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「平等」と「公平」の違い

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デザインの多様性とはどのように生まれるのでしょうか。チームメンバーが多様であることは大切な要素のひとつです。どのようにしたらそのようなチームが作れるのか考えたとき、私は「公平」という言葉に着目しました。

誰もが公平にデザイナーを目指せれば、デザイナーの多様性は高まるはずなのです。

一方で、公平という言葉自体の捉え方は立場や地域によって異なります。その違いを考えながら、デザイナーの卵を取り巻く世界の現実を解き明かしていこうと思います。

「平等」と「公平」の違いが一目でわかる画像

辞書でEquality(平等)と検索すると、2つの意味合いで記されています。ひとつは「地位、権利、機会がひとしい状態」。社会的なニュアンスが含まれています。一方equity(公平)は数学的な意味を含んでいて、「質量が同等であること」と書かれています。

社会的な意味での平等を唱えるなら、誰もがデザイナーの世界に参加できる機会を平等に与える必要があります。

クロッグ・フロエールが作った以下の画像を見てください。

The-difference-Equality-and-Equity-by-Craig-Froehle

▲左:平等 右:公平

画像は木箱の上で野球の試合を見ようとしている3人の絵。あらゆる共通点がありますが、その違いはひとめでわかりますね。

この画像は、政治的な考え方の違いを表しているということで有名になりました。彼らは伸長が異なっています。そのため、身長の低い人が、高い人と同じように試合を見ることは難しいです。左の画像では、全員が1個の踏み台を与えられています。みんな同じ数の箱を持っているのだから平等だと主張するのは、保守的な人たちでしょう。

しかし、最も身長が低い人以外には役立ちますが、最も身長の低い人にとって、ひとつの木箱では充分な高さではありません。また、最も身長の高い人にとって、この木箱はいらないものです。
右の画像ではその問題が解決されています。自由主義者が考える「公平」が表現されているのです。

「平等」と「公平」に潜んだ格差の正体

「平等」と「公平」の区別は重要です。

デザインの分野にも平等さを取り入れようとするのであれば、その人が立つための「箱」を、必要な数だけ与えなければなりません。

グラフィックデザイン業界でたとえましょう。その業界に踏み込むことはツールの面でも非常にコストがかかり​ます。学生は学割を使ってハードウェアとソフトウェアを低コストで手に入れ、デザインの勉強をスタートできます。大人が購入する価格よりも安く、同じものが手に入ったのだから、これは平等と言えるかもしれません。

一方、公平さを実現するには、デザインツールのスキル不足を補うために、より多くのリソース(資金、経験豊富な教師、関連カリキュラムなど)が必要となります。

それが叶わなかった場合に生まれるのが、「教育的格差」です。学生(またはその家族、またはそのコミュニティ)は、上記の画像の比喩にならってたとえると「背が低い」ので、より多くのサポートを必要とします。リソースが足りず、望ましい勉強ができなかった学生は良いデザインから遠ざかってしまいます。

多くの人が主張してきたように、問題は学生の能力ではなく、能力を得る機会がないということです。機会を得ることができないことに対しての格差なので、「機会格差」と呼ぶべきでしょう。

これらの根本的な原因をわかりやすく表現するために、ポール・クルットナーが類似した画像を作りました。

The-difference-Equality-and-Equity-by-Paul-Kuttner

▲左:平等 右:公平

この画像は、クロッグのイラストでは表せなかった「見えざる格差」を示しています。このこの3人のうち野球観戦ができない人、すなわちデザイン業界で成功をしなかった人は、自分の状況を格差せいだと認識しています。「他の人が成功するのは環境に恵まれたからだ」と彼らの社会思想を硬化させてしまいます。

まとめ

ここまで、デザインにおける「平等」と「公平」の違いについて説明しました。デザイン業界で成功するかどうかは、性別、人種、性的指向なと同様に格差が関係しています。

ソフトウェアを与えるだけではなく、教師や一線で活躍するデザイナーが、学生たちの面倒を見るべきです。

デザイン業界に多様性をもたらすために、なにを考え、活動するか、選ぶのはあなた自身です。

(翻訳:Yuri Tanaka)

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