エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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Webデザイナーやライターなど、ネット界隈で働く人が常に気をつけなければならないのが著作権。その中でも特に気をつけなければならないのが、写真やイラストなど、ネット上で見つけた画像の無断利用です。
自分のサイトやブログにネットから見つけてきた画像を掲載して、著作権侵害をしてしまうことは往々にしてあります。場合によっては、それが原因でサイト炎上や訴訟を起こされるなんてことも……。
そこで今回は、ネットで見つけた画像の利用方法をわかりやすく解説します。この記事でネット画像の正しい使い方を学び、安心安全なサイト/ブログ運営を行いましょう。
高樹町法律事務所 弁護士・ニューヨーク州弁護士。早稲田大学法学部卒。ハーバード大学ロースクール(LL.M.)修了。アート・メディア・エンターテイメント業界を主な顧客とし、企業法務全般を取り扱う。特に、著作権等の知的財産権に関する相談と、国内外の契約交渉やトラブル案件に関するアドバイスが多い。文化
目次
ネット画像を含む著作物は、著作権法という法律によって保護されています。
たとえばイラストは「美術の著作物」、写真は「写真の著作物」として保護されています。
写真の場合、被写体が絵画や彫刻などの著作物であれば、その被写体の著作権も問題になります。著作物を写した写真だけではなく、風景や料理といった「著作物ではないもの」を撮影した写真であっても、写真それ自体が著作物として保護されるので注意してください。
著作権法をもとに、ネットで見つけた画像を合法的に正しく利用する方法を学びましょう。
なお、人物が写っている写真を利用する場合には、写真の著作権だけではなく被写体の肖像権についても注意が必要ですが、今回は割愛します。
著作物を複製する権利(複製権)や、ネットにアップする権利(公衆送信権)は、著作権者だけが持っています。
つまり、画像をネットからダウンロードしたり、ダウンロードした画像を自分のSNSにアップしたり、顧客に提出する成果物の中に画像を取り込んだりするためには、画像の著作権者の許諾を得ることが原則です。
仕事やブログなどで写真を使いたい場合、自分で撮影した写真を使うことが一番安心できる方法です。
そうは言っても、毎回適切な写真を自分で撮影するのは難しいですよね。
著作権法は「一定の場合には、著作権者の許諾を得ないで著作物を利用しても著作権侵害にならない」と規定しています(「権利制限規定」といいます)。
たとえば、著作権法30条に「私的使用目的の複製」という規定があります。この規定があるので、個人で写真を楽しむ目的でネット上の写真をダウンロード(複製)しても著作権侵害にはなりません。
しかし、たとえばフリーランスの方が、ダウンロードした写真を顧客に納品する成果物のなかで使う場合は、「私的使用目的」とはいえません。さらにネットで拾った写真を無断で自サイトにアップする行為(公衆送信)は、たとえ私的使用目的だとしても著作権侵害になってしまいます。
なお著作権法の改正により、正規版が有償で販売されているにもかかわらず、無償でダウンロードが可能ないわゆる「海賊版」にあたる漫画・書籍・論文・コンピュータープログラムをダウンロードする行為については、たとえ私的使用目的でも、著作権侵害にあたることになりました。
「軽微なもの」「二次創作やパロディ」「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」のダウンロードは違法とはなりませんが、海賊版とわかっているサイトのコンテンツは絶対に利用しないようにしましょう。
ほかにも権利者の許諾を得ないで著作物を利用できる場合を定めた規定があります。
仕事で使う場合にも適用される可能性があるのが、引用の規定(著作権法32条)です。
著作権法32条
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
つまり、ネット上に公表された画像を含む著作物は、公正な慣行に合致し、目的上正当な範囲内なら無断で自サイトに引用することができます。
公正な慣行とは、引用に関する一般的なルールやマナーなどを指します。裁判例によって、示されている判断基準が少しずつ異なることもあるのですが、基本的には以下のようなルールを守る必要があります。
【引用として認められる公正なルール】
- 自分の著作物が「主」で、引用部分は「従」
自分の著作物が主体であり、引用部分はあくまでサブである必要があります。ネットで見つけた画像が主体で、自分の著作部分がわずかであるものはルール違反です。- 引用部分が明確になっている
自分の著作物と他人の著作物は明確にわかるように記載する必要があります。もちろん、ネットで見つけた画像を自分の著作物であるかのように振る舞うのは著作権法を侵害しています。- 画像を引用する必然性
自サイト/ブログの文脈上、ネットで見つけた画像を掲載する理由が明確である必要があります。意味もなく、ただの装飾として載せるのはNGです。
写真の引用の必然性が認められる典型的な例は、著作権の条文にも書いてあるように、その写真自体を評論したり、研究したりする場合です。写真のテクニックや構図について文章を書く場合には、同時にその写真を見せる必然性があるといえます。
ただ多くの場合、ネットなどで写真を使う理由は、「その文章と写真が関係あるから」という程度に過ぎません。
たとえば、パンダついての文章にパンダの写真を載せる場合、記事と写真の間に「関係性」はあります。しかし、それならばパンダの写真ならどれでもいいはずで、ネット上で見つけてきた「その写真」を使う必然性まではないと考えられます。
このように考えると、画像の利用について引用が認められる場面は、意外と限られていることがわかります。
なお、引用の要件を満たす場合には、著作者が「転載を禁ずる」と記載していても引用することができます(著作権法では「引用」と「転載」の意味は違います。転載についての説明はここでは省略します)。
ネットで見つけた画像を引用して使う場合、加工して使用したい場合もあるでしょう。しかし、これは別の著作権侵害になってしまいます。
著作権法上、著作物を編集したり変形したりする権利は翻案権(著作権法27条)と呼ばれ、著作権者だけがその権利を持っているからです。
さらに、著作者人格権(同一性保持権)(著作権法20条1項)という権利の侵害になる可能性もあります。
ややこしいのですが、画像の加工などの変形行為を権利者の許諾を得ないで行うことが認められているのは、私的使用(同法30条)、学校関係での使用(同法33〜35条)、視覚・聴覚障害者等のため(同法37条)という特定の場面に限定されています。
つまり、ネットで見つけた画像を加工し、自サイト/ブログに掲載する行為は著作権侵害です。
「著作物を引用して使う場合はそのまま使う」と覚えておいてください。
ただし、フリー素材などで、出典元が加工を許可している場合はその限りではありません(フリー素材については後で詳しく説明します)。
なお余談ですが、過去の裁判例にてこんな話があります。Twitter上に権利者に無断で画像を投稿したツイートをリツイートした際に、元画像に含まれていた権利者の氏名部分が、リツイートで表示されなくなった場合について、リツイートした者が権利者の氏名表示権(著作権法19条1項)を侵害したと判断が示されています。画像自体に手を加えなくても問題になる可能性があることは意識しておきましょう。
ネットの画像を自分のサイト/ブログで利用する際、出所を明示することが著作権法によって規定されています(著作権法48条)。
出典の表記に関しては細かな決まりはなく、「合理的とみとめられる方法及び程度」と書かれています。
ネットで見つけた画像を使用する際は、わかりやすい場所に引用元を記載すれば大丈夫です。
ただし、「出所表示さえすればいつでも他人の画像を使える」のではなく、あくまでも引用等の条件を満たして他人の画像を使える場合に、さらに出典元の表示が必要になる、ということに注意してください。
また、たまに「画像の真下に引用元表記がないものはアウト!!」と言う人もいますが、出所がわかりやすければどのように表記しても問題ありません。
【著作権法に基づくネット画像利用ルールまとめ】
- 画像の無断利用は原則NG。引用の条件を満たすかどうか確認する
- 画像の加工は基本的にNG
- 出所の明記は必須(ただし表記方法についてのルールなし)
- フリー素材を使う時は使用条件を確認する
場合によっては、Webサイトのスクリーンショット(以下、スクショ)を自サイト/ブログに使用したい場合もあるでしょう。
Webサイトのコンテンツは多くの場合著作物です。したがってWebサイトのスクショは、通常は「Webサイトに表示されている著作物」の複製に当たります。
無断複製行為は上でも書いた私的使用目的などの例外を除き認められていないため、著作権侵害となりえます。
しかし、Webサイトのデザイン自体を批評したり研究したりするような場合であれば、スクショの利用が「引用」に該当する可能性もあります。
先述のとおり、ネット上で見つけた画像を無断で使うことは、著作権侵害にあたる可能性が高いです。かといって、毎回権利者の許諾を得るのは大変です。そこで便利に使えるのがいわゆる「フリー画像」です。
フリー画像は「著作権フリー」とも言われていますが、これは「著作権で保護されてない画像」という意味ではありません。通常は「ユーザーが著作権者の個別許諾を得ないで使うことについて著作権者があらかじめ同意している画像」のことです。
フリー画像配布サイトでよくあることですが、「帰属表示の必要なし」と書かれている画像素材があります。
フリー画像の配布サイト側が実際にその画像の権利者で、帰属表示を不要としているのなら、素直にそれに従って問題ありません。
なお「商用利用不可」と書いてある場合は、仕事で使うことはまずできないと考えましょう。「商用利用可」と書いてあれば仕事で使っても大丈夫そうですが、クレジットを付ける必要があるか、画像を含むコンテンツを販売しても良いのか、加工しても良いのか、等の細かい条件がサイトごとに異なります。
いずれにせよ、フリー画像を配布するサイトの使用条件には一度目を通し、トラブルを起こさないよう気をつけましょう。
普段はあまり意識しない著作権ですが、ネット界隈で制作を行うなら皆が知っていて損はない内容です。
この機会にネットで見つけた画像の利用方法を正しく理解して、安心安全なWeb制作を行いましょう!
(執筆:じきるう 編集:まえかわゆうか 監修:唐津真美弁護士)
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