リーンUXとは?Webデザインに使える、システム開発モデルの応用概念

DESIGNER

システム開発モデルは、UXデザインの開発にも使えます。なかでも最近、アジャイル開発の考え方にUXデザインの視点を取り入れたリーンUX(Lean UX)という考え方が注目を浴びています。

今回は、無駄なくUXデザインシ設計ができるリーンUX(Lean UX)について、モデルが誕生するまでの軌跡と活用方法をご紹介します。

Lean UX(リーン・UX)が成立するまでに用いられていた開発手法

UXの開発のモデルは1970年代から徐々に形成されてきました。ひとつは「ヒューマン・インターフェース」というデジタルデバイスインターフェースを指す言葉。もうひとつは、「ユーザービリティー」というインターフェースの有用性を指す言葉です。その後、当時のApple最先端技術研究所で副責任者を努めていたドナルド・ノーマン氏が、もっと広く、ユーザーの体験を設計するプロセスについて語るために、「UXデザイン」を提言しました。

ここでは、UXデザインの開発モデルを年代別にみていきましょう。

1. UX開発のウォーターフォール・モデル(1988年)

UXデザインの元となる考え方ができたのは、1970年代のこと。1988年ごろからは、システム開発用語としておなじみのウォーアターフォール・モデルが、UX開発でも用いられていました。

『ウォーターフォール・モデル』は、要件定義から設計、製造、テストまで、各UX設計のフェーズを順番にこなす手法です。『ウォーターフォール・モデル』の各段階は同時に進行せず、ひとつのプロセスが終了してから次の段階に進みます。

UX Design Steps

『ウォーターフォール・モデル』を5つの段階でわけてみましょう。

  1. 条件をリサーチする(問題のリサーチと分類
  2. 商品をデザインする(ジャーニーマップを作成し、アイデアを出し合う)
  3. 商品を生産する
  4. 商品をローンチする
  5. 商品を管理する(ユーザーのフィードバックによって、再度商品を生産する)

2. アジャイルUX開発(2001年以降)

『アジャイルソフトウェア開発』は、迅速かつ流動的にソフトウェア開発を行う手法です。開発期間を1ヶ月といったように短く設定し、ユーザーのフィードバックをもとにPDCAサイクルを回します。『ウォーターフォール・モデル』を使う場合、UXデザインに大きく時間をかけますが、『アジャイルソフトウェア開発』では、ゆっくりUXを設計するほど時間の余裕がないです。

はじめて『アジャイルソフトウェア開発』を実施したのは、CBE(Cell Broadband Engine)という64ビットRISCマイクロプロセッサの生産においてでした。

3.リーンUX(2013年以降)

『リーンUX』は、実は5年前くらいから登場していた概念です。次の章で、詳しい内容をチェックしていきましょう。

 

リーンUXとは?

『リーンUX』とは、リーン・スタートアップのコンセプトを従来のUXデザインに取り入れ、アジャイルなチームマネージメントを可能にするUX設計モデルです。いくつかの戦略を実施することにより、『アジャイルソフトウェア開発』に従来のUXデザインを取り込んでいます。

『アジャイルソフトウェア開発』と異なり、『Lean UX』はスピードを追求していません。エクスペリエンスをデザインすることに重きを置くことによって、結果としてプロジェクトサイクルの時間の削減につながっています。

Lean UX

▲リーンUXの設計モデルの各段階を示している図。

『リーンUX』の強みは、ユーザーのフィードバックをもらえる状況さえ作っておけば、すぐにでもUX設計をスタートし、商品を改善できることです。

一方、『リーンUX』では、製品の詳細を具体化しないと、開発が進まないというデメリットがあります。ローンチされていない製品の開発は、ユーザーの反応ではなく、あくまで開発者がユーザーの希望を想像しただけの情報で進められるからです。

この問題を解決するには、ジェイク・ナップ氏という元Google社のデザイン・パートナーが開発した『デザインスプリント』という手法を取り入れるのがおすすめです。

『デザインスプリント』とは?

『デザインスプリント』とは、5日間だけでプロトタイプを作成してテストするデザイン手法です。『デザインスプリント』の特徴は、その5日の間に、他のタスクをせずに、プロトタイプ制作だけにコミットすることです。課題に集中するための環境を整えます。

『デザインスプリント』の実行フロー

【1日目】チャレンジを定義する

チームで問題に関する備考を書き出し、それらの問題において、チームが解決したい課題を選定します。この日の大事なポイントは、適切な解決策を見つけるための情報共有です。

そのため、チームで競合分析やユーザーのペルソナなどの情報を共有しています。

【2日目】ソリューションを発案する

個々で、もしくは複数のチームで問題に対する解決策を考えます。できるだけ多くのアイデアを生み出すことがポイントです。アイデアをアウトプットする形は、紙に書き出すことが理想的です。理由は、パソコンの作業よりも、素早く作業できるためです。

また、この日の終わりに、アイデアをまとめて、どれのアイデアをグループにプレゼンするのかを決めましょう。

【3日目】解決策を選定する

作戦会議を開き、チーム全員で話し合いながら、個々が考慮したアイデアから最終的な解決策を選びます。ひとつひとつのアイデアを議論し、解決策における問題点を洗い出してから最終的な解決策を決めます。

また、ひとつの解決策のプロトタイプを生産するのか、複数のアイデアのプロトタイプを生産するのかのどちらでも可能です。

【4日目】プロトタイプを生産する

チームでできるだけ多くのプロトタイプを生産します。実際のプロトタイプというよりも、KeynoteやPhotoshopなどのソフトウェアを使って作成することが多いです。

ツールの選定は自由ですが、スピーディーにプロトタイプを作成するのであれば、使い慣れているツールを使いましょう。実物のプロトタイプというよりも、製品を何かしらの形にすることが重要です。

【5日目】ユーザーをインタビューする

プロトタイプを潜在ユーザー5人〜20人に見せて、プロトタイプを操作してもらいます。1対1でユーザーの行動を観察し、ユーザーのフィードバックをもらいます。こうすると、プロトタイプの強みと弱みを把握でき、ユーザーからの意見も最終バージョンに取り入れられます。

ユーザーの意見を使い、次に導入すべき改善点を見つけましょう。

『デュアル・トラック・デザイン(Dual Track Design)』は『リーンUX』の後継?

『デュアル・トラック・デザイン』とは、『デザインスプリント』の実施を取り入れた『リーンUX』のこと。『リーンUX』の弱点は、新しい機能や商品を開発するときに、ユーザーからのフィードバックがないことですから、『デザインスプリント』でカバーする必要があります。

『デュアル・トラック・デザイン』では、フィードバックが必要なときに、開発のチームと異なるチームが『デザインスプリント』を実施します。別のチームが『デザインスプリント』を実施しているため、開発のチームはまだ他の作業もできます。よって、開発とリサーチを別軸にしているプロセスで、いままではなかったプロセスにおける柔軟性があります。

 

(翻訳:Jordan Colston)

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