行に勤めていたのですが、銀行だと対応できない案件がたくさんあり、歯がゆい思いをしたこともあります。
だからこそ、たとえ数万円でも、それが次の大きな受注につながるのであれば、ご支援をしたいなという思いです。お金に悩まされずに仕事ができるように。
ゆぴ:
わたしはフリーランスになりたてのとき、賃貸の審査に落ちて絶望したことがあるので、信じて寄り添ってくれるというのは駆け出しフリーランスにとっても心強いと感じました……。
田中さん:
でも、これはわたしたちからしてもすごくやり甲斐のあることなんですよ。もちろん長い付き合いをしていただきたい思いはありますが、事業が成長し、長期で借り入れができるのであれば、融資を受けたほうがやはり安定はするんです。少し難しい言い方をすると、ファクタリングはブリッジファイナンスの一種として、ある一定期間だけの利用を推奨しています。
ですので、次のステップアップするまでの大切な一定期間をサポートさせていただけたら、と思います。
(執筆:ゆぴ 編集:じきるう 写真:泉)