スマートスピーカーを音楽再生にしか使ってないのは日本人だけ!海外事情&実装方法を聞いてきた【イベントレポート】

こんにちは。Workship MAGAZINEライターのじきるです。

Google HomeやAmazon Echoなどのスマートスピーカー が日本で発売され半年が経ちました。2018年1月の時点では、その所有率はわずか2%だといわれています。

スマートスピーカーを持っていたとしても、バリバリ家電連携してスマートホームを実現している!なんて人はごくわずかでしょう。みんな薄々感じてはいると思うけれど、それはめちゃくちゃもったいない……!

 

そんななかで、2018年3月5日、渋谷にあるイベントスペース型飲食店「東京カルチャーカルチャー」にて、『なるほど!スマートスピーカー&スマートホームナイト』が開催されました。

ジキル

このイベントでは、スマートスピーカーやスマートホームに精通した6名の登壇者が、海外の最新情報や実際の使用例、未来のスマートホームの姿を、ユーモアを挟みながら分かりやすくプレゼンしました。

今回はこのイベントをレポートしていきたいと思います!

登壇者は以下の6名です。

  • 新貝文将さん(Connected Design / イッツ・コミュニケーションズ)
  • 伴野智樹さん(MASHUP AWARDS)
  • 石川大樹さん(デイリーポータルZ)
  • 水田千恵さん(ヤフー株式会社)
  • 谷さんと清野さん(イッツ・コミュニケーションズ)

音楽を流すだけじゃもったいない!スマートスピーカーのグローバル最新事情

2018年2月に行われたアンケート調査によると、ユーザーが選ぶスマートスピーカーの便利だと思った機能の第1位は「好きな音楽を流してくれる」でした(リサーチプラス調べ)。

しかし、スマートスピーカーには音楽を流す以外にも様々な便利機能がついています。

日本ではまだまだ十分に魅力が伝わっていない中、スマートスピーカー本来の力を引き出そうと試行錯誤をしている人たちがいます。イベントで語られたことの中でも、海外ではどんな使われ方をしているか、そして日本の先進事例をご紹介します!

 

スマートスピーカーとスマートホームは組み合わせてこそ価値がある!

そもそも、スマートスピーカーとスマートホームを組み合わせるとどんなことができるのでしょうか。それを語ってくれたのは、「intelligent HOME」のサービス立ち上げ推進を担い、日本国内におけるスマートホーム分野の普及に尽力している新貝文将さん。

新貝「家の中の様々なシステムを、言葉や簡単なジェスチャーで動かせます。例えば、玄関のドアが開いたらカメラが人を検知し、家の照明やエアコンなどの家電が自動的に起動します。在宅や外出をスマートホームが感知してくれるのです。」

スマートホームは遠隔からの操作できるので、鍵の閉め忘れ対策にもなるとのこと。

構成概略

▲スマートホームの構成概略

また、スマートホームを統括するスマートスピーカーは、UXを突き詰めた結果に生まれたものだそうです。かつてはパソコンでキーボード入力していたものが、今ではスマホやタブレットによるフリック入力に代わり、そしてこれからは音声入力になります。音声入力により、ソファから一歩も動かなくても、あらゆる家電の操作ができます。

アメリカはホームセンターや洋服店でもスマート家電が売っている!

アメリカはスマートスピーカーやスマートホームの普及が進んでいます。新貝さんは自ら現地で撮影してきた画像とともに、最近のアメリカにおけるスマートデバイス事情を教えてくれました。

新貝「アメリカにはスマート家電がとても浸透しています。ケーブル事業者の作業メニューを見ると、テレビ、インターネット、電話などの回線開設に次いで、スマートホームに関するメニューが掲載されています。」

業者によっては、電話の項目を外してスマートホームを載せている場合もあるそう。スマートスピーカーは固定電話に変わるものとして位置付けられるといえるかもしれません。

新貝「またアメリカにおいて、スマートホームデバイスは様々な場所で販売されています。特にベビー用品に関連したスマートホーム製品が充実しています。家電量販店以外でも、ホームセンターやデパート、携帯ショップや本屋などにもスマート家電は販売されており、様々な場所でスマートホームに触れる機会があります」

ホームセンターの売り場

▲アメリカのホームセンターにあるスマート家電売り場

おしゃれなガジェットショップ

▲おしゃれなガジェットショップが多く展開されている

洋服売り場

▲洋服売り場でもスピーカーが売られている。使い方の提案までが店舗によってなされている

アメリカではスマートホーム関連商品は様々なところで販売されていますが、日本では購入できるところがまだ限られています。日本人のスマートスピーカー所有率は5.7%であり(ジャストシステム調べ )、スマートホームの割合はさらに低いでしょう。

ただ、東芝パナソニックなどの日本企業もスマートスピーカー事業に参入しており、今後は日本での市場拡大も考えられます。スマートスピーカーやスマート家電を購入できる店舗が増え、日本でも普及率が高まることを期待したいです。

スマートスピーカーの現状と今後について

現在、スマートスピーカー業界ではGoogle AssistantとAmazon Alexaの2大OSが存在しています。その他にも、LINEがリリースしている「LINE Clova」や、Microsoftがアメリカで発売している「Cortana」などもあります。

これまでのスマートスピーカーは、他のスマート家電とつながることをアピールしシェアを争っていましたが、新貝さんは近年シェア争いの方向性が変わってきていると指摘します。

新貝「シェア争いの方向が、自社スマートスピーカー対応のスマートホーム機器を増やすことから、自社OSを搭載したサードパーティ製のスマートスピーカーを増やすことへ変わってきています。
例えば昨年、ベルリンの家電見本市『IFA 2017』にAmazonが初めてブースを出店しましたが、そこで彼らはAmazon Alexaを搭載した“他社製のスマートスピーカー”を展示したのです。AmazonがAlexa内蔵の他社製スマートスピーカーを増やそうとする意図がうかがえます」

このような流れが進むと、いずれはスマートスピーカーを持っているのが当たり前になり、適当に買った製品が実はスマートスピーカーだった!なんてことも起こりそう。

スマートスピーカーやスマートホームに興味がない人でも、いつの間にかそれらを持っている時代がきます。普及後は、OSのシェア争いとなるでしょう。

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▲Amazon AlexaとGoogle Assistantのシェア争い方向性変化

サードパーティ製のスマートスピーカーが増えることで、日本でも今後スマートスピーカーが当たり前のように店頭に並ぶ日が来るでしょう。

しかし、日本人はまだまだ音声入力に不慣れです。スマートフォンに音声認識AIが搭載されて久しいですが、スマートフォンに向かって「Hey! Siri!」「OK, Google!」などと話しかけるのを恥ずかしがる人は多いでしょう。

新貝「現時点では、音声入力を恥ずかしがる人が多いというアンケート結果が出ています。ただ、パソコンがかつて“オタク”たちのものだったように、スマートスピーカーもいずれ日常のものへとなるでしょう。新しい技術が普及するには、ある程度の時間がかかります」

なお、アメリカでは電気の普及率が25%に到達するまでに46年かかっています。電話は35年、ラジオは31年、テレビは26年、パソコンは16年、携帯電話は13年、インターネットは7年です。このように、普及までの時間はだんだん短くなってきています。

このような歴史的傾向を考慮すると、スマートスピーカーはあっという間に普及してしまうかも。

「IFTTT」「myThings」を使えば誰でも簡単にスマートホームを構築できる

IFTTT(いふと)とは「If This Then That」の略であり、異なるWebサービス同士を繋げるアプリケーションです。プログラミングの知識がなくても、スマートスピーカーと400種類以上のWebサービスを簡単に連携させることができます。スマートホームを構築するにあたって、欠かせないサービスです。

一方、myThingsとはヤフー発のサービスであり、IFTTTと同様に様々なサービスを連携させることができるサービスです。myThingsはIFTTTよりも対応チャンネル数が少なく、細かな条件設定が難しいなどの欠点があります。しかし、myThingsは日本語であり、日本発のサービスに対応しているので、初心者でも扱いやすいです。

IFTTTやmyThingsを使えば、「ゴミ出しの日をスマートスピーカーが教えてくれるシステム」や「スマートスピーカーに話しかけることで会社に勤怠連絡のメールを自動で送れるシステム」など、便利な機能を簡単に設定できます。また、ある程度プログラミングが得意ならば、独自に様々なシステムを実装することもできるようです。

会場では「スマートスピーカーに電気をつけさせるシステム」を、myThingsを使ってその場で実装していました。プログラミングは一切使用せず、日本語入力とクリックのみで制作していました。

ここまでやる!? 登壇者によるスマートホーム構築事例

実際に自宅にスマートホームを導入し、とことん便利を追求している実践者も登壇していました。

写真はスマートホームを駆使するサラリーマン・谷さんのご自宅。一見普通の家に見えますが、随所にスマートホームの機能が隠されています。

対立構造

▲左:夜の11時になると照度を通常の30%に落とすシステム
右:キーホルダー型のIoTデバイスを操作することで、遠隔から家の鍵の解錠・施錠ができるシステム

室内

▲清野さんご自宅

こちらはサラリーマンの清野さんのご自宅。谷さんとは反対に、非常に近未来的なデザインのスマートホームを実装しています。スマートスピーカーに話しかけることで、浴室の照明を落とすシステムや、外出時に遠隔操作でお風呂を沸かすシステムもご自身の手で実現させました。

音声入力は子どもでも使いこなせる

イベント終了後、本日の登壇者の一人であるデイリーポータルZの石川さんにお話を伺うことができました。石川さんはヘンテコな電子工作を作るDIYギャグ作家です。このイベントでも、Google HomeとIFTTTを連携させた電子工作を披露しました。

▲Google Homeにビンタされる石川さん

石川さん制作の「Google Homeを“Alexa”と呼ぶとビンタされるシステム」。こちらはIFTTTを用いて作られています。

石川さんのご家庭はスマートホームではないものの、スマートスピーカーが一台あるそうです。

話を聞くジキル

石川「自宅でもスマートスピーカーを使うのですが、自分よりも子供たちの方がよく使っていますね。“お父さんに電話してー”などと話しかけているようです。パソコンやスマートフォンは子供たちにとってやや操作が難しいですが、スマートスピーカーは話しかけるだけです。音声入力の簡単さが、子供たちにちょうど良いのかもしれません。」

私の家もスマートホームにしたい!

本日のイベントに参加して、スマートスピーカーやスマートホームは決して未来のものではないことが分かりました。日本ではまだまだ懐疑的な意見も多いですが、スマートスピーカーやスマートホームは私たちの生活をとても快適にするものです。日本でも普及することを大いに期待しています。

私の家も早くスマートホームにしたいです!

スマートホームデモ

イベントにはイッツ・コミュニケーションズ株式会社が提供するスマートホームサービス「intelligent HOME」が協力しており、会場には様々なスマートスピーカーおよびスマートホームデバイスが配置されていました。

上の画像はスマートホームのミニチュアです。Google Homeに話しかけることで、照明・エアコンなどのON/OFF切り替えや、天気予報を置き時計型IoTデバイス上に表示することなどができます。

過去に取材したIoT関連のレポートもおすすめ。CES2018出展者たちによる報告会の模様です。

 

最後までご覧いただきありがとうございました!

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