エンジニアのリモートチームは競争力につながる! 『シュフティ』開発チームが理想のチームワークを実現できたワケ

株式会社うるるが提供しているクラウドソーシングサービス『シュフティ』は、東京と鳥取の2拠点で開発を行っています。リモートチームが発足してから約4年。いくつかの課題にぶつかりながらも、順調にメンバー間の連携強化やチームワークの醸成が進んできたとか。

エンジニアのリモートチームを機能させた舞台裏には、どのような工夫があったのでしょうか。事業部長の脇村瞬太さんとチームリーダーの石毛琴恵さんに話を聞きました。

リモートチームは優秀な人材を確保するための現実的な手段だった

シュフティ開発チーム

サービスのリリース当初は、社内のメンバーだけで構成されていたシュフティ開発チーム。リモートチームを導入にするに至ったのは「エンジニアの人材不足」という課題がきっかけでした。

脇村「サービスを保守、運用していくために、開発チームにはある程度の人数のエンジニアが必要です。ただ、複数の事業を並行して行っている以上、社内での人員確保には限界があります。とはいえ、東京で優秀なエンジニアを採用するには正直コストがかかりすぎる。そんなとき出会ったのが鳥取県に本社を構えるラシックという会社でした」

鳥取県に本社を置く株式会社LASSIC(ラシック)は、「~鳥取発~ITで、地方創生」という理念のもとSES事業を手がけている会社です。これまでの実績やサービス内容をかんがみた上で、シュフティ開発チームはラシックのメンバーをチームへ迎え入れることに決めました。

脇村「当時からラシックには優秀なエンジニアが多数在籍していたそうです。東京ではコストの問題で雇用できないようなレベルの人でも、鳥取では人件費の相場が異なるため、チームにジョインしてもらえたんだといいます」

多くの企業でエンジニアの需要が高まり“売り手市場”となっている現在。東京で優秀なエンジニアを採用しようとすると、どうしても多大なコストがかかってしまいます。しかし、働く場所による人件費の違いに着目すると、レベルの高い人材を予算内で確保できる可能性が大いにあるのです。

働く場所の違いは関係ない。ひとりひとりがチームの一員

シュフティ開発チーム

それでは現在「シュフティ」のリモートチームはどのような体制で業務を行っているのでしょうか。

石毛「基本的に社内のメンバーか社外のメンバーかという基準で業務の切り分けはしていません。社外秘のデータやシステムは社内のメンバーしか触れませんが、それ以外はとくに区別せずに業務を行っています」

外部のメンバーとの連絡手段にも、チームをチームたらしめる工夫がありました。

石毛「日常的に『Slack』を使っています。業務に関する報告や連絡を行うチャンネルと、それ以外の雑談をするためのチャンネルがあって、どちらにもリモートメンバーが参加しています。雑談のチャンネルでは、社内外の垣根なく冗談を言い合ったり、他愛のない話をしたり、チームとしてとてもいい雰囲気ができていると思います」

とはいえ、文字ベースのやり取りだけで、本当に理想的なチームワークを醸成できるのでしょうか。

石毛「もちろん、メッセージのやり取りだけでは意思疎通が正確にできなかったり、伝達コストがかかりすぎたりすることがあります。そのため、ビデオチャットを併用して利用して顔が見えるコミュニケーションをとるようにしています。2週間に1度の定例会議もビデオチャットを通して行っているんです」

日常的なチャットでのやり取りと、顔をあわせての会話。この丁寧なコミュニケーションがシュフティ開発チームのチームワークの源泉になっているのかもしれません。

属人的なナレッジを共有するために「Qiita」がとても役に立つ

Qiita

社内外の垣根を問わず、ひとつの組織として理想的なチームワークを実現しているシュフティ開発チームにも、課題がありました。それは、チーム発足から3年間にわたり属人的なナレッジが共有されていなかったことです。

石毛「私がチームに参加したばかりのころ、機能に関してわからないことがあって。社外の古参メンバーに相談したら、個人でメモしていた情報をたくさん送ってくれたんです。そのとき「社内から社外」はもちろん「社外から社内」に向けても情報発信しやすいように、ナレッジを共有する場所が必要だと強く感じました。そこではじめて『Qiita』を導入することに決めたんです」

ナレッジの共有場所を作ったことで、業務知識や技術の共有がさかんに行われるようになりました。多くのリモートチームが、社内から社外への一方的な情報発信に偏ってしまいがちですが、シュフティ開発チームでは「Qiita」の活用を推奨することでインタラクティブな情報共有が実現できているとのこと。また、仕様書をはじめとするドキュメントは「Googleドライブ」で共有する、というツールの使い分けも行っているそうです。

リモートチームの運用が企業の競争力につながる

シュフティ開発チーム

はじめは、人件費を抑えて人材を確保しようと発足したリモートチーム。日々のコミュニケーションやインタラクティブな情報共有によって、理想的なチームワークが実現できているいま、当初想定していた以上のメリットを感じているといいます。

脇村「リモートチームがうまく機能すれば、コストを抑えながらパフォーマンスの質を維持できます。つまり、企業の競争力向上につながるわけです。エンジニアの需要が高まり、人員の確保が難しくなってきているなか、場所に縛られず優秀な人材を採用できることは、企業にとって大きなメリットになるのではないでしょうか」

理想的なチームワークを実現できた3つのポイント

脇村さんと石毛さんの話を伺うなかで、リモートチームをうまく機能させている3つの要素が見えてきました。

1. 社内に優秀なエンジニアがいること

シュフティ開発チーム

まず、ひとつ目は社内に社内外のチームをマネジメントできる優秀なエンジニアがいることです。シュフティ開発チームでは、石毛さんがリーダーとしてその役割を担っています。

脇村「石毛が社内外のメンバーに、理にかなった要求や技術的なアドバイスをすることができるから、チームがうまく機能しているんだと思います。技術について知識のない人間がエンジニアをマネジメントしようとすると、社内のメンバーですら連携をとるのが難しいもの。それがリモートチームとなればなおさらです。だから、エンジニアとしての技術や知識はもちろん、マネジメントスキルも兼ね備えた人材が社内にいることは、リモートチームを成功させるうえでとても重要だと思います」

石毛さんはリモートチームをマネジメントするにあたり、全員がチームの一員としての自覚をもてるように心がけていると言います。

石毛「2週間ごとのリリースのたび、チームメンバー全員で振り返りをしています。意見を言いあえる環境を作り、ひとりひとりが仕事を自分ごととしてとらえてくれるよう働きかけるためです。また、スケジュールも社内で一方的に決定するのではなく、社外のメンバーとも相談しながら決めています。そういった心がけの甲斐あって、チームの信頼関係がしっかり築けていると感じます」

チームをどうマネジメントするかは重要な要素。いつも顔をあわせて仕事ができるわけではないリモートチームとなれば、それはなおさらです。社内にリモートチームを牽引できるだけの資質をもった人材がいることが、シュフティ開発チームのチームワークを実現している理由のひとつなのでしょう。

2. 社外メンバーのモチベーションが高いこと

ふたつ目は、社外メンバーのモチベーションが高いこと。いくら社内の制度や環境を整えても、社外メンバーがそれに応えてくれなければ結果にはつながりません。

脇村「ラシックの担当の方が直接いらして、社外メンバーの評価を聞き取りする機会があるんです。本当に不満がないのでそれを伝えると『なにか改善できる点はないですか』と食い下がってくるくらいストイックで。そんな環境のもとで仕事をしているからか、社外メンバーのモチベーションはとても高いんです」

また、ラシックを代表してうるるの社内に常駐しているメンバーがいることも、理想的なチームワークの実現にひと役買っています。

脇村「社内外のメンバーをつなぐ“仲介役”がいることで、意思疎通や情報共有がさらにスムーズになっています。わざわざ鳥取から人員を派遣してくれる姿勢が、そのモチベーションの高さを表していると思うんです」

3. 業務以外でもチームのつながりを感じられること

シュフティ開発チームビデオチャット

業務以外のところでもチームとしてのつながりを感じられるよう、チャットを通した日々のコミュニケーションだけでなく、ビデオチャットを使ったリモート飲み会を開催したこともあるのだとか。

脇村「今年の4月に歓送迎会を兼ねてチームの飲み会を行いました。はじめは会社の近くの飲食店でやろうかと話していたんですが、社外メンバーもチームの一員なんだから、一緒に飲みたいという声があがって。そこで社内のシアタールームを使ったリモート飲み会を実施したんです」

チームワークの醸成は、業務以外のところで進展することも多いものです。社内外を問わずチームとしてのつながりを感じられる機会を設けることで、連帯感はより強くなっていくはずです。

うるるのリモートチームから見習えるコミュニケーションの重要さ

シュフティの開発チームは、東京と鳥取という離れた場所で働いているものの、その距離を感じさせないほどひとつのまとまった組織として機能していました。その背景には、社内にチームを牽引できる優秀な人材がいることや、社外メンバーのモチベーションが高いことなど、属人的な要素がベースにあります。一方で、チャットでの密なコミュニケーションやリモート飲み会の開催など、他のチームにも応用できる取り組みがありました。また脇村さんが語った「リモートチームが企業の競争力につながる」という視点は今後世の中に広く浸透していくのではないかと感じました。

シュフティ
「シュフティ」は、全国に約900万人いると言われる専業主婦やパートタイムで働く主婦をメインターゲットにしたクラウドソーシングサービス。多くの企業が労働力の確保に苦戦している一方、働く意欲はあるものの、家事や育児のためにフルタイムでの勤務や出勤そのものが難しいという女性がたくさんいます。そんな不均衡な状況を打破するため「在宅ワークをスタンダードな選択にしたい」という思いのもと、2007年のリリースから10年以上にわたりサービスを提供してきました。

(執筆:近藤世菜 編集:Workship MAGAZINE編集部)

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