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ポータブルスキルとは、英語で「持ち運べる技術」を意味し、業種や職種が変わっても使えるスキルとして近年注目度が高まっています。
今回はポータブルスキルについて詳しく解説します。
目次
一般社団法人 人材サービス産業協議会では、ポータブルスキルを「業種や職種が変わっても持ち運べる能力」と定義されています。
確かなポータブルスキルがあることで、社内異動や転職を重ねても、場所を問わず活躍できる人材となれます。
キャリア作りに必要な3段階の要素として、以下の3つが挙げられます。
「スタンス」は仕事における基本姿勢であり、社会人であれば誰しも必要となるスキルです。そこにプラスして「ポータブルスキル」が乗ってくると、仕事を円滑に進められるようになります。さらにその上として「テクニカルスキル」があり、特定の技術者や領域のみで大きく活躍するスキルとして活躍できます。
ポータブルスキルは職種や業種異動に左右されず、かつ“プラスアルファのスキル”として重宝されます。ポータブルスキルを身につけておくことで、どこでも活躍できる人材となれるのです。
ポータブルスキルは、主に「対人スキル(人との関わり方)」と「タスクマネジメントスキル(仕事の進め方)」の2種類に分けられます。以下でそれぞれ詳しく解説します。
ここでいう対人スキルとは、仕事におけるコミュニケーション能力です。「社外対応」「社内対応」「部下マネジメント」の3つに分類されます。いずれも複数人でプロジェクトを遂行する上で欠かせないスキルです。
社外対応 |
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社内対応 |
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部下マネジメント |
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(参考:ポータブルスキルセルフチェック)
タスクマネジメントスキルとは、課題に対する処理能力や遂行力を指します。「現状把握能力」「課題を設定する力」「計画の立案」「課題遂行能力」「状況への対応力」の5つに分類されます。
課題を分析・整理し、自分で考えながら効率よく対処するために必要な力です。
現状把握能力 |
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課題を設定する力 |
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計画の立案 |
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課題遂行能力 |
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状況への対応力 |
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(参考:ポータブルスキルセルフチェック)
まずは自身のポータブルスキルがどの程度なのか調べましょう。今回は、人材サービス産業協議会の提供する「ポータブルスキル セルフチェック」ツールを使います。
セルフチェックでは、「人との関わり方」と「仕事のし方」の観点からスキルをチェックします。
スキルチェックを行う上でのポイントは、質問に対し「できる/できない」ではなく自身にとって相対的にどのスキルが得意かを考えること。仕事のやり方を省みながら素直に答えてみてください。5分もあれば回答できます。
セルフチェックの結果から、ポータブルスキルの伸ばし方と目標を決めます。自身の強み/弱み、向いている環境、理想を照らし合わせてギャップを認識することで、伸ばすべきスキルや対処すべき課題が見えてきます。
たとえば、次のようにスキルの伸ばし方や目標を決めるとよいでしょう。
- 現状は積極性に欠けているため、指示を待つのではなく自分から提案して動くようにしよう。
- 現状の環境ではスキルが発揮しにくいので、新しい勤務先や職種を検討してみよう。
セルフチェックから分かった自分の課題点を「悪い」と考える必要はありません。多角的に判断し、自分の悪い側面と良い側面のバランスを考えながら、向き合い方を決める必要があります。
たとえば、自分の課題は次のように捉えることができます。
課題例 | 悪い側面 | 良い側面 |
決断力の無さ | 判断が遅く、迅速に臨機応変な対応ができない。 | 慎重に物事を判断できる。 |
自己判断が難しい場合は、スキルチェックの結果を他人に見せてアドバイスをもらうことで、より具体的で客観的な意見を得られます。また、周りから求められる自身の役割を知るきっかけにもなるでしょう。
このように、自分の伸ばしたいスキルの方向性を具体的に決めて目標を設定すると効率的に成長できます。
日々の出来事を記録し、自身の成功や失敗の傾向を見つけましょう。知識と経験を結びつけることで、課題が具体的にイメージできるようになるため、スキルをブラッシュアップしやすくなります。
記録がなかなか続かない人は、普段利用する手帳やスマホなどにメモ書き感覚で記載するのがおすすめ。過去の記録を見直すことで成長が実感できるため、モチベーション維持にもつながります。
企業が従業員のポータブルスキルを伸ばすために効果的な方法をご紹介します。
まずは、目標管理の制度を作りましょう。従業員に業務目標の設定や申告をしてもらい、目標への進捗や結果を主体的に管理してもらうのです。従業員のスキル向上や、業務への意識や質の向上を狙えるメリットがあります。
効果的に活用するために、次のことを意識しましょう。
企業側が意識すること | 施策例 |
本人が目標を意識できる環境を作る | 目につく場所に目標を常に貼っておく。 |
課題解決の試行錯誤を促す | 月次面談などで定期的な進捗管理を行い、目標達成のプロセスをサポートする。 |
目標管理をする際は、次の点に注意しましょう。
目標管理は本人のスキルを成長させるためのものです。上記の点に注意しないと、次のような問題を引き起こす恐れがあります。
従業員のスキルや会社への貢献度を評価する制度を整えましょう。等級制度(評価に見合った役職への昇進など)や報酬制度(評価に見合った給与や賞与の決定)などがあります。
対人スキルやタスクマネジメントスキルなど、ポータブルスキルについても可視化し評価することで、従業員の意欲向上やモチベーションの維持に繋がります。
ポータブルスキルの研修を活用するには、社外で実施される研修会を利用する方法と、社内で研修会を実施する方法の2種類があります。
近年、企業や個人によるビジネススキルやポータブルスキルの研修会が多く実施されています。来訪型やオンライン型など形態はさまざま。
「ポータブルスキル スキル 〇〇(地名)」などで検索し、自社にあった研修会を活用すると良いでしょう。
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社内でノウハウのない状態から、ミドル層に対してポータブルスキル研修会を実施する場合、厚生労働省の作成した「ポータブルスキル活用研修」の利用がおすすめです。
受講者配布資料と研修で利用できるスライドに加え、研修を行う上での注意点や活用ポイントなどが細かく記載されています。初めて研修を行う場合でも、要点を押さえた講義を実施できるでしょう。
次の必要経験を満たす講師と受講者を想定して、実施しましょう。
注意すべき対象者項目 | 必要経験 | 理由 |
受講対象者 |
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求人企業へのヒアリングや求職者との面談場面を想定して作成されており、経験なしではイメージが困難なため。 |
講師対象者 |
|
講師自身による現場の体験エピソードや事例の紹介が、受講者の理解を深めるために有効なため。 |
(参考:ポータブルスキル活用研修)
ポータブルスキルは、転職活動の際にも役立ちます。企業へアピールできるポータブルスキルを具体的に表すと、たとえば次のようなものがあります。
自分のアピールしたいポイントを伝える際には、経験に基づいたエピソードを紹介すると効果的です。下記の項目を意識しながら、自身の経験をまとめてみましょう。
の順に整理していくと簡潔に表現しやすくなります。
また、自身で認識していないスキルを確認するためには、キャリアアドバイザーなど他人に相談するのが効果的です。気づいていないだけで志望する企業が求めるスキルを持っているかもしれません。
次に、職種に応じたポータブルスキルのアピール例文をご紹介します。
この例文では、エンジニアとして人員・時間の課題に対して、マネジメント力を利用した課題解決経験をアピールしています。
この例文では、ライター/編集者として時間・予算の課題に対して、人間性とマネジメント力を利用した課題解決経験をアピールしています。
今回はポータブルスキルの概要とスキルを伸ばす方法、企業へのアピール方法をご紹介しました。ポータブルスキルを伸ばすには現状を把握し、課題を認識した上での目標設定と主体的な達成意識が重要です。
これを機に自身を理解するためにもセルフチェックをしてみてはいかがでしょうか。
(執筆:上塚千恵子 編集:mozuku)
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